准教授・高槻彰良の推察4 そして異界の扉がひらく (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092644

作品紹介・あらすじ

「異界はどこにだってある――僕たちの、心の中にもね。」

春。無事に進級し大学2年生になった尚哉は、相変わらず高槻のもとで助手のバイトをしている。
ある日、高槻が運営するサイト「隣のハナシ」に、建築事務所で働く女性から怪事件の相談が寄せられた。
事務所で起こった、「4」にまつわる不気味な事件の真相とは……!?――(「四時四十四分の怪」)

6月。「江の島の海に人魚が出た」と週刊誌は大騒ぎに。高槻も講義で人魚のことを熱心に取り上げる。
そんなある日、キャンパスにふらりと現れたのは、口髭にステッキのハンサムな英国紳士。なんと彼は、高槻の叔父・渉だった!
そして尚哉は期せずして、「高槻が一番辛かった頃」に彼を育てた渉から、高槻の悲痛な過去を聞くことに……。
高槻・尚哉・渉・佐々倉は休日を利用して江の島付近に出向き、人魚騒動を調査することに。
そこで「お母さんは人魚になった」と訴える少年に出会い……。――(「人魚のいる海」)

高槻が渉のもとで暮らしていたころのお話「【extra】それはかつての日の話2」も収録。
凸凹コンビの怪異譚、新章開講!


イラスト/鈴木次郎

感想・レビュー・書評

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  • 俄然面白くなってきた。

    来るべき時が近づいてきた。
    彰良先生と尚哉に「異界」への扉が開きはじめる。

    第一章『四時四十四分の怪』
    ひとの浅はかさから呪いが生まれる。
    ひとを呪わば穴二つ。
    誰かを呪えば、自分の心も呪いに取り込まれる。それが大切な人を助けるためだとしても、呪いにかこつけてしまえば同じこと。
    そんなため息がつきたくなるストーリーのなかで、尚哉にとって重要な意味となる人物が登場する。それは誰にも理解できない苦しみに向き合うことには心強いことでもあるだろうけど、呪いとともに生きることの孤独感をいっそう深めることにもなるだろう。
    だけど尚哉には彰良先生がいるもんね。

    第二章『人魚のいる海』
    彰良先生にとって大切な人、英国在住の叔父・渉が現れる。
    「お母さんは人魚になった」と訴える少年との出会いから、右目の下にある泣きぼくろが印象的な沙絵と知り合った尚哉たち。
    「夢物語の中で生きることは楽しいことよ」という沙絵と、「夢物語の中から帰ってこられないのは哀れなもの」だから夢物語と現実の折り合いをつけられるようにしてあげるのは周りの役目という彰良先生。
    表面上は冷静さを見せるふたりが、真っ向から相対する場面は空気がチリチリする。
    沙絵の真っ黒に染まった瞳と、彰良先生の淡く藍色の光りが宿る瞳。それは月も星もない闇夜と、たくさんの星が瞬く夜空。見つめあうふたりの目の奥に宿る夜空を想像するだけでぞくぞくした。この場面は、特に印象的で好きだ。
    いずれ沙絵とはまた出会うことになりそう。

    【extra】それはかつての日の話II
    両親から疎まれ問題を抱えた15歳の彰良少年は、高校時代を英国で渉と暮らすことになる、彰良にとって英国で渉と暮らした日々がどれほど、かけがえのない日々だったのかがよく分かる。
    そんな居心地の良い場所から己の過去に対峙するために彰良は旅立ちを決意する。自分が決めたこととはいえ相当葛藤があったと思う。それでもそうしたいと決意した彰良に渉が伝えた言葉は、時を経て尚哉へと引き継がれていく。
    叔父として、家族として、いつだって自分は彰良の幸せを願っている。その渉の気持ちが切々と伝わってくる、じーんと胸が熱くなる〈それはかつての日の話〉だった。

    • くるたんさん
      地球っこさん♪
      こんにちは♪
      つ、ついに読まれたのですね♬
      どうですか?もう、これからワクワクの予感しかないですよね?

