ホテルメドゥーサ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.16
  • (3)
  • (10)
  • (23)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 325
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096147

作品紹介・あらすじ

フィンランドで出会った年齢も性別もばらばらな4人。共通しているのは「くらげ」「異次元」というキーワード。異次元なんてあるわけない、けれど……!? 心がすうっと楽になる、世界が広がるサプリ小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 北欧・フィンランドの森。
    残念ながら一度も訪れたことはないけれど、映画『かもめ食堂』で観たことならある。
    深くて濃い緑に溢れ、張り詰めた空気が漂い森全体が静まりかえる。空から微かに降り注ぐ木漏れ日が辺りを柔らかく包み込む。神聖で神秘的な空間。
    そんなアルファ波がたくさん発生しそうな場所になら、異次元へ繋がるドアがあってもおかしくない。

    人生をやり直したい、と心から願う4人の日本人が時を同じくして、何か不思議な力に導かれるようにはるばるフィンランドの森の中に佇む"ホテルメドゥーサ"に集まった。
    いざ異次元へ、となった時、本当に行くべきか悩む4人が森の中で話し合う。
    年齢も性別も育った環境も様々な4人は、異次元への期待と今いる星・地球について思いを巡らす。

    その中で特に印象深いのは"後戻り"について。
    この星のいいところは後戻りできないこと、と言う一人の言葉「俺の人生、正直やり直したいことばっかりだけど、もしも本当にやり直しがきいたら、全然前に進めなくてどこにも行けなくなりそうだもん。やり直せないから、どうしようもなくなって、こんなところまで来ちゃったわけですよ。後戻りできないからこそ、今、俺はここにいる」
    異次元の世界のように、何度でもやり直しし放題なのは一見良さそうに思えるけれど、それでは一向に先へは進めない。やり直しなしの一度きりの人生もまたよし、と思えた。

    一度きりの人生、その場に留まるのも先へ進むのもその人次第。どちらが正解なんてない。
    迷って悩んで自分の気持ちを受け止めた末に、自分で決断することにこそ意義がある。
    フィンランドの母なる森らしく、迷える人々を優しくおおらかに包み込んでくれる物語だった。

  • 表紙の可愛らしさにやられ手に取りました。それぞれの人生の回想シーンは山あり谷ありですが、全体的にのんびりと穏やかな空気が漂っており、ああ、フィンランド良き!

    向こうの世界の様子が事細かに書かれていないのが、深い霧に包まれた酸素の濃い森に隠されているようで素敵でした。

    私も人生に迷いと後悔しかないので、一度ホテルメドゥーサに行こうと思います。

  • 本屋さんによりけりかもしれないけど
    たくさんある平積みの中で
    ダントツで減っていたのが目に留まった
    はじめましての作家さん。
    帯は大好きな、もたいまさこさん!
    「これは、間違いないぞ」と確信。
    異次元というワードでもSFさはほとんど感じられなかったし、違和感もなかった。
    
    異次元へ続くドアへの期待と不安の中で
    自分の内側にあるものや、なぜここに来たのか
    異次元があるなら自分は行くのか…
    その答えを見つけようとする4人を通して
    こちらに問いかけてくるような場面が
    何度もあるから考えさせられる。
    
    住んでいる場所も職業もバラバラ。
    どうしてこの4人が
    フィンランドに来ることになったのか。
    どうしてこの4人だったのか。
    それが少しずつ明かされていくたびに
    宝物を探し当てたような
    大きな大きな喜びと驚き…!!
    沢山の人に体感してほしいーー!
    
