本性 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.57
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本棚登録 : 3327
感想 : 238
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095935

作品紹介・あらすじ

40歳独身の尚之は、お見合いパーティで《サトウミサキ》と出会う。彼女の虜となり逢瀬を重ねる尚之だが、結婚の話が進むにつれてミサキは不審な行動を見せ始める。一方、若手刑事の宮下は、一匹狼のベテラン・安井の相棒として、焼死事件を追っていた。単純な火災事故のはずが、安井だけは裏に潜む事件を確信しており――。関わる者を必ず破滅させる女、その正体とは? 全ての謎が繋がるとき、あなたを再び衝撃が襲う!

感想・レビュー・書評

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  • 2021年1冊目は伊岡瞬作品。
    細分化された章立てが、短編集を思わせるも、あらゆる視点、時系列の点在が見事に1本化されていく展開はお見事。

    復讐のためなら、美徳さえ悪に捧げる犯人に終始圧巻。
    だからこそ、強いて言えばラストが薄かったのは残念なのか致し方ないのか。1人選挙で後者に1票。

  • このような作品が、クライム・サスペンスなのでしょうか。全9章、犯罪が積み重なっていき、そこに繋がりが見え始めていきます。
    一人の魅惑的な女性「さとうみさき」が、繰り広げる、ハニトラからの策略。そこには、彼女の復讐劇が隠されていました。
    本性から腐った人間を、本性を隠した人間が貶めていく。腐り方が際立ち、復讐の憎悪が根深く、印象に残る小説となりました。
    読了後は、ストーリーではなく、今の教育現場や陰湿ないじめ、クラスカーストなどの事に気持ちが移ってしまい、どうにもならない喪失感を持ちました。小説に引き摺り込まれているのは、確かなのだと思います。

  • 昭和の悪女の様な雰囲気と名前なサトウミサキ。彼女の壮絶なる復讐劇はとても面白かった。プライドをそのまま擬人化したようなメンズ達が情けなくて情けなくて...不快さに自分の人相変わるくらい物語に没頭していた。

    無口だがどこか義を感じる上杉景勝風刑事とサトウミサキの繋がりが気になって気になって仕方無く、眠い目をこすりながら読書に耽る様は正に「修羅の如し」私の戦国好きは置いておきましょう。

    彼女の行動は理解し難い部分も多いが、心理的な苦しみや怒りがよく表現されており、「悪女」の風体を崩さないままの着地点に大満足だ。

    刑事の世界が繋がる伊岡瞬の作品。著者をこっそり追ってる身からすると小さな楽しみとなっている。常にスポットを浴びそうで浴びれない宮下刑事を陰ながら見守りたい。

    • りまのさん
      NORAさん
      フォロー頂いて、とても嬉しいです!NORAさんの、センス良いレビュー、とても好きです。ありがとうございます! りまの
      NORAさん
      フォロー頂いて、とても嬉しいです!NORAさんの、センス良いレビュー、とても好きです。ありがとうございます! りまの
      2021/02/05
    • NORAxxさん
      りまのさん
      こちらこそフォロバして下さり感激の極みです(>_<)ありがとうございます!!
      私の中身のないレビューを見て下さり重ねて感謝申し上...
      りまのさん
      こちらこそフォロバして下さり感激の極みです(>_<)ありがとうございます!!
      私の中身のないレビューを見て下さり重ねて感謝申し上げます(涙)
      りまのさんの本棚にて自分の知らない作品を沢山知れて嬉しく思います///
      これからも宜しくお願い致します...♪*゚
      2021/02/05
  • この小説のキャッチコピーは
    【この女 危険】
    とかそんな感じでしたが

    実際は その女 サトウミサキと言うより
    この世の中
    人間というとのが醜く、危険であり
    話の内容は人間の【愚かさ】【欲】である

    何が正義で何が悪か

    知り合いに警察官いるが…自分も怒って話した事がある
    (雑談で…)
    ※もちろん犯罪は駄目
    でもさ お前「被害者が100%可哀想で、加害者が100%悪」ってパターンしか考えないの?
    【加害者がずっと堪えてたり、苦しんでて 被害者が害を与え続けてた糞やろう】って可能性も考えられないの?

    お前の仕事の対象は、犯罪を犯した人を取り締まったりすることであって【犯罪までにいたる 善悪はまた別】
    と話した事があったのを思い出した

    にしても
    犯人以外の登場人物 クズだらけだったなぁ…

    なんでも、柔軟な目で物事を見れるようになりたいです

    例えば…「千円cutの床屋は安いし早くて良いけど、冷静に考えてみたら 普通と床屋は高いと思うが…実は10分程のサービスとして考えると、千円cutってクオリティも含めて割高なんじゃね!?」ってこと…

  • 伊岡作品、渾身の一撃だった!主人公・サトウミサキが神出鬼没に現れる。彼女の過去にまつわる禍根、家族の破滅的状況に怒り狂う。そして関連する奴らへの復讐を遂げていく。さらに1人の警察官・安井も連動する。安井が徐々にサトウミサキに迫る。そしてラストのサトウミサキ VS. 安井。この対峙により、復讐の真相が明らかとなる。サトウミサキの怒りは加害者と警察官に向かうのは十分理解できた、が、何故彼女が自分の身体を汚して成し遂げなければならなかったのか、それは贖罪なのか?またはサイコパスなのか?本性は分からなかった。⑤↑

