海棠弁護士の事件記録 消えた絵画と死者の声 (1) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091876

作品紹介・あらすじ

弁護士・海棠忍は、しがない法律事務所で依頼に振り回される日々を送っている。
最大の悩みは、自らが後見人をつとめる十五歳の少女、黒澤瑞葉。
ずば抜けて聡明なのだが、事務所に入り浸って事件に首を突っ込もうとするのだ。

ある日、小学6年生の杉浦涼太が事務所を訪れ、三年前に事故死した祖父の遺品を取り戻してほしいと依頼する。
幼い記憶ではあるが、祖父は最も大切にしていた黒猫の絵を「自分が死んだら涼太に贈る」と約束していたはずで――?


【登場人物】
▼海棠忍:町の小さな法律事務所の主。目下の悩みは、自らが後見を務める少女・瑞葉が依頼に首を突っ込みたがること。数年前まで大手事務所で熱意ある仕事をしていたようだが……。
▼黒澤瑞葉:高名な推理小説作家の娘。十五歳にして大人顔負けの知識を持ち、高校入学を拒否する。事件に興味深々だが、事務所に出入りする理由は他にもあるようだ。

感想・レビュー・書評

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  • なかなかに回りくどいミステリー。よく出来てるけど、ちょっとひねりすぎなんじゃないかとも思う。
    主となる登場人物の掘り下げが足りない感じもするので、シリーズ化するのかも。

  • 第5回角川文庫キャラクター小説大賞(2019年)受賞作品を改稿、改題して、2020年3月角川文庫刊。しがない法律事務所の弁護士と、事務所に出入りする聡明な少女瑞葉の事件記録。面白そうな設定で、殺人まで登場するわりには、展開が奮わず、少し残念。

  • まあ楽しめたかな。

  • 法律を勉強したことがあるならお馴染みの「カフェー丸玉事件」の説明をキャラ小説で目にするとは!懐かしい!作品の軸となる事件以外に通常業務でこなす細々した案件も興味深く楽しめた。シリーズ続くといいな…。

  • 著者初読み。
    もうちょっと人物が細かく描かれていればとか思うところは幾つかあるけど、思いのほか(失礼!)楽しめました。
    本当に何も知らず「なんとなく」手に取りましたが、もしかしたらお気に入りの作家さんになるかもという期待感も。

  • 後見人を引き受けたのは良いが、慣れ慣れしく事務所にやってくる。
    ひょんな事から小学生の依頼を受けたのだか•••

  • 法律などの専門的な話を(どちらかというと判例か)難しくなりすぎず分かりやすく解説していたのは凄いなと思った。
    有名どころの判例も交えて弁護士としての行動を定めていくのはなかなか面倒そうではあったけれど。
    流石ひねくれ弁護士。
    もっと感情を優先させてもいいだろうに。

    小難しい話になりそうなところを、キャラクターノベルらしく活き活きしたキャラクターたちが動かしていくので、とっつきにくさはなく読みやすかった。
    事件の方も消えた絵画の話が割とあっさり終わったと思いきや、まさかの二段構えで驚く。
    亡くなった人の遺言にも近い発言から、解決したと思われた事件がひっくり返るとは。
    しかも、不審者の話も関わってきて、ヒロインの女の子に命の危機。
    これにはまた別種で驚く展開が待っていましたが。
    後半のこの様々な所からのどんでん返しは見物。

    キャラノベとしてもミステリとしてもよかった。
    大賞受賞作、看板に偽りなしか。

  • 死者の占有が間違っているので、物語全体に矛盾があり残念(これが間違ってるのでストーリー全体に矛盾が出てる)。
    キャラ小説としては楽しめたので、まあよし。
    キャラ小説としてなら★4は出せるが、ストーリーを台無しにするレベルで矛盾が大きすぎたので★2に。

    何が矛盾かを解説。


    ネタバレ有りです。

    以下に書くことはロースクールにいて成績優秀者ならまず間違えない。ので、作中に出ている女性がメッセージに使うことはありえない。

    作者は路上で殺された人間の時計を奪取した判例を出し死者の占有と窃盗の話の分水嶺を示しているが、これは外出中に殺された話であって、たとえ死者が生前に所有または占有している物のうち、何らかの管理に服するものに対しては、占有者死亡後にはその管理権者の占有に服することになる。
    例えば【カップルが旅館内に置いていったもの】や【所有者が自己所有の家屋内に保管していた絵画】に対しては所有者(占有者)が死亡後には管理者の占有が及ぶことになります。
    前者なら旅館であり、後者なら相続人の占有が及ぶ。と解するのがごく自然で一般人の感覚から言っても「当たり前」ですよね?
    今回の物語では黒猫の絵になりますが、これはおじいさん死亡時から「相続人が所有者となります。そして、家屋という相続人の間接占有が及ぶ領域内にあることから相続人の占有が及ぶこととなります」。
    これは誰が考えても当たり前だよね?


    これは作者が作中に占有概念の説明で述べている通りです。
    自分で説明しているのに、なぜ間違うのか…。


    と、以上に示したように、この話の骨の部分が誤っているので、ミステリーとしてはまったく成立していません。笑っちゃうほどに…。
     この話は最初から最後まで窃盗罪で、殺したから窃盗になったのではありません。故にダイイング・メッセージは成立しません。
     主人公が馬鹿な弁護士なのでヒロインに間違った知識を与え、それ故に謎が見抜けたというストーリーラインになり失笑ものです。もっとも、この場合も「優秀なロー生」は絶対に間違えないので、ダイイング・メッセージは病気で錯乱していた等が原因なのかも?ということになるのかもしれません。やはり失笑ものです。

    あと、散歩猫のところも間違ってる可能性があります(説明不足という方が正しいかもです)

     あと、遺贈が雑。絵の引き渡しも雑。

     以上のことから、この物語は法律上の問題ありすぎて失笑しかないのです(が、キャラ小説にに正しさなど不要でしょうと考えれば十分に楽しめますよ)。

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著者プロフィール

兵庫県出身。京都大学卒。2019年、『海棠弁護士の事件記録』で第5回角川文庫キャラクター小説大賞〈大賞〉を受賞。2020年同作でデビュー。

「2022年 『天才弁護士の孫娘 比良坂小夜子と御子神家の一族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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