であいもん (9) (角川コミックス・エース)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 84
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041094679

作品紹介・あらすじ

秋が深まってきた頃、父から茶会用の創作菓子を任された和。突然の、そして初めての大役に戸惑うが、和なりの答えを見つけるのであった。僅かだが確かな成長を見せた和の元に、音信不通の先輩・巴の母が現れ…?

感想・レビュー・書評

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  • 修行始めて1年半で企画用の和菓子を考案するって重圧半端ない……
    一応付き合いある所からとは言え、依頼は依頼。職人として不出来なものは出せない。けど和は職人として半人前未満なのだから父からの期待や華風園の期待に応えるのは難しい

    それでも一応は形と銘のある和菓子を作れたのだから地力が無い訳では無い。ここで平伍が返したのはいつかの日に聞いた言葉だね。自分を納得させられるか、他人の期待に応えられるか。和が対峙しているのはいつかの父が通った道
    平伍は想い人と出逢った事で納得への道を形作った。なら和は誰への想いで道を作るかと言えば、平伍とは幾らか違う形となったね

    道のヒントになったのはかつて自分が楽しんだ形跡とかつて付き合った佳乃子からの言葉
    平伍は富紀への想いで和菓子を作り上げたけど、和はもっとシンプルに和菓子への愛で作り上げた感じかな
    久方ぶりに出現した和のあの癖は、和の和菓子愛が変わっていない事を示していたね(笑)


    本作において時間の流れは基本的に和菓子や季節イベントを用いて描かれるけど、ここ数巻で別軸として存在しているのは美弦の受験シーズン
    和菓子は季節が巡る事で様々な魅力を味わえるが、受験は季節が巡れば気持ちも落ち込んでくる。進んでいる筈が後ろ向き
    そんな不安定な美弦に対して美夜は公演に誘う形で、鷹辻は彼女を気に掛ける事で気分転換させようとしていたね

    それにしても、美弦に想いを寄せているらしき鷹辻もまさか美弦の想い人がおっさんとは思わなかっただろうなぁ(笑) おまけに美弦は和の元カノの存在も認知しているわけだし。いっぺんに明かされる情報にしては色々と複雑過ぎる……

    ただ、鷹辻から和は嫌な相手には映らなかったんではないかと思えてしまう。会ったばかりの少年を公演に誘い、興味なさげな様子もポジティブに捉える。そして美弦が気にしていた秋の後ろ向き感にも別の意味を見出してやれる
    それに鷹辻は感化されたからこそ、美弦が後ろ向きの象徴と捉えてしまった落ち葉を前向きの象徴だと教えてやれたのだろうね


    少しずつ雪平巴の謎に迫る45話。一福が京都に帰ってきてすぐに巴の母親が現れるとは思わなかった
    それで少しは巴の行方が判ると思いきや、母親もその点は判らなかったのか…。というか、再婚やそれに纏わる諸々によって巴を考える時間が減ってしまったまま時が過ぎていたという感じか
    巴の失踪で得てしまった安定。それは他の子供が自立し時間の余裕が出来た事でようやく巴について考えられるようになった。だからこそ罪も自覚してしまい苦しむというわけか…

    そうして苦しむ繁を和は優しく思い直させてやっていたね。母が知らぬ息子の好物、思い至らなかった息子の優しさ
    それは悲しい別れ方をした親子をいずれ結びつけるものになるのかな……?

    そうして親子仲が改善する兆しが描かれたからこそ、和が一果の父を気にした際の一果の反応には驚かされたな
    和が自分の知らぬ間に跡継ぎとなっていた一果をどう思っているかは断片的に描かれてきたけど、一果の側が和からどう見られていただろうと考えていたかが明かされたのは初めてか
    あんな、心臓が冷えるかのような眼で語るなんて……。一果はあまり表に出さなかったけど、和から自分や父がどう思われているかを結構気にしていたのか……

    富紀の妨害に拠って辿り着けなかった一果の父の正体。それはもしかして思いも掛けない場所からやってくる?

  • 和菓子とともに心もあったかくなるなあ。
    茶席のお菓子を任せられた和の話、よかったんだけど泣きっ面に笑ってしまった。

  • 和に任された初めてのお茶会、佳乃子のアドバイスで良いひらめきを得られて。傍からみるとばからしい町内会長同士の諍いでギスギスした運動会に涼をそえる一果発案のどら焼き。演劇鑑賞に、和や咲季、美弦に、美弦の同級生まで飛び入りするの巻。地域ミニコミ誌のインタビューに臨んだ一果たち、その写真を手に取った男は…と。などなど。

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著者プロフィール

「であいもん」(KADOKAWA刊)

「2017年 『マンガ酒』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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