藤色の記憶 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091906

作品紹介・あらすじ

心中間際に心変わりした恋人によって、土の中に埋められてしまった優枝。掘り起こし救い出してくれたのは、白兎という見知らぬ少年だった。彼は恋人への復讐をそそのかすが、どこかからかうようなその態度に、優枝は戸惑うしかなかった。そこへ、生き別れの弟・慶介から突然電話がかかってくる。母が手遅れの病で入院し長くなく、優枝に会いたがっているという。かつて父と自分を捨て家を出ていった母。逡巡する優枝に白兎は「生き返った命は7日間しかもたない」と告げる。それを聞いた優枝は白兎とともに、一度は捨てた故郷へ戻る決意をする……。女のサスペンス・ミステリ!
(※本書は、2012年9月講談社より刊行された単行本『白兎2 地に埋もれて』を加筆修正し、改題の上文庫化したものです)

感想・レビュー・書評

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  • 清々しい一冊。

    今回は恋人に地中に埋められた女性、優枝が謎の少年、白兎に助け出されるシーンからスタート。

    前作よりは弱めながらも今回も幻想的というか、あちらとこちら、曖昧な世界を味わえた。

    白兎の正体こそがその一番の要因なんだけれど。

    白兎のちょっと妖艶な一面も知ってしまい、ドキドキ感と共にますます目が離せない。

    そして優枝の心の傷、哀しみの過去、被害者が一転、加害者になる理不尽さには胸をうたれた。

    そしてまさかのそっちだったか!の二人藤のシーンがせつない。

    でも清々しい。優枝の心の浄化を感じた。

  • 旧題で白兎シリーズの第2弾。
    白兎とは、何者なのか?
    一定の人間にしかその姿が見えない彼は、冥界からの使者?
    恋人に裏切られ、土中に埋められた優枝を助けた白兎。
    彼は優枝に同行し、母との和解を助けたり、死んだことが信じられずに魂がこの世に彷徨っている者を解放したりと。
    益々、その行動に興味が惹かれる。果たして次は何を…。

  • 白兎シリーズの第ニ弾。今回は女が主人公。私も女性として生きているので、途中の苦しみには居た堪れなかったが、母親に泣かされてしまった。やはり大多数の女は、母は強い。そう思えた。

  • 意図せず、被害者が加害者を作る。生きる力の弱い者は、いろいろな切っ掛けで落ちていく怖さがありました。欲しいもの、望んでいるものが分かる人間は強い。強く生きて、自分の不幸を他人の所為にせずに生きて行きたいものです。

    白兎シリーズ第2弾です。白兎は何のために存在するのか、なんとなーく役割が描かれいました。特定の人物しか見ることはできないけれど、肉体があって血が流れている、そして思わせぶりな態度も謎を深めるばかりです。正体は明らかになるのかなぁ。

  • 『白兎2 地に埋もれて』(講談社)を著者が全面見直しし、加筆修正・改題の上文庫化。

  • 埋められた 二人藤の下から、白兎によって生き返った優枝。その過去と共に心の底に押し込めていた感情が浮き上がる。その先に、魂が救済される。
    二人藤も象徴的。白兎は、次はどこに現れる?

  • うう…ちょっと…私は思ってたのと違う…かな…あさのあつこさんらしさが少なめというか…主人公が30代だからかなぁ…淡々としてる…

  • 恋人と一緒に心中するはずが、優枝だけが埋められ、日出彦は逃げてしまった。掘り起こしてくれたのは、白兎という謎の少年。残された時間は7日間と少年から告げられた優枝。果たして優枝は復讐するのか。残された時間をどう過ごすのか。

    白兎シリーズ第2弾「地に埋もれて」を文庫化した作品。
    第1作では罪を犯した男を主人公にしていましたが、今回は罪を犯された女が主人公です。タイムリミットに迫られた時、どう判断し、どう行動するのか。
    この作品では、「罪」のその先を中心に描いています。罪を犯された側は、復讐のために実行するのか。罪を犯した側は罪悪感に苛まれるのか。人間の「陰」となる部分を掘り起こしていて、人間としての是非が問われているように感じました。
    読んでいて、これってあさのさんの作品だよね?と何回も確かめてしまいました。あさのさんの作品というと、「青春」「若者」「爽やかさ」といった雰囲気を想像するのですが、このシリーズはそれとは真反対の印象でしたので、意外でした。

    第1作と比較すると、ドロドロ感はあまりなく、心理描写もあっさりめかなと思いました。白兎の正体も特に描くことはなく、歳を取らない白兎は果たして死神なのか。天使なのか。謎はもっと深まるばかりで、霧がかかったまま終了したので、モヤモヤ感がありました。
    全4部作なので、次回に期待したいと思います。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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