対話篇 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091999

作品紹介・あらすじ

運命に立ち向かえ。希望に手を伸ばせ。
何度読んでも心に刺さる、唯一無二の中篇集。

「彼女が死んだのは、僕のせいなんだ」
親しい人が非業の死を遂げる。そんな数奇な宿命を背負った友人が僕に語ったのは、たった一度の運命の恋の物語だった――(「恋愛小説」)。
余命わずかな大学生と友人Kによる復讐劇を描いた「永遠の円環」、脳の疾病を抱えた青年と老弁護士・鳥越が、過去の記憶をたぐりながら旅をする「花」。
悲しみに沈む者たちが、対話を通じて光を見出してゆく全3篇。
切なくも愛溢れる、珠玉の中篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 何度読み返したかわからない大好きな本。
    年齢をそれなりに重ねてきたからでしょうか、この本の魅力に、より一層取り憑かれて感動している。

  • 本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。なぜなら、離したとたんに誰よりも遠くへと行ってしまうからーーーー

    3つの中篇小説からなる

    「対話篇」というタイトル通り、会話が物語を進める

    恋愛小説
    洋館にひとり暮らす彼は、ある《目に見えない強い力》を信じている。だから「僕の人生に飛び込んできた彼女」のことを話してもいいかい?と、話しだす

    永遠の円環
    憧れていた彼女が自ら命を落とした。もう余命いくばくも無い僕に協力してくれないか?


    東京から下道だけで、国道1号線、2号線、3号線を通り鹿児島までドライブするバイトをすることに。老弁護士の語りを聞くためについて行くことにする。

    誰かに話を聞いてもらうだけじゃなく
    誰かの話をただ聞くこと
    その時間の濃さといったらない

  • 私は普段は図書館派なのだけど、本当に本当に好きな作品は買って本棚に保管してる。こちらの作品はその内のひとつ。10年ぶりくらいに読み返した。すごく良かった。やはり好きな作品は時を経ても好きだということが確認できた。金城さんの作品はどれも好きだけど、アクションと関係ない王道の大切な人を守りたい、愛したい話の短編集。どれも少しずつ哀しい。あー好きだ。

  • 「彼女はあらゆる約束事から解放されてるように見えたんだ」

    たぶんこういう子が近くにいたら
    すごく好きだけど、すごく羨ましくて
    だから嫉妬しちゃうだろうなって思う。

  • 映画篇がよかったので、こちらも読んでみました。
    映画篇の10倍、心にじわーっとした温もりを与えてくれます。
    3つの作品が収められていますが、どれもクオリティーが高いです。

    人の死にフォーカスを当てていながら、生きることを考えさせられます。
    3作品に、ちょっとだけ共通のキーワードや人物が登場するのも、私好み。

    面白かったです。オススメ。

  • 世界の涯まで行けそうだ。
    間違いない。
    この世界は素晴らしい。
    僕は無傷で生還するだろう。

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》84 A

  • 愛と背中合わせの死に纏わる三本の短編集。自分の死期を悟ったとき、自分はどんなことを考えるのだろうと考えてしまうような、三者三様の終末のお話たちでした。特に三本目の『花』が凄く素敵で、読了後に本を閉じ再び表紙を開けた時、勿忘草のイラストがパッと目に入り思わず泣いてしまいました。先立ってしまった愛する人との記憶を丁寧に辿る鳥越氏との旅を通じて、記憶を失うかもしれない手術に挑むことを躊躇う野崎の気持ちが清々しく前に向き直る過程がぐっと来ます。きっと彼は大丈夫だ、そう思えるあったかいラストに胸がじーんとしました。

  • 何年ぶりかの再読。(1)がんで死ぬ前に殺したいやつがいる。たまたま依頼した同級生は実は殺し屋だった。(2)周囲から死神と呼ばれるくらい親しくなった人、両親、親戚、最愛の恋人をさまざまな形で失った同級生、より親しくなった主人公は…(3)人権派弁護士の、東京から鹿児島までのドライブの運転手募集に応募した主人公。という3本立て。基本、主人公と対話相手のふたりで進められるものがたりだから対話篇なのか。「映画編」も読み返したくなる。3編はすこしずつつながっている。僕はハードボイル小説の/ミステリ小説の愛読者だからこういう展開にはなれているんだ。一話目で殺意を抱かれている教授は、三話目の回想にでてくる谷村なのか。などなど◆◆だって、すべてを失ってまでイエスを言うわけにはいかないだろう?p.66◆「やっぱり、好きな人のそばで過ごしたかった。好きな人に看取られながら、死にたかった」p.94◆「スードラがスードラでなくなる方法がある」「インドから出て行くか、インド自体を変えちまうんだ」p.141◆現実が自分の理想にそぐわなくなったので、すべてを放り出してしまった。p.211

  • 大好きな作家。そして、僕のバイブル。
    「本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離しては駄目だ。離したとたんに、その人は誰よりも遠くへ行ってしまう。」隣で寝ている妻や、離れて暮らす家族、今はばらばらの場所で生活している友人たち、僕の大好きな人たちの顔が何人も浮かんだ。僕の中で死なせたくない。だから連絡取り続けるし、会い続けるし、対話をし続けていくつもりだ。

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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