彼らは世界にはなればなれに立っている

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095652

作品紹介・あらすじ

「この町はとっくにひっくり返っている。みんなが気づいていないだけでな」
〈はじまりの町〉の初等科に通う少年・トゥーレ。ドレスの仕立てを仕事にする母は、「羽虫」と呼ばれる存在だ。誇り高い町の住人たちは、他所から来た人々を羽虫と蔑み、公然と差別している。町に20年ぶりに客船がやってきた日、歓迎の祭りに浮き立つ夜にそれは起こった。トゥーレ一家に向けて浴びせられた悪意。その代償のように引き起こされた「奇跡」。やがてトゥーレの母は誰にも告げずに姿を消した。
消えた母親の謎、町を蝕む悪意の連鎖、そして、迫りくる戦争の足音。
ドラマ「相棒」の人気脚本家が突きつける、現代日本人への予言の書。

感想・レビュー・書評

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  • 苦しい...

    太田愛作品ということで、飛びついた一冊でしたが、読了までに1週間を要しました。

    4章からなる本書は、章ごとに語り手が変わっていきます。

    物語の舞台は架空の町「塔の地の始まりの町」。

    「羽虫」と呼ばれる他の町から移って来た人々と、町で生まれ育った誇り高き人々の物語。

    時間軸の中に描かれるのは移民、差別、排除、独裁、犯罪、戦争...

    過去と未来、架空の町の架空の物語。

    しかし、読み終えた読者にはどことなく感じる部分はあるように思います。

    単なるファンタジーでも、単なるミステリーでもありませんが、読みながら「タタール人の砂漠」を思い出しました。

    私には読むのが苦しかった故の☆2つ。

    きっと評価は大きく分かれる作品だと思います。

    帯に添えられた言葉がまさに本書を表現しています。
    これは、過去でも未来でもない「今」だ。目の前にあるのにあなたが見ようとしない現実だ。鴻巣友季子
    この物語は「どこかの国」の話ではないのかもしれない...。町山智浩

    本書を読み解ける力がまだまだ私には不足しているようです。





    この物語は遠い世界のものではない。注目の作家が描く、現代の黙示録。

    「この町はとっくにひっくり返っている。みんなが気づいていないだけでな」
    〈はじまりの町〉の初等科に通う少年・トゥーレ。ドレスの仕立てを仕事にする母は、「羽虫」と呼ばれる存在だ。誇り高い町の住人たちは、他所から来た人々を羽虫と蔑み、公然と差別している。町に20年ぶりに客船がやってきた日、歓迎の祭りに浮き立つ夜にそれは起こった。トゥーレ一家に向けて浴びせられた悪意。その代償のように引き起こされた「奇跡」。やがてトゥーレの母は誰にも告げずに姿を消した。
    消えた母親の謎、町を蝕む悪意の連鎖、そして、迫りくる戦争の足音。
    ドラマ「相棒」の人気脚本家が突きつける、現代日本人への予言の書。

    内容(「BOOK」データベースより)

    “始まりの町”の初等科に通う少年・トゥーレ。ドレスの仕立てを仕事にする母は、“羽虫”と呼ばれる存在だ。誇り高い町の住人たちは、他所から来た人々を羽虫と蔑み、公然と差別している。町に20年ぶりに客船がやって来た日、歓迎の祭りに浮き立つ夜にそれは起こった。トゥーレの一家に向けて浴びせられた悪意。その代償のように引き起こされた「奇跡」。やがてトゥーレの母は誰にも告げずに姿を消した。消えた母親の謎、町を蝕む悪意の連鎖、そして、迫りくる戦争の足音。「相棒」の人気脚本家がいま私たちに突きつける、現代の黙示録!

    著者について

    ●太田 愛:香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    太田/愛
    香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者クリミナル』(上・下)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    • かなさん
      ヒボさん、こんばんは!
      太田愛さんのこの作品、
      読みたいと思っていたんだけれど…
      なんとなぁ~く、手を伸ばせないでいました(^-^;
      ...
      ヒボさん、こんばんは!
      太田愛さんのこの作品、
      読みたいと思っていたんだけれど…
      なんとなぁ~く、手を伸ばせないでいました(^-^;
      難しそうで、きっと読んだら混乱するかなって…

      でも、今度新刊でますよね!
      「未明の砦」、明日発売かなぁ~
      これは、面白そうですよね(*^-^*)
      2023/07/30
    • ヒボさん
      かなさん、こんばんは♪
      本作、苦しかったです^^;
      で、新刊ですが、今日買って来ましたよ♪
      まだ読み始めたばかりですが、期待大です(^-^)...
      かなさん、こんばんは♪
      本作、苦しかったです^^;
      で、新刊ですが、今日買って来ましたよ♪
      まだ読み始めたばかりですが、期待大です(^-^)v
      2023/07/30
  • 太田愛さんの作品なので、てっきりミステリーだと思って図書館に新刊リクエストしたら、苦手なファンタジーでした。

