- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041092361
作品紹介・あらすじ
平凡なサラリーマンがある朝、巨大な虫けらに変身した状態で目覚める──。不条理文学の旗手か、不器用なサラリーマン作家か。新たなカフカ像にもとづく新訳と訳者解説によって、不朽の名作がよみがえる。
感想・レビュー・書評
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『この早起きというのは、人間をまったく薄ばかにしてしまうのだ。人間は眠りをもたなければならない』
『ただ我慢することだけが家族の義務の命じるところなのだ』
『音楽にこんなに心を奪われていても、彼は動物なのだろうか』
『これで神様に感謝できる』
グレゴールはある朝、目が覚めると自分の姿が毒虫になっていた…
その姿を見た家族の反応はどうなのか?
見た目は毒虫だが、間違いなくそれはグレゴール本人。最初は妹も母親もらしく接してくれるが、徐々に毒虫としての扱いを受けるようになる。
いずれ毒虫の死、つまりグレゴールの死が訪れる。家族の反応は…
グレゴールには「死」の選択しか残されていなかった。
この小説を通じて、カフカは何を言いたかったのか。
時代背景。見た目と心の相違。
そして人間である尊厳。
単なる、朝起きたら姿が変わっていたSF小説ではない。 -
読みやすい訳。カフカについての解説もあり、面白い。元ボクサー川島医師の弟さんの訳。
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新訳が出たので、大学生の頃に読んで以来、久しぶりに再読した。たった100ページ弱なのに面白さは一級品。不条理文学の金字塔。解説も丁寧だった。
ある朝、平凡なサラリーマンが目覚めると、自分が化け物じみた図体の虫けらに姿を変えていることに気づいた。
「おれはどうなったんだ?」と思い、寝直そうとするが、寝返りが打てない。
次に頭に浮かんだのは「仕事どうしよう」。
虫になった彼の生活は一変する。中身は平凡なサラリーマンのままなのに、周りに人間とみなされなくなるとどうなるか。
人間として扱われなくなった虫けらが、最後の人間らしさを発揮し、自己を破滅させてしまう姿が衝撃的だった。
p123
シオニズムとは、世界中に離散して暮らすユダヤ人が「シオンの丘」(聖地エルサレムの別名)をめざして民族の故郷パレスチナに移住し、ユダヤ人の国家を作ることを目標とする民族運動で、オーストリアの作家テオドール・ヘルツルによって提唱された。
p157
つまり、それまで社会的に有用であろうとして必死に生きてきたグレゴールが突然「使えない」存在になり、無用の長物として排除されていく過程を描くというのがカフカの構想だったと思われる。 -
珍しく外国人の方が書いた本を読んでみた。淡々とストーリーが進む。
私はいつもわかりやすい文章の本を読んできていたので、これだけ淡々としていると感想が持ちにくかった。(持ちにくかった?笑)
でも世では大作と言われているので、私が合わなかった、ついていけなかっただけだと思うのですが。。 -
あらすじは知ってたけど、読んだことがなかったので思い立って読了。内容については考察され尽くしてきていると思うので割愛。ラストシーンで憑き物が落ちたようになる家族のシーンが印象的。
本文が100ページなのに、解説が70ページほどある。
翻訳はあえて原作の初版に準拠したなど、こだわりのある作られ方をしていて好印象。こんな不条理な内容でも、人の心を長く掴み続ける作品になるのは面白いですね。 -
なぜ、虫になってしまったのか、わからない…
妹思いの心の優しい兄の気持ちがいい。
著者プロフィール
フランツ・カフカの作品






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