小説 Fukushima 50 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091302

作品紹介・あらすじ

2011.3.11 東日本を襲った未曾有の大地震。押し寄せた大津波の影響で、福島第一原子力発電所は、全電源を喪失した。
そんな中、刻一刻と迫る炉心溶融を食い止めるため、死地に残り、命を懸けて原子炉建屋に突入した、名もなき作業員たちがいた。
心の中に、大切な誰かを想いながら――。

一方、避難所では、作業員の家族たちが、余震におびえながら、奇跡を信じて待ち続けていた。
海外メディアは、福島第一原発に残った人たちを「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」と呼び、連日報道した。
フィフティたちの死闘を克明に描くのみならず、彼らを待ち続けた家族・恋人たちの視点も織り交ぜて綴られた、渾身の小説版。

それぞれの「あの日」がここにある。
わたしたちは、あの日を、忘れてはならない。

感想・レビュー・書評

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  • 周木律『小説 Fukushima 50』角川文庫。

    門田隆将のノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』を原作にした映画『Fukushima 50』の脚本のノベライズと、書いてみればややこしい。

    映画のノベライズということで、果たしてどうだろうと思ったのだが、原作には無かった登場人物の家族や生活や心情が描かれており、さらにリアリティが増して面白かった。

    東日本大震災の大津波により福島第一原発は全電源を喪失し、後に日本全土を震え上がらせた未曾有の事態に陥る。原発の炉心溶融を防ぐために最後の最後まで命を賭けて闘い続けた吉田昌郎所長をはじめとする福島第一原発で働く多くの作業者たちの想いが伝わってくる。

    一方で騒ぐだけ騒ぎ、肝心なことは国民に伝えず、福島第一原発に対して何ら有効な支援をせずに足を引っ張ってばかりいた同時の菅直人こそ、未曾有の大惨事をここまで悪化させた張本人ある。未だに激昂し、暴走しまくる沙悟浄みたいな菅直人や、「直ちに影響は無い」などと嘘ばかりを繰り返す猪八戒みたいな枝野の姿を思い出すと吐き気がする。

    現在、世界を騒がせているコロナウイルスによる新型肺炎の安倍晋三内閣の対応を見ると福島第一原発事故を思い出す。初動で何ら策を打たず、世論を気にして策を打てばザルのような対応で全く頼りにならない。恐らく、近いうちに日本人のコロナウイルスの感染者は1,000人規模になるだろう。そして、国会で不毛な罵り合いが繰り広げられるのだろう。

    本体価格640円
    ★★★★★

  • 人のために自分の命をかけて守った人の話。
    自分も心を動かされるものがあってとてもお気に入りな本です!

  • 発売当初は映画のノベライズだと思って、スルーしていたが、ブクログの他の方のレビューを見て、すぐに購入。
    たまたま、購入した時に同じ東日本大震災を扱った作品を読んでいたので、続けては読めず、2週間ほど経って、やっと読むことが出来た。
    東電の原発の問題は批判されることはあっても、あの施設の中で、今も危険と隣り合わせで作業をしている人がいることは、あまり報道されない。
    確かに震災当時の東電の対応に怒りを覚える人がいるのは、しようがないと思いつつ、最悪の事態を何とか防ごうとしている作業員の方の話が全然話題に上らないのは何故だろう、と常に思ってきた。
    実際、親類が3.11前も3.11当時も、そして現在も原発で働いている。
    そして、何より原発の現場で働いている人はプライドを持っている。そういったことが世の中に伝わらないのは、すごくすごく納得いかなくて、それが9年経って、やっとこのような形で日の目を見ることになって、良かったと思う。
    若い西川など反発要素もいれながら、全てを美談にすることなく、「故郷を守るため、さらには国を守るため」に奔走して下さった方たちがいたから、震災当時に予想れていたより、ずっとずっと最小限で被害は抑えられたんだと思う。
    もちろん、まだ完全に故郷に戻れない方もいるし、二度と戻れないまま、亡くなってしまった方もいるので、この作品や映画で美談にすることには100%賛成ではない。
    だけど3.11から1週間、まさしく原発に命をかけた男たちがいたことを私たちは忘れてはいけないと、いろんな人に知ってもらう機会になればと思う。
    もともとはドキュメンタリーだったようだけど、ノベライズで読みやすくしてくれた作者さんにも感謝。
    夜ノ森の桜、今年は帰還した方たちも一緒に見れるだなぁ…