    第1章始まりの町の少年が語る羽虫の物語

    第2章なまけ者のマリが語るふたつの足音の物語

    第3章鳥打ち帽子の葉巻屋が語る覗き穴と叛乱の物語

    第4章窟の魔術師が語る奇跡と私たちの物語

    章ごとに語り手が変わる架空の町<塔の地の始まりの町>での物語です。

    第1章の語り手である初等科に通う僕、トゥーレの母のアレンカが行方不明になります。
    アレンカは羽虫と呼ばれる差別階級の生まれでした。
    他にも羽虫と呼ばれている人々が多数登場します。
    第2章では映画館に勤めるマリが語り手。
    第3章は葉巻屋。
    第4章の語り手は死者の声が聞こえる魔術師です。
    そして、第4章では、アレンカがなぜ行方不明になったのかの謎が判明し、物語が繫がります。

    他の方のレビューを拝見すると絶賛されている方が多いのですが、私は作者が何を言いたかったのか、今ひとつわかりませんでした。
    悲しい話であるということはわかりました。

    太田愛さんは『幻夏』が凄くよかったので、期待して読んだのですが、これは私には難しかったです。

    • goya626さん
      まことさんへ
      コメントありがとうございます。私もレヴュー楽しみにしています。太田愛さんは気になるのですが、まだ手が伸ばせていません。
      まことさんへ
      コメントありがとうございます。私もレヴュー楽しみにしています。太田愛さんは気になるのですが、まだ手が伸ばせていません。
      2020/12/19
    • りまのさん
      まことさん
      たくさんの、いいね!の、お返し、ありがとうございます。
      りまのは少し、恥ずかしかったです……。でも、ありがとうございました。
      まことさん
      たくさんの、いいね!の、お返し、ありがとうございます。
      りまのは少し、恥ずかしかったです……。でも、ありがとうございました。
      2020/12/19
    • まことさん
      りまのさん。
      とんでもないです。少なくてごめんなさい(__)
      りまのさんってピュアな方なんですね(*^^*)
      りまのさん。
      とんでもないです。少なくてごめんなさい(__)
      りまのさんってピュアな方なんですね(*^^*)
      2020/12/19
  • 2021年初読み。

    舞台は架空の町。「羽虫」という言葉にいきなり胸を抉られる。

    排除、差別、世界中の至る国での過去、現在進行形を感じそれぞれの立場でのやるせない感情が胸に突き刺さる。

    登場人物誰もの口からほとばしる言葉、全力で言葉にのせて伝えてくる思いはその都度足を止めたくなるほど。

    終盤は圧巻。
    太田さんの思い、メッセージ、言葉のシャワーが心に降り注ぐよう。

    遠い昔にあったこと、近い未来にあるかもしれないこと。それが全て次世代にどう繋がっていくのか。

    これはどこか遠い架空の町というどこか近い現実の世界の物語。

    • まことさん
      くるたんさん。こんにちは。

      私、この作品、難しくてよくわからなかったのですが、くるたんさんのレビューで、ちょっとわかった気がしました。...
      くるたんさん。こんにちは。

      私、この作品、難しくてよくわからなかったのですが、くるたんさんのレビューで、ちょっとわかった気がしました。
      >遠い昔にあったこと、近い未来にあるかもしれないこと。それが全て次世代にどう繋がっていくのか。
      そういうお話だったのですね。
      おぼろげばがら、わかった気がしました。
      どうもありがとうございました!
      2021/01/04
    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪

      いえいえ、私も最初はどういう話かわからなかったんです。
      どぎついファンタジーじゃなかったから読めました。

      随所...
      まことさん♪こんにちは♪

      いえいえ、私も最初はどういう話かわからなかったんです。
      どぎついファンタジーじゃなかったから読めました。

      随所にハッとさせられるというか…戦争にとられたシーンでは、至る国を思い浮かべたし、なんとなく近未来を感じました。
      日本の未来への警鐘って書かれている方もいて、なるほど…と私も勉強になりました。
      難しいですよね〜、こういうのを読み取るのは。
      ミステリでもあり、好みの世界観でした¨̮♡
      2021/01/04
  • 独特の雰囲気で静かに始まる物語は、異世界の出来事のはずなのに、私たちの目の前の世界とタブって見えてきました。私たちはこの世界をよくすることはできるのでしょうか。今、すごく問われていると思います。