      同じ能力を持つ…こ...
      地球っこさん♪
      こんにちは♪
      つ、ついに読まれたのですね♬
      どうですか?もう、これからワクワクの予感しかないですよね?

      同じ能力を持つ…これは尚哉にとっての道が拓けるキーパーソンなのか…

      沙絵も気になります。なり過ぎますね。

      そして…イケオジ 渉さんに私はハートを持っていかれました(∩︎ω∩︎〃)
      また会いたいです!!
      2020/10/08
    • 地球っこさん
      くるたんさん、こんにちは!

      これからの展開に向けて、とても盛り上がりましたね!!

      沙絵はまた再会しそう。
      彰良先生と年齢や抱え...
      くるたんさん、こんにちは!

      これからの展開に向けて、とても盛り上がりましたね!!

      沙絵はまた再会しそう。
      彰良先生と年齢や抱えてるものや、何かしら近しい初の女性キャラですよねo(>∀<*)o
      ロマンスは生まれなさそうだけど 笑

      くるたんさんのハートは、イケオジ渉さんだったのですね(〃▽〃)
      尚哉と同じ能力を持つほうのお方と、どっちだろうと思ってました。
      たしかに渉さん、優しくて面白くて料理も出来て(ここ重要)いいですよねぇ~
      またぜひぜひ再登場を願いたい!

      わたしは今回、渉さんはくるたんさんにお譲りするとしまして……
      彰良のなかに潜んでる妖?みたいなのですね(えーそこ?と言わないで 笑)

      【extra】で、彰良から現れたときの
      「外つ国か」「彰良は貰っていく」みたいなセリフにときめきがキターでした。
      悪いヤツではなさそうな。
      悪いヤツだったら、もうムリヤリ彰良を攫ってるんじゃないかしら……
      とか、妄想しまくり。

      藍色の瞳が好きなんです。
      え、ということは意識のない彰良がいいってことになる?
      いやいや、やっぱり彰良じゃなくて妖?の方でーす(まだ見たことないけど)
      2020/10/08
    • くるたんさん
      地球っこさん♪

      なるほど!妖の方( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      あ、たしかにそのシーン、ありました!私も貰っていく…って言葉、好きです!!...
      地球っこさん♪

      なるほど!妖の方( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      あ、たしかにそのシーン、ありました!私も貰っていく…って言葉、好きです!!
      改めて考えると興奮してきました( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      瞳、ここ、最重要案件、早く知りたいですね〜♬

      そして、渉おじさん、遠慮なくいただいていきますね〜( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      2020/10/08
  • ついに、テーマが異世界となり、これは本物の怪異?というところに行き着く。高槻先生の過去の話もあり、真相に迫っていく展開、面白い!

    「四時四十四分の怪」
    大学2年生になった尚哉。1年生に間違えられて、サークルの勧誘を受けたりしている。高槻の元に、建築事務所の女性から怪事件の相談が寄せられ、一緒に話を聞きに行く。同僚らと面白半分で四時四十四分の怪談を試したところ、その後次々に怪奇現象に見舞われるようになったという。
    四時四十四分の怪談は聞いたことなかったのだけど、講義で出てくる2ちゃんねる発祥のきさらぎ駅の都市伝説は知っている。昔読んで怖くて、思い出してまたゾッとしてしまった。つまりは、信じるものは呪われるってことなのね。イナジンシのおまじない覚えておこう。
    尚哉にこれからも関わってきそうな重要人物の登場もあり驚いた。

    そして、素敵な英国紳士の叔父さんの登場する「人魚のいる海」。
    前から叔父さんのところで預けられ…とは言っていたけれど、こんな叔父さんとは聞いてないよ!イケメン遺伝子貴い。
    江の島の海に人魚が出たと大騒ぎになり、叔父さんを含めた高槻一行は江の島へ出向く。そこで「お母さんは人魚になった」と言う少年に出会う。もしかして、というかなり驚きの展開、この話は次への伏線になっていくのか…?

