星空の16進数 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091845

作品紹介・あらすじ

17歳でウェブデザイナーとして働く藍葉のもとを、私立探偵のみどりが訪ねてきた。「あるかた」の依頼で藍葉に百万円を渡したいというのだ。幼い頃に誘拐されたことのある藍葉は、犯人の朱里が謝罪のために依頼したのだと考え、朱里と会わせてほしいとみどりに頼む。藍葉は、誘拐されたときに見た色とりどりの不思議な部屋を忘れられずにいた。風変わりな人捜しを引き受けたみどりは、やがて誘拐事件の隠された真相に辿り着く。
解説 似鳥鶏

感想・レビュー・書評

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  • エンターテイメントサスペンスミステリーですね。
    この小説には主人公が二人います。
    十七才の藍葉、母親との関係がねじれて高校を中退してウェブデザイナーの仕事して一人住まいをしている。
    もう一人は森田みどり、育休中の私立探偵。
    藍葉のもとにみどりが顧客から依頼で奇妙な案件を抱えて訪ねて来ることから物語は始まる。
    藍葉は六歳の時に誘拐事件に捲き込まれる過去のトラウマを抱えている。天才的な色彩感覚を持つ少女。対人関係を築けない性格の持ち主。
    みどりは育休中だが、探偵業に執着心を持つ危険を省みず事件解明に猪突猛進してしまう性格の持ち主。
    物語事態は藍葉の依頼でみどりが人探しをするというもの。
    それぞれの人間関係の入れ子細工で交互に進展して行く。
    読みやすく、色彩の16進数という聞き慣れないロジックをキーワードにして、過去の誘拐事件の真相に迫る。
    ちょっとバイオレンスとセックス願望が意味無く描写されるのがたまに傷かな。
    文章がこなれているので好みの作家さんなのだが、他の作品も読んでみたいですね。

  • 本を開けば、世界が輝きだす! 「色鮮やかな小説5選」 | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/readings/entry-43526.html

    「星空の16進数」 逸木 裕[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321911000194/

  • みどりがとても嫌だった
    前半は「探偵は」と何度も繰り返し、後半はよくある「人を殺す顔をみたい」という理由で暴走。すべての描写が浅はかで、一方的に語られている感じが否めなかった
    藍葉の成長は面白かったし、考えさせられるものがあっただけに、展開と語りの一方的感が残念。せめて本筋のトリックくらいはしゃんとして欲しかった

  •  高校を中退し、Web制作会社で働いている藍葉の家に探偵のみどりが訪ねてくる。ある人から藍葉に100万円を渡して欲しいと依頼されたというのだ。みどりも知らないという依頼人… 藍葉には思い当たる人物がいた。子供の頃、自分を誘拐した梨本朱里だ。

     こんな出だしに引き込まれました。依頼人は本当に朱里なのか?誘拐事件の真相は?そしてストーリーを盛り上げ、謎を解くカギになるのが「色」なのです。

     藍葉は会話の中でも色をカラーコードで示します。16進数を用いて、赤、緑、青それぞれの強さを2桁で表して並べた6桁のカラーコード。仕組みをちょっと勉強すると、何となくコードから色が想像できるようになって(もちろん、大外れもありますが)、楽しい脱線になりました。話の中に出てくるカラーコードは全部実際の色を確認しながら読みました。

     みどりの勝手な推測にええ?と振り回されたのがあまり気持ちよくなかったので星は3つにしましたが、それも著者の意図だったのでしょうね。

  • ネグレクトされていた幼少時代に誘拐された経験のある17歳の少女、藍葉の元に、ある人から探偵と称する女性、みどりが100万円を携えやってくる。

    藍葉とみどり、二人の主人公目線で物語は進む。100万円は誰が用意したものなのか?藍葉を誘拐したのは誰なのか?

    ミステリーとして謎解き部分も十分だが、この小説の核心部は、藍葉がもともと持っていた色覚に対する才能がさらに鋭く開花成長していく様と、探偵みどりの破滅的ともいえる破天荒な行動っぷり。

    それ以外の脇を固めるキャラクターもいい。解説で似鳥鶏が記しているように、逸木裕のキャラクター作り込みがしっかりしているからこそ、そこに寄って立つことで小説に熱が生まれている感じ。物語のテーマになっている色や芸術に関する描写も丁寧で良い。

    テンポよく読める文章のリズムもいい。これは傑作

  • 主人公のひとり、女の私立探偵こわい。

  • ――

     俎の上の謎。



     面白かったです。工藤賢が嫌いだっただけかもしれない。

     引き続き喋り過ぎ感はあし、物語が綺麗過ぎるのもちょっと物足りなかった。
     扱っているテーマはとてもドロドロしているんだけれど、なんだろうなぁ全ての謎が、こう解かれるためにそこにあるのがわかると云うか…絡まってないと云うか。
     これも喋り過ぎが故、なんだろうなぁ。
    全部のピースが綺麗に整っているから、どこに嵌るかが解りやすくて、ちょっと詰まらない。読み易い、って云うのかもしれないけれど。
     ミステリとしてはあまり。どちらかというと、森田みどりを応援するサスペンス・スリラー的かもしれないので、彼女に感情移入出来ないと辛いところがある。


     ラストシーンはとても良かったです。もっとシンプルに、藍葉の物語としても良かったんじゃないかなぁ。
     ☆2.7

  • みどりが怖い、危うい。

  • 2022年に読んだ本の整理を兼ねて。

    二人の女性視点で展開。
    タイトルについて色彩計画に関係するものの、マンセル表色系とは異なる指標で新鮮でした。
    みどりさんは、独特な性格。別の本で高校生時代で登場されてるみたいなので、文庫化されたら読もうと思います。

  • みどりさんのご主人の司さん!グッジョブ!
    綺麗なもの。忘れられないくらい印象的で何度も夢に見たものは、本棚だった。
    沢山の本にさまざまな色の折り紙を巻いて、しまう。その景色、見てみたい。
    赤、緑、青。
    光の三原色をブレンドした16進数、
    これでたくさんの色を表現できる。
    でも、色を表現するのは和名が素敵。
    日本の美徳。
    光さすラスト。

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著者プロフィール

小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。このほか著作に、『少女は夜を綴らない』(KADOKAWA)、『電気じかけのクジラは歌う』(講談社)などがある。

「2023年 『世界の終わりのためのミステリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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