モンスターと食卓を 2 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091937

作品紹介・あらすじ

神戸の医大で働く法医学者の杉石有(なお)は、
恩師に大事なものと託された、シリカという美青年と暮らしている。
彼は世間知らずで天然で、時に非情な一面も持つ。
ところが意外にも、共同生活は心地よいものだった。
ある日、有が刑事から、連続殺人が疑われる案件の相談を受け医大に戻ると、シリカが来ていた。
しかし低温室に入った彼は、何かにひどく怯え始める。
シリカの過去とは? 事件の行方は……。
二人の距離が縮まる第二巻!

感想・レビュー・書評

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  • 神戸の医大で法医学者として働く杉石有(なお)と、亡くなった恩師から託された謎だらけの青年シリカとの共同生活も少しずつ馴染んできた。

    第一作で取り扱った『被害者を銃撃後に放火』した事件は、日長刑事の捜査で京都、奈良、大阪でも似たような事件が起きたいた事が分かる。京都と奈良の事件はすでに自殺として片付けられていたが、大阪の事件で被害者が守るように体に隠していたポーチが焼け残っていた。
    そのポーチを調べて欲しいと半ば強制的に託された有は、入っていたラムネに注目する。

    前作から一転、日長が有に懐いている。良くも悪くも極端な人間のようだが押しの強さは元々のようだ。
    大阪の事件との共通点を見出してのめり込む日長だが、何故か上層部は彼の捜査に非協力的。証拠品の調査どころか持ち出しすら禁じているらしい。それで引っ込む日長ではなくこっそりと持ち出して有に託すのだから巻き込まれる有も堪らない。

    しかしポーチの中に入っていたラムネからシリカの新たな能力?『四色型色覚』があることが分かるのだから興味深い。
    色彩感覚が鋭い人というのは『四色型色覚』の持ち主である場合もあるのだろうか。

    そのシリカ、有の職場である法医学教室を見学に来た時に思わぬ反応があって有を慌てさせる。
    まさに豹変、前作で恩師の天河陶子がシリカを『モンスター』と呼んだのはこういうことなのか?
    前作や今作で時折見せる身のこなしといい、彼がかつて行っていた『仕事』が裏稼業ではないかという疑惑が高まってしまう。知りたいような知りたくないような。
    物語とは離れてしまうけれど、陶子はこの身元不明のシリカをどうやって養子にしたのだろう。養子の手続きは大変だと聞いたことがあるが。

    今作では新たな登場人物として大学時代の同級生・真壁みかげがいる。彼女は都合の良いことに薬物分析の専門家であり、有が日長に押し付けられたラムネの分析にも協力してもらえそうだ。
    このラムネと今作で起きた転落死の遺体から出てきた内容物とが一致するのかどうかが次作の注目点だろうか。

    ただ気になるのは警察上層部がこの事件を握りつぶそうとしていること。
    日長が持ち出したポーチも返却した途端に行方不明になり、有の家も何者かに荒らされる。日長が非公式にこの事件を調べいていることも、非公式に有にポーチの中身の調査を依頼したことを知られている証でもあり、次は真壁が狙われるのでは?と心配になるが、さて。

    シリカの危うさと子供のような無垢な部分とのアンバランス、有の自分を許してはいけないという罪悪感と前を向こうとする姿勢のアンバランス、二人が共同生活を送ることで上手くバランスが取れれば良いと思う。

    前作で感じたモヤモヤは残ったままだが、取り敢えずもう少しシリーズを追いかけてみる。

    ※「モンスターと朝食を」レビュー
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4041073219#comment

  • だいぶ日長刑事と仲が良くなり、シリカとの関係も良い感じになり、2作目から登場した新キャラみかげさんも好感がもてました。

    明らかに巻き込まれ体質な感じの主人公ですが、自分の意見や軸はしっかりしている様子がいいです。

    謎多きシリカの情報も少しずつ展開してきました。

    1作目は全編がプロローグみたいな感じでしたが、今回もまた不穏な空気を残して3作目に続きます。

  • まだまだシリーズは続くぞ、とばかりに伏線がいっぱいちりばめられていて先が気になる・・・。本はそんなに厚くないけれど、連続殺人?らしき事件も含めかなりの長編でもいけるんではないか、と。あんまり時間を空けずに次が読みたいなぁ。

