終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#09 (9) (角川スニーカー文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091630

作品紹介・あらすじ

39番浮遊島の〈最後の獣〉を退け、浮遊大陸群の滅びに猶予を勝ち取ったあの日から、五年。
「オルランドリ商会第四倉庫に、『鏃(やじり)』の提供を要請する」
未だ2番浮遊島に神々を囚える〈最後の獣〉を排除するほか、世界を守る術はなく――
最後の決戦を前に、妖精兵たちはつかの間の日常を過ごす。
「アルミタはさ、今でも、ティアット先輩みたいになりたい?」
かつて憧れていた景色に手が届く今、幼き妖精兵に訪れる葛藤――そして迫る決意のとき。

感想・レビュー・書評

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  • 【電子】〈最後の獣〉を退けてから五年の月日が経ち、浮遊大陸群世界の終わりが迫る。星神を囚える二番浮遊島の獣を討つため旅立つまでの日々、ティアットがマルゴとともに対峙する帝国の内紛の様子や、新しい世代の妖精たちの姿を描く今回でした。大人になったティアットやパニコロたちが可愛らしく、そして頼もしく感じられました。いよいよ物語は終盤へ。最後の戦いが始まるのでしょう。次巻も楽しみです。

  • 妖精兵として戦場に行くか否か。アルミタの迷い。ユーディアの決意。
    207ページ、ユーディアのモノローグにある「自分とユーディア」って部分は「自分とアルミタ」の間違いだなー。

    量産品以外でヴィレムが使っていたという数少ないカリヨン、「プロディトル」登場。
    ヴィレムが使えるので当然格は低く、大したタレントはないらしいけど、ボロクソに言い過ぎじゃない?
    頑丈さ以外に褒める所無いっぽい。

    元のスペックが低いのに余分なタレントが付いて、さらに量産品と違って現場で改造もできないから駄作って事か。
    さてどんな能力なのか。
    イグナレオみたいに、ここぞって時に意外な活躍しそう。

  • どうしようもないほど「詰んでいく」世界の物語。この終末世界の面白い点は、まだ終わってはいないが終わりゆくことが見えており、かつ終末を止める手段もわかっていない点である。

  • 奮闘によって齎された穏やかな日々や最終決戦前の静けさが混ざり合う不思議な構成になっている巻
    この巻は主に2つの短編を軸にして構成されているね。
    猶予が生まれたことによって起きた帝国内の内紛に関するエピソードと鏃の提供を要請された妖精倉庫のざわめきを描いたエピソード


    貴翼帝国が舞台となる短編はこれまでのお話で存在した静かなる絶望といったものは存在しないけれど、代わりにティアットが見聞きしてきたあれやこれやに似た存在や想いが形を変えて登場しているのは面白いね
    その境遇故に死を受け入れる他なかった妖精達に似た覚悟を抱いていたジオレッタ、フェオドールのように憎しみを一身に背負ったヴェーラ、そしてそんな二人の陰謀を邪魔してやると口にしたベノウ
    これらはティアットが体験してきたどうしようもない現実をなぞるようでありつつも、ティアットとフェオドール程は絶望的な境遇でないためにどうにかする余地が生じた境遇であったのは印象的
    他人を救っておきながら自分を救わなかったフェオドールとそれに巻き込まれたティアットの関係性。けれど、此処で描かれたベノウとジオレッタの関係性はこの作品にはまだハッピーエンドを迎えられる余地があるのだと示唆しているようで小さな楽しみを味わえる内容だったな


    そうした話が有りつつ、メインとなるのは妖精倉庫が舞台となる短編だね
    8巻ラストの台詞からどれだけ絶望的な展開が描かれるかと思いきや、意外とほんわかした展開に。まさしく猶予期間と言った所か

    これまでの妖精達に戦わないという選択肢はなかった。終わりかけた世界のため、幼い後輩たちのため、戦いたくないなんて思う瞬間すら許されなかった
    それが今のアルミタやユーディア、更に下の妖精達の日常を形作り、穏やかな日々を生み出した
    そういった意味では鏃の提供を要請されたとは言え、無理して戦闘経験のない彼女らが連いて行く必要はない。
    だから、この短編においてアルミタとユーディアに訪れたのは「自分達はどうしたい?」という単純で難しい問い掛け

    思わず、このような世代が登場するようになったのかと感慨深い気持ちになってしまう
    戦闘に参加する必要はないし、参加は自分たちの意思で決められる。こんなのクトリ世代やティアット世代には無かったもの
    これはいわば先輩たちが作り上げた新しい環境であり、その第一世代といえるアルミタとユーディアが自分の意志で世界を終わらせないための戦いに赴くことになったというのは非常に印象的な短編だった

    そういや、ヴィレムは目出度く『生きていると勘違いした死体』から『動く死体』にチェンジしたわけだけど、これってもしかして別の意味で不老不死のような状態なのか?
    という事は既に存在が妖精から限り無く離れてしまったネフレンの傍にずっと居てやれるということなんだろうか……

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著者プロフィール

2002年にPCゲーム『Wind -a breath of heart-』のノベライズで富士見ファンタジア文庫よりデビュー。代表作は「銀月のソルトレージュ」(富士見ファンタジア文庫)、「終末なにしてますか?」シリーズ(角川スニーカー文庫)。PSPソフト『サモンナイト5』(2013年)のシナリオを担当するなど、多方面で活躍。

「2022年 『砂の上の1DK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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