虜囚の犬

著者 :
  • KADOKAWA
3.43
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本棚登録 : 266
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092958

作品紹介・あらすじ

穏やかな日常を送る、元家裁調査官の白石洛(しらいし らく)は、
友人で刑事の和井田(わいだ)から、
ある事件の相談を持ち掛けられる。
白石がかつて担当した少年、薩摩治郎(さつまじろう)。
7年後の今、彼が安ホテルで死体となって発見されたという。
しかし警察が治郎の自宅を訪ねると、そこには鎖につながれ、やせ細った女性の姿が。
なんと治郎は女性たちを監禁、虐待し、
その死後は「肉」として他の女性に与えていたという。
かつての治郎について聞かれた白石は、
「ぼくは、犬だ」と繰り返していた少年時代の彼を思い出し、
気が進まないながらも調査を開始する。
史上最悪の監禁犯を殺したのは、誰? 
戦慄のサスペンスミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 穏やかな日常を送る、元家裁調査官の白石洛は、友人で刑事の和井田から、
    ある事件の相談を持ち掛けられる。
    白石がかつて担当した少年、薩摩治郎。
    7年後の今、彼が安ホテルで死体となって発見されたという
    しかし警察が治郎の自宅を訪ねると、そこには鎖につながれ、やせ細った女性の姿が
    なんと治郎は女性たちを監禁、虐待し、その死後は「肉」として他の女性に与えていたという。
    かつての治郎について聞かれた白石は、「ぼくは、犬だ」と繰り返していた少年時代の彼を思い出し、
    気が進まないながらも調査を開始する。

    白石は友人の刑事・和井田から相談を持ち掛けられて捜査を開始する。
    しかし、白石はある事件があって家裁調査官を辞め妹のマンションで居候。
    主夫をしていた。
    まだ心の傷は塞がってはいない。
    プロローグは、女性が監禁され犬の首輪鎖につながれている。
    女性を侮蔑する言葉の数々・怒声・聴くに堪えない暴言や嘲笑。
    嘲りの儀式は影(犯人)が飽きるまで続く。
    犬用の皿にドックフードと水を四つん這いで食べるしかない。
    プロローグからおぞましかった。

    監禁・虐待・洗脳…実父や義父からの子供への性的虐待。
    話では読むし、時々裁判になってたりする
    頭ではわかっている。鬼畜の様な親がいる事。
    様々な虐待を受けて育っている子がいることもわかってる。。
    虐待が虐待を呼ぶことも聞いている。
    しかし、やはり残ったのはやるせなさと気持ち悪さばかりだった。
    最後のどんでん返しにはとても驚いた。
    エピローグを読んでプロローグが誰かわかった…。
    悲しいなぁ。

    やっばり櫛木さんの物語読んでしまうけど、おぞましい…。

  • おぞましい一冊。

    櫛木さん、容赦なく描くなぁ。とある殺人事件を発端に浮かび上がる世にもおぞましい事件。

    キツい描写にこれは小説と言い聞かせ心も脳内映像もシャットダウン。

    この事件から炙り出されていく、一家の忌まわしい過去、犬という気になるキ-ワ-ドがとてつもなく心をざわつかせる。

    もつれ絡まる鎖のような人間関係、ついに明らかになる真実、真犯人、衝撃と共に頭を整理。

    支配、コントロール、その言葉が頭にこびりつき、おぞましい残虐な描写にミステリの仕掛け、驚きも霞むほど…。

    人を人とは思わない行いに言葉が出ない。

  • 父親に虐げられて育った、薩摩治郎がホテルの一室で殺された。しかし、治郎の家の離れの地下室から、監禁された女性が見つかったことから、過去の事件に繋がっていく。
    首輪をつけられて、食事として与えられていたドッグフードには、保護された女性の前に監禁されていた女性の人肉が混ぜられていた。
    虐待は虐待を生むというのは、本当なのかも知れない。
    治郎の父親も、母親も親から虐待されて育っていた。
    反面教師にして、一生懸命に子育てしている人もいるだろうが、自分が親にされてきたような子育てになる人のほうが多いような気がする。
    過去の事件まで遡ると、グロい猟奇的な内容だけではなく、人格が形成されていく過程での愛情のかけ方がこれほどまでに影響するのだと悲しくなる。
    あずさこと、志津の人たらしテクニックは、素直に凄いと思った。

  • おもしろかった!
    内容はなかなかハードですが、
    読んでると続きが気になる展開が次々と続いて
    ラストは「おお~!」
    どんでん返しのおもしろさ!