  • 短編集のように、それぞれの事件を描いてるけど、1つ共通点が!
     サトウミサキ
    サトウミサキみたいな人なら、私も虜にされそうで怖い…
    あっ!でも、悪さはしてないです〜
    性格も素直で、良い子です〜

    後半に向かって、今までの事件が、それぞれ繋がっていく!
    サトウミサキ…
    恨む相手の本性を知った上で、あかんかったら、裁く。(殺人、生活破滅etc)
    まぁ、あんな事してて、何事もなかったように過ごしてる人は、あかんのがほとんどかもしれん。

    しかし、サトウミサキ…他人の本性は分かったけど、この女性の本性は最後まで分からず…
    それは、今後、宮下刑事に期待!

    「これは、安井さんの弔いではない。あの女と自分の闘いだ。必ず追い詰めてやる。世界のどこにいようとー。」(文末より)

  • 伊岡瞬『本性』角川文庫。

    サトウミサキという33歳の女性が次々と男たちを手玉に取り、彼女に関わる男たちに不幸をもたらすという前半の連作風のストーリーが中盤から一転、思いも寄らぬ方向に展開し、少しずつ全ての事実がつながっていく。

    これまでに読んだ伊岡瞬の作品では『代償』と『痣』が群を抜いて面白かった。他の作品はこの2作に比べると落差が激しく、作品の出来不出来がはっきりした作家だという印象を持っている。そんな中、本作は面白い方の部類に入る作品だと思う。

    第一章から第三章までは、サトウミサキの悪女ぶりが描かれているのだが、第四章になると何故かサトウミサキは登場しない。この第四章がひとつの転機となり、第五章から物語は一変するのだ。第五章からはベテラン刑事の安井と若手刑事の宮下による焼死事件の捜査が描かれ、事件の捜査が進展する中、再びサトウミサキが姿を現す。そして、迎える悲劇の連鎖と結末……

    意外にも余り評価が高くない作品なのだが、自分には非常に面白かった。

    本体価格800円
    ★★★★★

  • 「悪い女」の話かと思い楽しんで読んでいたが真実はかなり重い…。

    前半と後半に分かれていて、前半はサトウミサキに魅了され後半はガラッと変わって少し戸惑いました。本書を手に取った動機としては前半の方が好みで第三章までは一気読みでした。(特に第三章おもしろい!)最後は個人的には少しまとめ方が物足りない気もしましたが、面白かったことに間違いはない。

    第二章の琢磨を思い出す。なぜか低いテーブルをミサキから贈られ、そこで…。
    「何か思い出さない?」とミサキが聞いても琢磨が思い出すことはない。やられた方はその後どんな苦しい人生を送っていてもやった方は覚えていない。やった方も罪悪感や後悔を感じていれば覚えているはず。復讐はするべきではないと思っていても、ミサキには同情してしまう。

    だが果たしてミサキの本性は?復讐だけどミサキにも歪んだ快楽の満たし方があった。いじめだっていじめてる側は支配する快楽を得てるんであろう。本人の無意識の内に恐ろしい本性が潜んでいるのが人間なのだろうか。

    伊岡瞬、初読だったので他の作品も読んでみたい。

    • しんさん
      これ気になります
      これ気になります
      2022/06/01
    • あささん
      わっ 是非です
      好みだとおもいます(๑˃̵ᴗ˂̵)♪
      わっ 是非です
      好みだとおもいます(๑˃̵ᴗ˂̵)♪
      2022/06/01
  • 伊岡瞬著 『本性』

    ミステリー⭐️⭐️⭐️
    ひたひた迫る怖さ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    意外性あるラスト⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    1.伊岡瞬さん
    祈り、代償と読了して三冊めです。
    読了の想定外の展開とスピード感に魅了されて、本性の世界に入りました。

    2.『本性』
    ①男性特有の性に対する本性。
    ②集団で同化してしまいがちな本性。いじめ。
    ③時間が有限のなか、手柄が高い事件を優先してしまうかもしれない警察側の本性。
    ④愛しき家族を失い、残された遺族が思う積年の筆舌しがたい本性。

    登場する人物たちのそれぞれの本性の描写があります。
    その描写とともに、いくつかの殺人事件がリンクしていく展開は目が離せません。

    スピードは緩やかなミステリー。
    しかし、足跡が少しずつ迫る、あのひたひたの怖さは、これからの夏の季節にぴったりかもしれません。

    2021年。伊岡さんの作品、増えそうです。

    #読書好きなひととつなかりたい

  • サトウミサキという一人の女性が、次々と関わった人達を破滅に追いやっていく過程がなかなか鮮やかでしたね。
    ミサキさんが関わる人の本性が、例外なくクズ人間なので、いっそ清々しい(笑)

    後半、サトウミサキの本性が分かるシーンも出てくるんですが、何だか中途半端な感じがして…結局、ミサキさんの本当の本性は藪の中というか。

    あと、読んでいて苦しいシーンもあって、気分はあんまり良くないです(笑)
    人って怖いなぁ…と改めて感じさせてくれる内容でした。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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