- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041096147
作品紹介・あらすじ
フィンランドの森に佇む素朴なホテルには、異次元へのドアがあるという噂がある。本当にここではないどこかへ行けるとしたら、どうする? 人生をやり直したいと切実に願う男女4人が出した答えとは……?
感想・レビュー・書評
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表紙の可愛らしさにやられ手に取りました。それぞれの人生の回想シーンは山あり谷ありですが、全体的にのんびりと穏やかな空気が漂っており、ああ、フィンランド良き!
向こうの世界の様子が事細かに書かれていないのが、深い霧に包まれた酸素の濃い森に隠されているようで素敵でした。
私も人生に迷いと後悔しかないので、一度ホテルメドゥーサに行こうと思います。 -
本屋さんによりけりかもしれないけど
たくさんある平積みの中で
ダントツで減っていたのが目に留まった
はじめましての作家さん。
帯は大好きな、もたいまさこさん!
「これは、間違いないぞ」と確信。
異次元というワードでもSFさはほとんど感じられなかったし、違和感もなかった。
異次元へ続くドアへの期待と不安の中で
自分の内側にあるものや、なぜここに来たのか
異次元があるなら自分は行くのか…
その答えを見つけようとする4人を通して
こちらに問いかけてくるような場面が
何度もあるから考えさせられる。
住んでいる場所も職業もバラバラ。
どうしてこの4人が
フィンランドに来ることになったのか。
どうしてこの4人だったのか。
それが少しずつ明かされていくたびに
宝物を探し当てたような
大きな大きな喜びと驚き…!!
沢山の人に体感してほしいーー!
生きていれば楽しい、楽しいばかりじゃない。
過去を振り返れば「あの時〜してれば」と
別の選択、別の人生が頭をよぎることもある。
でもそれは、その時の自分にできるベストの選択だったし
先にどんなことが待ち受けているのか不安で
変えることでのちに後悔するかもしれなくても
自分を奮い立たせ、決断して行動する。
これがなによりも大きな大きな一歩で
このことが、いまわたしの力になっている。
最後には、4人それぞれが納得する答えを出して
お互いにそれを尊重し受け入れる。
誰のことも否定しないし、そこには肯定感しかない。
瀧井朝世さんの解説も、とっても良かった。
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フィンランドが舞台の小説ってことで読みました。
物語は…フィンランドでなくてもよかったし、フィンランドっぽさもなかったしで、残念。
物語自体はファンタジーなんだけど、消化不良で終わってしまいました。異次元はわからないから結局こっちの世界の人が見えるところしか書けないんだよ、ということか。 -
不思議な繋がりと、異世界を感じさせる本
フィンランドに旅行してみたくなった -
典江さんと典江さんの旦那さん好き
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人生は、ままならないけれど、愛おしい。
フィンランドの森に佇むホテルには、“異次元へのドア”があるという噂がある。異次元なんてあるわけない⁉︎ 異次元詐欺か?だけど…
表紙に一目惚れしてKindleの半額セールで購入。黒い犬と黒い羊可愛い。殆ど出てこないけど。
異次元を求めてホテルメドゥーサを訪れたのは、
矢野多聞、40歳…(たぶん)人を殺してしまったので逃げてきた。
梅林希羅々、25歳…自分自身を変えたいけど変えられない。
燕洋一、54歳…死んだ最愛の妻が異次元で待っているので。
久遠典江、50歳…好奇心を抑えられずにやってきた。
みんな今の世の中が絶対に嫌というわけではない、異次元についても半信半疑、それなのにフィンランドまできたんかい!
私が異次元より驚いたのは、久遠典江さんの旦那さんの言葉。
「タダシも無事に就職できたし、完全に巣立ったわけだ。その後の人生は、お互いに好きなように生きてみないか」
考古学研究の為、発掘に集中したいので家にいない日が多くなるということらしい…
こんなこと言われたら私はショックで泣く。捨てられたとしか思えない。
だけど、久遠典江さんは、
「それぞれが望むところで息災であれば、それでよし。」
愛情が薄いわけじゃないという。目から鱗が落ちる、はらはらと。そんなものなのか…。
いろんな人間がいる、いいことも悪いこともある、地球ってそんなところ。
地球とか異次元とか思ったより話がだだっ広くて驚いたけど、気付かされたことがたくさんある作品でした。
彼らは本当に異次元の世界に行くのか?行くか行かないのかの葛藤も人それぞれで面白い。迷え、迷え、どの道を選んでも、自分で選んだのならそれでよし! -
ファンタジーといえる物語。今も日本で人気の北欧を舞台にし、いかにも北欧の森の中でなら、あり得るのではと思わせる設定である。
ファンタジー、北欧と言ってもイメージする「かわいい」というような作品ではなく、それぞれ、人生に鬱屈したものを抱えた四人の日本人が、「今」を脱出したいと願い、北欧までやってくる。
フィンランド、ホテルメドゥーサにやってくるまでの四人の老若男女の日本での人生が、ある意味、とても普通であり、それでもそこから脱出したいと感じていることが面白く感じた。
著者プロフィール
尾崎英子の作品





