絶対猫から動かない

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  • KADOKAWA (2020年3月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (648ページ) / ISBN・EAN: 9784041088234

作品紹介・あらすじ

「うぃやっ……地震?」56歳の大原夢路は将来が絶賛不安な元校正者、現在無職。両親の介護のために仕事をやめ、さらには認知症になった義父母の存在もがっしりとのしかかっている。そこそこに仲良しの旦那はいるけれど、そりゃもうストレスは満載。おかげで最近妙な夢を見る。地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められ続けるのだ。親友の冬美と、袖すりあった見知らぬひとたちと、そしてもうひとり、人間の生気を喰らういきもの「三春ちゃん」と!!
それぞれに問題を抱えたいい年の大人たちが、自分たちの生存と、たまたま居合わせてしまった子供たちの未来を守るために戦いを始める。初めはおずおずとコミュニケーションをとり、やがて奇妙な共闘態勢が。憧れるのは猫のごとき平和な日常、いつか手にしたら、絶対そこから動いてなんかやるものか。でも、それまでは--日本SFのレジェンドがおくる、最高の「ふつうの大人」の冒険小説!!

感想・レビュー・書評

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  • 地震で緊急停止した地下鉄の中で急病人が発生。乗客の連携で次の駅で搬送されるという出来事に遭遇した大原夢路。何故かその日から同じ出来事を繰り返し夢で見るようになる。変だと思っていたらその時一緒にいた友人、さらに居合わせた会社員、定年直後の男性、女子中学生集団や引率の先生までもが同じ夢に囚われている事が判明し、やがて皆で原因と思われる「三春ちゃん」と自称する人を食う存在と対決する事になる。色々な枷を背負う50代の夢路を筆頭とした大人達が中学生達を守る為に日常を手放せるのか?が肝だと思うんだけどそこがどうもあやふやに収まってしまって残念。50代版「いつか猫になる日まで」だそうだけど枷の少ない若者達との差異だと言われたらそりゃそうかなのか。守られる中学生の方がしっかりしていたり、登場人物それぞれが違う思惑で勝手に動き回ったり「三春ちゃん」が単なる敵ではなかったりと展開が独特で途中まではわくわくしたんだけど600ページ越え✕2段は流石に長過ぎた…。あ、文体は読んでいるうちに気にならなくなったなー。

  • 新井素子との出会いは中学生の頃だった。少女小説の枠からずずずいっとはみ出した設定と内容に夢中になった。ちょいと小説を書いてみたりしていた自分はあの独特の文体に引きずられて「えっとぉ」などと登場人物が喋り出すのに大層苦労した。と過去の赤っ恥から晒してどうする。
    (お仲間、絶対いるでしょ!) 新井素子という作家は色んな意味で特別な位置にいる。

    長編の新作が出る。タイトルに猫がついてるのに猫自体は登場しない。何ですと。気になる。

    とある昼下がりの地下鉄車内。それぞれの理由で乗り合わせた乗客に突然の急病人。偶然にも看護師がいて搬送されて、あーびっくりしたね、で事は終わらなかった。長い長い物語は始まったばかり。

    夢の中に閉じ込められた一部の乗客たちが現実世界でコミュニケーションを取り合い、物語を動かしていく。

    恐怖の象徴であり人間たちの敵、三春ちゃん。佐川先生と同じ感覚も頷けるし、中学生諸君に至っては完全に敵だ、悪しき存在だ。どの視点から見てもうんうんと共感してしまう。
    そんな中で倒すべき相手の彼女に話し合いを重ねる村雨さんのキャラが秀逸。後々大切な事を教えて貰った感がある。

    夢路の願う未来に、10代の自分を虜にした物語を表した独白がある。テンションMAXになるからお愉しみにとだけ。

  • 私はこの作品好きです。
    某所で最初にレビュー書いていた方が☆2だったのでちょっと買うのためらったのですが、結論から言うと私は買って良かったですよ。
    本の評価って読んだ人の好みや読んだときの精神状態に激しく左右されると思うので、他の方のレビューを否定するわけではないのですが、私はこの作品好きです。
    私も新井素子さんの作品ほぼ全部読んでいて、最近の作品は若い頃の鮮烈さに比べると物足りないと思ったこともありました。
    中年になってこの文体は痛いと思ったこともありました。
    でも今作で描かれているものは、歳を取ったからこそ書けたのだと、私は感じました。
    自分も歳を取ったからそう思うのだと思います。
    読んで面白くないと思う人もいるかもしれないけど、私は面白かったです。
    読んで良かったですよ。

