ヤマンタカ 上 大菩薩峠血風録 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041088159

作品紹介・あらすじ

時は幕末。府中から日野にかけての甲州街道沿いに辻斬りが出現。一方、大菩薩峠で、深編笠の武士によって老巡礼が惨殺される。4年に1度開かれる奉納試合と関係があるとみた土方歳三は、自分もその試合に出るため天然理心流に入門する。出場するのは「音無しの構え」で知られる剣客・机竜之助、甲源一刀流の師範・宇津木文之丞ら猛者たち。そしてついに奉納試合の日が。人間の欲望や本能を突き付けられる、熱き剣豪小説。

感想・レビュー・書評

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  • 夢枕獏『ヤマンタカ 上 大菩薩峠血風録』角川文庫。

    中里介山の『大菩薩峠』を下敷きにした夢枕獏の剣豪格闘小説の上巻。

    多くの打撃系、グラップリング系格闘技の場合はそうそう死に直結する闘いは無いのだが、剣豪による闘いの場合は敗北が死に直結する。そのためか本作で夢枕獏は登場人物たちの闘いにかなり気を遣っているようにも感ずるが、闘いに挑む登場人物たちの緊張感も伝わってくる。

    幕末時代、府中から日野の甲州街道で辻斬りが3人の剣豪を斬殺し、大菩薩峠でも深編笠の武士が老人を斬殺する。いずれも4年に1度開催される奉納試合に出場する狂った剣豪の試し斬りではないかと考えた土方歳三は自らも奉納試合に出場し、その真偽を見定めようとする。

    下巻ではいよいよ剣豪たちによる奉納試合が描かれる。

    本体価格880円
    ★★★★★

  •  あの「大菩薩峠」を夢枕が描く、熱き剣豪小説。

     大長編「大菩薩峠」は、タイトルくらいしか知識がなかったので、自分の中では今作を「大菩薩峠」ととらえて読みました。

     机竜之助を軸に近藤勇や土方歳三、沖田総司がからみ、命の勝負が描かれる展開は、剣豪小説として面白くないわけがなく、夢中でページをめくりました。

     また、舞台が自分のなじみのある所ばかりなので、とても身近に感じました。

     それぞれの流派の知識もとても興味深く、闘いの背景がよくわかりました。

     否が応にも下巻も盛り上がりそうで楽しみです。

  • 強すぎてバケモンみたいな剣豪が結構いっぱいいるし、辻斬りだらけなのが変な世界だなーとは思った。こんな世界観の中で、近藤・土方・沖田は大丈夫なのか?

  •  星5つでもよいのだが、「音無しの剣」の術理が明かされる下巻はさらに面白いはず。星4つにとどめておく。
     史実に詳しい者なら、近藤・土方・沖田が本作で死ぬことはないと解りきっている。だったら、架空の剣豪と刃を交えても安心していられるかというと、ハラハラさせてくれる夢枕獏の筆力。
     新選組ファンにとってバイブルと言える司馬遼太郎『燃えよ剣』。本作の沖田総司は、司馬版に殺人嗜好症を加味したような残念な奴。あと一歩で半村良『産霊山秘録』の沖田になってしまう。
     大好きな土方歳三が活躍するのは嬉しいが、「丈六尺に近い」というのはどうだろう。実際は170前後ではないか。

  • 大菩薩峠は読んだことないが、その主人公(机竜之介)と作中の登場人物(宇津木文之丞)、新選組トリオ(土方、近藤、沖田)、もう一人出所不明の剣豪(巽十三郎)。作中で雑魚はあっさり斬り殺されていくが、残ったこれだけはどうやっても殺せそうにないスーパー剣豪ばかりのバトル小説。

    久しぶりに読んだ夢獏さんだが、キマイラとか餓狼伝とかも似たようなシチュエーションでいまだ未完。このシリーズは次巻で決着つくんだろうかね?

  • 中里介山の『大菩薩峠』を夢枕獏がリメイクした剣豪小説、まさに徒手空拳を剣に置き換えたチャンバラ版『餓狼伝』、剣に憑かれた男たちの暗く熱い闘いが繰り広げられる。
    さすがに獏さんの筆致は力強くて精緻、作品を書くためにホントは真剣で人を斬ったり、あるいは斬られたりしたことがあるのではないかとさえ思えるくらい、息詰まる表現が怒涛のように展開される。
    謎の剣法「音無しの剣」を操る机龍之介、そのニヒリズムの源は何か⁈ 命のやり取りに生きる意味を探る豪胆な若者、土方歳三。そして無邪気に、とても無邪気でないことをいう少年沖田総司。濃いキャラクターたちがたまらない。『魔獣狩り』を思わせる部分もあり、オールド獏ファンは必読、下巻へ。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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