- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041095911
作品紹介・あらすじ
太平洋戦争末期、理想に燃える軍国少年・柿見。激動の時代に翻弄される少年の行く末は……。社会の価値観・思想が目まぐるしく変化する中で生きた少年の青春と葛藤を描く、城山三郎の最重要作品。
感想・レビュー・書評
-
「人間は幸せを求めて生きるという単純なことを教師も親も誰も教えてくれなかった」時代を恨み、敗戦により一夜で価値観が逆転した社会に戸惑いながら天皇制を問う。その答えを求めてもがき苦しむ主人公=筆者の分身=の姿が痛い。軍隊での体験を「書き留めることで(戦争に)復讐をしたい」という筆者の思いがとても強く伝わってくる作品。語り部として最後の世代といえる氏の“証言”には重みがあります。もう一編は多くの少年兵が命を落とした住吉丸の悲劇を描いたもので、こちらも胸締め付けられる話です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
城山三郎氏の私小説的な作品。
「大義の末」に憧れ、天皇陛下の御為に命をなげうった軍隊時代、命より優先すべき天皇陛下の存在が貶められた終戦直後、再び国民統合の象徴となった、天皇一家を象徴する皇太子像・・・皇太子、せがれ・・・天皇像をめぐって揺れる軍国少年を描いた作品。 -
怨念つまるような本だった。天皇制の是非というか、天皇制に利用される者の悲劇として読んだ。
-
東2法経図・6F開架:913.6A/Sh89t//K
-
世界の価値観の変化について行けないほど、自身の価値基準が出来上がってしまった場合、ヒトはどう生きるんだろう。頭では変わらないとと分かってても心がそれを拒む。それほど戦争というのは強烈な存在ということだ。
-
3.67/46
内容(「BOOK」データベースより)
『思想書『大義』に影響され、予科練に志願した軍国少年・柿見は、理想とかけ離れた戦争の現実に深く絶望する。軍国主義を否定しておきながら、天皇の権威を再び政治に利用しようとする戦後社会で、人々と国家の変節に怒る柿見。なかったことにされた『大義』へ捧げた青春とそれを信じて死んだ友への想いから、破滅的な衝動に支配されていく。実体験に基づき、激動の時代を描いた、城山文学の原点というべき表題作ほか1篇。』
『大義の末』
著者:城山 三郎(しろやま さぶろう)
出版社 : KADOKAWA
文庫 : 288ページ -
天皇の権威を自身の拠り所にしようとする情けない人々のなんと多いことか。理性的に考えれば国体だの大義だの、もっともらしいことを言っても空虚なだけなんだが。
つづく