- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041092699
作品紹介・あらすじ
「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。
“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”
本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れて――。
「呪われて、読む。そして書く――私たちは!」
森見登美彦氏 推薦!
※電子書籍版には特典として、カバーイラストコンペ応募作品のイラストギャラリーを収録しています。
感想・レビュー・書評
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本に関するお話だと思って読みましたが、期待値があまりに大きすぎて私はややはずれた感がありました。
ファンタジーは苦手です。
読長町という町に書物の蒐集家で評論家の御倉嘉一の膨大な書庫、御倉館があります。
稀覯本200冊がそこの書架から消え失せてしまい、狐神により書物のひとつひとつには奇妙な魔術がかけられています。
そこの孫である、あゆむとひるねの兄妹。
あゆむの子供である深冬が主人公です。
深冬は呪いがかけられ、本の世界に入り込み、犬耳の少女真白とともに、次から次へと違う本の世界に入って冒険をします。
誰かが、本を一冊盗むたびに新しい本の中の世界に入っていきます。
本の中の世界は現実では友だちでも現実とは違う役割を演じていますが、そういうあれこれを、私はファンタジーが苦手なので、本の中の世界はなじめませんでした。
第五話の謎解きは、最後にたたみかけるようで、面白く、真白や、ひるね叔母さんの出生の秘密が特に面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか素敵な装丁だと思う。
タイトルも良い。
巨大な書庫「御倉館」から盗まれた稀覯本と泥棒を追って、本の世界を旅する本嫌いの高校生、深冬の物語。
ファンタジーなので、好き嫌いがあるかと思う。
「極上の現実逃避」ができるか否かは人によると思う。展開が目まぐるし過ぎて僕にはちょっと難しかった。
御倉館は僕の頭の中ではところざわサクラタウンの角川武蔵野ミュージアムのイメージだった。描写は全然違うけど。
ー 無性にすかすかする胸を埋められるのは、本しかなかった。
冒険から戻ったあと、読書に耽る様になった深冬の心情を描いた記述。響いた。これって本好きな人なら皆共感できるんじゃないかな。-
たけさん
なるほど~
そうでしたか!
わたしは「1979年のピンボール」(79年で合ってます?)が好きでした。
今はもう春樹さん離れちゃ...たけさん
なるほど~
そうでしたか!
わたしは「1979年のピンボール」(79年で合ってます?)が好きでした。
今はもう春樹さん離れちゃったんですけどね…
だいぶ作品とずれたコメントを失礼致しましたm(_ _)m2021/04/10 -
naonaonao16gさん
どうも、1973年っぽいです(笑)
僕も最近の春樹さんの長編はついていけないファンタジーだと感じてしまいま...naonaonao16gさん
どうも、1973年っぽいです(笑)
僕も最近の春樹さんの長編はついていけないファンタジーだと感じてしまいます。
少し苦手です(笑)
ファンタジーの話なので、ずれてないです。ご心配なく!2021/04/10 -
たけさん
なんと(笑)お恥ずかしい(笑)
79年はBUMPのメンバーの生まれ年、KinKiのお二人の生まれ年でした(笑)
ありがとうござ...たけさん
なんと(笑)お恥ずかしい(笑)
79年はBUMPのメンバーの生まれ年、KinKiのお二人の生まれ年でした(笑)
ありがとうございます!2021/04/10
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子供が読んでいたものを拝借。
こってりファンタジーを読む気持ちを作らないまま、読破してしまい、戸惑ってます。
読み終わってから、『ベルリンは晴れているか』『戦場のコックたち』と同じ作家さんであることに気付き、これまた戸惑う。作風が全然違う!