  • ダメだ…途中で読むのを挫折してしまった。

    この年齢になると、やはり新井さんのあの文体で文章読むのキツイ…

    登場人物もそれなりの中年でこの文体はどうなのか、という疑問もある。
    しかし、己を顧みても、ガワだけ年取ったオバちゃんなのに、中身は全く高校生時分とレベルが上がってないなぁと感じること多々あるし(笑)
    大人の皮をうまくかぶって生きているなぁと思うこと、あります。

    新井さんは悪くない、変わらないのだ。
    ただ、読み手の自分がガワだけオバちゃんのつもりが、案外自分が思ったより老け込んでいた、それを感じてしまいました。
    うーん…残念。

  • 正確に書くと星3.6。
    最初はイマイチ掴みにくいと思っていたけど、読み進めていくごとにファンタジー要素が強めで、ワクワク感があった。
    目線が定期的に変わるので、それもおもしろさに繋がっていた。

  • ある日地下鉄に乗り合わせた人々が、不思議な出来事に巻き込まれていく。色んな登場人物がそれぞれの視点から語りながら、物語が進んでいく。
    途中から?いや、もう最初っから訳の分からない展開なんだけど、何だか壮大なスケール感もあり。

    図書館で何となく手にとり借りてきたら、結構なボリュームで焦りました。が、読了して結末を見届け安堵しています。

  • 新井素子って、こんな書き方をする作家だったか?登場人物は高校生から、60代近い主婦まで幅広いけれど、台詞の部分が、全体的に若者ことばで、見分けが付きにくかった。
    お話にもいまいち入り込めず、読むのに時間がかかった

  • これは読者を選ぶ作品だなあ。
    というか、もはや新井素子の作品のほとんどが、読者を選ぶものになってしまっているのではないかと心配になる。

    特徴的過ぎる文体。
    それが、50代・60代の熟年男女のセリフとして使われると、長年のファンである私にしても、さすがにきつい。
    モノローグで「ほんっとうに」っていう60代男性、50代女性、女子中学生。
    「諾(うべな)う」って普通に使う60代男性、50代だ女性、女子中学生。
    言葉による性差、年代差がほとんどないのよ。
    だけど、これ、自覚的なのだ。
    言葉に対する偏愛が過ぎるのだよ、彼女は。
    長年のファンはわかっているんだけど、初めて手に取る人はどう思うんだろう。どきどき。

    さて、地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められた人々。
    同じく閉じ込められて困惑する人外のもの。
    この設定を読んで私が思い浮かべたのは、彼女のデビュー作の『あたしの中の…』だ。

    けれどこの作品は、その数年後に書かれた「いつか猫になる日まで」のアンサー小説らしい。
    確かに、人類より次元の高い存在に対して「No!」を言う話っちゃ話だけど、6人の20歳の若者たちの話だった「いつ猫」と違って、基本的に大人が子どもを守るこの作品とは、テイストが全然違う。

    日向ぼっこしながらぬくぬく居眠りをしている猫のような日常に憧れる。
    だけど、現実はそんな日常からは遠く…。
    「いつか猫になる日まで、頑張ってみるけど、理想は猫の生活だから」という20代。
    「いつか猫になれたなら、絶対猫からは動いてやんない。だけど今はまだ猫に慣れてないから、人間として頑張る」のが50代。

    わかる。わかるよ。
    私も猫になりたいもの。
    猫になったら絶対猫から動きたくないもの。
    でも、一生猫の生活なんかできないんだなあと現実が突きつけられるのよ。

    主人公の大原夢路は、両親の介護と認知症の義父母のケアを抱えている設定。
    だけど作中でこの設定がほとんど出てこない。
    やってる家事は、夫に朝ご飯を作る事のみ。

    メインは地下鉄に閉じ込められる夢の話なので、そのほかの人たちの現実の生活も、ほとんど書き割りを背負っているくらいの薄っぺらさ。
    そこが、残念だったところ。
    多分猫の生活ができる人は、年齢に関係なく猫になれる。
    猫の生活に憧れる人は一生猫にはなれない。