    番外編は高槻先生のイギリス時代のお話。
    こんな辛い経験をしても、包み込んでくれるこのひとたちがいたから、今の高槻先生があるのだなと感じる。

    4巻でもどんどん深まる二人の絆。時々、二人のただならぬ雰囲気に気圧されるし、妄想もチラつくの。私が三浦しをんさんなら、ここから10も100もめくるめく妄想ワールドを繰り広げるのだろうなぁ(笑)

    尚哉の怪も、高槻先生の怪も気になる。
    早く5巻も読みたい。

    • マリモさん
      地球っこさん
      おはようございます!
      今巻は、異界の門が開かれていく感じがあり、とても楽しく読みましたー!続きもワクワクです。
      ずいぶんキャラ...
      地球っこさん
      おはようございます!
      今巻は、異界の門が開かれていく感じがあり、とても楽しく読みましたー!続きもワクワクです。
      ずいぶんキャラが立ってきましたよね。それに、今巻出てきた人たちはみんな、これからも関わってきそうです。
      主人公の二人、女性の介入がありえない間柄じゃないですか。完全に、読者の妄想を誘導するようにできていると思うんですよねー(笑)まんまと誘導に乗ってしまっています。
      2021/04/14
    • 地球っこさん
      マリモさん

      まさにブロマンス(男同士の厚い友情)ですね!
      ふふふ、「トッケビ」のドラマで、見所のひとつが「ブロマンス」ということなの...
      マリモさん

      まさにブロマンス(男同士の厚い友情)ですね!
      ふふふ、「トッケビ」のドラマで、見所のひとつが「ブロマンス」ということなので、ちょっと覚えた単語を使ってみました 笑
      えっ!?違う!?
      もっと濃密な感じですか、しをんさんなら 笑
      2021/04/14
    • マリモさん
      地球っこさん
      なるほど、ブロマンスっていうのですね。
      トッケビはブロマンスもあるのですか。見所が多いのですね!!
      しをんさんの妄想は激しめで...
      地球っこさん
      なるほど、ブロマンスっていうのですね。
      トッケビはブロマンスもあるのですか。見所が多いのですね!!
      しをんさんの妄想は激しめですが、私のはもっとたわいないものです(〃ω〃)
      2021/04/14
  • どこまで楽しませてくれるんだろう、の一冊。

    もう読めば読むほどハマるこのシリーズ、一体どこまで楽しませてくれるんだろうっていうぐらい今回も大満足。

    まさかのお仲間さん、ちょっと濃いキャラの英国紳士の登場、意味深な数々の言葉、高槻准教授の瞳の謎と、ますます興味は尽きない。

    そして…今回も番外編でまた一つ高槻准教授の過去に近づけたのも良い。
    またまたこんな時間があったからこそ今のこの姿があって、尚哉へのサポートがあるのかと思うとホロリとくる。

    叔父さん、最高!

    そしてこれからなんだか大きな動きがありそうな予感。
    あぁ、早く次巻をー!

    • くるたんさん
      地球っこさん♪
      楽しいコメントありがとうございます♡

      健ちゃんが絶対借りを作りたくない相手⁈
      うわ!気になりますーー!!
      どんだけこの二人...
      地球っこさん♪
      楽しいコメントありがとうございます♡

      健ちゃんが絶対借りを作りたくない相手⁈
      うわ!気になりますーー!!
      どんだけこの二人の過去に秘密というか思い出があるんだろうって思うと興奮です♬

      基本、ここはイケメンが多いですからね〜♬イケメンですよ、絶対♡

      あと、3巻のあの番外編を読むと…一番怪異に近いのは健ちゃんだったり…⁈
      あれは何だったんだろう、健ちゃんが苦手なのはあの時から始まったんですね(*´∇︎`*)

      私、これは図書館本だったんですけどシリーズそろえたくなりましたよ〜(*˙˘˙*)ஐ

      私、今のところ推しメンはアキラ先生です…( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      2020/09/26
    • 地球っこさん
      くるたんさん、しつこくコメントしてごめんなさい!

      でも、これだけは言わせてくださいっ。
      わたしの推しメンは健ちゃんでーす♡

      あ...
      くるたんさん、しつこくコメントしてごめんなさい!

