アノニム (角川文庫)

  • KADOKAWA (2020年7月16日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041092941

作品紹介・あらすじ

ジャクソン・ポロック幻の傑作が香港でオークションにかけられることになり、美里は仲間とある計画に挑む。一方アーティスト志望の高校生・張英才のもとには謎の集団「アノニム」からコンタクトがあり!?

感想・レビュー・書評

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  • 年齢を経るごとに名前などを覚えられなくなっているので、洋物を避けていたのですが、つい原田さんと思って買ったら大変でした。
    香港を中心に世界中の話題が。中国人名も地名も現地読みの振り仮名が付くものの、メモをしていないので、同じ名前が出るごとに前に戻って確認作業が入る。
    同様にアノニムのメンバーも、一人を除き外国人。正業の他にアノニムの愛称があり、両方の名前を使い分け。正業の他に幾つもの組織が現れ、美術品を巡り大騒動。誰が誰やら、敵か味方か理解に時間を要する。
    美術品に関しては流石の内容で、本自体は読み切ったが、非常に苦労した読書だった。

  • 漫画ライクなアートエンターテイメントストーリ
    冒頭に登場人物がイラストで紹介されていて、ライトノベルといった感じ。

    ストーリとしては、
    様々な業界の表で活躍する一流の人たちが集まったアート義賊団、アノニム。盗難された美術品を盗み出し、修復までして持ち主に返す集団です。
    そんなアノニムの今回のターゲットは、ジャクソンポロックの幻の作品「ナンバーゼロ」
    これをオークションで落札しようとしているコレクターとの戦い。
    オークションで史上最高価格で落札させる一方、贋作を渡すといった展開。
    その贋作を描くのが、高校生の英才。
    英才の想いが、そして、アノニムの想いが語られる物語です。

    このアノニムの使うガジェットがすごい(笑)、映画で出てきそうなシステムばかり(笑)
    そもそも登場人物の設定も億万長者だったり、美術史の権威だったり、建築家だったり...
    まさに、漫画ライクなエンターテイメントです。

    しかし、英才が最後に語ったスピーチが熱い!
    原田マハさんの熱い想いが伝わってきます。

    「ポロックは、一枚の絵を通して、おれたちに教えてくれている。もしも目の前にドアがあるなら、まずノックしてみろ、と」
    「アートには世界を変える力はないかもしれない。けれど、ひょっとすると、アートで世界を変えられるかもしれないと思うことが大切なんだ」

    楽しめました。
    お勧め。

  • ルパンとかオーシャンズシリーズのような華麗で最新鋭な技術を使い、致している事は鼠小僧のようにあくまでアートのために。
    アート関係各界のトップクラスのメンバーからなるアノニムというチーム。そしてそのチームリーダーのジェットによるテンポの良いストーリーで、サクサク読み終えました。
    原田マハさんのアートについての作品が好きで、今回も楽しませて頂きましたが、欲を言うとポロックについての深掘りも見たかったかなぁと。いつも沢山の画家と作品が出てきて、(全く無知故に)ネットで調べながら、こんな作品なんだ〜!って思いながら読むのも楽しみで。
    また、メンバーそれぞれの事情ももう少し知りたかった!頁数が少ない!って思うくらい面白かったんですけどね。英才君のその後とかね。

    ジェットが素敵でした♡

  • ボロックというアーティストを初めて知り、近代アートにも興味が湧きました。やはり背景を描くのが秀逸です。

  • 原田マハさんのアート系小説。本作の舞台は香港。ジャクソン・ポロックの幻の名画「ナンバー・ゼロ」のオークションを中心とした物語。善と悪の対立が分かりやすく、世界各所で活躍する8名から構成されるアノニムという集団の連携の様子やスケールの大きさが、まるでアクション映画を見ているかのようだった。『暗幕のゲルニカ』をはじめ、いろいろな作品の中でマハさんの、アートの持つ力に対する並々ならぬ熱意を感じてきたが、本作でもそれを十分に堪能できる。印象派やピカソよりも後に出てきたポロックの現代美術を取り上げ、西欧や日本以外のアジアを舞台としている本作は、他のマハさんのアート系作品と少し毛色が異なるものだった。

