准教授・高槻彰良の推察4 そして異界の扉がひらく (角川文庫)

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  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092644

作品紹介・あらすじ

「異界はどこにだってある――僕たちの、心の中にもね。」

春。無事に進級し大学2年生になった尚哉は、相変わらず高槻のもとで助手のバイトをしている。
ある日、高槻が運営するサイト「隣のハナシ」に、建築事務所で働く女性から怪事件の相談が寄せられた。
事務所で起こった、「4」にまつわる不気味な事件の真相とは……!?――(「四時四十四分の怪」)

6月。「江の島の海に人魚が出た」と週刊誌は大騒ぎに。高槻も講義で人魚のことを熱心に取り上げる。
そんなある日、キャンパスにふらりと現れたのは、口髭にステッキのハンサムな英国紳士。なんと彼は、高槻の叔父・渉だった!
そして尚哉は期せずして、「高槻が一番辛かった頃」に彼を育てた渉から、高槻の悲痛な過去を聞くことに……。
高槻・尚哉・渉・佐々倉は休日を利用して江の島付近に出向き、人魚騒動を調査することに。
そこで「お母さんは人魚になった」と訴える少年に出会い……。――(「人魚のいる海」)

高槻が渉のもとで暮らしていたころのお話「【extra】それはかつての日の話2」も収録。
凸凹コンビの怪異譚、新章開講!


イラスト/鈴木次郎

感想・レビュー・書評

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  • 俄然面白くなってきた。

    来るべき時が近づいてきた。
    彰良先生と尚哉に「異界」への扉が開きはじめる。

    第一章『四時四十四分の怪』
    ひとの浅はかさから呪いが生まれる。
    ひとを呪わば穴二つ。
    誰かを呪えば、自分の心も呪いに取り込まれる。それが大切な人を助けるためだとしても、呪いにかこつけてしまえば同じこと。
    そんなため息がつきたくなるストーリーのなかで、尚哉にとって重要な意味となる人物が登場する。それは誰にも理解できない苦しみに向き合うことには心強いことでもあるだろうけど、呪いとともに生きることの孤独感をいっそう深めることにもなるだろう。
    だけど尚哉には彰良先生がいるもんね。

    第二章『人魚のいる海』
    彰良先生にとって大切な人、英国在住の叔父・渉が現れる。
    「お母さんは人魚になった」と訴える少年との出会いから、右目の下にある泣きぼくろが印象的な沙絵と知り合った尚哉たち。
    「夢物語の中で生きることは楽しいことよ」という沙絵と、「夢物語の中から帰ってこられないのは哀れなもの」だから夢物語と現実の折り合いをつけられるようにしてあげるのは周りの役目という彰良先生。
    表面上は冷静さを見せるふたりが、真っ向から相対する場面は空気がチリチリする。
    沙絵の真っ黒に染まった瞳と、彰良先生の淡く藍色の光りが宿る瞳。それは月も星もない闇夜と、たくさんの星が瞬く夜空。見つめあうふたりの目の奥に宿る夜空を想像するだけでぞくぞくした。この場面は、特に印象的で好きだ。
    いずれ沙絵とはまた出会うことになりそう。

    【extra】それはかつての日の話II
    両親から疎まれ問題を抱えた15歳の彰良少年は、高校時代を英国で渉と暮らすことになる、彰良にとって英国で渉と暮らした日々がどれほど、かけがえのない日々だったのかがよく分かる。
    そんな居心地の良い場所から己の過去に対峙するために彰良は旅立ちを決意する。自分が決めたこととはいえ相当葛藤があったと思う。それでもそうしたいと決意した彰良に渉が伝えた言葉は、時を経て尚哉へと引き継がれていく。
    叔父として、家族として、いつだって自分は彰良の幸せを願っている。その渉の気持ちが切々と伝わってくる、じーんと胸が熱くなる〈それはかつての日の話〉だった。

    • くるたんさん
      地球っこさん♪
      こんにちは♪
      つ、ついに読まれたのですね♬
      どうですか?もう、これからワクワクの予感しかないですよね?

