るんびにの子供 (角川ホラー文庫)

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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095805

作品紹介・あらすじ

第1回『幽』怪談文学賞短篇部門大賞受賞作「るんびにの子供」を含む全7篇。宇佐美まことの原点。

感想・レビュー・書評

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  • 7作品収録の短編集
    タイトルの「るんびにの子供」は「幽」怪談文学賞短編部門の大賞だそうです
    いずれの作品もそれ系な感じでした
    まぁホラー文庫でもありますし
    個人的には「とびだす絵本」が気に入りました

  • 宇佐美まことさんのデビュー作。
    受賞作を含む短編7篇が収録された作品でした。

    夏だし暑いしたまにはホラーでも…
    と思って手に取った作品。
    いやぁ、まず文庫の装丁…怖すぎます。
    ブックカバー必須ですね笑


    るんびにの子供
    柘榴の家
    手袋
    キリコ
    とびだす絵本
    獺祭
    狼魄

    解説は岩井志麻子さん


    さてさてホラー作品って初めてでしたが、意外にサクサク読めました。そして読み進めるにつれ、次第に高まるゾワゾワ感。なかなか楽しめました。

    映画や漫画と違って、特にこの様なホラー作品では読者がこの世界観をどの位想像して、脳内で展開し彩り良く描けるかが肝ですね。
    その意味で、どの作品も注意力散漫になることなく没頭させるストーリーでした。

    短編だけに凝った伏線回収等はありませんが、その分直球勝負で面白かったです。割と女性目線が強いので、女性の方が没入しちゃうかもしれません。
    私は特に『柘榴の家』と『とびだす絵本』が印象に残りました。

    ホラーというか地上波の『世にも奇妙な物○』みたいな不思議な物語でした。

  • 7つのホラー短編集。
    どれも結構好きだった。
    『とびだす絵本』はちょっとファンタジーっぽく
    あれはハッピーエンドだよな。
    『狼魄』は呪いの話なのだが、これが1番好み。
    大人しそうなあの人がねぇ…。

  • 5話からなる短編集。

    「るんびにの子供」
    主人公の女性は幼稚園の頃から人ならざる女の子が見える。その女の子は時々彼女の前に現れて、大人になって結婚してからも時々見られる。それは彼女の前だけでなく同居する嫌な姑の前にも現れてー。

     話の内容どうこうよりも、この話の序盤の言葉に何となく惹かれた。人は子供から大人に成長する、というのが普通の考えだけど、子供はそれ自体で完結していて、大きくなるにつれて生来の能力を手放していくという考え。以前、時の流れを未来から過去に進んでいるというイメージでいる人の事を思い出した。

    「柘榴の家」
    強盗をして警察に追われる青年は見知らぬ家に上がり込む。そこには認知症らしき老女がいて彼の事を孫だと思いこんでいる。それを利用して彼はそこに居着くがー。

     この話を読んで、「え?この本もしかして前に読んでた?」と思った。似たような設定の本を昔読んだ記憶がある。それの結末はどうなったのか覚えてない。

    「手袋」
    犬の散歩中に片っぽの手袋を拾った女性。
    彼女には無神経な妹がいて彼女は妹の存在にいつも神経を逆なでされて怒りがたまっている。
    やがて手袋の持ち主が判明してー。

     これは主人公の女性の気持ちが少なからず理解できた。私も同じような妹がいるから。私の中にも相当根深い怒りがたまっているのは自覚している。

    「キリコ」
    キリコという義姉について語る二人の女性。
    キリコは占い師の家系の出で、人を呪い殺す術を知っていたのでは・・・と語り合う。

     キリコがどうこうよりも、二人の女性の存在にちょっと驚いて少し読み返してしまった。

    「とびだす絵本」
    親戚の家で子供の頃の事を追憶する男性。
    彼には仲の良い幼馴染の女の子がいて、その子との忘れがたい思い出がある。

    薄い本で、すぐに読めてしまう。
    その分、読み終えてすぐに忘れてしまうような印象の話ばかりだった。
    やはり、前に読んだ事あったような・・・と、読み終えてすら思ってしまった。

  •  幼稚園の遠足で、私たちが出会ったのは、先生に近づいてはいけないと言われていた池に頭まで浸かっていた女の子。幼すぎて怖さはなく、幼稚園の園庭にも顔を見せるようになったその子を皆は「久美ちゃん」と呼ぶように。
     大人には見えない「久美ちゃん」は、その後も私の前に現れては消えた。そして、それは私が大人になってからも……。

     表題作ほか、6編のホラー短編集。物の怪の怖さというより、人間の業の怖さというところか。どれも意外性があって、驚かされる。印象的だったのは、書きおろしの『狼魄ラン・ポオー』。誰かの命を奪うことのできる呪具を手に入れることができたとしたら、あなたは、どうしますか?

  • ホラー短編集。日本らしいほのかな怖さが多くてなかなか面白かった。
    個人的には表題の「るんびにの子供」が一番好きかも。
    他の話もだけど、結構主人公にとってイヤな相手が最終的にザマァみたいになる展開があって何かホラーなのにすっきりすることも。
    るんびにって言葉が聞き慣れなくて、ビニールの言い間違いとかかと思ってた。全然違った、インドの地名だった。
    「キリコ」の書き方が巧いミスリードだった。最初完全に若い女性二人が喋ってると思ってたから最後の方で実は二人とも曾孫までいるおばあちゃんだと知って驚愕した。騙されたなぁ。

  • お化けは怖いものではなくて、向こう側へ行ってしまう人間のはなし。好きやなあ。怖い霊などという、そういう怖さは無いんよな。日本の怪談、文章の怪談は、爽やかで、良い。

  • るんびにの子供

    宇佐美まことさんのデビュー作ということで期待して読んでみたけど期待を裏切らない。
    人間の闇と怪異がうまいこと混ざって醸し出る仄暗い雰囲気
    決して煽らず大袈裟でもなく、静かに淡々と暗いものが周りを包んでいくような感覚でした。大満足の読後感。

    「とびだす絵本」は小さい頃自分が夢見ていたものがそのまま物語になっているようでびっくり。この本の中ではこれだけ異質でホラーよりもファンタジー寄りな気もしましたが私は好きでした。


  • るんびにの子供 / #宇佐美まこと

    07年にデビューした作家さん!
    初めて読みました。中国の呪具、ラン・ポォーの話が好み。人を呪い殺すという狼の脚を巡り戦時中のストーリーと現代での使い方が描かれる。文章や言葉の選び方もとても上品で大変好ましい作家さんでした!他の作品もぜひ読みたい。

  • 宇佐美真まことのホラーってことで、個人的・夏のホラー特集の一環として。7編を収める短編集。やっぱりでも、根っからのホラー好きではないのかな。それなりに楽しめはしたけど…みたいな。

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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