四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 77
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041090749

作品紹介・あらすじ

辺土(へんど)とは、遍路で生活する者である。
時に放浪者として迫害される彼らに密着取材!
誰も書けなかった「日本最後の聖と賤」たるもう一つの遍路を、5年をかけて描いた唯一無二のルポ!

【辺土(へんど)とは】
草遍路、乞食遍路、プロ遍路、職業遍路、生涯遍路とも呼ばれる。
長い歴史の中、「へんど」はやがて乞食を意味するようになるが、昭和三〇年代までは遍路といえば「へんど」だった。
一方で、八八ヵ所を経文を唱えて回る遍路は、ときに畏敬と畏怖の目で見られた。彼らは聖と賎を同時にそなえる存在だったのだ。

現代の草遍路を探し、共に托鉢修行も著者は行うだけでなく、福田村事件(関東大震災で起きた日本人による日本人虐殺)をはじめ、
路地の歴史もたどりながら5年をかけて遍路を続けた。
最後の聖域の本質を大宅賞作家が抉り出す、類書なき紀行ルポ!

「帰るところもなくなった生活を賭けて、托鉢と接待、野宿だけで何年も何周も巡礼することによって、その人は確実に浄化され昇華されていく。本質的な何かを取り戻すか、もしくは欠けていた何かを得ることができるようになる。
 四国遍路で人は変わることも、再生することもできるのだ。私はこの目で、確かにその一例を目撃した」(本文より)



【目次】
第一章 辺土紀行 徳島――高知
第二章 幸月事件
第三章 辺土紀行 高知――愛媛
第四章 托鉢修行
第五章 辺土紀行 松山――香川
第六章 草遍路たち
おわりに
参考文献一覧

感想・レビュー・書評

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  • 2021年に出版されて読んだ本のなかで、一番面白かったかもしれない。“御朱印ブーム”もあって、四国遍路も(コロナ禍前までは)また賑わっていたようだ。この本も実際に徒歩で四国遍路を歩いて取材した話をベースにしているが、そこで描かれている「四国遍路」とは一般的にイメージされるものとは異なる。むしろ、この本でいう「四国辺土」こそが遍路の本質なのだろう。浮かび上がる事実には驚きや悲しみや怒りを覚えたが、それをひたすら淡々と綴る文章がまた素晴らしかった。

  • ゆるふわな遍路記も嫌いではないけどもきな臭いところも遍路の本来なんだろう
    清濁併せ呑むところをよく伝えてくれる遍路ノンフィクション

  • 好きなルポルタージュ作家のお一人です。
    いつも、入念な取材と確かな史実をもとに
    送り出される作品は楽しみにさせてもらっている

    今回は 四国の辺土を題材に
    その道すがら 出逢った「草遍路」の方たちのことが
    綴られていく
    同行二人ならぬ、筆者を交えた同行三人になって
    その聞き取りをしながらの
    ルポルタージュ

    「草遍路」の世界では特徴的な人たちへの
    取材でもあり、また遍路道を辿る中で
    上原さん独自の「路地」への視点も
    きちんと盛り込まれた
    類まれなる紀行ルポルタージュの一冊になっています。

  • 四国遍路のダークサイドに焦点を当てて言及した本。
    その中でも草遍路の方々についての話が特に面白かった。
    10年ほど前に私自身、通しで歩き遍路をしたのだが、度々草遍路の方々と出会う事があった。
    どういう経緯で草遍路をしているのか尋ねたかったが、もちろんそんな度胸はなく、結局接点を持つ事のないまま遍路を終えてしまった。
    話しかけることすら憚れる草遍路の方々に直撃インタビューをしたり、行動を共にしていた筆者の度胸には感服する。

    本書はどうしても暗い展開に行きがちだが、お遍路は悲しい物語ばかりではない。
    歩き遍路を通して運命の伴侶と巡り合って家庭を持って遍路宿を営んでいる夫婦であったり、病気がきっかけでお遍路を始めて完治して仕事をバリバリがんばっている人も少なからずいるということは本書を手に取った方々には知っておいていただきたい。

    光と闇の物語が交差するこの混沌こそ、四国遍路の醍醐味だと改めて気付かされた。

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著者プロフィール

(うえはら よしひろ)1973年大阪府生まれ。ノンフィクション作家。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。日本各地の被差別部落を訪ねた『日本の路地を旅する』で、2010年第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「孤独なポピュリストの原点」(特集『「最も危険な政治家」橋下徹研究』、新潮45)で第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。『一投に賭ける』2016年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。著書に『路地の子』、『発掘狂騒史』など多数。

「2021年 『四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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