著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041088296

作品紹介・あらすじ

羽柴秀吉と千利休に雇われ、謀反人と逃げ延びた敵を探す旅をしていた曾呂利新左衛門は、信長に反旗を翻し、有岡城から逃走する荒木村重を偶然捕らえた。この首の価値はいかに。曾呂利は、信長が狙う荒木村重の身柄を千利休に託すのだった。一方、丹波篠山の農民・茂助は、播磨へ向かう秀吉の軍勢を目撃し、戦で功を立てようと、雑兵に紛れ込むのだった。だが、思わぬ敵の襲撃が茂助の運命を狂わせていく──。信長、秀吉、光秀、家康を巻き込み、首を巡る戦国の饗宴が始まる。書き下ろし歴史長編。

感想・レビュー・書評

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  • 初めから映画の原作として書かれているのか?実に映像的な小説であった。そして時代物ではあるものの、現代版意訳な小説。本能寺の変を舞台に武将、侍、農民、芸人、忍者などが入り乱れて織り成す物語。過剰に体面を重んじる侍を嘲笑い、パワーゲームの象徴としての「首」を嘲笑い、普段虫けらのように扱われている不具者や農民たちの矜持を謳い上げているように感じた。
    これはきっと映画にしても面白い。
    ただ、こういう本を読んで、これが映画になったときに略奪シーンとか暴行シーンとか大丈夫なのかな?と考えてしまうようになった今の時代がちょっとめんどくさいな。

  • 時代小説としてどうなんだ、と思ってしまう書きぶりもあるし、単純に文章が上手くないところもあったりするのだけど、それでも映像がしっかりと頭に浮かんでくるのだから、流石と言うか何と言うか。このニュアンスで(特に本能寺の変以降の展開が)映画化されるのなら本当に楽しみ。

  • 儚い

  • インタビューで大河ドラマみたいなキレイな面しか描いていない戦国時代のドラマを皮肉っていましたので、どのようなリアルを描くのか楽しみで、先に読んでしまいました。やはり映画前提の場面割が目立ち、小説としてはひどく陳腐に感じました。ですが、簡単に人を殺す、殺される、犯す犯される、それでも生きていく感覚は、北野映画のしかもヤクザものに頻繁に描かれる「人の儚さとその中にあるバカらしさの中にある美」そのもので、まずは映画を見てみようと思いました。

  • 映画が今年(2023年)のカンヌ国際映画祭に出品、秋に日本公開の予定と云うことで読んでみる。たけしさんらしいストーリーやね。いくら映画でもこのままは映像化出来んやろ。実際にはこうだったかもという内容ではあるが、こういう話は好きじゃないなあ~

  • 北野武氏の監督作品である『首』の上映が決まり、これほど嬉しいことはなかった。昨年だったろうか、北野氏とカドカワの間で契約内容で揉めて、当分日の目を見ないことになりそうだと報じられていた。お蔵入りの作品になるかもと恐れていたのだが、今回今年の秋に公開が決まったとニュースを聞き、狂喜した。どうやらTOKYO五輪汚職事件で角川歴彦氏の逮捕が映画の公開実現に一役買ったとも言われているが…
    まぁそんなことはどうでもいいことで、とにもかくにも映画のスクリーンで北野作品が見られることが何より嬉しいのだ。その嬉しさに乗って読んだのが原作の『首』だ。
    映画がこの原作通りになるかは分からないけど、映像にしたらきっと面白いだろう。残酷な描写もあるし北野氏特有のユーモラスな場面もある。アウトレイジ版、本能寺の変とでも言える『首』である。

  • 2023年秋に公開される映画の原作。

    天下統一を前に慢心する信長を見限った明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康たちが信長の暗殺を計画。本能寺につながるというもの。

    本文中に「ジャンプする」「リアクションに驚く」「フォローする」といった言葉が出てくる。歴史小説ではなかなか見ない単語だけど現代的で読みやすい。そもそも本書に時代に即した文章を求めていないので構わない。

    テレビドラマや映画なんかでは、信長や秀吉、家康が平和で平等な世界を目指すヒーローのように描かれがち。合戦シーンもCGを使って派手にかっこよく見せてくる。でも本当はどうだったんだろう。もっと血生臭くて野蛮で利己的で残酷な世界だったんじゃないだろうか。本書には、遺体が転がっている。赤ん坊が槍で刺される。女性が襲われる。悲鳴が上がる、裏切る蹴られる殴られる。かんたんに死ぬ。そんなシーンがいっぱい。

    ストーリーは歴史に名高い本能寺の変。誰それ陰謀説とかあるけど、経過も結末も登場人物もわかっている。わざわざ映画館で見たいとは思わないけど、従来と違う、戦国時代ってこんなだったのかもと思わせてくれる映像が見れるなら映画館で見たい。

  • 小説としては★2.5でおまけ。
    映画を撮り始めた頃から確か戦国モノの案を言っていた記憶があり、もしかするとこの作品がその構想の結実かもしれないが、お蔵入りかもしれずその原作(KADOKAWAですな)を手に取る。
    うーん、小説としては稚拙かも。文体が汚い、これは致命的。読ませない。
    でもこれが映画の素案だとすれば、まぁアウトレイジ然り、随分昔のBrother然り、この作家の志向通りでもあり、映像化すると目をそむけるシーン多々ありと容易に想像できるし、観てみたいと思う。
    でもこれがお蔵入りとなると、結局、作家を支える裏方というかマネジメントの力が無いんでしょうな。本人はアーティストだから言いたい放題は仕方ない、それを実現する力量が今のマネジャーにはないと言わざるを得ず。ちょっと残念です。

  • 北野武の戦国時代小説。

    映画化を見据えての小説ということで、読みやすかったです。
    曽呂利新左エ門を語り部にして、秀吉、信長、光秀、家康の思惑を描くという構想は面白いと思います。
    ただ、架空人物の使い方がイマイチで、茂助の出世欲をもっと前面に出した方が最後のオチも効いてくると思いました。
    それにしても信長の陰謀が本能寺の変の原因となるというのは、新設としても荒唐無稽ではないような気がしますし、その話を桃太郎の話に重ねるのもうまい趣向だと思いますが、全体としてまとまりが無いのが残念でした。

  • 北野武(ビート武)の初時代小説。
    織田信長から寵愛されていたものの謀叛を起こした荒木村重は実は明智光秀にかくまわれていた、という設定で、本能寺の変と秀吉の大返しまでが軽い文体で描かれている。
    表紙はデザイナーによるものだが、中の扉絵は北野武の絵画。

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著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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