恐るべき子供たち (角川文庫)

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本棚登録 : 97
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092460

作品紹介・あらすじ

◆世紀末のパリ。14歳のポールは、学校で、憧れの男子生徒ダルジュロスが投げつけた雪玉で大けがを負ってしまう。◆友人のジェラールが、ポールを家まで送っていくと、そこには、奔放で美しい姉エリザベートがいた。ポールとエリザベートは、社会から隔絶されたようなひとつの部屋で、いっしょにくらしているのだった。◆エリザベートに心惹かれたジェラールは、その日からふたりの部屋へ足しげく通うようになる。◆そこへ、ダルジュロスにうりふたつの少女アガートがあらわれ、4人は、運命に引きよせられるようにいっしょにくらしはじめる。◆同性愛、近親愛、男女の愛が交錯するなか、4人はまだ幼く未熟であるがゆえに、たがいに傷つけあうことしかできない。◆やがてポールとアガートが強く惹かれあっていることを知ったエリザベートは、嫉妬のあまり、ふたりの仲を引き裂く。◆絶望したポールは、毒薬で自殺を図る。◆瀕死の弟を見つけ、エリザベートもまたピストルを自らに向け……。◆20世紀前半のフランスで、天才芸術家の名をほしいままにしたジャン・コクトーの自伝的詩小説。

感想・レビュー・書評

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  • 序盤から不穏。そのままラストまで一直線に、徹頭徹尾の不協和音。
    箱庭で繰り広げられる、依存と愚かさと怠惰とモラトリアム、その悪魔的な吸引力と破滅。
    健全なんてものは徹底的に廃されて、負の要素に満ち満ちている。

    なんて疲れる作品なのよ。でもそれが本作の魅力の根幹なのだから、恐れ入る。

    子どもたち(むしろ、アダルトチルドレンというべきか)の無軌道さの具現化なのか、ストーリーからして、どうにも乱雑でまとまりに欠け、個人的には決して「美しく繊細な作品」とは思えませんでしたが、でも、惹かれるものが確かにあるのです。

    訳者で画家として名を馳せた東郷青児(1897〜1978)は、本作を「詩小説」と呼び、訳者あとがきで、「この本を読みながらコクトーに油絵を描かせたらずいぶん奇妙なものを書くだろうと思った。画家の私から見ると、この詩小説はほとんど色彩を感じない。(中略)彼のパレットには灰色か白か、さもなければ燻銀のような黒しか並べていないようである。」と述べているのは、言い得て妙。

    でも、そういう東郷の有名作(特に女性画)だって、デフォルメ全開で、同じように灰色、白、燻銀メインの限られた色彩で、怪しい魅力満載。やはりそこは同類、惹かれるものがあったのでしょうか。

    小説なのに「詩」とつけてしまうのがしっくりくる、展開的にはあまり筋立てられてないけどそれを補ってありあまる尖った感受性の表現こそが最大の魅力とでもいうような作品なので、あらすじを書いてしまうと、後に読む人が白けてしまう気がしてしまう。
    なので、割愛。

    最後に。
    2020年夏に角川文庫から新装版として刊行された表紙絵の、青白い裸体の少年と寄り添う猫は、本作の持つ、全篇を覆い尽くす不穏さ、登場人物のあやうさや気まぐれが醸す妖しい吸引力を象徴しており、ものすごく心惹かれました。
    これが、なんと、あのルノワールの作だということも衝撃的だったのですが(なんか見たことある筆遣いと質感だけど誰の絵?と、悩むことしばし。)
    読む前も、読み終わっても、これを選んだ方のセンスの凄まじさを感じます。
    この装丁がつくことだけを考えても、本作を手にする価値はあったと思うくらいに。

  • 別の出版社の文庫で既読でしたが装丁が素敵だったので購入。ポール、エリザベート、ジェラール、アガートの間で渦巻く愛憎。ポールとエリザベートは姉弟というにはあまりにも強い感情で結ばれていた。それはポールなくしてはエリザベートはエリザベートでいられなかったからだと思う。「部屋」の中での自分の役割を手放したくなかったのだ。彼女が最後に選んだ行動も悲劇的でありながら、何処か芝居めいて見える。ポールにとってダルジュロは愛の対象と憧れ、そして「毒薬」を齎す死の象徴だった。危うい均衡を保っていた「部屋」はやがて瓦解する。そこにはもう子供たちはいない。

  • 東郷青児訳!

    恐るべき子供たち ジャン・コクトー:文庫 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000046/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      大人にならない友のために ジャン・コクトー「恐るべき子供たち」|好書好日
      https://book.asahi.com/article/11...
      大人にならない友のために ジャン・コクトー「恐るべき子供たち」|好書好日
      https://book.asahi.com/article/11581573
      2021/06/24
  • 訳文が難しく、すっと入ってこなかった。
    光文社の新訳版や萩尾望都さんの漫画も読んでみたい。

  • 買った理由は
    帯にローランドがいたから
    別にローランドファンじゃないが
    どんな本読んでんのか気になったから

    ですよねー
    ってラストだったので
    かろうじて星2つ
    ちょっと自分には理解できない
    変人ばっかでてくる話だったなー

  • 同性愛や近親愛など様々な愛し方をするお話が面白いと思い読んでみた。しかし、中学生以下の子には少し早い話であった。正直私はあまり本を読まないタイプなので誰が何を思い、考えているか等を深く読み取ることが出来なかった。でも、自分の中で納得した部分もある。それはポールとエリザベートは『愛』のせいで変わった行動をするということ。
    ここからは私の考察である。
    それぞれの愛の関係について(2)
    ポールとダンジェロ
    →最後ポールはダンジェロから間接的に貰った「毒?」のようなものを体に取り込んで死んでしまった。この時ポールはダンジェロを愛していたから贈り物を大切に思い使用したのではないかと考えた。

    エリザベートとポール
    →最後エリザベートはポールが死んだ後すぐにこめかみにピストルに当てて死んでいった。これも愛していたからこその行動であると思う。

    これらを読んで『愛』というものがどれほど深いものなのか学ぶことが出来た。

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著者プロフィール

(1889年7月5日 - 1963年10月11日)フランスの芸術家。詩人、小説家、脚本家、評論家として著名であるだけでなく、画家、演出家、映画監督としてもマルチな才能を発揮した。前衛の先端を行く数多くの芸術家たちと親交を結び、多分野にわたって多大な影響を残した。小説『恐るべき子供たち』は、1929年、療養中に3週間足らずで書き上げたという。1950年の映画化の際は、自ら脚色とナレーションを務めた。

「2020年 『恐るべき子供たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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