四畳半タイムマシンブルース

著者 :
  • KADOKAWA
4.23
  • (226)
  • (196)
  • (84)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 3316
レビュー : 223
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095638

作品紹介・あらすじ

水没したクーラーのリモコンを求めて昨日へGO! タイムトラベラーの自覚に欠ける悪友が勝手に過去を改変して世界は消滅の危機を迎える。そして、ひそかに想いを寄せる彼女がひた隠しにする秘密……。
森見登美彦の初期代表作のひとつでアニメ版にもファンが多い『四畳半神話大系』。ヨーロッパ企画の代表であり、アニメ版『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』の脚本を担当した上田誠の舞台作品『サマータイムマシン・ブルース』。互いに信頼をよせる盟友たちの代表作がひとつになった、熱いコラボレーションが実現!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 祝・四畳半復活!!
    我らがモリミーがやってくれた、というしかありません。
    いや、やらかしてくれた、というべきでしょうか。
    あの腐れ大学生コメディ『四畳半神話体系』の面々が帰ってきました。

    私はここに断言します。
    『四畳半タイムマシンブルース』は、四畳半史上最高傑作であり、『恋は短し歩けよ乙女』を思わせるラブ・コメディであり、『サマータイムマシン・ブルース』を換骨奪胎したSF的快作であることを。

    いやー、ひさびさの森見節、大復活です。
    森見先生の文体は読む人を選ぶんですけれども(うぜぇ、という人がいても已むなきことは認めます)、ハマる人にはめっちゃハマるんですよね。『きつねのはなし』系のしっとりした文体とのギャップも良き。腐れ大学生系しか読んだことない人は、ぜひ怪談系の森見作品も読んでみてね!

    そして、四畳半の面々は本当に懐かしい。
    〈私〉は相変わらずヘタレだし、小津はぬらぬらしてるし、樋口さんは飄々としてるし、明石さんはクールビューティ。
    そして今回、意外な一面をみせてくれるのは相島さんです。
    これについては、あとでまた。

    さらに特筆したいのはプロットの緻密さです。
    『四畳半タイムマシンブルース』は構成も凄いです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ばりの周到さで伏線が張られ、しかもきっちり回収されてゆきます。勢いだけでもサクサク読めるんですけれど、もしヒマだったら、ページを行きつ戻りつして確かめてみて下さいね。緻密な構成に、感心すること請け合いですから!

    さいごに、やっぱり、いいなぁ、青春。
    〈私〉と小津のねじくれた友情も、明石さんとの恋のゆくえも…
    あと一歩だけ踏み出せばいいのだけれど、その一歩が無限にも感じて、どうにも身動きがとれない、若者特有の鬱屈と煩悶も。
    それすらも二度と戻れない輝かしい日々だったと、若さを失って初めて知る。
    だからこそ、相島さんの言葉が、年長者からすべての若者に贈るエールなのです。

    「一歩外へ踏み出せば世界は豊かな可能性に充ちている。なぜなら君自身が可能性に充ちているからですよ。君という人間の価値はその無限の可能性にこそあるんです。もちろん薔薇色の生活が待っているとは保証できない。ヘンテコな宗教系サークルに引っかかるかもしれないし、サークルの内紛に巻きこまれて深く傷つくかもしれない。しかし敢えて僕は言いたい。それでいいんだ。全力で可能性を生きるのが青春なんだ」

    かくて夏への扉は開かれたのであります。
    青春万歳! 京都万歳!!

    • 佐藤史緒さん
      あ、サマータイム「マシン」が抜けてました。脳内変換よろしくです!
      あ、サマータイム「マシン」が抜けてました。脳内変換よろしくです!
      2020/08/09
    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、こんにちは(^^♪
      相も変わらず非常に暑いこちらです。
      で、相も変わらずあまり関係ないことをおうかがいします。
      「似てい...
      佐藤史緒さん、こんにちは(^^♪
      相も変わらず非常に暑いこちらです。
      で、相も変わらずあまり関係ないことをおうかがいします。
      「似ていることば」の中で「シャベルとスコップ」の東西の認識について載せたのですが、そちらではどのように使い分けていらっしゃるでしょうか。
      北海道代表として教えて下さると有難いです。
      なんて、義務でもなんでもありませんので、お時間が余ったときにお願いしますね。
      2020/09/01
    • 佐藤史緒さん
      nejidonさん、こんにちは!
      答えはそちらの本棚へGO!
      nejidonさん、こんにちは!
      答えはそちらの本棚へGO!
      2020/09/01
  • "ここに断言する。いまだかつて有意義な夏を過ごしたことがない、と"

    初っ端のもりみー節に盛大にニヤリ。
    これこれ!こういうの読みたかったの!待ってた!
    もりみーの最高におバカな大学生たち、いつものむさくるしい四畳半に戻ってきました!