      同じ能力を持つ…こ...
      地球っこさん♪
      こんにちは♪
      つ、ついに読まれたのですね♬
      どうですか?もう、これからワクワクの予感しかないですよね?

      同じ能力を持つ…これは尚哉にとっての道が拓けるキーパーソンなのか…

      沙絵も気になります。なり過ぎますね。

      そして…イケオジ 渉さんに私はハートを持っていかれました(∩︎ω∩︎〃)
      また会いたいです!!
      2020/10/08
    • 地球っこさん
      くるたんさん、こんにちは!

      これからの展開に向けて、とても盛り上がりましたね!!

      沙絵はまた再会しそう。
      彰良先生と年齢や抱え...
      くるたんさん、こんにちは!

      これからの展開に向けて、とても盛り上がりましたね!!

      沙絵はまた再会しそう。
      彰良先生と年齢や抱えてるものや、何かしら近しい初の女性キャラですよねo(>∀<*)o
      ロマンスは生まれなさそうだけど 笑

      くるたんさんのハートは、イケオジ渉さんだったのですね(〃▽〃)
      尚哉と同じ能力を持つほうのお方と、どっちだろうと思ってました。
      たしかに渉さん、優しくて面白くて料理も出来て(ここ重要)いいですよねぇ~
      またぜひぜひ再登場を願いたい!

      わたしは今回、渉さんはくるたんさんにお譲りするとしまして……
      彰良のなかに潜んでる妖?みたいなのですね(えーそこ?と言わないで 笑)

      【extra】で、彰良から現れたときの
      「外つ国か」「彰良は貰っていく」みたいなセリフにときめきがキターでした。
      悪いヤツではなさそうな。
      悪いヤツだったら、もうムリヤリ彰良を攫ってるんじゃないかしら……
      とか、妄想しまくり。

      藍色の瞳が好きなんです。
      え、ということは意識のない彰良がいいってことになる?
      いやいや、やっぱり彰良じゃなくて妖?の方でーす(まだ見たことないけど)
      2020/10/08
    • くるたんさん
      地球っこさん♪

      なるほど!妖の方( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      あ、たしかにそのシーン、ありました!私も貰っていく…って言葉、好きです!!...
      地球っこさん♪

      なるほど!妖の方( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      あ、たしかにそのシーン、ありました!私も貰っていく…って言葉、好きです!!
      改めて考えると興奮してきました( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      瞳、ここ、最重要案件、早く知りたいですね〜♬

      そして、渉おじさん、遠慮なくいただいていきますね〜( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      2020/10/08
  • どこまで楽しませてくれるんだろう、の一冊。

    もう読めば読むほどハマるこのシリーズ、一体どこまで楽しませてくれるんだろうっていうぐらい今回も大満足。

    まさかのお仲間さん、ちょっと濃いキャラの英国紳士の登場、意味深な数々の言葉、高槻准教授の瞳の謎と、ますます興味は尽きない。

    そして…今回も番外編でまた一つ高槻准教授の過去に近づけたのも良い。
    またまたこんな時間があったからこそ今のこの姿があって、尚哉へのサポートがあるのかと思うとホロリとくる。

    叔父さん、最高!

    そしてこれからなんだか大きな動きがありそうな予感。
    あぁ、早く次巻をー!

    • くるたんさん
      地球っこさん♪
      楽しいコメントありがとうございます♡

      健ちゃんが絶対借りを作りたくない相手⁈
      うわ!気になりますーー!!
      どんだけこの二人...
      地球っこさん♪
      楽しいコメントありがとうございます♡

      健ちゃんが絶対借りを作りたくない相手⁈
      うわ!気になりますーー!!
      どんだけこの二人の過去に秘密というか思い出があるんだろうって思うと興奮です♬

      基本、ここはイケメンが多いですからね〜♬イケメンですよ、絶対♡

      あと、3巻のあの番外編を読むと…一番怪異に近いのは健ちゃんだったり…⁈
      あれは何だったんだろう、健ちゃんが苦手なのはあの時から始まったんですね(*´∇︎`*)

      私、これは図書館本だったんですけどシリーズそろえたくなりましたよ〜(*˙˘˙*)ஐ

      私、今のところ推しメンはアキラ先生です…( ●︎≧︎艸≦︎) キャッ
      2020/09/26
    • 地球っこさん
      くるたんさん、しつこくコメントしてごめんなさい!

