ハンガー・ゲーム0 下 少女は鳥のように歌い、ヘビとともに戦う (角川文庫)
- KADOKAWA (2020年9月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041089552
作品紹介・あらすじ
すべてを失うか、それとも栄光か。スノー少年は人生ただ一度の賭けに出る。
感想・レビュー・書評
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上巻でハンガーゲーム自体はおわってしまったから何が綴られているのか期待とハンガーゲームとしてのストーリーがない落胆感を感じながら本書を読みはじめた。
上巻より印象的なシーンは少なかった。また上巻よりちょっと自己中心的なスノーをみて人間はこんなにも持っていたものを失うと変わるのかということを痛感させられた。
結局彼はキャピトルの人間なのだと思わさせられた作品だった。どんなにキャピトルに酷い目に遭わさせられても、常にキャピトルが正しいという忠誠心には驚かさせられた。
最後のどんでん返しには笑った笑笑
スーザンコリンズの作品はいくつになってもやっぱり好きだ -
ルーシーと出会うスノー。
ルーシーとのやりとりが本当にほほえましくて、なんで最後こんなことになっちゃったのか。。
最後の最後で、誘惑にかられてしまったのか。
0という題名にふさわしく、立派な青年だった頃のスノー大統領を、垣間見れてよかった。
また1から読み直したくなった。 -
あらすじ(HPより)過酷な運命を背負った少女カットニス・エバディーンを主人公に据えたディストピア小説『ハンガー・ゲーム』シリーズの前日譚。
主人公は、カットニスの宿敵ともいえる、恐ろしい独裁者コリオレーナス・スノー。
バラをトレードマークにし、いかなる毒にも耐性があり、誰も信用しない老大統領──彼にも少年時代があった。
それも、高貴な家柄に生まれたものの両親と死別し、祖母といとことともに貧しい生活に耐えながら、必ずのし上がると自分に言い聞かせていた時代が。
キャピトルに対して反乱を起こした12の地区をいましめるため、毎年各地区から少年少女が1名ずつ選ばれ、最後の1人になるまで殺し合いを行う恐怖の催し「ハンガー・ゲーム」。
記念すべき第十回めの新しい試みとして、贄の教育係に任命された18歳のコリオレーナス・スノーは、貧しい境遇から抜け出すため、優勝を心に決める。
だが、彼が担当することになったのは、最も弱い第十二地区の少女だった。そして少女の唯一の武器は、歌だった──。(https://www.kadokawa.co.jp/product/321909000049/)
読み終わってしまった…やっぱハンガーゲームはおもしろい。そして深い。
ただのティーン向け小説やないんですよね。支配と自由、善か悪かの人間の本質。いろいろ考えさせられる。
カットニスという主人公が大好きだった分、スノーが主役のなんて、、とか思ってたけど、ちゃんと感情移入できるようになってるのすごい。
彼がいかにしてあの冷酷な「コリオレイナス・スノー」となったか、そして「ハンガー・ゲーム」が今の形(ハンガーゲーム本編の時代の)になったかを丁寧に描写されてるので、どこまで信じていいか、何を考えてるのか掴みづらかったスノーの内面だけでなく、パネムの歴史を知ることができて面白い。悪役の若き日を描くとか面白くないわけないよね。
ハンサムで賢くて野心家の若きコリオレイナスも主人公としてもちろん魅力的なんだけど、運命的に登場する第12地区のルーシー・グレイにまた魅了されてしまう。カットニスとは正反対と言っていいくらいのキャラクターではあるんだけど、カットニスとの確かな繋がりを感じることができる不思議な魅力を持ってる。彼女が出てこないパートは「早く出てこないかな」って思っちゃうくらい私も好きになってしまった。
『ハンガーゲーム』3部作でも印象的だった「マネシカケス」「首吊りの木」の歌、「薔薇」、「蛇」、今作でもどれも重要な意味を持つし、その象徴するものへの理解がより深まった。
改めて、『ハンガーゲーム』3部作の本と映画を読み直し・観直したい。スノーへの印象や3部作のラストで感じるところもまた違ってきそう。
ちなみにこの前日譚も映画化決定してるらしいけど、コリオレイナスとルーシー・グレイ、誰が演じるのかな…ルーシー・グレイが特に気になる。私のイメージではゼンデイヤ系の褐色の肌の美女…そして歌も上手くないといけないからな…無名の女優が起用されてもいいな…3部作の映画版も好きだったので、とにかく楽しみです。あとは3部作よりも音楽多めになりそうなのも、ミュージカルぽい要素ありそうでいいよね。
ここから下ネタバレ
どれだけ好青年でもどこかであの「スノー」に変わる決定的瞬間が訪れるんだろうなと分かってはいたんだけど、いや辛かった…「人間の本質は悪」「コントロールすべき」という考えは明らかに自由と音楽を愛するルーシー・グレイとはかけ離れたものだし、セジャナスの件からあの「冷酷な大統領スノー」へ歩みを進めてはいたんだろうけど。
二人だけの「ハンガーゲーム」でルーシー・グレイへの愛が憎しみへ変わる瞬間が一番見たくなかった。彼の心を唯一乱し、冷酷なまでの理性よりも人間味を与えてくれてた彼女を切り捨てることで、弱みのない「スノー」になったんですね…
ルーシー・グレイが愛したマネシカケス、「首吊りの木」の歌が約半世紀後にスノーを追い込むなんて運命ですね…はあ素晴らしい。 -
セジャナスとスノーの生き方は現代人からするとスノーの考えの方が共感されるのではと思った。いくら正しくないとは思っていても、権力に抗って、明確なデメリットがあるにも関わらず、反逆行為を行うのはとても難しい事だと思った。それとは異なり、スノーは判断はいつでも論理的だったと思う。セジャナスを裏切った時も、ルーシーと逃げる事を決意した時も、キャピタルに戻る時も。ルーシーは生きているのだろうか?ルーシーは何を考えていたのだろうか?何故ルーシーはビリートープの歌ばかり歌うのだろうか。疑問が多く残ったが、終盤にいくにつれて胸が締め付けられるような気持ちになった。とてもいい本だ。