      でも、これだけは言わせてくださいっ。
      わたしの推しメンは健ちゃんでーす♡

      あ、でも暫定1位です。
      もう一人の怪異専門の刑事さん?が登場してから決めまーす 笑
      2020/09/26
    • くるたんさん
      地球っこさん♪コメ大歓迎ですよー♡

      あ、やっぱり、健ちゃんなんですねー(*´∇︎`*)
      わかります!!

      ちなみに4巻で私の心は珍しくア...
      地球っこさん♪コメ大歓迎ですよー♡

      あ、やっぱり、健ちゃんなんですねー(*´∇︎`*)
      わかります!!

      ちなみに4巻で私の心は珍しくアキラ先生から揺らぎました…なぜかって⁇
      ふふ…♡お楽しみに♡

      ゆっくりじっくり4巻楽しんでくださいね( ●︎≧︎艸≦︎)

      2020/09/26
  • 民俗学ミステリ第四弾。時は流れ、深町は二年生に進級。今まで通りに高槻の助手をしながら怪異の謎へと挑んでいく。中編2作に加えて、高槻が叔父である渉に預けられていた時代のエピソードも収録。

    『四時四十四分の怪』
    とある建築事務所で発生した怪異にまつわる事件。
    「四月四日四時四十四分に、四人で集まって、黒板に描いた円に全員で左手をつくと、異次元に引きずり込まれる。助かっても呪いがかかる」
    遊びのつもりで実行した儀式のはずが、参加者に災いが降りかかっていく──。

    今回のテーマは「異界」。町の外にあったはずの異界が、いまやスマホやPCを介したインターネットに侵入しているという講義が面白かった。「二つの対立する構造として世界を捉える」という意識が、インターネットによって増幅され、多くの人々に共有されることで新たな異界を生み出しているのは興味深い(『虚構推理』の鋼人七瀬にも通じる)。

    『四時ババア』は初めて知った!異界に連れていかれるのは怖いけど、単に出てくるだけの話の方がシュールで怖い(笑) 『虚構推理』や『呪術廻戦』なら実体化して人を襲ってるレベル。あと、四時ジジイの方が四爺みたいに語呂が良くなりそうなのに居ないのだろうか。いや、語呂が良くなっては怖くなくなるか。花子さん、メリーさん、貞子など、女性の怪異が多いのも何か理由があるのかな?

    今回の怪異を巡る事件はミステリ要素が強くて面白かった。古風な儀式をしているのに、呪いのメールが届いてから四のつく時間通りに呪われるという、現代的で律儀なのに不条理というちぐはぐ感が楽しい。呪いも異界も囚われてしまった人の心にある。それを顕現させてしまうのは他ならぬ人間なのかもしれない。

    『人魚のいる海』
    江の島で起きた人魚騒動。大学を訪れた高槻の叔父・渉も伴って、現地へと観光がてら調査に向かう。そこで出会ったのは「お母さんは人魚になった」と言う少年だった。

    日本における人魚イメージの変遷が面白かった。顔だけ美女で胴体は魚、シュールすぎる。見たことがないものだから、伝言ゲーム的にイメージがイメージに影響されて姿を変えていく。人は見たいようにしか世界を見ない。だからこそ、事実とか歴史を手繰るとか疑問に思うことは大事なんだよね。

    今回の読み味はまさに人魚!現実と幻想。ミステリとホラー。虚実入り混じるストーリーとその余韻が波音のように残る。これまでの事件で怪異を事実に基づく解釈へと戻してきた高槻たち。そんな彼らが真の怪異を目の当たりにした時、それを現実として認識できるのか。語られる伝説は幻想にすぎない。でも、出会ってしまった幻想はその人にとっての現実に変わるのだ。

    高槻が渉に引き取られていた時代のエピソードも、笑顔に隠された彼の苦悩を投影しているようで切なかった。ただ、確かにイギリスで暮らしていた時間はかけがえのないものだったんだなと温かい気持ちにもなった。
    4巻の事件では、今後もキーパーソンになりそうな人物たちも登場し、異界との境界へ迫っているのを感じる。高槻が選んだ戦い、深町に与えられる試練。道は過酷でも、立ち向かった呪いの先に祝福が待っていると願いたい。

