正義の天秤 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 326
感想 : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091975

作品紹介・あらすじ

名門・師団坂法律事務所。
しかし創設者を喪って以来、
事務所の経営は下降の一途。
創設者の娘で弁護士の芽依は、
助っ人として、元医師で弁護士の鷹野和也を海外から招聘する。
ほっとした矢先、鷹野は事務所を「診断」し、
無能な弁護士を「切除」すると宣言。
しかも死刑求刑不可避な裁判で、死刑を回避すると言い出し、
交差点に突っこんで死傷者を出した男の弁護に挑む。
新時代を切り拓く、絶対的に面白いリーガル・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    6編からなる短編連作リーガルミステリー。
    今までの作品とはちょっと異なり、ライトな感じもありながら、1編1編中身の濃い物語となっています。
    さらに登場人物もかなりキャラが立っています。
    ドラマ化されるのですね。納得です。

    ■ブレーメンの弁護士たち
    師団坂法律事務所に赴任した鷹野和也は、前職が医師。
    医師っぽい仕事の仕方と、いきなり、無能な弁護士を首にするという展開から始まります。

    リストラされた男が交差点の集団に車で突っ込む事故。
    ブレーキ痕もないこの事件をどう弁護するのか?
    その真相に迫ります。

    ■カルネアデスの方舟
    首にされずに残った若手の杉村の視点の物語。
    釣りボート店でアルバイトしていた男が乗客1名を乗せて釣りに行った先でボートが転覆。
    二人とも海に投げ出されたが、一つの浮き輪を巡って争い、乗客を溺死させたとしたアルバイトの男の事件。
    事件の真相は?

    ■マアトの天秤
    元裁判官の桐生の視点の物語。
    ストーカ殺人容疑のクズの男、間違いなく犯人と思われるその男を無罪にするために悩みながらも調査を継続。
    桐生の出した結論は?

    ■悪魔の代弁者
    元刑事の梅津の物語。
    女性の殺害容疑で逮捕された男。殺害を自白しているが、その動機について調査。殺害された女性の正体は?
    彼女の真の姿とは、そして、事件の真相は?

    ■アメミットの牙
    事務所の創設者の娘の芽依の物語。
    少年院を出所した男を殴り殺した男の弁護。殺された男は、4年前に娘を殺しながらも当時15歳。復讐殺人
    、本人も死刑を希望。
    しかし、その事件の真相は?

    ■正義の迷宮
    鷹野の物語。
    殺人事件で司法取引があったのでは?と調査。
    その真相は?

    本作はこれでは終わりません。
    鷹野の過去の女性である弁護士だった久美子の謎が残されたまま。
    続編を探さなければ...

    これは、お勧めです。

    • Marcさん
      続編、出てますよ。ドラマ化もされてましたね。
      続編、出てますよ。ドラマ化もされてましたね。
      2023/01/24
    • masatoさん
      Marcさん
      コメントありがとうございます。
      続編早速読みました。
      レビュー書きますが、続編も面白かったです!
      Marcさん
      コメントありがとうございます。
      続編早速読みました。
      レビュー書きますが、続編も面白かったです!
      2023/01/25
  • ドラマ化されることで、内容を知り、原作を読んでみたくなった。
    元医師である鷹野を主人公にしたリーガルミステリー。
    元々は大手の弁護士事務所であった師団坂法律事務所。
    しかし、絶対的な存在であった創設者を病死で失ってからは下降の一途をたどっていた。
    創設者の娘で、弁護士でもある佐伯芽依は事務所の危機を救うため、海外から鷹野を呼び寄せる。
    しかし、元医師である鷹野は事務所を診断し、無能な弁護士を切除してしまう。
    短編で描かれるので、無駄な描写がなく、リーガルミステリーなのにさらっと読みやすい。
    鷹野が登場する1作目は、やたら登場人物が多く、覚えられないと思っていたが、鷹野の「切除」により、残った主要人物は鷹野を含め、5人となる。
    2作目からは、この5人それぞれの目線で物語が描かれる。
    主人公である鷹野が出過ぎないところも、なかなかいい。癖はあるが、自分勝手なイメージもなく、言葉は少ないが、きちんと残ったメンバーをフォローし、徐々に信用していく様子も丁寧に描かれている。
    次作も楽しみ。

  • 名門法律事務所に赴任した鷹野和也は、前職が医師という型破りな弁護士。ユニークな設定で、一般のリーガルミステリーとは、一線を画すかのような連作短編集。
    反発を受けながら、無能な弁護士を切除し、カンファレンスと称する会議を主導する。
    「俺にとっては、弁護は治療だ」
    「人を治療し、救えなければ正義じゃない。法律は刃物のようなものだ。使いようによっては善にも悪にもなる」
    そう語る鷹野は、単純に弁護側を勝利に導くだけでなく、時には検察以上の調査で真実を暴きだす。
    最終話は、鷹野の過去に絡んだ終わり方をし、続編を読まずにいられない。

