- KADOKAWA (2020年8月25日発売)
本棚登録 : 62人
感想 : 4件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784041095720
作品紹介・あらすじ
移民先の南米ボリビアで苦心惨憺の日々を送る知花煉(ちばなれん)。プロレス女王のカルメンや日系人カルロス兄弟という仲間を得て、農業や商売に奮闘していた矢先、煉は米国の謀略に巻き込まれ、空賊となって密輸を手伝う羽目に陥る。一方、チェ・ゲバラが革命に成功したキューバで、核戦争の危機が迫っていた。米ソ一触即発の裏で、煉は戦争阻止に動くが……。果たして煉は魂を取り戻すことができるのか? 激賞を受けた著者最高傑作!
感想・レビュー・書評
-
肉体から抜け出したマブイの煉を向こうに回しての、地を駆け空を舞う核弾頭の争奪戦。革命の高邁な理想と欺瞞。ボリビアの地に根を張り、移民として力強く生き抜いて行く煉。彼女にとって沖縄とは、そして戦争とは何だったのか...
戦争、移民、革命と言った巨大なテーマを持ち味の過剰なエンターテイメント性を損なうことなく成立させた傑作。
これまでの池上永一作品では戦争は負の遺産としての側面が強かったが、今作では煉の流転の人生を通して、個人の意思や思惑や人生などを全て呑み込んでしまう、今、眼前に広がる不条理な絶望として描かれている。
目的化した革命への冷めた視線も印象的で、チェ・ゲバラに関してはうっすらとした知識しか無いのだが、実際にはどういう人物だったのか気になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
後半戦も面白かった~。読み終えて、表紙のインパクトほど、チェが前面に出てきてはいないな、っていう感想。要所要所で絡んではくるし、歴史的な重要性も込めて、ってことかも。それよりも、終始不気味な存在感を放ち続ける、元ナチスの殺し屋とかの方が、よほどインパクトがあった。そして、沖縄米軍基地の内部に、未だ終戦を見ていない己の魂を見るクライマックスが、何といっても圧巻。しばらく痺れてしまいました。
著者プロフィール
池上永一の作品