  • 人付き合いの苦手な法医学者・杉石有(すぎいし なお)が、恩師・天河陶子(てんかわ とうこ)の引き合わせで、謎の美青年・シリカと同居して約三ヶ月が経った。

    陶子に出会う前、シリカがどんな環境に置かれていたのか、だんだんと分かってくる。
    前作から、そう思わせる描写があったし、今回はより具体的に彼の口から語られる。
    人間として扱われていなかったようだし(兵器?)、意図して文化的環境から遠ざけ、本人が人間らしい心を目覚めさせないように仕向けられていたとも言える。

    でも、今のシリカは、明るく無邪気で饒舌。
    これは、彼本来の、生まれつき持っている人間性なんだろうな、と思う。
    人がどう押さえつけようとたわめられない、真の強さと明るさを持っていたようだ。

    対して、有は、すこぶる文化的な環境に育ったし、高等教育も受けた。
    けれど、人付き合いが苦手で、トラウマを抱えてからは、ややもすると生きる意欲にも欠けるというか、自分を大切に扱っていない。

    陶子がどうやってシリカを救い出したのかはまだ分からないけれど、二人を巡り合わせることで、何か化学反応が起きるのではないか、という直感のようなものがあったのかも。
    その勘は、今のところ正しかったよう。

    シリカとの日常と並行して、有の職場である法医学教室と、有の仕事も描かれる。
    それは、警察から依頼される解剖なのだけれど、今回、解剖は2件。
    一件目の、板金工場の経営者の死は、有の観察眼のおかげもあり、すっきり解決したと言って良いだろう。
    しかし、もう一件の、高校生の飛び降りは・・・
    東灘署の刑事・日長和也(ひなが かずや)が、有に協力を仰いで独自に捜査を進めている件と関わりがあるのではないかと(個人的に)思う。
    この、日長、意外とおっちょこちょいで詰めの甘いところを見せて、なかなか面白かった。

    シリカの正体の謎と、日永に協力して調べている事件とは、この先のシリーズで徐々に明かされていくのだろう。

    すでに3巻が出ているようなので、早く読みたいです。

  • 前作から時間がたっていたので
    キャラを思い出しながら読んだ。

    そしてまだ事件が続きになってるので
    続巻を読みたい。

    2人の生活がだんだん居心地よくなってきていてほっこりする。
    シリカの過去はまだまだわからないことだらけだけど
    少しずつ知って解決していけばいいなと思った。

    関西の地名が馴染みがあって楽しいです。
    また、ごはんの描写が美味しそうなので
    お腹すいてるときはちょっとつらい(笑)

  • なおとシリカのように誰かと暮らすのいいな。
    ヨシダソースって実存するんだな、試してみよう。

  • シリーズ2冊目、1冊目は未読。
    一巻完結の謎解きものかと思って買ったけど、今回は大きな事件のプロローグという趣きの終わり方だった。
    主人公のなおと同居人のシリカが、タイトル通り一緒に食卓を囲む食事の描写がとても丁寧で美味しそうだし、同じ釜の飯を食うじゃないけど2人の関係が少しずつ変わっていく(主になおが他人に対しての壁を壊し始めている)様子が読んでいてほっとする感じ。
    1冊目未読でも人間関係などは分かるので特に読むのに苦労はしなかったけど、読んでおいた方がより味わえたかな。
    「食」に本当に興味がない人もいるだろうけど、私は食べるの大好きなので、読んでいて楽しかった。

  • あの事件は、連続殺人なのか。

    同居人の過去が少々多くなってきた1冊。
    そして事件の方も進んで謎がまた増えて…。
    彼が追えなかった相手は、一体どういう者なのか。
    再会した人物に預けたあれは、なんなのか。
    さらに謎が増えて行って、どうなるのか楽しみです。

  • むう、進まぬ。1冊で完結せぬ。
    日長刑事は完全に相棒になり、女性の仲間が増え、いずれ背景があかされそうな伏線が増え、謎は謎のまま。
    ラノベは漫画みたいな進み方なんだな。全部まとめて読みたい。

  • 特別な目を持つ者は。
    少しずつ知ることが出来た過去は思った以上に壮絶で、普通からは程遠く非現実的な生活だったのかもしれない。
    鞄は消えて部屋は荒らされ、探していたのは色が違うという証拠品なのでは。

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著者プロフィール

作家。監察医。講談社ホワイトハート「人買奇談」にてデビュー。代表作は「鬼籍通覧」シリーズ、「奇談」シリーズ(講談社)、「最後の晩ごはん」(KADOKAWA)、「時をかける眼鏡」(集英社)など多数。

「2023年 『妖魔と下僕の契約条件 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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