    作者はそんなことを書きたかったわけではないのだろうけれど、主人公の設定が自分のことのように感じられたので、却って猫になれないことに捕らわれてしまった。
    不惑を過ぎても惑ってばかりの私。

  • 妖怪の仕業によって乗り合わせた地下鉄に閉じ込められた人々の、群像劇によるエンターテインメント。SFではなくオカルト風味。
    新井素子がもう60歳という事実にまず驚く。が、文体や物語の運びが若い頃の作品と変わらないことにも驚く。主人公側の登場人物にも、介護離職や姑・孫との関係など年齢を重ねた人ならではの深刻な背景があるものの、それ自体があまり重たくならず、ポップな文体はそのまま。
    19センチのソフトカバーだが、版面が2段組。この著者の文体は一文がかなり短いので、1段組にすると分厚くなって仕方ないのだろう。
    文中で「令和」という元号を目にした。奥付を見ると2019年9月~12月の連載で、まさに始まったばかりの新元号を取り入れた訳だ。一方冒頭では、56歳の主人公を昭和生まれとしている。こういう面も、現在ならでは。

  • 文芸カドカワ2017年1月号〜2019年8月号、カドブンノベル2019年9月号〜12月号連載のものに加筆して、2020年3月角川書店から刊行。長編ファンタジー。あとがきに出てきたように「いつか猫になる日まで」とシュチエーションは似ています。展開もこちらの方がダントツで長いところを別にすれば、似ています。これ、連載を読むのたいへんだっただろうな〜と思います。まとまって読むからわかる話しだと思いました。新井さん独自ワールドです。普通の人、特別な人、人でないもの、的なものが、登場して、面白い展開でした。

  • 悪くはないんですが
    長かったわりには最後が説明不足…?
    でも、やっぱり新井素子さんの小説
    大好きです。

  • 読みやすいし面白いんだけど、気になる部分がちょこちょこある…。

  • 新井素子ワールド全開って感じの作品
    他の方の感想で、50ー60歳の方の話し方ではないというのがありました
    それは確かにそうかも(笑)

    最後まで楽しく読めました
    新井素子さん好きならハマりそう

  • 面白いと思うのは分かる。わかるけど、私には合わない。

    『電車に乗った夢に閉じ込められる』という物語。主人公は『大原夢路』という50代女性。最初は夢ではなくて、実際に地震にあって、少しの時間だけ電車に閉じ込められる。その間に女性が倒れて救急車で運ばれていく。

    物語はその電車の時間を『夢の中で繰り返している』ということに主人公が気が付くことから進む。しかし、現実とは少し違って中学生グループから悲鳴が聞こえ始め。夢に入る回数が増えるごとに酷い叫びで無視できなくなる。夢路の友人『冬美』がなんとかしたい……と言い始めたことで、夢路は動き始める。

    電車の中には夢路と友人の冬美50代、倒れた女性に寄りかかられる『氷川』50代。倒れた女性を気にかけていた『村雨』60代、中学生グループに顧問の先生20代、倒れた女性に付き添った看護師さん20代がいる。
    最初は夢で夢路が倒れた女性の方へ行って『氷川』と『村雨』の情報を得て、現実でも繋がる。さらにそこから中学生グループに繋がる。
    電車の中では『三春ちゃん』という妖怪が人の生気を吸って中学生が亡くなってしまう。三春ちゃんは「昏睡した人が死ぬまで結界が解けない(夢が繰り返される)」と告げる。そこから看護師さんを探して見つけて、電車内で三春ちゃんとバトルになる。

    三春ちゃんが自分が何者かを思い出して、結界が解ける。

    というドタバタストーリーだった。
    まぁ。面白いというのは分かる。次々と問題が起こって、よくわからない『三春ちゃん』に『村雨さん』のボケた言動。ヤンキー看護師さんなんて、物語をぶち壊すいいアクセントになっている。

    でも、物語が全て分断されていて、何を読まされてるのか分からなくなる。


    これ、わざわざ60代だの50代だの書いてるけど、中学生から60代まで使ってる言葉もほぼ一緒。雰囲気もほぼ一緒、価値観もほぼ一緒と、年齢を出す意味がこんなに消えるなんてと思いながら読んでしまった。