  • 帯に書かれた幾人もの推薦コメントに
    どんな話だろう、と惹かれて手にしました。

    まさに、いつかではなく、今もどこかで、
    いや、直ぐそばで起こっている現在形の話。

    ラストに至るまでの、何人もの人の想いや願いが、
    最後363ページからラストにかけて、
    強いメッセージとして集約されて感じました。

    奪われ、虐げられ、差別され、それでも
    願うこととは何か。
    人との違いに優劣をつけて、他者を蔑むことで
    自分を守り、そうやって手にした優位性に
    なぜ安堵してしまうのか。
    それ程までして自分を守ったのに、それでも
    傷つくのはなぜなのか。
    奇跡とは……。

  • 自由な? 民主的な? 開かれた? 封建的でない? 人権のある? 平和な? 世界を願っての寓話と感じた。描かれるのはその反対の世界。ジョージ・オーウェルの「1984年」的かも。

    領主のもとに村に誇りをもつ昔からの住民と流れ者、気が付くと新聞も書物も教育も上からの検閲をとおったものだけになっている。それを少し不自由だとは思いつつ日々を生きるにはしょうがないとする村人。気が付くと子供は戦争にとられ・・

    ある町、そこでは「羽虫」と呼ばれる蔑まれる流れ者たち、伯爵と呼ばれるその地域の権力者、普通の?村人で成っている。羽虫の母と普通の村民の父のもとに生まれたトゥーレ、流れ着いた褐色のマリ、羽虫の煙草屋、謎の魔術師、これらの人生を語りながら、人として尊厳のある世界を願う。前作「天上の葦」で太平洋戦争に至る統制社会の恐さを描いたが、これはそれを寓話に昇華した作品と言える。太田氏の直接的な主張の言葉が架空の町の物語に載せられている。


    「カドブンノベルズ」2020.2月号~2020.9月号連載

    2020.10.30初版 図書館

    別冊文藝春秋インタビュー 2021.1.27
    https://books.bunshun.jp/articles/-/6012
    「世界と個人」というテーマは自分の核として持ち続けていくんだろうと思います。

    連載開始にあたってのインタビュー 
    好書好日 2020.1.11
    https://book.asahi.com/article/13014622

  • 【重版決定!】現実を遠く見はるかす物語に、各界から絶賛の声、続々! 太田愛『彼らは世界にはなればなれに立っている』|株式会社KADOKAWAのプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007900.000007006.html

    『天上の葦』『幻夏』の著者が放つ、破滅と希望のエンターテインメント! 太田愛『彼らは世界にはなればなれに立っている』特別試し読み#1 | カドブン
    https://kadobun.jp/trial/krs_hb/63q5rf5bl30g.html

    彼らは世界にはなればなれに立っている 太田 愛:文芸書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322002000901/

  • Amazonオーディブルで聴いた。

    ファンタジーみたいな感じだけど、現代日本の風刺だよね。

    投票率が低いからと選挙が廃止され、報道は政府広報になり、富は一部に集中し、市民は不満を被差別民を虐げることで発散し、やがて戦争に進み若者が死んでいく。

    太田愛のこれまでの作風と違うと言われてるけど、テーマはこれまでと同じ。

    解説の以下の文章にオエってなった。
    日本がどんどんこういうディストピア社会になってる気がする。
    『私は文学作品においてディストピア当局が採用する「三原則」というものをしばしば挙げるのだが、その一つは、まさに本作にも書かれている「芸術・学術への弾圧」であり、もう一つは「リテラシーと知識の抑制」である。ちなみにもう一つは「妊娠・出産・子育てへの介入」だ。』

  • 太田さんの新境地なのかな。太田愛の三部作全部読んで大ファンになり、また同じようなシリーズだと思ったら全く違う。時代も場所も背景も全く想像つかなく、ファンタジーなのか?と思いきや、やっぱり三部作と同じく社会問題を提起した内容。童話や昔話と同じように一見おとぎ話のようで、裏にはメッセージが込められているという手法のような。新鮮で楽しめた。

  • なかなか重い内容です。
    羽虫と呼ばれる移民を虐げる町、そしてその事実に革命を起こそうとする人。だが、力は弱く、羽虫は羽虫のまま。
    今ある現実をただ受け入れる教育をする事で、人々は何も考えず、唯々諾々と従うようになり、結果訪れるのは悲惨な未来。
    権利が強いから、歯向かえないのか?今ある自分の生活で精一杯だから?
    他者を顧みなくなった時、世界は終焉に向かう。

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著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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