    ある事件から主婦的な日々を過ごす元家裁調査官の白石洛
    彼の元に友人で刑事の和井田から相談を持ち掛けられる
    白石が担当していた少年・薩摩治郎が殺されたという
    単なる殺人事件と思いきや…
    薩摩の家には女性が監禁されていた
    さらに調べると他にも監禁された女性がおり
    監禁された女性に死んだ女性の肉を与えていたという…
    史上最悪の監禁事件を起こした犯人を殺したのは誰?
    その事件には恐ろしい真実が隠されており…

    櫛木理宇さんの作品は読んだことなかったのだけど
    他の作品も読んでみたい~!

  • ビジネスホテルで男性がめった刺しにされ殺害される事件が起きる。
    その被害者宅を訪問した刑事たちは隠し部屋に監禁されている女性を発見する。
    女性は他にも監禁されていた女性がいて、その女性は以前死んだ、さらに、他にもこの家で殺された女性がいたのだと言う。

    過去のトラウマにより、今は仕事を辞めて妹の家事をしている元家裁調査官の男性は、友人の刑事にビジネスホテルで殺された被害者について聞かれる。
    被害者は主人公が家裁調査官だった頃、担当した事のある少年だった。
    少年は横暴な父親によって虐待を受け、その頃は気弱でとても女性を監禁、暴行するようには見えなかったが・・・。
    事件に興味をもった主人公は単独で被害者男性の周囲を探っていく。
    そうする中で、事故でなくなった被害者男性の父親を恨んでいた一家の存在が浮上する。

    それと別に、複雑な家庭環境の高校生の少年二人の話が途中から描かれる。
    一人は義理の母親に虐待を受け家にいられない少年。
    もう一人は少女のような美少年で、カリスマ性があるが、サイコっぽい所のある少年。
    虐待を受けていた少年は声をかけてきた美少年にどんどん惹かれていく。
    ビジネスホテルの殺人事件に異様に興味をもつ美少年の様子を見て、実は彼が犯人なのでは?と思うようになる。

    あっという間に読んでしまった。
    最近、集中力がなくて本を読むのに時間がかかるけど、この本は一気読み。
    上手に読まされたな・・・と読み終わって思う。
    ストーリーに惹きつけるのがとにかくうまい。
    最初の場面で監禁されているのは誰だろう?と思うし、読み進める内に、本当に殺された男性が女性たちを監禁していたのか?とか、もしそうならその理由は?と思う。
    さらに、少年二人の話に場面が変り、この話はどうつながるんだろう?と思う。
    ・・・という風に引きつけられた分、結末と真相にはイマイチ・・・という感じになった。
    そこまでする説得性が感じられなかったのは犯人と、その犯行理由になった「アズサ」という女性とのエピソードが無かったからだと思う。
    そこがあればもっと感じる所もあったのに・・・。
    あえて書かなかったのは犯人像が少し読めてしまうからかな・・・と思った。

    この本では結構な暴力シーン、レイプ、近親相姦というものが描かれているけど、読後感は悪くない。
    何故かというと、主人公の男性がこの事件に関わる事によって再生していくという物語でもあるから。
    過去の不幸な事件により、心の傷を負って、何年も家に引きこもるような生活をしていた主人公の男性。
    そんな人が事件の事を知って、当時の関係者に聞き込みのような事をしていくのは見ていて「すごい・・・」と思った。
    そして、行動する事によって自身が知らない内に変わっている。
    何年も罪悪感を抱えて仕事まで辞めてしまった主人公だけど、そういう人だからこそ、信頼できる人だと思うし、人の心の痛みが分かる人だと思った。
    それで、何もないようにしれーっとできる人が自分担当のカウンセラーなら私は嫌だと思う。
    それと、反対の性格のように思える、主人公の妹や友人の刑事。
    彼らを見ると、シンプルに健康的に生きる事が素晴らしいと思える。
    ただ、そういう人には、この小説は書けないだろうと思った。