    一人称で書いている部分も、一人の作家が書くのだからこうなるわな……と思いながら読んでしまう。キャラが立ってないというか、分かれてない。介護が仕事が、家族が、息子が、孫が……というしがらみ満載という雰囲気を出したかったのだろうなと思うけど、家族が一度も出てこないのでリアリティがない。『氷川』なんてひきこもりの息子との確執があるみたいなことが書いてあるけど、それ何? 読者が『50代特有の男らしさを持っているキャラが息子と折り合いが悪い』って察しないといけないのか。もっと具体的エピソードの一つぐらい入れてくれ。それだけで物語がリアル寄りになるのに、この物語は最初から最後まで『ファンタジー』一色なので、そんなリアルな問題は『説明』だけで終了。

    『説明で60代50代の大変さ』を書いてるので、このキャラがその年齢である必然性が分からない。さらに言えば『子供を守らなければ』みたいなのも出てる(あ。主人公はそうでもない)けど、それも、なんかやってる事がおかしいし、結局中学生に学校をさぼらせてるのはどうなの?矛盾してない?と思ってしまう。

    かと思えば、よくわからない独白が延々と続いた。いや。その感情の揺れ読まなきゃダメなわけ?それこそ『まとめてくれ』って言いたくなるほど長い。おかげで飛ばしつつ読んでしまった。

    たぶん、この『独白』がある意味ウリなのかな……とは思った。

    そして、散々問題になっていた『結界を解いて夢から脱出する』という目的は『三春ちゃんが勘違いしてただけだから、解ける』事になる。
    ここまで読んでいた物語、なんだろうな。50代女性の大活躍でもない。現実がちょっと変わったかもねという匂わせはしてるけど、たぶんこれは『変わらない』パターンだろうとしか思えない。(でも、物語的には変わったことにしたいのは分かる)

    最後の最後は『三春ちゃんの都合全開』みたいな、三春ちゃん物語になっていた。

    これは大人向けの児童書感覚で読むのがいいのかなと思う。90%ファンタジーで楽しめる。文章も大人向けを期待してはいけない。児童書と思って読んだ方がいい。

  • 50代のいつ猫。納得。
    相変わらずの素ちゃんワールド全開。
    馴れない人には読みづらいだろうなぁ。
    えっと、わたしは楽しかったよ。うん。
    「いつ猫」もだけど、「……絶句」も読みたくなったなぁ。

  • 昔の前作「いつか猫になる日まで」は知らないし、著者の名前は知っていたけど、今作読むのが初めて。

    けど、なんだか軽いノリだなーとは思いながらも、思わず果てしなく長いお話にはだんだん不思議とはまっていく・・・

    夢路さんが同年代ということもあるんでしょう、なんだと共感できる部分も多く、そして、意外に壮大なテーマが隠れてる!
    なんだかこの時代だからこそ、元気になれるエンターテインメント。

  • この文体で中年を表現するのは難しい。
    猫が出てくるの待ってたのに。

  • これぞ新井素子!って感じの小説で面白かった。
    人間を捕食するものである「三春ちゃん」の結界にとらわれてしまった人達が、奮闘する話。
    いきなり中学生が亡くなってたり、登場人物それぞれの現実問題(介護やら家族間交流やら)は全く解決されてなかったり、結構シビアな話なのに、重たい雰囲気が全然感じられない。そして、そこが新井素子作品の好きなところ。
    基本的に、100%の悪が存在しないのも良い。
    誰も悪い人はいないのに、対立や争いは起こる。そして、それを解決するのは、やっぱり対話。自己主張。相互理解。
    ファンタジーだと言われてしまえば、その通りなんだけど、読み終わった後に救われる気がする。自分も頑張ろうって思える小説だった。

  • 小学生の時、「星に行く船」で新井素子さんにはまりました。その後、彼女の作品はかなり読んでいるつもりです。
    久しぶりに素ちゃんワールド全開でした。
    長編ですが、続きがきになって週末に一気読み。
    50歳になった今、登場人物の多くに感情移入できる内容でした。

  • 第105回ビブリオバトルinいこま「休み気分が抜けない本」で紹介された本です。
    2023.9.24

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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