- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041095942
作品紹介・あらすじ
誰もが認める圧倒的な絵の才能を持つ少女・瀧本灯子。卓越した技術で、人間業とは思えない緻密な絵を描く少年・南條遙都。二人は幼くして出会い、互いの才能を認め、共に創作へ打ち込んできた。美大へ進んだ二人に気鋭の画家として評価が高まっていた矢先、二人のいるアトリエを土砂崩れが襲う。なんとか命は取り留めた二人だったが、画家としてあまりに酷な運命が待ち受けていた。若き天才画家を取り巻く絶望と愛の物語。
感想・レビュー・書評
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天才が故に気持ちの伝え方が不器用な2人が、絶望から一緒に這い上がる姿は力強くて、胸が色んな意味で熱くなります。
最後に見える景色は、紛れもなく、愛に満ちている。
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とても印象的なワード、センテンスの多い小説でした。
第四部のタイトル「ある恋のない愛の物語」は、読めば「なるほど」と思います。その一方で小説のタイトルである「君を描けば嘘になる」は作中にも出てきますが、ハッキリと意味がわかる言葉ではありません。(物語上の二人には通じ合っているのでしょうが……)意味がわかりそうで、でも少しわからない。だからこそ読み終わった後も、しばらく考えてしまいます。
また梢の章で書かれていた「少しずつ、少しずつ、馬鹿になっているのがわかる」という文も、酷く私に突き刺さりました。きっと似たような想いをしているからなのだと思います。
灯子と遥都。異なる二人の天才を巡る物語で、妹や先生、別の生徒の視点がある中で、遥都の視点の章だけないのも、凄く印象的でした。(きっと、だからこそタイトルの意味を読み終わっても考えさせられるのでしょうね)
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君を描けば噂になる(角川文庫)
著作者:綾崎隼
発行者:KADOKAWA
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
若き天才画家を取り巻く絶望と愛の物語。 -
話が進んでいく感じは面白かったが、最後の真実が明らかになるところがよく分からなかった。私の読解力が無いだけなのか。
その人の行動の意味が客観的にこうかもしれない、となっただけなのが少しモヤモヤした。
読了後知恵の輪を解くのを途中で辞めたような気持ちになった。
でも設定とか描写は良かった。
ラストで一気にラノベ恋愛小説っぽくなった。 -
生きていて何かに打ち込んだことのある人は大体ぶち当たる壁や苦しみが書かれていて自分の心も少しちくちくした
いろいろな愛の形がある、正解はない -
タイトルと表紙に惹かれて購入。その帰り道のバーで、一気読みしました笑
どんな話かといえば、第四部のタイトルそのまま、『ある恋のない愛の物語』というひとことに尽きると思います。
芸術の神様に愛された二人の"天才"、灯子と遥都。
ふたりを取り巻くひとたちの視点で、物語は進みます。
どうしても愛さずにいられない何かや誰かがある人、強烈に何かに惹かれたことがある、"目を奪われる"という経験がある人は、読書中「わかる!そうなんだよね…」という気持ちで、一気読みできてしまうと思います。
また、最後まで読むとタイトルの『君を描けば嘘になる』の意味がわかって、優しい気持ちになります。 -
登場人物のそれぞれの背景、視点からストーリーが深掘りされていく手法が新鮮で面白かった。印象的な作品だった。
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全部読み終わった時、題名の意味がわかってなんだか苦しくなった
今後の2人が幸せでありますように -
綾崎さんの小説はいつも、欲に抗えず一気に読み切ってしまう。儚くて美しい文章の中毒に飲み込まれて幸せだった。
極端な天才がいるとき、一定の距離や立場がある人しか1人の人間として認められないことがある。
タイプの違う天才でも、天才とその他という構造は崩れにくいからこそ生まれた「ある恋のない愛の物語」、君を描けば嘘になる、と言える素直さが心地よかった。
著者プロフィール
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