いいからしばらく黙ってろ!

  • KADOKAWA (2020年2月14日発売)
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感想 : 25
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  • 本 ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041089118

作品紹介・あらすじ

大学卒業直後に、婚約者も、就職先も、住む場所さえなくなった富士。彼女が出会ったのは、社会のはみ出し者が集う小さな劇団でーー。背に腹は代えられぬ、私はここで生き抜くの!

感想・レビュー・書評

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  • なんと清々しい小説だろう。
    そして、読後に胸が熱くなる!
    なんか、なんでもいいから頑張りたい気分になる!
    そんな小説。

    この小説はkazzu008さんの短いけど研ぎ澄まされたナイフのようなレビューで読んでみたい!と思いました。
    いつも、ありがとうございます!

    友人、婚約者、就職先を失って大学を卒業した龍岡富士は、ひょんなことから劇団「バーバリアン・スキル」の公演を観に行くことになる。しかし、上演中に異臭騒動で突如中止に。
    10分足らずしか見れなかった芝居に心を奪われ、続きを見ることを諦めきれない富士は、個性的な団員たちに振り回されながらも劇団の立て直しに奔走することとなる。

    ー というストーリー。

    それにしても登場人物のキャラが濃い。
    不幸な主人公・富士のほか、俺様キャラの主宰・南野、痩せてて猫背でンフっと笑う中坊&脚本担当・蟹江、クールな実務担当&舞台監督・樋尾、存在感はないが潜在能力は凄い大也…
    みな素敵だけど、僕は超ドSの元バレエ・ダンサー・蘭が特に好きだな。

    そんな登場人物たちの自由奔放なセリフがビシバシと、まるでマシンガンのように飛び交うので、結構分厚目の本だけどスイスイ読めちゃいます。自由奔放過ぎてストーリーはなかなか展開しないのだけど(笑)

    最後の50ページくらいはとても気持ちよかった。
    残念な休日出勤での通勤中にケミカル・ブラザーズ(昨夜YouTubeで配信されたフジロックの過去映像は泣きました)のビキビキな高速ビーツを聴きながら読んだせいか(笑)、メチャクチャ幸せな気分になった。セリフのテンポがいいから高揚感もハンパなく、一種のトリップ状態(笑)

    なお、この小説のタイトルは長い旅路の始まりの言葉。
    バーバリアン・スキルの未来が見たい。
    続編希望します。


    関係ないけど、来年はうちの娘とフジロックに行きたいな。はやくコロナが終息してくれないかな。

  • 元気になれる一冊!
    婚約破棄され、友だち(だと思っていた人たち)にはボロクソに言われ、就職先もない‥‥人生ドン底の主人公の富士(ふじ)。
    そんな時に出逢ったバーバリアン・スキルという劇団の芝居。そこから富士の人生が大きく転がり始める!

    『適材適所』
    この一言に尽きる。私には何の取り柄もない‥‥なんて思うことはない!自分の良さが活かされる場所に辿り着いていないだけ。その場所を見つけられれば輝ける!
    でもそれをおとなしく待っているだけじゃダメ。
    大事なのは「自分の中身をさらけ出」し、「勇気をもって、自分を表現すること」、「どうせ無力だと決めつけ、望みからは目を逸らし」ていては置き去りにされてしまうのだ。
    ドン底だった富士がなりふり構わず自分の居場所を見つけようとしている姿に、読んでいて元気をもらえました。

  • 衝撃!!最高!!セリフのセンスが半端ない!!!

  • 面白かったー!!

    ツイッターでこの本の漫画を見かけて、漫画を買って読んだあと続きが気になって原作に手を出してしまった。
    嵐のように物語が進んでいくので半日くらいで読み終わった…!
    蟹江くんがとても好き。

    笑えるし感動できるし元気をもらえる。
    ぜひぜひ続きが読みたい〜

  • バランス役をやらされて(やっていることに自負もある)いる主人公の、バタバタながらも自分というものを貫く姿が、とても美しいと思った。
    全力で走り、頭をフル回転させ、ぶつかり合って進もうとするエネルギーは圧巻。一緒に楽しめたら幸せだろうなって思う。
    どん底からよく耐えた!