さて、気持ちを整理して。
高校生の深冬は、街で有名な本の蒐集家の家系に生まれますが、本好きではありません。
ある日、家の書庫から本が盗まれるという事件が発生し、現場には、メッセージが残されています。
それは、「この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる」というもの。
そして本の呪いにより、深冬の住んでいる街は、本の世界へと変わってしまいます。街を元に戻すために、深冬は、本の世界を冒険することになります。
読み終わって感じたのは、不思議な世界に連れてこられたのはわかったけど、この世界観はなんなのか?そして、この結末はどう解釈すれば良いのか?ということ。
まず不思議な世界観は、ブックカースという呪いで、現実の街が本の世界に飲み込まれるという設定。そしてブックカースという魔術的=西洋的な呪いが、日本的なお稲荷様との、なにやらダークな契約を交わしているという和洋折衷感(契約というのも西洋的)。想像の世界とこの世をつなぐ、あの世の一歩手前の世界、「煉獄」(ファンタジーとホラーが絡み合っている)。そして人ならず者、ひるね、真白という謎の存在(この2人はモンスターというより座敷童子的な感じだけど、真白に関してはもののけ姫のサンのような、ネバーエンディングストーリーの犬みたいな龍のようだったりと‥)。
この世界感を消化しきれないまま、後半戦は結末まで一気に読ませられます。
そして結末は、どういうこと?ってなる。
謎の存在、真白が結末に深くかかわってきますが、その存在をどう解釈するかにしばらくうなされました。
(きっと真白は‥なんだと解釈)
こんなことをうんうん考えさせられている時点で、すっかり本の呪いにかかっている気がしてきました。
こんなにも自由な作家さんだったなんて。 -
タイトルが示すとおり、「本をめぐる本」の系譜にある1冊です。
本に関連する多種多様な店が立ち並び、全国から本の蒐集家が集う書店街を擁する町、読長町(よむながまち)。その真ん中に位置するのが、著名な書物の蒐集家にして評論家が建てた「御倉館(みくらかん)」。地下二階から地上二階までがすべて書庫(!)であり、かつては町の誰もが一度は訪れたほどの町の名所だったが、同じく蒐集家であった娘のたまきが引き継いだ後、その御倉館から約二百冊の書物が盗まれ、激昂したたまきにより御倉館は閉鎖されてしまう。
やがて、たまきの孫にあたる深冬(みふゆ)が小学生のとき、祖母たまきが逝去すると、ある噂が流れるようになった。それはたまきが、厳重な警備だけでなく、町の神社で書物の神様として祀られている稲荷神に頼んで、御倉館の書物のひとつひとつに奇妙な魔術をかけたというもの。
そして、深冬が高校生になった初夏。本が大嫌いで、御倉館のことも避けてきた深冬だったが、入院した父あゆむの代わりに、ひとり暮らす叔母のひるねの様子をみるために御倉館を訪れると、名前のごとく眠りこけているひるね。その手に一枚の御札を見つけ、つまみ上げてそこに書かれた文字――“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”――を読み上げると、どこから現れたのか、傍らには雪のように白い髪のあどけない少女が立っていた。驚き混乱する深冬に、少女は真白(ましろ)と名乗り、本が盗まれてしまったことで「呪い」が発動した、と告げるのだった。
――「信じて。深冬ちゃんは本を読まなければならない」
現代を舞台に、現実主義的な女子高生を主人公に据えた、“ブック・カース(本の呪い)”なる超現実的な現象をめぐる冒険ファンタジー。2015年『戦場のコックたち』、2018年『ベルリンは晴れているか』と、歴史を下敷きに入念な調査の末に織り上げた重厚な作品を続けて発表したことで、ミステリファンだけでなく文学読みの人たちにも確実に認知と評価を高めてきた印象が強くあった中で発表された今作。著者ご自身も「運動神経で書いた」と述べているように、前2作とかなり趣が異なるのは確かだけれども、いやいやこれ、ものすごく愛おしくて豊穣な作品じゃないですか!
