絶対猫から動かない

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 110
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041088234

作品紹介・あらすじ

「うぃやっ……地震?」56歳の大原夢路は将来が絶賛不安な元校正者、現在無職。両親の介護のために仕事をやめ、さらには認知症になった義父母の存在もがっしりとのしかかっている。そこそこに仲良しの旦那はいるけれど、そりゃもうストレスは満載。おかげで最近妙な夢を見る。地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められ続けるのだ。親友の冬美と、袖すりあった見知らぬひとたちと、そしてもうひとり、人間の生気を喰らういきもの「三春ちゃん」と!!
それぞれに問題を抱えたいい年の大人たちが、自分たちの生存と、たまたま居合わせてしまった子供たちの未来を守るために戦いを始める。初めはおずおずとコミュニケーションをとり、やがて奇妙な共闘態勢が。憧れるのは猫のごとき平和な日常、いつか手にしたら、絶対そこから動いてなんかやるものか。でも、それまでは--日本SFのレジェンドがおくる、最高の「ふつうの大人」の冒険小説!!

感想・レビュー・書評

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  • 新井素子との出会いは中学生の頃だった。少女小説の枠からずずずいっとはみ出した設定と内容に夢中になった。ちょいと小説を書いてみたりしていた自分はあの独特の文体に引きずられて「えっとぉ」などと登場人物が喋り出すのに大層苦労した。と過去の赤っ恥から晒してどうする。
    (お仲間、絶対いるでしょ!) 新井素子という作家は色んな意味で特別な位置にいる。

    長編の新作が出る。タイトルに猫がついてるのに猫自体は登場しない。何ですと。気になる。

    とある昼下がりの地下鉄車内。それぞれの理由で乗り合わせた乗客に突然の急病人。偶然にも看護師がいて搬送されて、あーびっくりしたね、で事は終わらなかった。長い長い物語は始まったばかり。

    夢の中に閉じ込められた一部の乗客たちが現実世界でコミュニケーションを取り合い、物語を動かしていく。

    恐怖の象徴であり人間たちの敵、三春ちゃん。佐川先生と同じ感覚も頷けるし、中学生諸君に至っては完全に敵だ、悪しき存在だ。どの視点から見てもうんうんと共感してしまう。
    そんな中で倒すべき相手の彼女に話し合いを重ねる村雨さんのキャラが秀逸。後々大切な事を教えて貰った感がある。

    夢路の願う未来に、10代の自分を虜にした物語を表した独白がある。テンションMAXになるからお愉しみにとだけ。

  • 文芸カドカワ2017年1月号〜2019年8月号、カドブンノベル2019年9月号〜12月号連載のものに加筆して、2020年3月角川書店から刊行。長編ファンタジー。あとがきに出てきたように「いつか猫になる日まで」とシュチエーションは似ています。展開もこちらの方がダントツで長いところを別にすれば、似ています。これ、連載を読むのたいへんだっただろうな〜と思います。まとまって読むからわかる話しだと思いました。新井さん独自ワールドです。普通の人、特別な人、人でないもの、的なものが、登場して、面白い展開でした。

  • 私はこの作品好きです。
    某所で最初にレビュー書いていた方が☆2だったのでちょっと買うのためらったのですが、結論から言うと私は買って良かったですよ。
    本の評価って読んだ人の好みや読んだときの精神状態に激しく左右されると思うので、他の方のレビューを否定するわけではないのですが、私はこの作品好きです。
    私も新井素子さんの作品ほぼ全部読んでいて、最近の作品は若い頃の鮮烈さに比べると物足りないと思ったこともありました。
    中年になってこの文体は痛いと思ったこともありました。
    でも今作で描かれているものは、歳を取ったからこそ書けたのだと、私は感じました。
    自分も歳を取ったからそう思うのだと思います。
    読んで面白くないと思う人もいるかもしれないけど、私は面白かったです。
    読んで良かったですよ。

  • ダメだ…途中で読むのを挫折してしまった。

    この年齢になると、やはり新井さんのあの文体で文章読むのキツイ…

    登場人物もそれなりの中年でこの文体はどうなのか、という疑問もある。
    しかし、己を顧みても、ガワだけ年取ったオバちゃんなのに、中身は全く高校生時分とレベルが上がってないなぁと感じること多々あるし(笑)
    大人の皮をうまくかぶって生きているなぁと思うこと、あります。

    新井さんは悪くない、変わらないのだ。
    ただ、読み手の自分がガワだけオバちゃんのつもりが、案外自分が思ったより老け込んでいた、それを感じてしまいました。
    うーん…残念。

  • 悪くはないんですが
    長かったわりには最後が説明不足…?
    でも、やっぱり新井素子さんの小説
    大好きです。

  • この文体で中年を表現するのは難しい。
    猫が出てくるの待ってたのに。

  • これぞ新井素子!って感じの小説で面白かった。
    人間を捕食するものである「三春ちゃん」の結界にとらわれてしまった人達が、奮闘する話。
    いきなり中学生が亡くなってたり、登場人物それぞれの現実問題(介護やら家族間交流やら)は全く解決されてなかったり、結構シビアな話なのに、重たい雰囲気が全然感じられない。そして、そこが新井素子作品の好きなところ。
    基本的に、100%の悪が存在しないのも良い。
    誰も悪い人はいないのに、対立や争いは起こる。そして、それを解決するのは、やっぱり対話。自己主張。相互理解。
    ファンタジーだと言われてしまえば、その通りなんだけど、読み終わった後に救われる気がする。自分も頑張ろうって思える小説だった。

  • 小学生の時、「星に行く船」で新井素子さんにはまりました。その後、彼女の作品はかなり読んでいるつもりです。
    久しぶりに素ちゃんワールド全開でした。
    長編ですが、続きがきになって週末に一気読み。
    50歳になった今、登場人物の多くに感情移入できる内容でした。

  • へー!
    これ、「いつか猫になる日まで」の50歳版なんだあ❗
    そう後書きを読んで、めちゃめちゃ納得した。
    それでも、中学生集団が出てくるところとか、三春ちゃんの存在そのものが、もろに新井素子ワールドです。
    50代の、いろんな悩みも守るものもしがらみも世間体も含めた人達が、あの素子言語でしゃべってるのが違和感ありまくりで、どうにも読み進みにくかった。
    世界に入り込めると、するする進むのも、素子ワールドでした。
    結局いろんな関係者が記憶をなくして、騒動自体がなかったことにされたこととか、あれ、最後は三春ちゃんが主役?みたいなぶったぎれ方も相変わらずです。
    懐かしいけど、読みにくくなったな、という感想でした。

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著者プロフィール

1977年「あたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2020年 『絶対猫から動かない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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