  • 本格的に沼に足を踏み入れはじめた感じ。
    結構手広く話が広がってるのでどんな風に回収していくのかが、楽しみ。

  • サイトに相談された怪異の調査からの事件解決、というこれまでの流れから、まさかの出会い、そして高槻准教授の秘密へと本格的なシフトが始まった模様。それはさらなる艱難辛苦の一歩でもありそうだ。おそらくこれから「本物」と接触する機会が増えていくだろうが、そのとき主人公たちは何を思い、行動するのか。恩人であるおじさんも登場したが、これまたいいキャラだった。

  • 四巻ということで、「四」に纏わる怪談話から。
    最初は呪いと思わせておいて、やはり怖いのは人の悪意の方。
    しかも解決したと思わせておいての二段構え。
    構成に痺れました。
    相変わらず講義シーンも本当に楽しい。
    自分も学生さんたちに混じっていくらでも聞いていたくなる。

    後半は高槻先生の叔父様に人魚が登場。
    叔父様がどこまでも高槻先生の味方な人で本当によかった。
    そう言えば、今の高槻先生にしてくれた恩人だった。
    そりゃいい人に決まっている。
    過去話に登場した叔父様の周りの人たちも本当にいい人たちで、今のワンコな先生の基礎を作ってくれた場所が暖かい場所で本当によかったと安堵できた。
    しかも、いつでも帰ってきていいよと言ってくれる。
    そんな人たちがいてくれることは、奇跡のように幸せなことではないだろうか。

    人魚の話は、まさかの方向性でかなり驚いた。
    まさかまさかの本物か?
    明言は避けられた形だが、すっきり解決しなかったのは珍しい。
    しかも不穏な予言も残していっている分、今後の展開に
    不穏さが付き纏うことに。
    でもあの二人ならきっと乗り越えられると信じている。
    今の二人なら、大丈夫な筈だ。

    そう言えば、「四」に纏わる話の方では、尚哉の理解者が登場し、それにも驚いた。
    高槻先生とはこれまた方向性の違う理解者。
    もしかして、他にも……と、可能性が広がった。
    高槻先生たちの世界は、まだまだ広がっていて、奥行きが見えないのである。

  • 副題通りの展開で、あっち側の人が登場します。これまでは人が起こした人外じみた出来事を解く話だったけど、えっ、ここで終わるの?この人なに?という展開でした。次どうなるか楽しみです。高槻先生の過去も少し開かされたし、楽しく読めました。

  • 2020年5月角川文庫刊。書き下ろし。シリーズ4作目。四時四十四分の怪、人魚のいる海、【extra】それはかつての日の話2、の3つの連作短編。裏表紙に新章開講なんて書いてあって、確かに怪異の度合いが進み、高槻さんの謎度合いもアップしています。楽しみな展開です。次作にも期待。

  • 4巻になって初めて、高槻先生と深町くん以外の異界とつながりがある人が登場した。これまでは不可思議な事件と見せつつも紐解くとそうではない、というパターンがほとんどだったが、今回は事件に差し込むかたちで「何らかの事情」を抱えたキャラクターが関わっている。「四時四十四分の怪」の遠山所長は深町くんにとって大きな出会いとなったのではないだろうか。
    毎度のことながら、食えない性格のキャラクターが憎めない。過去エピソードを読み終えると情の深い紳士だな、と分かるが登場時点の渉おじさんはずるい。のっけから惹き込まれてしまった。
    「人魚のいる海」の沙絵の謎が深い。たぶん、現時点で高槻先生の過去に一番近づいた瞬間だったのだと思う。瞳の奥に何を見たのだろうか。今後も登場しそうな気配がある。
    高槻先生の抱えているものに、また一歩踏みこんだ今作。過去編をみるかぎり、やっぱり中に何かがいるんだろうなあ……。高槻先生と深町くんのバディ感の余韻にひたりつつ、次の事件を読むのも楽しみで仕方がないのであった。

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著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

澤村御影の作品

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