  • 婚約破棄され職もないどん底ヒロインがある劇団に出逢って初めて自分の意志で自分の居場所を選び取っていく物語。
    いやあ、王道だわ。良いねえ。

    ゆゆこ先生らしくテンション高めのジェットコースターみたいな感情のふれと展開が爽快。
    登場人物たち、だれもかれもがキャラ立ちまくりで一発で覚えてしまえる(笑)

    なにより劇団話らしくラストのクライマックスが舞台の場面なのが良い。
    そこで巻き起こる色んなトラブルを乗り越えてそれでも芝居を続ける姿は、その意志は、物語全体を凝縮したようだ。

    個人的ハイライトは舞台本番でのトラブルで開演が危ぶまれているときにヒロインが掛けられる言葉。
    『いでよ富士! なんとかしろ!』
    それまで同じ言葉が何度か出てきて、それはほとんどキャグのような使い方だったのが、ここでぴたりと嵌るだよなあ。
    もう、グッと来てしまった。

    ああ、やっぱりゆゆこ先生のお話は面白い!

  • ちょっと分厚目だと思ったのに一気に読んでしまった。
    大学卒業したものの、婚約破棄されて就職先も失った主人公・富士は、弱小劇団に関わることになる。
    この、悲惨なはずなのに勢いあるコミカルさ……とらドラあたりを思い出すぜ。
    主人公の能力がどの程度のものかまだよくわからないし、劇団員についてももっと知りたいし、上下の双子についてももっと掘り下げてほしい。というわけで、ぜひ続きが読みたいものである。

  • 竹宮ゆゆこ初読み。

    劇団を維持していく難しさって相当だな、と。
    大学卒業と家の会社に就職して結婚して何不自由ない生活を送っていくはずだった富士の、どん底からの起死回生、というか、七転八倒、というか、しっちゃかめっちゃか、というか、なんというか。
    それぞれに想定内の展開ではあるけれど、お金も名誉も自由もない若者たちの、ひたすら熱い思いだけで疾走する姿は読んでいてとても気持ちいい。いつの間にか自分もしっちゃかめっちゃかの仲間に入ってて一緒に七転八倒しまくってる。いやぁ、楽しいわ。
    キャラの濃い南野や蘭に圧倒され振り回されるけど、カニやら須藤やら大也やら小松やら、わき役っぽいメンツが実はものすごくかっこよかったりする。こういうのも舞台っぽいところなのかも。

  •  この作品は「やばい」。ありえないようなシチュエーション、ありえないキャラクター。でも、圧倒的な濃密感をまとった空間が、ここにある。本当に「やばい」。癖になる。とくに演劇シーンの素晴らしさは息をのむものがある。こんな作品を見せられたら富士でなくとも正気を失うであろう。しかし、本当にすごいのは演劇に対する「熱さ」の描写だろう。途轍もなく楽しそうだ。昔、小劇場に演劇を見に行ったことがあるが、その時もおなじように思った。ストーリーもさることながら、あそこで演じられている空間の中に一緒にいたい。照明係でもいいから一緒にこの空間を創造したい。本作は、そんな気持ちを強く思い起こされるような素晴らしい作品だ。読み終わってしまうことが勿体ない、いや寂しさを感じるといった方があっているかもしれない。願わくばバリスキの次なるドラマを読んでみたい。この「熱さ」をもう一度感じてみたい。

    #いいからしばらく黙ってろ #NetGalleyJP

  • どんどん話が展開していく。
    主人公は大学は卒業したが、これからどうするか悩んでいる。もう限界と思ったときに目に入ったチラシをみて演劇を見に行くことに。
    ピンチになったときに自力でどうにかしていく主人公がたくましい。周りの個性的な人たちにもひるまず突き進んでいくのがいい。
    主人公が自分の気持ちが追いつめられて隣りの部屋をのぞいた時、追いつめられながらも無心で楽しそうに仕事をしている隣人の背中をみて、決断する場面が印象に残った。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『心臓の王国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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