事件持ち

  • KADOKAWA
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041093122

作品紹介・あらすじ

【ぶつかりあう報道と捜査の信念!元新聞記者の著者が描く傑作ミステリ!】

千葉県下で起きた連続猟奇殺人事件。
入社2年目の報日新聞の記者・永尾哲平は事件直後の聞き込みで、被害者2人を知る不審な男・魚住優に偶然接触する。
その後、魚住は失踪。県警一課の津崎庸介も重要参考人として、魚住の後を追う。
捜査情報をつかめずに苛立つ記者クラブは県警批判を開始する。犯人逮捕の手がかりを得られない県警は、ある取引を報日新聞に持ち掛けるが――。
永尾と津崎、2人は交錯する2つの使命に揺れ動く。

▼事件持ち
自分の持ち場で頻繁に大きな事件が発生する記者を表す単語。揶揄でもあり、大きなヤマを踏めるわずかばかりの羨望も混ざっている。


警察とマスコミの双方に存在理由を問う真摯な姿勢。唸るほどの終盤の畳みかける展開。一作ごとに実力をつけてきた著者の熱量の高い力作だ。
――三橋曉さん(書評家)

なんたる臨場感、凄い!フェイクニュースはびこる今だからこそ、この作品が必要!
――内田剛さん(フリーランス書店員)

感想・レビュー・書評

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  • 殺人事件の解決を目指す警察とその報道をする新聞記者の話。始めは登場人物が多くて、誰が刑事で誰が新聞記者か掴み難かったが(被害者やその交遊関係の人数も多い)、事件が解決に向かい出す頃になって、ようやく整理することができた。"記者"という仕事の過酷さが伝わってきた。

  • あらすじ
     事件持ちとは、大きな事件によく出遭う記者のこと。訪日新聞、地方局二年目の永尾は警察廻り担当。殺人事件が立て続けに二件起こる。二人は中学校の同級生だった。たまたま周辺住人を取材すると、同じ中学校の同級生がいたが、彼は姿を消す。永尾は社内の人間関係や、新聞記者とは何かについて考えながら取材する。
     県警一課津崎は父親が優秀な刑事だった。本人は熱血・正義感とは違ったタイプ。しかし、娘のために犯罪のない世の中にしたいと思っている。

     初めて読んだ作者。面白かったー。うすーい層を重ねて行くように、ちょっとずつちょっとずつ取材を重ねる記者。関係者のところも丁寧に何度でも訪ねていく。作者は元新聞記者のようで、新聞ができあがるまでの時間や、警察との関係についても詳しく書かれている。
     事件のストーリーに加えて、仕事小説としても面白かった。新聞の魅力って減っている。新聞を購読している人も減っている。若者で記者になりたい人も少なくなっているんじゃないかと思っていた。作品では合間合間に、数ページにわたって新聞の存在意義とか、記者とはどうあるものかっていう文章もあって興味深かった。

  • 続編があるといい

  • 連続殺人事件を、刑事と新聞記者それぞれの視点で真相を追う。刑事として記者として、葛藤しながらも己の職業に対する矜持と誇り、意義を見出していく真摯さが描かれていました。事件の真相も核となる部分はぼんやりと想像つきますが、伏線の張り方がとても丁寧で面白かった。

  • 面白く、気持ちよく読めました。
    人として踏み外してはいけないラインや人間としての理想が、押し付けなく自然に若い主人から溢れていたのが読んでいて気持ちよかった。

  • 48これまでの冷たく暗い感じの人物表現とは違って、静かでも熱い気持ちが感じられる成長の物語でした。続編読みたいなあ。

  • 新聞の書評を見て面白そうだと思ったもの。初めて読む作家さんなので、最初は読みにくい感じがしたけど、どんどん引き込まれていった。報道とは、警察とは。新聞記者2年目の永尾も捜査一課の津崎も自分の仕事に迷いながらも進んでいく。そして、それぞれいい上司に恵まれている。そして、田淵と山浦というすごく嫌な人間も出てくるのが、またリアル。永尾が被害者遺族の中田のお母さんと話せたところは涙が出た。被害者遺族のルポを思い出す。誰からも明るくいい人と評される、相澤と中田が恨みを買う、というのもいまいち腑に落ちなかったけど、最後の真相が分かるとそこもすっきりして良かった。ミスリードにはまんまと引っかかったけど。書評にもあったけど、報道小説だし、警察小説だし、ミステリーだし、とても読み応えのある本だった。やっぱ書下ろし長編を一気に読むのはいいね。それにしてはレビューが少ないわ。もっとみんなに読まれていい本だと思う。

  • 本作は、私の土地勘が深い場所が舞台となっている作品だけに場所がすぐに頭に浮かんできて親近感のわく作品でした。
    内容はミステリーで、刑事と新聞記者の攻防が主体となり、刑事、記者それぞれの本質は何かと自分に問いながらも、それぞれの使命感をもとに、難事件を解決するという展開で、なかなか面白かったです!

  • 報日新聞の2年生記者・永尾と千葉県警捜査一課の刑事・津崎がある事件をきっかけに、報道と警察の存在意義に悩み、それぞれの正義を求め、成長していく物語。
    連続殺人事件を解決していくミステリというよりも、仕事への矜持を描いた作品として面白く読んだ。

    永尾と津崎それぞれに真面目で、事件に取り組む過程で、社会を良くしたいという自らの理想を確固たるものとしていくところがいい。青臭いとか綺麗事と言えばそれまでだけど、こんな理想を追い求めて働く記者や刑事がいてほしいと思いながら読んだ。

    事件そのものがちょっと物足りなかったのと、2人の真面目キャラが被っていて、途中であの場面はどっちだったけ〜と混乱するところが惜しいけど、最後に距離が縮まった2人のその後をまた見たいから、続編があるといいな。
    伊兼さん初読みですが、好感が持てるので他にも読んでみたい。

  • 2020/12/29 087

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。新聞社勤務などを経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。2015年に『事故調』、2021年に「警視庁監察ファイル」シリーズの『密告はうたう』がドラマ化され話題に。本作は地方検察庁を舞台としたミステリ『地検のS』『地検のS Sが泣いた日』と続く「地検のS」シリーズの最終巻にあたる。他の著作に、『巨悪』『金庫番の娘』『事件持ち』『ぼくらはアン』『祈りも涙も忘れていた』などがある。

「2022年 『地検のS Sの幕引き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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