- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041095805
作品紹介・あらすじ
草が生い茂り危ないからと近づくのを禁止された池で、四人の園児たちは水から上がってくる自分たちと同じ年齢の少女を茫然と見つめていた。その後、その女の子を園でも見かけるようになり……(「るんびにの子供」)。女のヒモ生活を追い出され、悪事の果てに辿り着いた古家の老夫婦に孫だと思わせ同居する男ーー(「柘榴の家」)。妹の性格が気に入らない姉が犬の散歩で見かけた右手のみの手袋が、だんだん家に近づいてきたらーー(「手袋」)。第1回『幽』怪談文学賞短部門で大賞を受賞した「るんびにの子供」ほか『幽』に掲載された「獺祭」、書下ろし作「狼魄」を含めた怪談作品を7篇を収録。待望の文庫化。
解説は『幽』怪談文学賞で選考委員を担当された岩井志麻子氏。
感想・レビュー・書評
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7作品収録の短編集
タイトルの「るんびにの子供」は「幽」怪談文学賞短編部門の大賞だそうです
いずれの作品もそれ系な感じでした
まぁホラー文庫でもありますし
個人的には「とびだす絵本」が気に入りました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宇佐美まことさんのデビュー作。
受賞作を含む短編7篇が収録された作品でした。
夏だし暑いしたまにはホラーでも…
と思って手に取った作品。
いやぁ、まず文庫の装丁…怖すぎます。
ブックカバー必須ですね笑
るんびにの子供
柘榴の家
手袋
キリコ
とびだす絵本
獺祭
狼魄
解説は岩井志麻子さん
さてさてホラー作品って初めてでしたが、意外にサクサク読めました。そして読み進めるにつれ、次第に高まるゾワゾワ感。なかなか楽しめました。
映画や漫画と違って、特にこの様なホラー作品では読者がこの世界観をどの位想像して、脳内で展開し彩り良く描けるかが肝ですね。
その意味で、どの作品も注意力散漫になることなく没頭させるストーリーでした。
短編だけに凝った伏線回収等はありませんが、その分直球勝負で面白かったです。割と女性目線が強いので、女性の方が没入しちゃうかもしれません。
私は特に『柘榴の家』と『とびだす絵本』が印象に残りました。
ホラーというか地上波の『世にも奇妙な物○』みたいな不思議な物語でした。 -
7つのホラー短編集。
どれも結構好きだった。
『とびだす絵本』はちょっとファンタジーっぽく
あれはハッピーエンドだよな。
『狼魄』は呪いの話なのだが、これが1番好み。
大人しそうなあの人がねぇ…。 -
幼稚園の遠足で、私たちが出会ったのは、先生に近づいてはいけないと言われていた池に頭まで浸かっていた女の子。幼すぎて怖さはなく、幼稚園の園庭にも顔を見せるようになったその子を皆は「久美ちゃん」と呼ぶように。
大人には見えない「久美ちゃん」は、その後も私の前に現れては消えた。そして、それは私が大人になってからも……。
表題作ほか、6編のホラー短編集。物の怪の怖さというより、人間の業の怖さというところか。どれも意外性があって、驚かされる。印象的だったのは、書きおろしの『狼魄ラン・ポオー』。誰かの命を奪うことのできる呪具を手に入れることができたとしたら、あなたは、どうしますか? -
ほころびはまだ繕われていない
(るんびにの子供/柘榴の家/手袋/キリコ/とびだす絵本/獺祭/狼魄) -
るんびにの子供
宇佐美まことさんのデビュー作ということで期待して読んでみたけど期待を裏切らない。
人間の闇と怪異がうまいこと混ざって醸し出る仄暗い雰囲気
決して煽らず大袈裟でもなく、静かに淡々と暗いものが周りを包んでいくような感覚でした。大満足の読後感。
「とびだす絵本」は小さい頃自分が夢見ていたものがそのまま物語になっているようでびっくり。この本の中ではこれだけ異質でホラーよりもファンタジー寄りな気もしましたが私は好きでした。 -
るんびにの子供 / #宇佐美まこと
07年にデビューした作家さん!
初めて読みました。中国の呪具、ラン・ポォーの話が好み。人を呪い殺すという狼の脚を巡り戦時中のストーリーと現代での使い方が描かれる。文章や言葉の選び方もとても上品で大変好ましい作家さんでした!他の作品もぜひ読みたい。