    京都の夏は暑い。最近は別に京都でなくても猛暑とか酷暑が当たり前になっているから忘れていたけれど、京都の夏を最初に過ごした時はその暑さに朦朧とした。私が初めて住んだ下宿はけっこう古くて、明らかに後付けの縦型のクーラーが窓のところに置かれていて、見栄えはよくなかったし性能もいまいちだったけど、あれがないと夏は乗り越えられなかっただろう。

    とにかく暑い京都の夏、おんぼろアパート唯一のクーラーのリモコンがコーラで水没するというのが物語の発端である。
    壊れたリモコンを前に苦悩し、対策を検討していたところに現れたモッサリした風貌の男子学生。彼は、25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたのだという。
    このタイムマシンで壊れる前のリモコンを取りに行けばいい!

    タイムマシンという大層な発明品をもって、クーラーのリモコンのために繰り広げる、昨日と今日のドタバタ劇。
    腐れ大学生の勝手気ままな行動が楽しすぎる。ドラえもんでも時々あるネタだけど、タイムマシンで過去に行っても、パラレルワールドにはならなくて、きちんと辻褄が合うようになってるのだが、その辻褄の合い方がそれぞれ面白い。

    いつの間にかなくなったシャンプーの行方。
    銭湯から戻ってきたら皆から要求される裸踊り。
    誰かが明石さんを誘ったらしい五山の送り火。

    そして、彼らはクーラーのリモコンを取り戻せるのか…!

    ラストがまたいい。最後の一文がとてもいい。引用したいけれど、楽しみを奪うことになるので自粛しときます(笑)

    ただ、四畳半神話体系はだいぶ前に読んだきりで、小津さんと明石さん以外ははっきりと覚えていなかったので、先にこちらを再読しておいた方がよかったかも。あと、寒波到来中の真冬でなく、うだるように暑い夏に読みたかった!笑

    ★4.5

    • naosunayaさん
      四畳半シリーズ、気になりつつもラノベ的な先入観あって手が出てませんでした、読む気になりました!
      四畳半シリーズ、気になりつつもラノベ的な先入観あって手が出てませんでした、読む気になりました!
      2021/01/12
    • マリモさん
      naosunayaさん
      こんばんは!
      四畳半シリーズは、格調高く、京都の四畳半のオンボロアパートに生息する腐れ大学生の生態を描いていて、あほ...
      naosunayaさん
      こんばんは!
      四畳半シリーズは、格調高く、京都の四畳半のオンボロアパートに生息する腐れ大学生の生態を描いていて、あほで面白いです。文体は最初少しとっつきにくいかもしれませんが、是非読んでみてください(^O^)
      2021/01/12
  • 百二十五年におよぶ壮大な時空の旅路!
    「時をかけるリモコン」の物語

    いつもの四畳半メンバーと森見節全開で
    最高に堪能できました。

    明石さんを五山の送り火に誘うシーン
    「それはみんなで?それとも2人で?」
    「ぜひとも2人で」
    「なるほどです」
    「だから小津たちには内緒で頼む」
    「ええ、内緒、もちろん、はい、そのほうが、ええ」明石さんは慌てたように幾度も頷いた。

    このシーンが個人的には大好きです
    気になった方は是非読んでみてください

    明石さんは本当に魅力的で小説に登場する女の子で
    一番合ってみたい人です…笑

  • 小津が壊したのは、下鴨幽水荘にひとつしかないクーラーのリモコンだった。
    灼熱地獄と化す真夏の京都を生き延びるべく、彼らが考えた策とは?

