発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 115
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092910

作品紹介・あらすじ

味噌、醤油、ヨーグルト、日本酒、ワインなど、世界中にある発酵食品。著者はあるきっかけで“発酵”に魅せられ、日本だけでなく世界各地に伝承された美味なる食品を求めて旅をした。発酵とは、見えない自然を捉え、ミクロの生物と関係を結び、暮らしの中に喜びを埋め込む。この総体が発酵文化であり、そのローカル文化を通して人類の不思議を解くのが「発酵文化人類学」。発酵には、オーガニック、美容、ライフスタイル、イノベーションへの発展の側面があり、単なる食品にとどまらず、人間にとっての未来の可能性があり、歴史・文化を見直すきっかけになる。発酵は、今、人類の未来を左右する最も注目を集めている分野のひとつと言える理由がそこにある。
著者は発酵のしくみや人間と微生物との関わりを学ぶ中で、発見した。発酵には未来と過去があり、“微生物と人間の共存”は社会を見直すキーワードそのものだということを。
生物学、哲学、芸術、文化人類学などの専門用語を平易に解説した待望の文庫化。参考文献満載。解説・立花ケンチ(EXILE)

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかった。かつて学んだ文化人類学がこんなふうに立ち上がってくるのはとても楽しい。特にPART2の風土と菌のブリコラージュは、著者の考え方が伝わってきて興味深く読めた。
    ただ、読みにくい。本書がおもしろくてわかりやすいこととは別である。ブログを元にしているということだからか、体系的ではなく(そこは著者も冒頭で述べている)、見出しがないのも難点だろう。大文字が見出しかと思いきや違ったり、所々に1行空きが挿入されるのもブログの名残りか。図と文章の連携も甘く、これは著者のせいというよりは編集者のせいとも言える。
    日本各地の醸造文化の紹介にはワクワクさせられる。続刊に期待!

  • 発酵文化人類学

    発酵の仕組みと文化人類学を初めて学ぶには、非常に良書。個人的には文化人類学に関しては既知情報が多かったが、発酵の仕組みを学ぶことができたのは面白かった。発酵とは、腐敗と紙一重の奇跡であり、人間の役に立つかで正否が決められている唯心論的なものであるという冒頭の一文は唸らせる。
    発酵とブリコロールのところでは、日本の農村の大豆の使い方の多様性に改めて驚かされる。農村では、米、大豆が主な収穫物であるが、大豆をもとにした醤油、味噌、豆腐、納豆、米をもとにした米麹や日本酒など、非常時にバラエティに富んでいる。豆腐の味噌汁なんでものは塩と大豆に工夫を凝らしたものにすぎないが、その工夫というのがまさに発酵なのである。発酵は保存の手段でもあるが、それを利用することで、バラエティの少ない食物から、彩り豊かな食卓を作る触媒でもある。発酵おそるべしである。
    なお、発酵とは、微生物を媒介とする人間と植物の輪の循環というのもいい得て妙だ。ここではマルセルモースの贈与論などが引かれているが、コミュニケーションとは常に過不足があり、永久機関のように回り続ける。贈答品のやり取りそのものに意味はなく、そのやり取りによって立ち上がる交流の輪にこそ意味がある。ここに、西洋哲学の基本概念である自由意思を持った個人の解体を見ることができるが、発酵とは、微生物を介した人間と植物、ひいては自然界のループの一つのブリッジにすぎない。そして、発酵を学ぶことで、我々もまた、大きな視野でみれば、チェーンの一つであるとも感じられる非常に大きな示唆があるのであった。
     後半は、日本酒、醤油、ワイン、味噌づくりなど多くの発酵食品を手掛ける若手の起業家に注目されていたが、現在、高級ブランド化している日本酒や醤油などは、ハイリスクハイリターンの製法で臨んでいるからこそ価値があるということがわかった。発酵は一歩間違えると腐敗となる。そのため、資本主義は加工や無菌室などをうまく使って腐敗が起きる可能性を減らしてきた。しかし、今のブランド化している日本酒や醤油などは、加工によって失われた薫りや味わいなどを求めて、一切加工しないものを志向している。これもまた面白い取り組みである。

  • 発酵が人類の生活を向上させている。しかし発酵と腐敗は表裏一体。人間がコントロールするためには未解明なこともたくさん。醸造家は微生物とのコミュニケーションしている。それを頂きながら醸造家とコミュニケーションする。生きる意味に踏み込めるテーマ。面白かった。

  • なかなか濃い内容。
    日本酒好きワイン好きの方は読むと面白いかも?

  • 面白そうだな~と思ったのですが、なんか思っていた感じとはちょっと違いました。何がどう違うとは言葉にしにくいのですが。別に専門書を読もうと思ったわけでもないのですけどね。
    文化人類学と発酵がどうこう言われてもなぁ~という感じ。人間だけではなく、生き物の糧食にかける労力の使い方は目を見張るものがありますしねぇ。お腹に酵素を仕込んで植物を分解する動物とか、蟻がキノコを栽培したり、葉を発酵させたりとかありましたよね、確か。
    なので生きる=食物を確保する、という地道で根気のいる作業は生き物アルアルなんじゃないのかな~

  • 2020.7
    発酵についての本を大きく超えて、人や社会の形を問う本。発酵や微生物や菌との関係から人間や社会を考えるとこんなにおもしろいことになるのか。この世にいる生き物のひとつとしての自分のこれからの生き方のスタンスが何となく見えた。上に前に成長して進化して…じゃないな、もう。足元や全体や見えないものを感じて環の中の個としていってみようかなと。

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著者プロフィール

発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発やワークショップ、イベント、講演会などを開催。東京農業大学で研究生として発酵学を学び、山梨県に発酵ラボを作り、日々菌を育てている。絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。大学で発酵学の講師を務めるほか、海外でも活動。2019年渋谷ヒカリエで発酵ツーリズム展を開催。20年4月には下北沢に『発酵デパートメント』ショップをオープン予定。

「2020年 『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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