マジック・リアリズムにハードボイルド、スチームパンク的SF冒険譚と、現実の読長町を呑み込み変貌させてしまう“ブック・カース(本の呪い)”を引き起こす、1話毎に風味の変わる作中作のバリエーションの豊かさ(目次でピンときた人も少なくないはず!)に頬が緩んでいくこと必至。
初めは目の前の超常的な出来事が理解できず、「これだから本は嫌いなのに」と叫びながら真白に手を引かれるばかりの深冬が、けれどもだんだんと明らかになる本を盗んだ犯人とその理由の謎を自らの意志で追いはじめ、バディとなって疾走する深冬と真白の姿に心が躍ります。そしてその先で御倉館と盗まれた蔵書、そして真白の正体をめぐる真実に辿り着いた時に、胸を埋め尽くす懐かしさと切なさたるや。
本が好きな人はもちろんのこと、深冬のように「本なんて嫌い」という人にこそおすすめしてみたい、著者の新たな代表作だと思います。 -
本の町の中にある個人の蔵書館「御倉館」御倉深冬は本が好きではないが管理人の父の手伝いとして時々館を訪れ、そこに住む叔母のひるねの世話をしていた。ある日御倉館から蔵書が盗まれた時に発動する呪いに巻き込まれた深冬。呪いとは本の世界が現実に侵食していくものだった。本を盗んだ犯人を捕まえない限り呪いは解けない。深冬は発動する度に現れる謎の少女真白と泥棒を捕まえに行く羽目になる。呪いで発動した物語の世界がファンタジックだったりハードボイルドだったりと魅力的だが深冬と一緒に呆気にとられているうちに話が畳まれてしまい消化不良。このままだとどうもな、と思っていたら呪いの発生に繋がる世界に入り、深冬自身の成長が見られるようになってからはさくさく読めた。でも前半の良くない印象が拭いきれず。残念。
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読長町・御倉館から"この本"が盗まれることから起こる物語。第三話まではファンタジーのようで今一つ集中できなかったが、第四話でばあちゃんが出て来てからは、終わりまで一気読みだった。読長町のような街があると良いな、と思った。
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ジャンルとしては、ある意味、王道のファンタジーで、ストーリーも起承転結、綺麗にまとまっていると思います。読んでいて、普通に楽しめるのだけど、私的には何かが足りない気がする。
物語は、悩み多き主人公の成長物語で、特種な家系での葛藤や、謎の少女、様々な本の世界での冒険、そして、これまでの真相・・と、おそらく好きな方もいらっしゃると思います。
ただ、私としては、本の集まる「読長町」の設定が、いまいち臨場感が薄くて、本好きの人が胸躍る世界観というわけでは無いのが、まず一つ。
もう一つは、「真白」の設定ですかね。ネタばれになるので詳細は控えますが、ファンタジー特有の、「何でもあり」な点は、時に心に響く場合もあるが、今回は、そうではなかったかな。終わり方も、あれで良いとは思うけど、あまりにストレート過ぎるのも、うーん。意外性に欠けるというか。思っていた通りの展開なんですよね。
それから、本の呪いと「たまき」の真相については、裏をたどると、それをしたいが為の設定だったのかとも思えそうで、何だか、やるせない気分になりました。ある意味、今作で一番の被害者は、たまきなのかもしれない。 -
タイトルからミステリーかと思っていたが、読み始めたらファンタジーだった。現実の世界での本泥棒を本の世界で探す。こう書くとなんだかややこしいな。でも読んでみるとなかなか面白かった。家が図書館っていうのは憧れるなぁ。
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巨大な書庫「御蔵館」の管理人をする本が嫌いな高校生の深冬。本が盗まれたことにより起こる不思議な物語の世界へ飛び込むことになる。深冬が住んでいる町の人たちも巻き込んで起こる冒険小説。毎回色々な小説の中に入るので1冊で何度も物語が読める美味しさがあるということで本好きの方にはお得感があるだろうか。その設定は面白いな~と思いながら読んだけれど、何だか自分には跳ねるものが少なかった。たぶん登場人物にさほど魅力を感じなかったからかも。主人公も他に出てくる人物たちもさほど個性的には見えず、印象に残ることもなかったものでワクワク感が少なかった。これはきっと好みの問題なのだろう。ラストにかけてのミステリー的要素は面白かったし、色々な物語に入るという設定は良かったけれど全体的に何かが物足りなかった。
著者プロフィール
深緑野分の作品






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