    上田誠「サマータイムマシン・ブルース」を原案とし、『四畳半神話大系』にもとづいて執筆されたオリジナル作品。

    モラトリアム大学生の、馬鹿馬鹿しくもたのしいドタバタ劇。
    原案の作品世界と、森見登美彦の作風の親和性が、極めて高かった。

    舞台は観ていないものの、映画は観ていたため、話の筋は把握した状態。

    舞台がキャンパスからアパートになったり、ちょこちょこ違ってくる部分を、「こうアレンジするんだ」と楽しむ。

    原作のおもしろさを活かしつつ、森見登美彦らしさも味わえる作品。

  • モリミーと言えば四畳半、四畳半と言えばモリミー…嗚呼、仲良きことは阿呆らしきかな。

    灼熱地獄の夏の京都を舞台に、腐れ大学生達が四畳半という小宇宙の中でえっさえっさと繰り広げる、可笑しさ8割切なさ2割の青春物語。
    長い長い夏休み中のたった2日間。
    この僅か2日の「今日」と「昨日」の間で、行ったり来たりを繰り返しサマータイムをさ迷い続ける。
    下鴨幽水荘、小津、明石さん、納涼古本まつり、マンゴーのフラペチーノ、黒髪の乙女等々、次々に登場する単語はモリミーファンにとって懐かしさ嬉しさが半端ない。
    夏休みが終わる前に読み終えることができて本当に良かった。

    私がもし時を戻せるなら、大学2回生がいいかな。
    あの頃は何も考えずに自由にできて楽しかったなー。
    少々辻褄が合わなくてもいいから…嗚呼、私にもタイムマシン、プリーズ。

  • ◯四畳半神話体系の面々に久々に会えると思うと胸が高鳴ってしまった。森見先生の小説はどれも好きで、色々読んだけれど、一番好きなのは四畳半である。ひねくれていてどこか理屈っぽい独白調の文章。斜に構えたものの見方。色々言い訳してもう一歩踏み出さない情けない姿。そう、まさしく私は私であり、どうしても自己投影して読んでしまうのだ。

    ◯この小説は原案があるようで、その内容はあまりよく知らないが、タイムマシンものとしてしっかりと全ての伏線を回収していてなるほど良くできているなぁと感心。そのせいか、この小説が書店のSF棚に置いてあったので、探し当てるのに苦労した(あまり使いたくない検索機を駆使してしまった。)
    ◯今回の話で全ての四畳半に終わりを告げてしまった感がある。本の構造上、火の鳥のように蘇るのかもしれないが、、、。しかし今までの四畳半と違う点がいくつかあり、一つは、しっかり明石さんを五山に誘っている描写である(確か四畳半ではボヤッとした描写で誘うところは描いていないはず><)。ただ誘い方は相変わらずダメ野郎。まぁそれも私らしいといえば私らしいので愛すべき。
    ◯そしてもう一つ、全く異なる点は、読者は25年後の先まで予想がついてしまったという点だ。こうなってくると、もう私は私とは違うと言わざるを得ない。私には未来は当然わからないのだ。

    ◯現実を生きる私には誘ったその先がある。誘ったは良いが次でダメになることがある。未来で明石さんの横にいるのは私ではないのかもしれないのだ。今回の小説については。成就するまでが恋は大変なのだと言いたくなる。
    ◯詰まるところ何が言いたいのかというと、私自身はまさにこれを機に、四畳半を永遠の思い出にして、次の人生をしっかり歩むべきということなのだと改めて悟る。小説にこんなことを想うのも変な話だが、まさに四畳半は私にとっても青春なのだ。

    • nejidonさん
      こんばんは(^^♪
      こちらのレビューを拝見した時にコメントしようと思ったのに、忘れていました。
      DVD版の「サマータイムマシン・ブルース...
      こんばんは(^^♪
      こちらのレビューを拝見した時にコメントしようと思ったのに、忘れていました。
      DVD版の「サマータイムマシン・ブルース」もすごく面白いですよ。
      連続で二回も見てしまいました。
      もし機会がありましたらどうぞ。

      いつもコメントしてごめんなさいね。
      面倒くさかったらスルーしてください。
      どうもyoshio70さんのレビューが気になってしまうんですよ。すみません。
      2020/08/19
    • yoshio70さん
      nejidonさん
      こんばんは!コメントありがとうございます。本当に嬉しい限りです。自己満足で感想を書き綴っていただけだったので、コメントを...
      nejidonさん
      こんばんは!コメントありがとうございます。本当に嬉しい限りです。自己満足で感想を書き綴っていただけだったので、コメントをいただけたり、交流ができるのは望外の喜びです。
      ただ、仕事等の関係で、返信が遅くなることもあって申し訳ない限りです。。。;

