藍の夜明け (角川文庫)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091883

作品紹介・あらすじ

16歳になった翌朝、爾はひどい悪夢から目を覚ます。その手の平には寝る前にはなかった浅い傷と、指には長い髪の毛が絡みついていた。前夜、近所で起きた女性の通り魔殺人の報道を知り不安に駆られる爾。異変は次々起き、三度目の朝。爾は自分が脱いだTシャツから血の匂いをかぎ取る。そして少女の他殺体発見のニュースが! その少女は、看護師を務める爾の母の患者だった。犯人が自分かもしれない。爾は親友の達樹にも話せず悩んでいた。ある日、学校で見知らぬ少年と遭遇する。達樹からは自分たちの幼なじみの白兎だと言われるが、爾には全く見覚えがなく……。大人のサスペンス・ミステリ、第3弾!
「あえて本文庫が白兎シリーズという名称を使わない理由もわかる。(中略) それにしても、何とも不思議な魅力に満ちた連作であることか」(解説:池上冬樹)
(本作は、長らく在庫切れだった『白兎3 蜃楼の主』(講談社)を著者が全面見直しし、加筆修正、改題の上文庫化したものです)

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説的な要素を含んだ、ホラー味のある
    ミステリー。

    書き出しのミスリードにすっかり囚われて、
    しっかり後半まで騙されてしまいました。

    誰も彼もを怪しいと感じるのに、どことなく
    哀しげな雰囲気が漂っていて、掴みどころの
    なさに余計に不気味さが増幅させる。

    正体不明の存在には近づきたくないのに、
    一方でとても知りたくなってしまう、そんな
    矛盾する思いを存分に駆立てられました。

    彼岸と此岸や死者と生者、生命や念について
    考えずにはいられなくなる不思議な物語。

    “白兎”の謎について知りたいので、
    関係する『緋色の稜線』『藤色の記憶』も
    読んでみたいです。


  • 白兎シリーズの第3弾。
    序章は「羅生門」のような中世の時代。
    「死者が死者であることを悟るまで、己が力で己が未練を断ち切るま傍らで待つ。それが、俺の役目だ」と、この時代にも白兎が登場。
    そして本章は現代へ。
    目覚めた時の異変に、近所で起きた殺人事件に関係あるのかと慄く16歳の爾の前に現れる白兎。
    過去と現代、どのような関連があるのかと、謎は深まるばかり。
    サスペンスフルな著者の手腕が、読者を惹きつける。

  • 白兎が出てくるこのシリーズは、何度読んでも今ひとつよくわからない。だからか版ごとに読んでしまうのだが。
    高校生・爾の悪夢は事件と関係があるのか、狗丸と葉黄女の話はどう関連してくるのか、ファンタジー寄りのミステリ。真相はファンタジーだが。

  • 【16歳の誕生日に俺は女の人を殺した!?】

    この帯に惹かれどんな猟奇殺人だ?ってワクワクしながら読んだら全然違ったー。


    何だ?
    これはホラーか?
    よく分からないけど面白かった。
    あさのあつこ先生の本は初読みだったんですが独特の雰囲気が私は好きですね。
    他の本も読んでみたいと思います。

  • 時代小説だと思って読み始めたのだが。人の心を失い鬼と化した者の怨念が連続殺人を引き起こすサスペンス・ミステリー。犯人は、そっちかー。読んでいる途中でシリーズものだとわかった。しかも第3だった。読み終えて中途半端な余韻が残ったのはそのせいだ。白兎の正体が今イチ掴めなかったのも。

  • シリーズ3作目。プロローグは現代だったが、平安京の頃から物語が始まったので、白兎の過去かとも思ったが、現代にもどって来た。やはり、ミステリというよりは、ファンタジー色が強い。今回は、少年たちが出てくるので、よりあさのあつこさんの作品だと強く感じた。生と死と彷徨いと贖罪この物語はどう終わるのだろう。

  • 自分が信じられず理解できない怖さが、日常に潜んでいたらと、想像できそうでできません。

    どんな切っ掛けで、この先の道を選ぶかなんて分からないけれど、後悔のない道を選びたくても、その選択さえもなかったとしたら、どう生きて行けばいいのかわからなくなりそうです。それでも、間違ってしまったとしたら、償いながら、生きて行くのが残された唯一の道なのでしょうか。

    四分の一が時代小説なので、あさのさんの時代物を読んでない人はきっとびっくりですね。

  • 時代を超えて、さまよう魂。その魂の昇華させたい白兎。時空を超える白兎は、何者か?まだ明らかにならない。
    連続殺人事件の犯人の動機は、ミステリーとしては、物足りない。

  • あさのあつこさんというと、「バッテリー」などの青春小説は読んだことがあり、さわやかな印象だった。時代小説も書かれているみたいだが、そちらは読んだことがなかった。この「藍の夜明け」は一部江戸時代かと思われる古い時代の話が盛り込まれており、そのあたりに時代小説の匂いが感じられる。
    サスペンス・ミステリとあるが、少し人物と事件の関係がわかりにくい部分があった。みつると母親のやりとりの中に、高校生のみつるが母親に感謝しながらも素直に表せないところが「そういうことあるよなあ」と思わせられた。

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著者プロフィール

あさの あつこ:1954(昭和29)年、岡山県生れ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師ののち、作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリーII』で日本児童文学者協会賞、『バッテリーI~VI』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。著書は『福音の少年』『No.6』シリーズ、『弥勒の月』『アーセナルにおいでよ』など多数。

「2025年 『あなただけの物語のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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