  • 大門剛明『正義の天秤』角川文庫。

    6話から成るリーガル・ミステリーの連作短編。結論から言えば並の出来。結末からして続きがありそうだ。

    師団坂法律事務所は創業者を喪い、娘の弁護士・芽依が経営を引き継ぐが、業績は下降線を辿る。芽依は元医師で遣り手の弁護士・鷹野和也を海外から招聘するが、鷹野は無能な弁護士をあっさり切り捨てる。

    リーガル・ミステリーという点で言えば、事件全体を俯瞰して真相を見極める鷹野に対して、多の弁護士は事件の細部しか見ていないためになかなか真相に辿り着けないというパターンばかりで飽きて来る。鷹野和也が抱える過去の事件の秘密とは……

    本体価格700円
    ★★★

  • 6編の短編連作集。様々なキャリアのある弁護士たち。被告人や被害者、検察との遣り取りの中で見えてくるもの...。それぞれのキャラが立ち、事件の背景にあるものも用意周到に考え抜かれていて脱帽。早めに次作を読まないとな...。続きが気になって眠れなくなりそう。

  • 正義とは何か?
    ある者は『真実』と言い、ある者は『思考停止』と言い、そしてある者は『人を幸せにすること』と言う。
    果たして、本当の正義とは?

    大門剛明氏の短編集。全6話。

    名門・師団坂法律事務所。
    創設者を喪い、経営が傾く中、創設者の娘・芽依は、元医者でやり手の弁護士・鷹野和也を海外から招聘する。

    しかし、彼は結果が全てと、大幅なリストラを敢行する。反発する者も多い中、着実にその実力を見せる。果たして、彼を突き動かすものは、何なのか?

    それぞれの話を、リストラから残ったメンバーが1話ずつ主役となって弁護に当たる。
    各話とも、次第に明らかとなる驚愕の真実とは?
    そして正義とは?

    いろいろ考えさせられます。
    続編に期待。

  • 短編の割には一話一話の中身が濃い。
    悪くない。
    完全無罪とこれしか読んでないので、他の作品も読んでから評価しよっと。^_^

  • 弁護士事務所のあるチームのお話
    全6話の構成でした
    いずれの事件もすんなりではなかったし
    そういうことだったのかということで
    予想は難しいです
    でも楽しめました

  • リーガルミステリー。
    と言ってもドラマでありがちな法廷で真犯人を発表してしっちゃかめっちゃ、後になんかきれいにまとまるみたいなのではなかった。
    (もちろんそれでも面白いものは面白いんですけどね。リーガルハイとか羽男と石子とか好きで見てたよ。)
    むしろしっかり弁護士で、その上で真実を追求する!みたいな話でした。

    全体的に軽め。
    連作集なんですが、ひとつひとつが割と軽めでサクサク読めます。

    最初あらすじ見て、リーガルハイみたいなめちゃくちゃな先生想像してたんだよねー。
    で、読み始めてからもやっぱりヤバイ奴だったじゃん!鷹野先生!みんな首とか!と思ってたんだよねー。

    ただ読み進むにつれ段々とキャラクターの人間性が描かれてきて、リーガルハイみたいなのとは方向全然違うじゃん!と。
    正直キャラがうっすいなぁ。
    すごくもったいない気がする!!!
    鷹野先生はまだしも、芽依ちゃんはいつまでたっても鈍感で無神経だし(もちろん悪いところばかりではないけれど)、桐生くんはあんなバリバリ切れ者キャラなのにキャラ薄いー。
    梅津さんもせっかくいい元刑事キャラなのに、てか桐生くんの元検事キャラも活かしきれてないような。
    唯一杉村くんの無神経な正直さにちょっとほだされてしまった。
    どっちかっていうと妙に人間くさい弁護士たちだったなー。

    しかししかしこれはこれで面白かった。

    とにかくだめだったのが七条。
    もうウザすぎて受け付けない。それに誰もお灸を据えないのがまた腹が立つ。
    波多野先生のあの案件に関しては七条がなにかされたわけではないのでノーカウントかな。

    文章の組み立てとして一つ気になったのが、唐突に出てくる繋がりのない文。
    例えばですが、唐突に『〜〜としたあと、大声で叫んだ』みたいに、え!?今大声で叫ぶような流れあった!?なんで叫んだの!?前の文から察するにたぶん喜んでたから喜びの雄叫び!?みたいな箇所がいくつがあり戸惑いました。
    私の読み込みが甘かった??
    ちょこちょこひっかかったのは私だけ?

    割と消化不良で匂わせが残ってるので、次巻ですっきり解決してくれることに期待したいと思います。
    あと芽依ちゃんの成長も!





    @手持ち本

  • 刑事事件を扱う弁護士チームのお話。被告の利益を尊重しつつも真実を追求するという感じで、そこそこ面白かったが、青臭いというかおはなしおはなししていてリアリティとかそういうのは感じなかった。6話が収められていてドラマとかなったりするのかなと思ったが、NHKでドラマになったみたい。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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