空想クラブ

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 149
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095591

作品紹介・あらすじ

吉見駿は空想好きな中学生。祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。小学生のときの親友・真夜の葬儀の帰り道、駿は河川敷で幽霊となった彼女に再会する。川で溺死した真夜は、死の瞬間の謎のために河川敷の、半径二十メートルの範囲に捕らわれてしまったという。塾からの帰宅途中、河川敷を自転車で走っていた真夜は川の方から「助けて!」という叫び声を耳にした。少女が溺れていることに気付いた彼女が川に入ったそのとき、木の枝を踏んだような音と共に意識を失ったという。「能力」のためか、自分だけが真夜の姿を見ることができると知った駿は、仲間と共に彼女の死の真相を探っていく。溺れていた少女を捜していくなかで、町の不良・郷原の関わりが見えてくるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 逸木裕『空想クラブ』(KADOKAWA、2020年)は不思議な力を持った中学生を主人公とした小説。中学生の吉見駿は祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。荒川が流れる埼玉県笹倉市という架空の都市が舞台である。その辺りでは大宮が一番の都会という(181頁)。
    小学生の時の親友・真夜が荒川で溺れて亡くなった。葬儀の帰り道に駿は河川敷で幽霊となった真夜に再会する。駿だけが真夜を見たり、会話したりできる。仲間と共に真夜の死の真相を探ると、ヤンキー郷原が浮かび上がってきた。
    少し超自然的要素のあるジュブナイル小説というイメージを抱いていたが、半グレ・ヤンキーの生態は理解を絶する。普通の人々が半グレ・ヤンキーに巻き込まれ、あっさり不幸になる実態に戦慄を覚える。私は90年代に少年時代を送った。80年代のヤンキー文化が流行らなくなり、逆にヤンキーが恥ずかしい風俗になっていった時代を過ごした。これが現代の中学生の日常感覚となると半グレ・ヤンキーへの嫌悪と排除の意識は相当なものだろう。

  • 死んでしまった友達を中心に話が進む青春ミステリ。
    読み終わった後に心が温かくなりました。また星座や宇宙に詳しくない自分には面白い部分がたくさんあり、思わず宇宙関係の本を買ってしまいました!

    空想は光よりも速いスピードで見たいもの感じたいものを経験させてくれる。
    大切なのは空想する為の素となる知識と空想する練習。
    それの最たるものは小説なのではと思いました。
    小説なら宇宙の果ても地底の中も見る事が出来ますしね。

    点と点を繋いで星座と考える様に人間の一番素敵な力は想像力なんだなと思いました。

  • ミステリーとジュブナイルと救済とSFと。
    いっぱい混ざっさた贅沢な物語。
    空想を見る力を持つ主人公と、ある事件がきっかけで亡くなった少女の邂逅。そこに、失われた絆をもつ仲間が再び集まって、最後は大団円。
    未来が明るい。
    想像力と空想力が掻き立てられて、本当に、こんな世の中が近いうちに訪れるのではないかと思わされる。

    ヒールも人の心を持ついい人だった。現実はそんなに甘くないけど、たまにはこんな締めも悪くない。

  • ローファンタジー

    主人公は祖父から『千里眼』のような力を受け継いだ。トリセツはなく発現は不安定。

    事故死した親友が『視え』る主人公。
    事故原因を亡くなった本人と共に複雑な思いに駆られながら追いはじめる。

    ファンタジー色の成長物語。


    …真相はもう少し言及されても然るべき内容だったがサラッと流された。

  • SF要素にファンタジー要素にホラー要素に貧困問題にミステリーに青春ジュブナイル…ちょっと盛りすぎた感があってやや粗っぽい感じがある。

    広げた風呂敷を綺麗にまとめているのは良いのだけど、空想(千里眼)の部分と青春劇の部分に特化しても良かったのかもなぁとは思うが、これは好みの問題かな。

    とはいえ、オーラスのクライマックスの一番盛り上がる部分は圧巻。ティーン世代の友情をこんな風に描けるのか。死後の世界にこんな解釈を持ち込めるのかぁ!

  • 不思議な力を共有・解明・楽しむ仲間の話のなかに暴力的なグループが関わってきて、その温度差に戸惑う。ラストは良かった。

  • SFチック久しぶり。最後は、どう持っていくのかと思ったが、いい感じで終わった。

  • 人一人死んでる現実より空想が勝ってしまって楽しい感覚にも陥る。ファンタジーだからな。
    殺人事件なのになぜ捕まらないのか。
    ユタの存在も信じていないがなにかあるんだとおもう。死人を思い出すことが供養になると思っている。

  • ファンタジィベースにミステリ。アストロミー要素が多くて、『ホーキング宇宙を語る』が作中に。11時元とか。ミステリ要素よりは少年少女の世界の伸び上がりを緩やかに映して行く。

  • 祖父から受け継いだ力により、見たい風景を「見る」事ができる主人公・駿。その彼に興味を持った転校生でクラスメートの真夜。いつしか「空想クラブ」を作るようになった。
    しかし、ある日を境に「空想クラブ」は解散。みんな中学生になり、メンバーはバラバラになっていた。
    そんな時、真夜が川で命を落とした。現場を見ようと駿は川へ。そこには、死んだはずの真夜がいた。

    主人公だけが真夜が見えることやバラバラだったメンバーを集結しようと試みるというキーワードを聞くと、どことなく「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」が浮かびました。設定はもちろん違いますが、この作品は、よりミステリー色が強い印象でした。真夜の事故の謎だけでなく、メンバーが抱える問題がでてきます。なぜ、今こうなってしまったのか、主人公や真夜と共に謎を解いていきます。

    ミステリーとしても楽しめますが、青春小説としても楽しめました。メンバーとの再会やお互いの気持ちが甘酸っぱく、時にビターに描かれていて、青春っていいなとか仲間っていいなと思わせてくれました。
    他にも情景描写の描き方が多彩で、透明感のある雰囲気にさせてくれるので、ダークな部分もありましたが、終始どんよりとした気持ちにはなりませんでした。

    色んな謎が回収されてからのラストは、感動を誘いました。
    帯に書かれている「ラスト16ページの奇跡をあなたは体験する」は、今までの様々な話があったからこそ、グッと来るものがあるので、最後だけ読むのではなく、最初からぜひ読んんで見てください。

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著者プロフィール

1980年東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年、『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。他の著書に『少女は夜を綴らない』『星空の16進数』『電気じかけのクジラは歌う』『銀色の国』がある。

「2020年 『空想クラブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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