  • 福島に住んでいる私としては、9年経った今だから読めたんだと思います。
    大震災直後なら、つらすぎて読めなかった。
    フィクションとのことだが、本当に吉田所長初めスタッフの皆さんの働きが素晴らしかったと思います。
    みなさんがいたからこそ、最小限の被害で収まったのだと感謝しかありません。
    我が子二人は今でも定期的に甲状腺の検査を受けています。今のところ異常も見られず元気に暮らしています。
    ぜひ、いろんな方に読んでもらいたい一冊だと思いました。
    専門用語も多く多少読みにくいと感じるかもしれませんが、ストーリーに引き込まれました。

  • 2011.3.11、東日本を襲った未曾有の大地震。津波の影響で全電源を喪失した福島第一原発。原発の炉心融解を食い止めるため、命を懸けて原子炉建屋に突入した作業員たちのストーリー。3.6に公開される映画の原作は、自分も昨年読んだ「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将だが、この小説版も感動する。

  • 門田隆将さんのノンフィクションを読んでから読みました。これはこれで映画のノベライズとして素晴らしいです。是非、映画も観てみようと思ってます。
    門田さんの本でもそうでしたが、政府の対応の場面がイライラしてしまいます。自分のパフォーマンスの為に、混乱している現場をかき回すあの人にはウンザリだ。
    今、コロナウイルスによる肺炎が大変なのに「桜を見る会」だの「首相が野次を飛ばした」だのどうでもいいような事を延々とやっている政治家達。あの時、守って貰った日本は今も危機に晒されている。

  • 帰省の新幹線で一気に読破してしまった
    素人にもわかる原発の構造や原理の解説を織り交ぜながら、すごく緊迫感のある描写。

  • 自分の命をかけて職務を全うした東電の方たちには敬意を払いたい。

    ノンフィクションと言って良い作品のため、実際に当時現場で何が起こっていたのか、真実は何か。
    多くの人が知るべき内容と思う。

  • 重要な点
    ・トップ 全体を見渡す(東日本大地震発生後、福島現地入り、トップが来ると皆んなが出迎えたり準備したり、余計な作業も入る。現場の事は現場が一番わかってる)
    ・責任、当事者意識
    東電が企業責任を取れないなあなあさ。
    日本企業を表している。賠償責任、判断責任を取れない。
    政府=顔色を伺って忖度。正しい判断ができない(今の会社にも通ずる)

    →限られた情報、物資の中で、どう解決策を編み出していくか
    いざと言うときの覚悟、胆力
    焦らず落ち着いて取りうる選択肢を検討する

    ・情報共有
    正しく伝えること。皆言葉足らずor早とちり
    →説明不足にならない。日頃の信頼関係
    いざと言うときに、この人のことを信じられるか

  • 今も福島、郡山に住んでいるがあの揺れは凄まじかった。
    そして、ずっと流れていた原発の映像を思い出す。
    水道やガス、生活の糧を失って、ただただ画面を見る毎日。
    自分の事しか考えられない状況の中で、こうして戦っていた人達が居たということ。
    頭が下がる。
    極限に立たされた時、その人の本質が垣間見える。
    プライドを持ち、葛藤と折り合いをつけながら、守って下さった人達。
    名もなき作業員?
    違うだろ。
    1人1人、フォーカスしたものが読みたいし、知りたい。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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