      でも、これだけは言わせてくださいっ。
      わたしの推しメンは健ちゃんでーす♡

      あ...
      くるたんさん、しつこくコメントしてごめんなさい!

      でも、これだけは言わせてくださいっ。
      わたしの推しメンは健ちゃんでーす♡

      あ、でも暫定1位です。
      もう一人の怪異専門の刑事さん?が登場してから決めまーす 笑
      2020/09/26
    • くるたんさん
      地球っこさん♪コメ大歓迎ですよー♡

      あ、やっぱり、健ちゃんなんですねー(*´∇︎`*)
      わかります!!

      ちなみに4巻で私の心は珍しくア...
      地球っこさん♪コメ大歓迎ですよー♡

      あ、やっぱり、健ちゃんなんですねー(*´∇︎`*)
      わかります!!

      ちなみに4巻で私の心は珍しくアキラ先生から揺らぎました…なぜかって⁇
      ふふ…♡お楽しみに♡

      ゆっくりじっくり4巻楽しんでくださいね( ●︎≧︎艸≦︎)

      2020/09/26
  • さっと読むのに丁度良く、しっかり面白いです。
    彰良先生や深町君の関係性の変化や、周囲の悪意や理不尽を感じる中で佐々倉さんや渉おじさんの優しさにほっとします。今回の登場した遠山宏孝や海野紗絵が今後も話に絡んできそうで楽しみです。

  • まさかの尚哉と同じ力を持った方が登場!!動きが怪しいなとか思ってしまってごめんなさい、、、。

    第2章は今作では初めて、謎が解き明かされないまま話が終わりました。
    不思議がたくさん残った第2章。人魚の謎がいずれ解き明かされて欲しいです。

    彰良の叔父の渉の登場も良かったです。
    番外編では2人のイギリスでの日々が描かれていて、幼き日の高槻先生を見れられて嬉しかったです。

  • 高槻先生のイギリスの叔父さんからの生い立ち話が切なかった。まだまだ先生の謎は深まるばかり。
    マシュマロココアって癒しの効果があるのね。

  • 民俗学ミステリ第四弾。時は流れ、深町は二年生に進級。今まで通りに高槻の助手をしながら怪異の謎へと挑んでいく。中編2作に加えて、高槻が叔父である渉に預けられていた時代のエピソードも収録。

    『四時四十四分の怪』
    とある建築事務所で発生した怪異にまつわる事件。
    「四月四日四時四十四分に、四人で集まって、黒板に描いた円に全員で左手をつくと、異次元に引きずり込まれる。助かっても呪いがかかる」
    遊びのつもりで実行した儀式のはずが、参加者に災いが降りかかっていく──。

    今回のテーマは「異界」。町の外にあったはずの異界が、いまやスマホやPCを介したインターネットに侵入しているという講義が面白かった。「二つの対立する構造として世界を捉える」という意識が、インターネットによって増幅され、多くの人々に共有されることで新たな異界を生み出しているのは興味深い(『虚構推理』の鋼人七瀬にも通じる)。

    『四時ババア』は初めて知った!異界に連れていかれるのは怖いけど、単に出てくるだけの話の方がシュールで怖い(笑) 『虚構推理』や『呪術廻戦』なら実体化して人を襲ってるレベル。あと、四時ジジイの方が四爺みたいに語呂が良くなりそうなのに居ないのだろうか。いや、語呂が良くなっては怖くなくなるか。花子さん、メリーさん、貞子など、女性の怪異が多いのも何か理由があるのかな?

