- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041095591
作品紹介・あらすじ
吉見駿は空想好きな中学生。祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。小学生のときの親友・真夜の葬儀の帰り道、駿は河川敷で幽霊となった彼女に再会する。川で溺死した真夜は、死の瞬間の謎のために河川敷の、半径二十メートルの範囲に捕らわれてしまったという。塾からの帰宅途中、河川敷を自転車で走っていた真夜は川の方から「助けて!」という叫び声を耳にした。少女が溺れていることに気付いた彼女が川に入ったそのとき、木の枝を踏んだような音と共に意識を失ったという。「能力」のためか、自分だけが真夜の姿を見ることができると知った駿は、仲間と共に彼女の死の真相を探っていく。溺れていた少女を捜していくなかで、町の不良・郷原の関わりが見えてくるが……。
感想・レビュー・書評
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逸木裕『空想クラブ』(KADOKAWA、2020年)は不思議な力を持った中学生を主人公とした小説。中学生の吉見駿は祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。荒川が流れる埼玉県笹倉市という架空の都市が舞台である。その辺りでは大宮が一番の都会という(181頁)。
小学生の時の親友・真夜が荒川で溺れて亡くなった。葬儀の帰り道に駿は河川敷で幽霊となった真夜に再会する。駿だけが真夜を見たり、会話したりできる。仲間と共に真夜の死の真相を探ると、ヤンキー郷原が浮かび上がってきた。
少し超自然的要素のあるジュブナイル小説というイメージを抱いていたが、半グレ・ヤンキーの生態は理解を絶する。普通の人々が半グレ・ヤンキーに巻き込まれ、あっさり不幸になる実態に戦慄を覚える。私は90年代に少年時代を送った。80年代のヤンキー文化が流行らなくなり、逆にヤンキーが恥ずかしい風俗になっていった時代を過ごした。これが現代の中学生の日常感覚となると半グレ・ヤンキーへの嫌悪と排除の意識は相当なものだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリーとジュブナイルと救済とSFと。
いっぱい混ざっさた贅沢な物語。
空想を見る力を持つ主人公と、ある事件がきっかけで亡くなった少女の邂逅。そこに、失われた絆をもつ仲間が再び集まって、最後は大団円。
未来が明るい。
想像力と空想力が掻き立てられて、本当に、こんな世の中が近いうちに訪れるのではないかと思わされる。
ヒールも人の心を持ついい人だった。現実はそんなに甘くないけど、たまにはこんな締めも悪くない。 -
ローファンタジー
主人公は祖父から『千里眼』のような力を受け継いだ。トリセツはなく発現は不安定。
事故死した親友が『視え』る主人公。
事故原因を亡くなった本人と共に複雑な思いに駆られながら追いはじめる。
ファンタジー色の成長物語。
…真相はもう少し言及されても然るべき内容だったがサラッと流された。 -
不思議な力を共有・解明・楽しむ仲間の話のなかに暴力的なグループが関わってきて、その温度差に戸惑う。ラストは良かった。
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SFチック久しぶり。最後は、どう持っていくのかと思ったが、いい感じで終わった。
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人一人死んでる現実より空想が勝ってしまって楽しい感覚にも陥る。ファンタジーだからな。
殺人事件なのになぜ捕まらないのか。
ユタの存在も信じていないがなにかあるんだとおもう。死人を思い出すことが供養になると思っている。
著者プロフィール
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