      「サマータイムマシン・ブルース」のDVD版ですね!是非鑑賞したいと思います。小説のように、SFだけど青春を感じられたら良いなと思います!
      四畳半は若い頃に好きだっただけに、自分の感情垂れ流しの感想で、お目汚しですいません。。。笑
      2020/08/19
  • 刊行直後に購入したものの、そのまま積読してしまい、ようやく年末年始のお休みに読みました。
    でも、これは夏に読めばよかったなぁ。
    『四畳半神話大系』でおなじみの面々が跳梁跋扈する、長い長い、そして暑い、8月の2日間の物語。

    下鴨幽水荘界隈の面々が、みなさま相も変わらずな感じでファンにはうれしいかぎりです。
    せっかくのタイムマシンを壊れたクーラーのリモコンのために使っちゃうところに、期待を裏切らないなぁ…とにやり。
    観光気分でマイペースに過去を満喫する者あれば、過去や未来が変わらないようにあくせくマイペース組を追う者もあり。
    私自身は断然後者の性格なので、楽しみつつもやきもきしてしまうのでした。

    久しぶりに森見節を満喫できて、ご機嫌で読了。
    最後の一文、だいすきですよ。

  • まるで、落語のオチのような。
    森見登美彦の四畳半シリーズ3作目。
    十二分にキャラ立ちしているクサレ大学生たちにまた会えてうれしい。
    半ば過ぎまでは、これだけ濃いキャラたちが動きまくるので、ややうるさいかな……とも思ったのだが、ラストの伏線回収では拍手喝采。
    やはり☆5つになりました。

  • 森見登美彦さんの待ちに待った新作。四畳半もヨーロッパ企画のサマータイムマシンブルースも好きな僕にとって最高の1冊。内容は四畳半神話大系の登場人物がサマータイムマシンブルースのストーリーに沿って展開していく物語。

    夏にふさわしい少し不思議な世界で阿呆な学生らが阿呆なドタバタ劇を繰りなす。
    主人公である私と小津、それに明石さん、樋口師匠、羽貫さん、城ヶ崎に相島と、一人一人の言動が実にコミカル。全ての登場人物が愛おしい。それに私と明石さんとの甘酸っぱい且つ理系チックなやりとりがさらに拍車をかけて尚良い。

    これからも四畳半の世界を味わいたい、続編が出ることを切に祈っている。

  • やはり四畳半はおもしろい!
    たかがエアコンのリモコンのためにタイムマシンを使う阿保らしさ、勝手気ままに動いて過去をかき乱す樋口師匠や小津などの濃いキャラクター達。
    危なっかしくて、読んでいるこちらもハラハラしてくる。
    そして明石さんはかわいい。

    もともと時系列がそれほど複雑な話ではないが、タイムトラベル物としても簡潔に説明されていて読みやすい。
    リモコンの時系列が無限ループに陥りそうになった時も、問題を投げかけたままで終わらずに、きちんと辻褄が合うようになっていた。

    少し惜しかったのは、初登場の田村がレギュラーメンバーに比べてキャラが薄いせいで逆に浮いていたこと。
    読んだことはないのだが、本作は上田誠の『サマータイムマシン・ブルース』という作品とのコラボだそうで、そちらの作品からの影響だろうか?
    どうせなら縁のあるキャラクターとのつながりが見え隠れするような性格だったら面白かったかもしれない。

    あと、これもコラボの影響があると思うが、森見さん完全オリジナルの作品と比較すると物語の複雑さとか文章の濃さが物足りなく感じた。
    本作は本作で面白くて100点に近いのだけれど、森見さんは普段150点の作品を書いているというような。

    もし四畳半の世界に続きがあるとするなら、次回作は森見さんのオリジナルで読みたい。
    200ページは短い。
    もっと四畳半の世界に浸っていたかった。

全223件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

森見登美彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
砥上 裕將
森見 登美彦
森見 登美彦
東野 圭吾
森見登美彦
三浦 しをん
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印

四畳半タイムマシンブルースを本棚に登録しているひと

ツイートする
×