砂上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 309
感想 : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095973

作品紹介・あらすじ

守るものなんて、初めからなかった――。人生のどん詰まりにぶちあたった女は、 すべてを捨てて書くことを選んだ。母が墓場へと持っていったあの秘密さえも――。直木賞作家の新たな到達点!

感想・レビュー・書評

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  • 編集者という職業が存在することは知っていましたが、作家に与える影響や関係性がどの程度のものかを考えたことはありませんでした。この本を読む限り、その存在は大きく、力量次第で作家も変わるほどなのだろうと感じました。

    自分の卒業論文を思い出しました。教授が朱書きを入れ、自分の文章はどこへやら。そして力作になったことが懐かしい。
    2022,1/31-2/3

  • 桜木紫乃『砂上』角川文庫。

    小説を書くということは、過去の罪を含めた自分の全てをさらけ出し、身を削る行為なのだろうか……

    本作は独りの女性の物語が、途中から、母親、娘、孫娘の女性三代の物語に変化していくという作中作の『砂上』のような物語である。物語には、作者の桜木紫乃の人生に重なる部分があるのだろうか。ラストに描かれた会話に、『それを愛とは呼ばず』のラストにも似た、桜木紫乃の残酷さを見ることが出来る。

    北海道の江別で、遠くに微かな作家という夢を見ながらエッセイを書き、新人賞に応募しながら、ひっそりと暮らす柊令央。ある日、彼女の元を応募原稿を読んだという編集者の小川乙三が訪ねて来る。小川は令央に過去のエッセイ『砂上』をベースに小説を書くことを進める。身を削るようにして何度となく書き直し、小説をつむぎ出すうちに令央は人間として、一つずつ自らを守る殻を破っていく……

    購入した文庫本には何故か桜木紫乃の手書きによる『日刊 おばんです』という謎の新聞が挟まっていた。

    本体価格620円
    ★★★★★

  • 『ビストロエドナ』エブリ内に4/2移転オープン間近の様子[江別市東野幌町] | 【えべナビ!】江別・野幌 情報ナビ
    https://ebetsunopporo.com/?p=30359

    江別が舞台の小説『砂上』(直木賞作家・桜木紫乃著)が話題!お店のモデルになったビストロ・エドナは超人気店 | 【えべナビ!】江別・野幌 情報ナビ(2017年11月4日)
    https://ebetsunopporo.com/?p=11145

    「砂上」 桜木 紫乃[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322002001001/

  • 247Pと軽く読めそうな薄目の文庫なのに内容はずっしり、ドライでほの暗いところで静かに燃えている、ような印象。桜木さんがオール読物で受賞した後なかなか次作が世に出なかった、ということはどこかインタビューかなにかで知っていたけれどその当時のことを執筆10年を前にしてようやく小説というかたちにしたのかなと思った。辛辣な編集者と好感を持てない主人公だけれど行く末が気になって読ませられた。共感から遠いところからでも読了後に残るのが小説の楽しさだし、この暗い炎の熱さがとてもいい。

  • ポイントが三つある。
    小説家を目指している柊玲央が小説を生み出していく苦しみ、新人を叱咤する編集者、そして柊玲央本人の人生事情。

    いや、むしろ登場する小説に厳しい目線の編集者小川乙三を描くことで、桜木紫乃さんの小説への心意気を言いたかったのかのではないかと。

    この小説中の小説「砂上」が、もし出版されないという結論だったらどうだろう。やっぱり小説家志望はあきらめないのか?また、本になったのはいいけれど、売れなかったら?読まれなかったら?読者に理解されなかったら?

    出版されなくて、売れなくて、うずもれていった物書きたちの積んでも積んでも崩れる砂の山。

  • 四十女の物書きがデビュー作となる「砂上」を書き上げる話。創作の様子や物書きの思考を辿れるのが初めての感覚でゾワゾワした。

    言葉にするのむず笑

    気に入った段落↓
     令央は「虚構」を信じたかった。すべて嘘に塗り替えてしまえば、己の真実が見えるはずだ。あのときなにが足りなかったのか、あの日どうすればよかったのか、あの人にどう接すれば間違わずに済んだのか。それらの答えはすべて現実ではなく再構築された虚構のなかにある。

  • 小川さんがこわい。あんなにビシビシとムチ打たれたら、そこに小さなアメが入っていようともまったく意味がなさそうだ。小説、まして私小説のようなものを書こうと思ったら、とてもタフでないとやっていけないんだなぁ・・・。
    小説を書くというマラソンの給水ポイントで、励ましの言葉をかけつつ熱いコーヒーを手渡すような人だ。でも令央は熱いものを飲む度胸があるんだな、とも思った。書き直しを重ねることも、自分の過去をさらけ出すこともできる。それはやがて、元・夫への態度や母の過去に触れるという変化につながり、更にそれによって自分の位置や感情が定まっていくことで、書いている物語が「リアルな作り話」になっていったのかなと思う。
    令央の実際の人生、日々よりも、彼女が小説を書くために通る道筋がおもしろかった。

  • スラスラ読みやすい桜木紫乃をイメージして
    読み進めると、あれ?となりながらも
    どうなっていくのかが気になっていく。

    登場人物の女たちが
    これからどうなっていくのか
    気になったままラスト

    こんなラストもまた良い

  • 感想を書くのがとても難しい、けれども読後になにかがずっとこびりついて離れない不思議な作品。

    主人公は私小説を投稿する中年女性。以前別の賞に応募した作品「砂上」を改稿しないか、と女編集者から持ちかけられて作業に移る。この女編集者が凄みのある人で、グサグサと刺さることを平気で言う。
    「主体性のなさって、文章に出ますよね」
    「精神的に決定的なダメージを受けたこともなければ、友達もいないんじゃないか」
    けれどもそれは身に覚えのあること。主人公は彼女の感性を信じて改稿を進める。
    そのうちに、私生活をネタとして捉えるようになったり、別れた夫とのいざこざに以前はなかった行動を取ったりもする。

    そうして彼女は『砂上』を刊行する。
    身を削るような改稿作業や、人生すべてを作品に捧げるような生活は、芥川龍之介の『地獄変』を連想させる。
    これは小説を書く人間には、ものすごく突き刺させる。
    砂をつかむような作業、砂上に現れる風紋や足跡の頼りなさ、しかし確かに達成したという感覚。
    暗い残酷さが、静かに胸に刺さる作品だった。

  • 小説を書く人と 書かせる人と 小説の中の人生と 現実の生活が どれがホントでどれが嘘か曖昧になりながらも ふりしぼるように文章にする主人公に心打たれます。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年に同作を収録した単行本『氷平線』を刊行。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞を受賞。同年、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞し、ベストセラーとなる。20年には『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。『ワン・モア』『砂上』『起終点駅 ターミナル』『無垢の領域』『蛇行する月』『緋の河』など著書多数。

「2021年 『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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