  • 原田マハ『アノニム』角川文庫。

    登場人物のイラスト漫画が掲載されている時点で少し嫌な予感がした。本作で初めて、信頼していた原田マハに裏切られるのか……

    これまでの原田マハ作品は1つのテーマを冒頭からゆっくりとじっくり丁寧に描いていたように思うのだが、本作はエンタメ性が強く、これまでに読んだ原田マハ作品を全否定するかのような作品だった。しかし、さすがは原田マハ。アートに関連する知識がふんだんに盛り込まれ、ストーリーは面白い。残念なのは、ラストが『暗幕のゲルニカ』と同じパターンであったこと。『暗幕のゲルニカ』を読んでいなかったら、かなりの爽快感を味わえたと思う。

    盗難された美術品を人知れず盗み出し、持ち主の元に返す謎の窃盗団『アノニム』。IT長者のジェットが率いる『アノニム』のメンバーたちは香港のオークションに出品されるジャクソン・ポロック幻の傑作『ナンバー・ゼロ』をある人物に史上最高価格で落札させ、それをある人物の手元に届く前に贋作にすり替えることを目論むが……

    本体価格680円
    ★★★★

  • アノニムメンバーのミッションインコンプリートと高校生の甘酸っぱい恋という事か。登場人物が多くて登場回数も限られてて薄いかと、なんだか計画を計画通りになるのを目で追った感じ、あとどんでん返しもないかと。で何が言いたいかというと、この作品はキュレーター原田マハさんでなければ書けないのが一番のみそ。

  • 世界を股にかけ暗躍する美術品窃盗団アノニムが、香港で開催される現代美術のオークションで狙ったのが、ジャクソン・ポロックの作品、"ナンバー・ゼロ"。
    そして、アーティストを夢見る香港の高校生、張英才にアートで世界を変えられると信じさせ、ナンバー・ゼロのコピー作品を描かせて、オークションで落札した本物とすり替える。

    巨額の富が動くアートの世界の裏側を描きつつ、香港の決起集会に参加する高校生の思いを描いたストーリーは、スリリングでありながら、微笑ましい場面もあり、すっかり引き込まれてしまった。

    やはり、原田マハさんの作品は面白い。

  • 原田マハさんの他のアート小説とは色が異なり、ポロックの作品を取り巻くアート窃盗団のお話。表の顔は様々な業界のトップランナー、裏の顔は悪からアートを守るために活動するアート窃盗団。対立軸が明確でわかりやすい漫画チックなエンタメ小説です。

    個人的には史実を織り交ぜ画家自身の人生を重厚に描いたアート小説の方が好みではあるけれど、読み口はライトながら原田マハさんのアートを信じる気持ちが伝わってくる作品です。

    【アートが発信するメッセージは、幾千の言葉よりも饒舌なことがある】
    【アートには世界を変える力はないかもしれない。けれど、ひょっとすると、アートで世界を変えられるかもしれないと思うことが大切なんだ。ピカソも、ポロックも、その思いを胸に描いた。】

  • 香港で行われるオークション。その目玉出品は「アクション・ペインティング」の旗手ジャクソン・ポロックの幻の作品 "ナンバー・ゼロ"。オークションを舞台に、狂気のコレクター〈ゼウス〉と、とても盗まれた名画を元に戻す謎のアート窃盗団〈アノニム〉の戦い。そしてアノニムは、アーティストを目指す香港の高校生、張英才の才能を見出だし、肩入れする。

    まるでコミックのような軽い作品。ラノベなのかな? 著者の他の作品とは明らかに違う作風だった。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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