少女は夜を綴らない (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.61
  • (4)
  • (5)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 67
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091838

作品紹介・あらすじ

「人を傷つけてしまうのではないか」という強迫観念に囚われている中学3年生の理子。身近な人間の殺人計画を「夜の日記」に綴ることで心をなだめ、どうにか学校生活を送っている。そんな理子の前に、彼女の秘密を知るという少年・悠人が現れる。秘密を暴かれたくなければ父親の殺害を手伝えと迫る悠人に協力するうち、徐々に彼に心を開いていく理子。やがて二人は計画を実行に移すが――。
先読み不能、一気読み必至の青春ミステリ!
解説 有栖川有栖

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中学3年生の理子には人には言えないことがある。
    ひとつは〝誰かを傷つけてしまうのではないか〟という恐怖を抱え、その自己治療として身近な人を殺す様子を日記に書いていること。
    二つ目は、小学6年生のときに不思議な関係で結ばれていた友人、加奈子を殺したこと。
    これは事故として扱われたが、事実は理子の中で埋もれることなく生き続け、これが加害恐怖という病を発生させている。
    理子の家族は父親を亡くしたことで壊れた。
    母は一家の大黒柱の重圧と仕事に疲れ果て心を病み、兄は教師としての仕事をしながら理子と母親を養っている。自然と家事の担当をもつことになった理子は、大切にしていた部活動を休止していた。
    誰かを傷つけることを恐れて、目立たないよう息を潜めて生活していた理子のまわりで、しかし波風は立ち始める。
    近くの河原でホームレスが焼き殺され、その犯行があまりに自分の綴った日記と重なったために、これを盗み読んだ兄か、記憶がないだけで自分が殺したのではないかと考える。
    そんな折に、彼女のもとを訪ねた新入生がいた。
    小学6年生のときに理子が殺した加奈子の弟、悠人は加奈子に似た美しい顔を持ち、理子に「姉の死の真相を知っています、バラされたくなければ僕の父を殺してください」と持ちかける。
    不審な兄の行動。続くホームレス殺し。クラスメイトからの攻撃。部活動での乱入者。母親との軋轢。
    様々なものを避けて、最善を尽くしたつもりだったのに。
    彼女の殺人計画は上手くいくのか?兄の行動の意図は?
    物語の終わり、物事はうまくいくこともいかないこともあるけれど、このいくつもの騒動を抱えて彼女はどうやって逃げるのか、戦うのなら正しい方法でなくてはならない理由があるということを知った。


    やっぱり私は男性作者の書く女の子が少し苦手だ。
    なんとも言えない模造品のような手触りがする。
    もちろんそうじゃない作家さんもいるけれど、今回はそれを感じた。
    同じ年代の子が読んだらまた違う感じ方をするのかも知れない。

  • 柱となる話は、友達の父親の殺人計画ですが、その他にも次々と話が色んな方向へと展開していき、予想がつかない展開に凄さを感じました。着地点はどこへ?と終始考えながら、読んでいました。

    雰囲気としては、最初貴志祐介さんの「青の炎」を感じさせたのですが、読み進めるほど違った雰囲気を放っていました。「青の炎」では、自分の家族を守るためでしたが、こちらは自分の秘密を守るためや欲望のために殺人計画を練ることに。

    とにかくこの作品のメインは、少女の心の葛藤だと思います。「加害恐怖」という特殊な精神状態や「私が殺したのでは・・・」「もしかして兄が・・・」など極限の状態で繰り広げられる少女の心境が、ディープで繊細に描かれています。
    殺人や虐待など重めなテーマばかりでしたが、殺人計画だけでなく、「え?あの人が・・・」と驚きの展開もあるので、重たい気持ちにはなりましたが、色々楽しめました。

    結末としては、一応イヤミスではありませんが、素直に清々しい気持ちにはなれませんでした。これからが本当の始まりだと思わせるような感じでしたので、良い方向に向ければいいなと思いました。
    ミステリーというよりは、一風変わった青春小説の印象でした。

  • 買ってから8時間もしないうちに読み終わってしまった。

    愛読家(?)の人からするとこれは思われるか分からないが高校を卒業し2年半も小説に触れてこなかった私からするととても珍しい事だし驚いた。

    小説を読んでいると中盤で空きが出てくるがこの本に関してはそれを感じなかった。

    たくさんの本を読んできた訳では無いので、比べる対象が少ないのだが、スピーディに物語が進んでいくように感じた。

    だが、私の理解力や考察力が足りないのか題名の持つ意味がイマイチ分からないままなのが悔しい。

  • 心に闇抱えてる人がなんといっても多い

    アドバイスが良いものになるか悪いものになるかっていうのは受け取り手の問題っていうのにはなるほどってなった。

  • イヤミスは読んでいてツラい。この本の主人公のような、状況から不幸の境遇に追い込まれていくだけでなく、自らの行動でも不幸の側へあえて進んでいくようなストーリーは、特にツラい。

    心の中の澱みがどんどん積み重なってしんどくなる。まぁ、それがイヤミスの醍醐味と言えばそうなんだけど、読み終わったらズンと疲労が来る。

    良くある学園モノの典型的な登場人物を配しながら、苦くて重い話を作るあたりはさすがだと思う。

    それでも、この手の作品を続けて読むにはメンタルの持久力がもっと必要だろうなぁ…まぁ、鍛える気もないけども。

  • いろいろな要素が詰まっててスリリングで、一気に読んでしまった。ラストの展開は好きだな。ぼろぼろの2人がたどり着いた結論も。ボー研の子たちが物わかり良すぎてそんな上手くいくかねえと思わなくもないけど、そこはまあ置いておいて。

  • 心に闇をもつ女子中生。 
    いつか人を傷つけてしまうのではと、暴露療法として殺人日記を書いていたのだか、そこに書いたやり方と同じ方法で殺人事件が発生した。自分がやったのか?
    怪しい行動をする兄、病気を理由に家事を放棄している母、姉を殺した事をばらすと言い寄ってきた小学校時代の友人の弟。
    不幸な登場人物満載のミステリ。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1980年東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年、『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。他の著書に『少女は夜を綴らない』『星空の16進数』『電気じかけのクジラは歌う』『銀色の国』がある。

「2020年 『空想クラブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

逸木裕の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
今村 昌弘
逸木 裕
砥上 裕將
米澤 穂信
五十嵐 律人
辻村 深月
宇佐見りん
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×