    今回の怪異を巡る事件はミステリ要素が強くて面白かった。古風な儀式をしているのに、呪いのメールが届いてから四のつく時間通りに呪われるという、現代的で律儀なのに不条理というちぐはぐ感が楽しい。呪いも異界も囚われてしまった人の心にある。それを顕現させてしまうのは他ならぬ人間なのかもしれない。

    『人魚のいる海』
    江の島で起きた人魚騒動。大学を訪れた高槻の叔父・渉も伴って、現地へと観光がてら調査に向かう。そこで出会ったのは「お母さんは人魚になった」と言う少年だった。

    日本における人魚イメージの変遷が面白かった。顔だけ美女で胴体は魚、シュールすぎる。見たことがないものだから、伝言ゲーム的にイメージがイメージに影響されて姿を変えていく。人は見たいようにしか世界を見ない。だからこそ、事実とか歴史を手繰るとか疑問に思うことは大事なんだよね。

    今回の読み味はまさに人魚!現実と幻想。ミステリとホラー。虚実入り混じるストーリーとその余韻が波音のように残る。これまでの事件で怪異を事実に基づく解釈へと戻してきた高槻たち。そんな彼らが真の怪異を目の当たりにした時、それを現実として認識できるのか。語られる伝説は幻想にすぎない。でも、出会ってしまった幻想はその人にとっての現実に変わるのだ。

    高槻が渉に引き取られていた時代のエピソードも、笑顔に隠された彼の苦悩を投影しているようで切なかった。ただ、確かにイギリスで暮らしていた時間はかけがえのないものだったんだなと温かい気持ちにもなった。
    4巻の事件では、今後もキーパーソンになりそうな人物たちも登場し、異界との境界へ迫っているのを感じる。高槻が選んだ戦い、深町に与えられる試練。道は過酷でも、立ち向かった呪いの先に祝福が待っていると願いたい。

  • 本格的に沼に足を踏み入れはじめた感じ。
    結構手広く話が広がってるのでどんな風に回収していくのかが、楽しみ。

  • サイトに相談された怪異の調査からの事件解決、というこれまでの流れから、まさかの出会い、そして高槻准教授の秘密へと本格的なシフトが始まった模様。それはさらなる艱難辛苦の一歩でもありそうだ。おそらくこれから「本物」と接触する機会が増えていくだろうが、そのとき主人公たちは何を思い、行動するのか。恩人であるおじさんも登場したが、これまたいいキャラだった。

  • 四巻ということで、「四」に纏わる怪談話から。
    最初は呪いと思わせておいて、やはり怖いのは人の悪意の方。
    しかも解決したと思わせておいての二段構え。
    構成に痺れました。
    相変わらず講義シーンも本当に楽しい。
    自分も学生さんたちに混じっていくらでも聞いていたくなる。

    後半は高槻先生の叔父様に人魚が登場。
    叔父様がどこまでも高槻先生の味方な人で本当によかった。
    そう言えば、今の高槻先生にしてくれた恩人だった。
    そりゃいい人に決まっている。
    過去話に登場した叔父様の周りの人たちも本当にいい人たちで、今のワンコな先生の基礎を作ってくれた場所が暖かい場所で本当によかったと安堵できた。
    しかも、いつでも帰ってきていいよと言ってくれる。
    そんな人たちがいてくれることは、奇跡のように幸せなことではないだろうか。

    人魚の話は、まさかの方向性でかなり驚いた。
    まさかまさかの本物か?
    明言は避けられた形だが、すっきり解決しなかったのは珍しい。
    しかも不穏な予言も残していっている分、今後の展開に
    不穏さが付き纏うことに。
    でもあの二人ならきっと乗り越えられると信じている。
    今の二人なら、大丈夫な筈だ。

    そう言えば、「四」に纏わる話の方では、尚哉の理解者が登場し、それにも驚いた。
    高槻先生とはこれまた方向性の違う理解者。
    もしかして、他にも……と、可能性が広がった。
    高槻先生たちの世界は、まだまだ広がっていて、奥行きが見えないのである。

  • 少しだけ高槻教授の過去が見える。

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著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

澤村御影の作品

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