砂上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 222
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095973

作品紹介・あらすじ

守るものなんて、初めからなかった――。人生のどん詰まりにぶちあたった女は、 すべてを捨てて書くことを選んだ。母が墓場へと持っていったあの秘密さえも――。直木賞作家の新たな到達点!

感想・レビュー・書評

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  • 桜木紫乃『砂上』角川文庫。

    小説を書くということは、過去の罪を含めた自分の全てをさらけ出し、身を削る行為なのだろうか……

    本作は独りの女性の物語が、途中から、母親、娘、孫娘の女性三代の物語に変化していくという作中作の『砂上』のような物語である。物語には、作者の桜木紫乃の人生に重なる部分があるのだろうか。ラストに描かれた会話に、『それを愛とは呼ばず』のラストにも似た、桜木紫乃の残酷さを見ることが出来る。

    北海道の江別で、遠くに微かな作家という夢を見ながらエッセイを書き、新人賞に応募しながら、ひっそりと暮らす柊令央。ある日、彼女の元を応募原稿を読んだという編集者の小川乙三が訪ねて来る。小川は令央に過去のエッセイ『砂上』をベースに小説を書くことを進める。身を削るようにして何度となく書き直し、小説をつむぎ出すうちに令央は人間として、一つずつ自らを守る殻を破っていく……

    購入した文庫本には何故か桜木紫乃の手書きによる『日刊 おばんです』という謎の新聞が挟まっていた。

    本体価格620円
    ★★★★★

  • ポイントが三つある。
    小説家を目指している柊玲央が小説を生み出していく苦しみ、新人を叱咤する編集者、そして柊玲央本人の人生事情。

    いや、むしろ登場する小説に厳しい目線の編集者小川乙三を描くことで、桜木紫乃さんの小説への心意気を言いたかったのかのではないかと。

    この小説中の小説「砂上」が、もし出版されないという結論だったらどうだろう。やっぱり小説家志望はあきらめないのか?また、本になったのはいいけれど、売れなかったら?読まれなかったら?読者に理解されなかったら?

    出版されなくて、売れなくて、うずもれていった物書きたちの積んでも積んでも崩れる砂の山。

  • なんとも心に入ってこない話。
    登場人物と同い年なのにこんなに感情移入できないものか。とらえどころのない人という印象。先がどんどん気になって読み進めてしまうような、ストーリー性のある話の方が好みの自分には、合わなかったかな。

  • 読むのが苦痛だった。新井賞は回を重ねるごとにつまらない選出になっている。

  • 小川さんがこわい。あんなにビシビシとムチ打たれたら、そこに小さなアメが入っていようともまったく意味がなさそうだ。小説、まして私小説のようなものを書こうと思ったら、とてもタフでないとやっていけないんだなぁ・・・。
    小説を書くというマラソンの給水ポイントで、励ましの言葉をかけつつ熱いコーヒーを手渡すような人だ。でも令央は熱いものを飲む度胸があるんだな、とも思った。書き直しを重ねることも、自分の過去をさらけ出すこともできる。それはやがて、元・夫への態度や母の過去に触れるという変化につながり、更にそれによって自分の位置や感情が定まっていくことで、書いている物語が「リアルな作り話」になっていったのかなと思う。
    令央の実際の人生、日々よりも、彼女が小説を書くために通る道筋がおもしろかった。

  • 江別在住だということは知っていたけれど、江別を舞台に小説を書いていらっしゃるとは知らなんだ。
    なかなかそんな小説あるもんじゃないと思い、購入。なんだか不思議な感じだった。笑 

    ストーリー全体から見ると、江別を舞台に設定する必要性はあまり感じられなかったけど、著者が江別在住だという前情報を知ってると、本当にこの作品は虚構なのか....という勘ぐりをしたくなってしまうのは人の常なのか...。
    恐らくそれも狙っているんだろうなとは思うけども。 

    にしても、作家からの強いメッセージ性をストーリーの合間合間に丁寧に織り交ぜることで、ここぞというところで浮かび上がらせたり、他のところでは底に沈むようにさせていたりしていて、個人的には作家の影を感じすぎず読みやすかった。

  • 読みたい桜木紫乃全開で、ホントあの一行から始まる小説俺も読みたい!
    ちょっとラブレスを思い出しますね。現代版ってとこか。増えた40kgのエピソードも読ませてもらいたかったな。
    裏小川乙三、気になりますね!!

