江戸のおんな大工

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 82
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041094297

作品紹介・あらすじ

江戸城小普請方の家に生まれ、幼き頃より父の背中を見て育った峰。父を亡くし、人生の岐路に立った峰は、頼りない弟の門作を尻目に、おんな大工として生きていくことを決意する。神田横大工町の采配屋・与吉から請負い、お峰は普請仕事を始めるが……。上方からやってきた商売人の新店舗、反物屋の姑が住む猫屋敷、数々の騒動を起こす男児の長屋――おんな大工・峰が普請で人々の心を救う、新世代の人情時代小説!
『髪結百花』で第一回歴史時代作家協会新人賞、第二回細谷正充賞をダブル受賞した著者の最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸城小普請方の家に生まれたが、大工になる夢が忘れられず、父亡き後、おんな大工になる為に、家を飛び出した、峰。

    采配屋をしている与吉と元乳母芳夫婦を頼って、普請仕事をしながら、江戸の町に溶け込んでいく。

    あっさりとおんな大工を受け入れる江戸の人々。
    「そんなに上手くは行かないよね」
    とは思いつつも、優しい人々の集まりに、癒されてしまった。

  • タイトル通り、修繕専門の女大工・峰(みね)が様々なお困りごとを修繕で解決する話。

    元は小普請組の御家人の娘である峰が家を飛び出して…という経緯は必要なのか?と疑問に思ったりする。
    この時代、女が職人としてやっていくということだけで結構なハンディだし、客は女職人というだけで下に見たり嫌がったりするわけで(これまで読んできた様々な女職人の作品からしても)その設定だけで充分なような。
    御家人の娘が一人前の大工になれるほど仕事を覚えられるというのもちょっと無理があるような気がするが、まぁその辺は置いておいて。


    大坂からやってきたド派手な料理屋の、竈の火が点かなくなった。
    調理場の空気が淀んでいるので通風孔となる窓を開けたいと峰が提案するが、店主は大坂の店と全く同じ作り、つまり窓を一切付けない設計を変えたくないと拒否。さてどうする。

    嫁と諍いを起こし仲直り出来ないまま隠居宅で亡くなった老婆。隠居宅を修繕して売払いたい嫁だが、その家には夥しい数の猫が居着いていて、柱も壁も傷だらけ。更に屋敷を売るためには猫を追い払わねばならないが、どうする。

    落ち着きがなく特に火と水と高いところを見ると我を忘れて向かっていく幼い息子。長屋の住人たちにこれ以上迷惑を掛けないためにも牢に閉じ込めるしかないと悲痛な覚悟で牢屋作りを頼む夫婦。悪気がなく騒ぎを次々起こす少年を閉じ込めるしかないのか。

    …といった感じのお困りごとを峰が大工仕事で解決するのだが、結果的に建物が修繕されるだけでなく、そこに住む人使う人、あるいは周囲の人たちまで前向きにさせてくれるという趣向になっている。
    小野不由美さんの「営繕かるかや怪異譚」シリーズのホラーじゃない版みたいな感じ。
    それぞれの落とし所は読んでいて爽快で楽しめた。

    また建物を最初から作り上げる専門の大工・五助と最初はぶつかり合いながらも段々と同志のような大工仲間のような良い関係になっていき、そのことで峰の仕事のヒントをくれたり峰が出来ない部分を助けてくれたりという展開も良し。

    弟・門作も最初は頼りない頭でっかちな少年なのかと思っていたら、時に峰を助けてくれたり、驚かせてくれたり。

    最後まで御家人の娘設定いる?と、そこは疑問のままだったが、まぁ全体的には楽しく軽く読めた。

  • 江戸時代に女子の大工がいた! 
    しかも武家の娘だったのに、父の死後、嫁にいくようにという叔父の言葉に逆らい、家を飛び出したのだが……。
    そこから始まるお峰の大工修業。
    やはりお江戸の女性のお仕事小説は面白い!

  •  1982年生まれ、泉ゆたかさん、初読みです。「江戸のおんな大工」、2020.7発行。大工仕事が好きな柏木峰18歳と本好きの弟門作15歳を中心にした物語。テンポがよく、読みやすいです。

  • NHKとBSしか時代劇を見ることがない昨今、
    この主人公をやってほしい女優さんは。。と、想像してみる。器用で、粋で、器量良し。気持ちが優しいゆえにいろんなことから逃げる弟を気にやむお姉ちゃん。
    街の謎を解き明かす力。やっぱり、あの人かなー。

  • ふーん

  • 続きが読みたい。

  • おんな大工というだけでそれってありですかという疑問も湧くんですけど、軽いタッチで楽しめる。さらっと読むのに良い感じ。

  • 小普請組の長女、峰。
    跡取りの門作は、普請が主な仕事なのに、体は白く線が細い。家の中で本を読んでいるのが一番好きだ。

    引き換え、峰は父親と共に大工仕事をするのがもっぱら大好きな真っ黒に日焼けしていた。

    父が亡くなると、門作も普請の仕事を本格的に学ばねばならないのだが。。。。

    弟を鍛えるために、家を出て、市井の中で大工として仕事を始めようと。

    乳兄弟の綾の一家に世話になりながら、新しい世界に。
    頼まれる仕事を通じての人情話。
    依頼される家作は一筋縄ではいかない。

    姉弟の成長物語でもある。

  • 江戸城小普請方の娘として父の仕事を見て育った峰は父亡きあと、昔馴染みの采配屋のもとで女大工として働く。下町を舞台とした江戸人情噺。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『幽霊長屋、お貸しします(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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