アンダードッグス

著者 :
  • KADOKAWA
3.58
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本棚登録 : 577
感想 : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091395

作品紹介・あらすじ

2作目『リボルバー・リリー』……大藪春彦賞受賞、このミステリーがすごい!第6位、ミステリが読みたい! 第3位
3作目『マーダーズ』……日本推理作家協会賞候補、ミステリが読みたい! 第6位

そしてついに放たれる、
今年度大本命の超弩級ミステリー巨編!

【内容紹介】
「君の選択肢に『No』はない。『Si(はい)』でなければ『morte(死)』だ」――1996年末、元官僚の証券マン・古葉慶太は、顧客の大富豪・マッシモからある計画を託される。それは、中国返還直前の香港から密かに運び出される国家機密を強奪せよというものだった。かつて政争に巻き込まれ失脚した古葉は、逆襲の機会とばかりに香港へ飛ぶ。だが、彼を待っていたのは、国籍もバラバラな“負け犬”仲間たちと、計画を狙う米露英中、各国情報機関だった――。裏切るか、見破るか。策謀の渦巻く香港を“負け犬”たちが駆け抜ける!

感想・レビュー・書評

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  • 香港の中国返還97年を舞台に闇文書の奪い合い! 元官僚の負け犬の運命は如何に #アンダードックス

    ■きっと読みたくなるレビュー
    次々と物語が展開されていくハードボイルドな社会派ミステリー。
    香港、ロシア、アメリカ、中国、イギリスなど各国の情報機関と、社会から負け落ちた日本の元官僚が機密情報と命のやり取りを繰り広げていきます。

    一言で言うと、めっちゃ濃厚なスパイもので、プロットが鬼スゴなんです。
    そのまま海外ドラマになるほどの出来で素晴らしい。

    本作構成も凄いのですが、人間関係の駆け引きがもっとエグイ。
    敵対するチームはもちろん、同じ仲間であるはずのメンバーともギリギリの化かし合い。数ページめくった先は、全く違う関係性になっているなんてザラで、物語がどうなっていくのか気になる気になる。ぐいぐい読み進めちゃう作品でしたね。

    そして本作の興味深いのは登場人物たち。
    主人公である日本の元官僚である古葉は、いつも真面目で人への思いやりがある優しい男、しかし非情になりきれず生き抜くのが上手ではない。しかし一度決めたら、自らを犠牲にしてでも最後まで筋をとおす漢。一見地味な性格ではあるのですが、一途で好き。

    取り巻くチームメンバー、外国の情報機関の狡猾たるや鬼強烈でしたね。
    日本には持ち合わせていない、外国メンバーのあまりの非情さとあざとさが憎々しいのよ。頑張れ日本人!

    本作アクションも目白押しなので、ぜひ映像で見てみたいな~ と思った作品でした。

    ■きっと共感できる書評
    主人公の古葉の立場や特徴は、まさに日本そのものなんでしょうね。
    ・強大な力に操られ、いろんな国とバランスをとりながら、それでも消耗品として使われながら生き残る。
    ・自らの機密管理には甘いことに気が付いていない。
    ・いつも目先の問題ばかりにとらわれて、大局観が見れていない。

    古葉の性格もまさに日本そのもの。
    ・勤勉、優秀、必要以上に厳格。
    ・仲間への思いやりが強く、意思を引継ぎ、勝ち目のない戦いにも挑む
    ・しかしそれは戦時中の日本軍のようで狂った所業のようでもある

    日本と海外の対比がお見事で、負け犬アンダードッグスになりかけている現代の日本に喝をいれてくれる作品でした。

  • 中国返還前に、香港の銀行から運び出されるフロッピーディスクと書類を奪取せよ。
    何かしらの大きな失敗をしたメンバーを集めた〈負け犬部隊〉は、イタリア人大富豪マッシモの指令を実行しようと奮闘する。

    冒頭から、ひと時として安寧の時はない展開。
    次々に起こる事件、襲撃、裏切りとアクション。

    素人の寄せ集めチームたちは、任務を完遂できるのか?

    元官僚の素人である古葉が、プロ相手にはり合っていく後半は、いろいろすごすぎるきらいがある。
    が、スケールが大きく、ノンストップな展開も飽きさせず、おもしろかった。

    当時、現地を旅したことを思い出しながら読む。

    『このミステリーがすごい! 2021年版』国内第5位。

  • 2021/09/09読了
    #このミス作品71冊目

    ハードボイルドミステリー。
    政争に巻き込まれ失脚した元官僚が
    香港から国家機密を強奪し逆襲を図る。
    敵味方入り乱れて面白い。
    一気読みしないと頭が追いつかず
    めちゃ手戻りします笑

  • わりと面白かった。登場人物が多くてわからなくなることもしばしば。何度か戻って読み直した。

  • 大規模なハードボイルド小説。凡人の神経ではついていくのは大変です。フィクションだけれど、ありそうな話。今の香港を含めて色々考えさせられます。

  • 滅茶滅茶面白かったです。
    誰が味方で誰が敵なのか、わからない中、話が進んでいくのがワクワクしました。
    多少、ご都合主義的な部分もありましたが、
    ハッピーエンドが好きな私としては、大満足です。

  • 二つの時代を行き来しながら様々な国の思惑とそれに立ち向かった者たちを描く作品。裏切りと寝返りが多過ぎてかえって混乱。どんでん返しはこの半分で良い。半分のボリュームで読みたい作品。

  • 1997年の香港返還を舞台にした作品。
    まるでスパイ・アクション映画のような展開。
    過去と2018年の現在が入り混じり、人物関係が意図的に隠されているので、ちょっと大変。
    でも安心して読めるのは、現在が描かれているからなのかもしれません。
    いろいろ設定などに文句はありますが、細かいことを言わなければ楽しめる作品です。
    ハラハラ・ドキドキ・スカーッとしたいのであればおすすめ。

  • 10月-27。3.5点。
    1997年香港返還直前、イタリアの富豪に雇われた農水省日本人。香港の銀行に眠る機密を奪うため、スパイ合戦へ。

    目まぐるしく変わる敵味方、裏切り。スピード感あり。
    登場人物が多くて敵味方変わるため、少し読み返す作業が多めだった。

    ラストはさすが。面白かった。

  • 超驚愕ミステリー&スパイ作品。登場人物が多いし、誰が味方で敵かもよくよく観察しないとわからないし、読むのに時間がかかるが、その面白さに時間も忘れる程。素人の元官僚が大国間のせめぎ合いの中を生き抜いていくサバイバルぶりが半端なく面白い。返還直前の香港という舞台設定もカオスな状況には打って付け。

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著者プロフィール

1967年埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業後、出版社勤務などを経て放送作家に。その後、難病指定の病にかかり闘病生活に入る。退院後に初めて書き上げた『赤刃』で第6回小説現代長編新人賞を受賞。2017年、デビュー2作目となる『リボルバー・リリー』で第19回大藪春彦賞を受賞する。2019年『マーダーズ』で第73回日本推理作家協会賞候補、第2回細谷正充賞を受賞。2020年『アンダードッグス』では第164回直木賞候補、第74回日本推理作家協会賞候補となる。他の作品に『アキレウスの背中』『プリンシパル』がある。



「2023年 『アンリアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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