鬼恋綺譚 流浪の鬼と宿命の姫 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.38
  • (2)
  • (2)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 106
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092040

作品紹介・あらすじ

薬師の文梧は、記憶を失った白皙の青年・主水と旅をしている。
30年前、平穏なこの地は一変した。青山領の民が突然変異して「鬼」となり、小寺領の民を襲い血を吸って殺すようになったのだ――。
彼らは、故郷から逃げ出し、身を潜めて暮らしている小寺の民を救うべく、山々を巡っているのだ。

一方、今から3年前。小寺の若き領主・菊は、屈託なく笑う勇敢な少年・元信に窮地を救われる。
青山の餌食となっている領民を護るため、もっともっと強くなりたいと願っていた菊は、元信に願い出て剣術を教えてもらうことにした。
やがて惹かれ合う2人。けれどそれは、禁忌の恋に他ならなかった……。

――旅の途中、文梧と主水は竜胆という少女と出会う。
竜胆はかつて仕えていた領主・菊を捜していた。菊は3年前、青山領に捕らわれたのだ。
旅を共にすることになった3人だが、やがて文梧は「一枚、二枚――」と何かを数える謎の声をしばしば聞くようになる。
心にこびりついて離れないその声を聞くたびに、文梧の胸はざわついて……。

出逢ってはならない者たちが出逢う時、物語は動き始める。
人の情と業が絡み合う、美しくも残酷な「和製ロミオとジュリエット」!

第5回角川文庫キャラクター小説大賞〈優秀賞〉受賞作!
選考会でも「筆力がある」「作り込まれた世界観でぐいぐい読んでしまった」「熱量を感じる」と絶賛を受けた作品がついに刊行!


イラスト/月岡月穂

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 和製ロミオとジュリエットね……あー、うん、そうね……。皿屋敷だったけども……。
    ハッピーエンドじゃなかったのがね、微妙でした。ロミジュリならそうなんだろうけども。

  • 表紙キレイだなぁーー。悲しくて辛い物語だった

  • 歴史ファンタジー

    七代目小寺領主「菊」と青山領主末裔「元信」が、数世代にわたる種族間の「呪い」を解き、領民を安寧に導く闘いを描いた物語

    宿業を背負いながらも気高く生きる「菊」の姿に圧倒される
    (改題前 異説播州皿屋敷)

  • 流れが読める、ありがちな展開と宿命。

  • 鬼の話はお腹いっぱい。
    和製ロミオとジュリエットだけあって、やっぱりハッピーエンドじゃなかった…のかな!?
    絶賛の声がみんな女性からもわかるように、男性より女性の方が「菊」の想いとかわかる気がする。
    鬼の話という事で、一番懸念していた残虐な描写ですが、この本に関しては割と平気だったかな。
    話の構成はよかったと思います(o´・ω-)b
    でも、来そうで来なかったっていう感じ(汗)
    じーんとがね。

  • 恵庭市立図書館 黒氏 優子

  • 読んでいて固有名詞に見覚えがあるなと思ったら、改題前に『異説・播州皿屋敷』なる文言が付いて成程と。
    いつぞや見た皿屋敷展を思い出しながらの読書となった。

    それにしても随分と大胆なアレンジ。
    最初は皿屋敷要素はそれこそ固有名詞くらいにしかなかったが、中盤以降「皿」要素も出てきて俄然期待は高まった。
    (最初「一枚、二枚……」と言い出した時はお札か何かかと思い込んでいて、すぐに皿と気付かなかった阿呆はここだ)
    そうなると、あの名前を頂いているヒロインの行く末は自ずと決まる訳で。
    途中まで生死は分からないままで、寧ろ生存を信じていたくらいだったが、皿屋敷の話となるとそうなるよなと思い、真相が分かった時は本当に涙を禁じえなかった。
    但し、予想以上に惚れ惚れするほどかっこいい最期だったが。

    序盤は登場人物も時間軸も交代するため多少混乱したが(要は誰を主軸に読んでいいか迷子になる)登場人物を把握しきれたくらいから本当に面白くなった。
    それに読み切った後は、ああ主役は結局あの人だったなと繋がるのも面白い。
    青山と小寺の民をも巻き込んだ騒動。
    その真相は最終的にどんでん返しというか因果応報というか、こちらが予想していなかった展開になるのもいい。
    鬼の設定と言い、「皿」の使い方と言い、何故「彼」が癒しの力を持ったのかというその理由と言い、本当に細部にまで設定が丁寧に練り込まれていていい。
    基本的にびっくりする伏線ばかりだが、中には大味なものも。
    デビュー作らしい荒々しさということで、これも持ち味か。

    恋愛ものと見れば確かに悲恋だが、結末はこれまた予想外に清々しさまで感じるもの。
    鬼の呪いの力がえげつないものだったことを考えると、寧ろ薄味に思えるくらい。
    ただ「彼」の新たな旅立ちとしては、過去の因縁に引きずられなくていい気がする。
    それに「彼」は一人ではない。
    本編のあの重苦しい雰囲気を一掃するエンディングである。
    「彼」はこれからも色々な人を癒して回るのだろう。
    その旅が「彼」自身をも癒すことだと願ってやまない。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

東京都杉並区生まれ。2019年、第5回角川文庫キャラクター小説大賞《優秀賞》を受賞し、同作を加筆・改題した『鬼恋綺譚 流浪の鬼と宿命の姫』でデビュー。脚本家としても活動している。

「2022年 『贄の花嫁 黒い夢と願いの子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

沙川りさの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
凪良 ゆう
凪良 ゆう
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×