  • 小説を書く人と 書かせる人と 小説の中の人生と 現実の生活が どれがホントでどれが嘘か曖昧になりながらも ふりしぼるように文章にする主人公に心打たれます。

  • 主人公は40歳独身女、柊令央。ビストロでバイトしながら小説書いている。
    離婚した元夫からの慰謝料を頼りに生活しているが、最近は滞りがち。
    向こうも生活が厳しいと金額の値引きを打診されたり・・・。
    直近、母が死んだらしいが、それにたいしての感情は希薄なようだ。
    疎遠な妹がいるが、お互いにあまり干渉しあわないドライな関係だ。
    この妹が実は娘で・・そのあたりの身の上話を私小説風にして書いていたのだが。
    あちこちの文芸新人賞などに原稿を応募しては落選を続けている。
    そんな落選原稿に目を止めて連絡してくる風変わりな女編集者小川乙三。
    「あなたの身の上話など、誰も興味ありません」
    と言いながら、その身の上話に興味を持ち、近づいてきて
    「主体性のなさって、文章にでますよね」
    とか、嫌味に富んだ抽象的な示唆で叱咤激励、指導鞭撻していくという話。
    この乙三が助言する小説作法が、おそらく桜木さん自身の手法でもあって。
    その手の内を赤裸々に明かしているとこが大きな読みどころだ。
    しかしどこかにテレもあるのか・・抽象的な言い回しで煙に巻いている感じがあって
    私的にはもどかしかった。
    もっとはっきり言ってよ!(ちゃんと教えてよ!)って。
    あとは、主人公の家族やビストロ親子、元夫らとの身の上話が
    書いている小説の内容とリンクしてくという構成で。
    令央は、常に主体性なく、まわりに流されて
    そこはかとなく卑屈な虚無を漂わせ、自分を憂いていて。
    他の登場人物たちも、なんか腹に一物を抱え、すれ違っていて・・。
    この令央の身の上話をどう受け止めるかが、本作の好みの分かれるポイントだろうけど。
    私としては。
    結局、自分以外の他人のことは親子だろうが兄弟だろうが姉妹だろうが、
    他人の気持ちを頭で理解することはできても感覚として共感はできない。
    それはそれで仕方ないんだ。そういうものなんだ。
    と、そんな事が描かれているように感じた。
    あと感じたのは、男と女のどうしようもない違いかな。
    この作品に出てくる男たちは特にしょうもない奴らばかりで。
    著者の・・かどうかわからないけど男に対する冷たい視点が厳しい・・・。
    どちらかと言えば女性向け作品かもしれない。

  • 桜木紫乃、2作目。やっぱり暗い

    そもそも、共感を感じる小説ではないんだろうけど、それ以前に主人公を好きになれないと、読んでいて辛い。
    主人公の令央は、編集者に言われる様に主体性がない。それだけではなく、弱い立場の人にはキツい。例えば元夫に対して。
    一方強い相手、編集者の乙三や娘の美利に対しては、ほぼ何も言い返さない。その切り替えというか態度の違いが、気持ち悪い。
    かと言って、乙三や美利が魅力的な訳でもない。むしろキツいし苦手だ。
    そんな感じだったので、この作品も好きにはなれなかった。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年に同作を収録した単行本『氷平線』を刊行。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞を受賞。同年、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞し、ベストセラーとなる。20年には『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。『ワン・モア』『砂上』『起終点駅 ターミナル』『無垢の領域』『蛇行する月』『緋の河』など著書多数。

「2021年 『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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