  • 人が人をトレースする。如何に自らが望まずに受けた事であろうとも。まさにそれは呪いなのだと思う。その呪いを繋ぐ家族とは、親子とは。痛みが滲む読後感。登場人物の生き様をトレースできるしっかりした世界観。これはおすすめしたい。

  • 元家裁調査員白石と彼がかつてかかわったことのある少年、そして白石の友人で警察官の和井田のパートと、優等生だけど家庭では義母から疎まれ虐待されている少年海斗と街で知り合った美しくも残酷な少年未尋のパートが交互に語られる。二つの物語をつなぐのはホテルで起こった殺人事件。この事件が世間の注目を浴びるのは被害者が自宅で女性を監禁し、その庭には二つの死体が埋められていたという猟奇性によるもの。
    被害者をかつて担当していたのが白石。捜査している友人と二人でその家で何が起こったか、を掘り返していくとそこにあったのは…という話。

    「虜囚」という言葉だけでも充分不穏なのにそこに「犬」という漢字を加えたとたん、何とも言い難い嫌悪感を醸し出す。しかもこの表紙だ。とらわれているのは明らかに女の子。すべてをあきらめたような、死んだ目をしている。だが、本当は…という、あぁ、言えない、言えないのがもどかしい。

    表面に見えている猟奇的な女性監禁殺人死体遺棄事件と、その向こう側にある、信じがたくおぞましい過去の虐待。
    キーワードは「犬」
    私が持つ会話のボキャブラリにはない言葉をつい叫びたくなる。
    「胸糞悪い!!!!」
    吐き気がするほどのおぞましさ。人としての常識、当たり前と思っている感覚をいともあっさりと叩きのめされる。なのに先が気になって止められない。自分の中にある残虐な興味が刺激される。
    あぁあああ、それにしてももう缶詰の肉が食べられなくなりそうだ。

  • なかなかキツかった。

  • 宮部みゆきさんの「模倣犯」の一部分を見ているかのような空気感、不気味感で、終始気持ちが悪かったです。

    気分を害する部分もありますので、読むときはご注意を。
    他のレビューを見て、覚悟はしていましたが、人間って、何でこんなに酷いことができるのかと思うくらい、うわーと驚くばかりでした。

    殺人事件を追うだけでなく、主人公・白石がどうして家裁を辞めたのか、過去も徐々に明らかになっていくので、色々読み応えがありました。

    途中からは、別のストーリーが同時進行していき、それがどのように本線とつながるのか、グイグイ世界観に引き込まれました。
    そして二つのストーリーが繋がった瞬間、帯に書いてあったどんでん返しの展開になりました。期待値が上がった分、個人的にはアッと驚くような感じではありませんでしたが、別の方向から攻めてきたので、意外な驚きがしました。

    虐待や育児放棄など闇の部分を扱いながら、読者をミスリードしていく展開などミステリーとしての面白さもありました。気持ち悪かった部分もありますので、心して読んでください。

  • 元家裁調査官の白石は、かつて担当した少年が女性を鎖に繋いで、自宅の地下に監禁していたことを知らされる。自分の知る彼と事件の様相に違和感を覚えた白石は、彼の心の闇を知るべく調査を始める。

    監禁され犬のようにドッグフードを食べさせられる描写で始まるプロローグ。首輪をはめた女性が膝を抱えてうずくまる表紙の絵とあわせ、この後続くおぞましい展開を予想させる。
    そして予想通り、監禁、暴力、レイプに虐待、支配と、櫛木さんらしい残酷な描写がてんこ盛り。
    でも、残酷なだけでなく、最後にどんでん返しが用意されていて、きちんとミステリとして成立しているから、櫛木作品はグロくてもついつい読んでしまう。

    第三章で海斗と未尋という中学生の話になり、突然の視点の転換に戸惑いつつも、どう繋がるのかますます先が気になり一気読み。
    登場人物も多いし、少年の過去をたどっていくため、人間関係と時間軸を把握するのが少し難しい。最後まで読んで、やっとすべてが理解でき、すっきりした感じ。

    相変わらず悪意に満ちた話ではあるけれど、白石が過去のトラウマから立ち直り、新しい道を歩んでいる姿が救いとなり、読後感はそんなに悪くない。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年、『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。瑞々しいキャラクターと読みやすい文章で読者モニターから高い支持を得る。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。

「2021年 『ホーンテッド・キャンパス 待ちにし主は来ませり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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