濱地健三郎の幽たる事件簿

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041094211

作品紹介・あらすじ

新宿にある「濱地探偵事務所」には、今日も不可思議な現象に悩む依頼人や警視庁の刑事が訪れる。年齢不詳の探偵・濱地健三郎は、助手のユリエとともに幽霊を視る能力と、類まれな推理力で事件を解き明かしてゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 連作短編集シリーズ2作目。怪談とミステリのミックスがちょうどいい感じ。『饒舌な依頼人』『それは叫ぶ』はオカルト度が高めでゾワゾワした。『ミステリー研究会の幽霊』は名探偵の推理披露みたいに一堂に会するシーンと解決方法が良くて好み。

  • 心霊探偵・濱地健三郎とその助手・志摩ユリエの活躍を描くシリーズ第二作。
    今回も様々なテイストで楽しませてもらった。
    あとがきにあるように『怪談でもミステリーでもなく、「両者の境界線において新鮮な面白さを探すこと」を目論んで書かれている』作品という特色は伝わった。

    様々な霊現象は何故起こるのか。何故その人に憑くのか、何故その場所にいるのか、何故そんな動きをするのか…等、霊現象から事件の謎解きをするのが楽しい。
    前作にもあったが、霊だからと言って全て分かっているわけではないし、生きている人間と同じように様々な感情や思惑がある。

    しかし心霊探偵は本格ミステリーに出てくる名探偵と違って事件の謎解きをすれば終わりではない。一番の目的は霊現象が起こらないようにすること。
    その解決方法こそが濱地の真骨頂で面白い。時に宥めすかし、時に霊の望みを聞いてやり、時には徹底的に叩く。そして最終話ではまた新しい手法があった。

    霊も人間と同じで様々。思わず慰めてあげたくなる可哀想な霊や何とかしてあげたいと思う霊がいる一方で、どうにも救いようのない霊やそもそもコミュニケーションを取れない霊もいる。
    あの世もこの世の写し鏡のようだ。

    年齢不詳、プライベートが全く見えない濱地だが、『恋に破れた男の気持ちは、わたしだって知っている』というセリフでちょっと過去が垣間見えた。
    ますます霊能力に向上が見えるユリエは濱地の支えになるのか。
    あとがきによると、まだ続編を書かれるつもりのようで楽しみだ。

  • 年齢不詳の紳士・濱地健三郎と、アシスタントのユリエ。
    「濱地探偵事務所」の〈心霊探偵〉を描いた、連作短編集。

    シリーズ第2作だそう。

    幽霊が登場するので、ホラーなのかな、と思っていたら、最初は明るいタッチ。
    幽霊の困りごとを解決してあげるなど、むしろあたたかみのある話も。

    後半になると、悪意のあるもの、強力で危険なものが登場。
    ぞっとしたり、怖かったり、ホラーらしさのある話も。

    幽霊が出て祓う、というワンパターンではなく、毎回趣向が異なり、いろんな切り口でおもしろかった。

  • シリーズ第二弾。

    心霊現象について調査し解決に導く心霊探偵の事件簿七編。

    喧騒とは一切無縁。濱地探偵の静かな佇まい、物言い、依頼人に対しての接し方、解決への導き方、助手との距離感、どれをとっても好感しか持ち得ない。
    そして今作も何度もゾクッとさせられ大満足。

    どれも良かったけれど「ホームに佇む」「饒舌な依頼人」が特に好き。

    怪異、恐怖を感じさせながらもきちんとせつなさを盛り込ませて濱地探偵の優しさで包み込む、そんな事件の終息、余韻が最高だった。

    どんどん魅力を増してくる気がしてならない心霊探偵さん、さらなる続編を希望。

  • 心霊現象が関係する事案専門の探偵、濱地健三郎と助手の志摩ユリエが活躍するシリーズ2作目。前作はミステリ寄りな印象だったけど、今回は「それは叫ぶ」といった悪霊に対抗するというオカルト全開な内容から推理力も駆使する展開までバリエーション豊富。ホラーとしてストレートな恐怖を目指すものもあるけど日常に潜む奇妙が浮かび上がる静かな話が多めな印象。濱地が何時も冷静なせいもあるかな。「ホームに佇む」「姉は何処」「ミステリー研究会の幽霊」が好み。ユリエの能力がだんだん強くなってきているけど危険な目に遭う展開にならないかちょっと心配。


  • 濱地健三郎探偵事務所
    2冊目

    心霊探偵 濱地健三郎と助手の志摩ユリエ
    二人の元に舞い込む依頼は、心霊事案だが、
    濱地が推理を働かせるミステリーでもある。

    不可解、不可思議な依頼は二つとして
    同じものはなく、原則も基本もない。
    常に臨機応変、応用の先の応用。

    有栖川有栖さんの
    本格ミステリーは敷居が高く感じてるため、
    未だなかなか手を出すのに尻込みしてる
    軟弱者なので変わり種が有難い。

    個人的には濱地探偵事務所の電話番号が、
    作品の中で語呂合わせだと書かれていて
    知る人ぞ知る番号となってるのがとても
    気になってます。

  • ホラーミステリというかホラーでもミステリでもないけど、さらっと気分良く読める。
    「饒舌な依頼者」と「ミステリー研究会の幽霊」が好み。

  • シリーズ第2作目ということで、第1作目は未読ですが、全然楽しめました。むしろ、濱地探偵など主要3人の過去が気になり、第1作目を読んでみたくなりました。
    心霊関係を主に扱う年齢不詳の探偵と探偵と一緒に仕事しているうちに霊が視れるようになった秘書の2人が、様々な依頼に応えていく全7篇の短編集です。

    一つ一つが程よい量で、短編に適している印象がありました。一見ホラーな感じがするのですが、探偵の華麗な推理があってか、ミステリーとして充分に楽しめました。最後の章は、陰陽師のような雰囲気を醸し出していました。
    終わり方は、ほっこりするものやゾワりとするものまで色々な結末を迎えていて、楽しめました。

    個人的に好きだったのは、「姉は何処」。姉が行方不明になり、どこに消えたのか?弟が見た姉の心霊の謎の行動とは?
    心霊なのに本格的なミステリーで、霊ならではの推理の過程が面白く、画期的でした。新たな可能性を秘めていて、感動してしまいました。
    他の作品もしっかりとした推理を華麗に披露していて、ぜひ続きも読みたいなと思いました。

  • 新宿にある「濱地探偵事務所」には、今日も不可思議な現象に悩む依頼人や警視庁の刑事が訪れる。年齢不詳の探偵・濱地健三郎は、助手のユリエとともに幽霊を視る能力と、類まれな推理力で事件を解き明かしてゆく。

    個人的には好きな内容だった。次はどんなお化けなのかドキドキした。

  • 1巻より好き!
    とても失礼だとは思うけど、ミステリとして読むより怪奇小説として読む方がいいのかも。
    昔、よく読んだラノベの怪奇・伝奇小説の登場人物の年齢が上がってるバージョンというか……。
    怪奇・伝奇もの好きだから私は面白いです。ミステリとして読んでなくて申し訳ない。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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