- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041094280
作品紹介・あらすじ
ここまで優れた作品を上梓した作者を、ただただ絶賛したい――。――書評家・細谷正充
"理不尽"と闘う2人の女意気に、思わず胸が熱くなる! ――書評家・吉田伸子
吉原遊郭を舞台に、女の生き様を描いた人生賛歌。
遊女に夫を寝取られ離縁したばかりの梅は、生家に戻って髪結いの母の手伝いを始める。
心の傷から、吉原で働く女たちと距離を置いていたが、当代一の美しさを誇る花魁の紀ノ川や、
寒村から売られてきた禿のタネと出会い、少しずつ生気を取り戻していった。
そんな中、紀ノ川の妊娠が発覚し――。
男と女の深い溝、母娘の複雑な関係、吉原で生きざるを得ない女たちのやるせなさ。
絶望の中でも逞しく生きていこうとする女たちを濃密に描く。
第1回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第2回細谷正充賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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吉原でも髪結が主役のものは初めて読んだ。当時の髪型の表現など新鮮だった。ヘアカタログがあったのもこんな昔から!と。とても読みやすかったが、主人公になかなか感情移入できなかったのはなぜだろう。すごく面白かったんだけれど。
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女髪結のお梅が出会った吉原の花魁との触れ合いを描く作品。
お梅は母親のアサの元髪結見習いをして吉原に出入りしていた。ところがアサは卒中で倒れ利き腕が使えなくなり仕事が出来なくなる。代わりに花魁の紀ノ川の髪を結う事になるが、やがて紀ノ川は子供を身籠る。
アサ、梅、紀ノ川の三人の女たちのそれぞれの生き様が描かれている。
哀しい運命もあるけれどどこか清々しさを感じた。 -
子どもが泣く話なんて、読みたくない。そう思うのに、書かれた世界に引きずられて、つい全部読んでしまった。
後書きにあるように、様々な「女意気」が書かれている。お梅が婚家を出る時に、店の売り物を叩き壊したと高らかに話す場面は、スカッとした。
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髪結いである梅よりどちらかというと花魁である紀ノ川の方が印象に残るかな。とはいえ出てくる女性全員にしっかり芯があって魅力的。皆逞しい。
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冒頭からの美しく丹念に編まれた文章に引き込まれました。
エンタメとして完成された作品で、非常に読みやすく面白かったのですが、自分個人としては「よくわからない」「見た事のない」ものとの遭遇を期待して読書しているんだな、と改めて自分の趣向を知るきっかけにもなりました。
舗装された道よりも、まだ誰も通った事のない道を歩いてみたい。
正体はわからないけど、激しくて、歪で、自分に迫ってくるようなもの。
著者プロフィール
泉ゆたかの作品