    生きていれば楽しい、楽しいばかりじゃない。
    過去を振り返れば「あの時〜してれば」と
    別の選択、別の人生が頭をよぎることもある。
    でもそれは、その時の自分にできるベストの選択だったし
    先にどんなことが待ち受けているのか不安で
    変えることでのちに後悔するかもしれなくても
    自分を奮い立たせ、決断して行動する。
    これがなによりも大きな大きな一歩で
    このことが、いまわたしの力になっている。
    
    最後には、4人それぞれが納得する答えを出して
    お互いにそれを尊重し受け入れる。
    誰のことも否定しないし、そこには肯定感しかない。
    瀧井朝世さんの解説も、とっても良かった。
    

  • 不思議な繋がりと、異世界を感じさせる本
    フィンランドに旅行してみたくなった

  •  舞台は、フィンランドの森にある素朴なホテル。そこには、「異次元へ通じるドア」があり、ここで出会った4人の日本人がドアを巡って様々な葛藤し、それぞれが結論をだし、前へ進んでいく物語です。帯に「もたいまさこさん、しみじみ共感」とあったので、思わず手に取り、一気読みしました。

     題名が単行本では「くらげホテル」でしたが、文庫本では「ホテルメドゥーサ」になったそうです。物語の中でも、「くらげ」に関するものがちょこちょこでてきます。「異次元の通じるドア」の先にある世界に何か関係があるのかもしれません。SF的な要素は少ないですが、子供の頃読んでいた「スーパーミステリーマガジン ムー」にでてきた「クラゲ型の宇宙人」を思い出し、懐かしく感じました。

     読み終わって、もたいさんがしみじみ共感したのが何か?よくわかりませんでした。しかし、解説を読んでみると、この物語は4人の言葉や行動を一切否定することなく、全てを肯定していく展開であるとあり、他にも「自分探し」、「後戻り」など気づかなかった機微があることがわかりました。それをふまえて改めて読み返すと、ほっこりした気分になりました。

     フィンランドに関する部分は、「トゥルク」が少しでてくる位で殆どありません。けれども、人里離れた静かなフィンランドの森の中なら、「異次元へ通じるドア」があってもおもしろいかなと思わせてくれます。読むと、少しだけ肩の力が抜ける気がする、素敵な1冊です。

  • あらすじ
     フィンランドの森のホテルいは、異次元へのドアがあるという噂があるという。集まった4人の日本人。四十路の占いカフェオーナー、周りと上手くいかない25歳女性。死んだ妻を懐かしむ男、子育てを終えた好奇心旺盛な女性。信じている人も信じていない人も、ホテルの近所に住むという日本人女性と出遭う。

     やわらかい雰囲気の小説。それぞれ事情を抱えていたり、家族の個性があったり。フィンランドの森がそれらを全部包み込むみたいでよかった。途中から本当に異次元への招待になっていたのもちょっとした変化でよかった。

  • 異次元に引き寄せられフィンランドのホテルに集まる4人の日本人。

    矢野は人を殺したかもしれなくて異次元に行きたいしきららはこの世界が自分にはあってないと思って異次元に行きたい。

    典江は幼少期にすでに異次元の人と会っていて導かれるようにここに来てる。
    燕は亡き妻に会いたくて異次元にいきたい。

    それぞれ理由がありつつもくらげキャラメルなど4人は何かしら繋がっていて集まるべくして集まってる。

    最終的には典江と燕のみが異次元にいく選択をすふが、異次元の様子は描かれてなくて読者が想像する無限の異次元が広がっているのが良い。

    結局は矢野は人を殺してなかった。きららに関してはその後どうなるのかは分からないがきっと明るい未来になってくれるだろう。

  • フィンランドのホテルに日本人4人が異次元目当てで集まる話。集まった経緯がわかってくると異次元もホンモノかもと思えて、良い意味でひねりがなくシンプルに面白かった。

  • SFっぽいけど、人生考えたなぁ

  • さらっと読める1冊。それぞれの生き方・考え方を肯定する結末。うーん、と正直ご都合主義を感じるところもあり。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒。2013年、第15回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『小さいおじさん』でデビュー。同作は角川文庫化にあたり『私たちの願いは、いつも。』に改題。雑誌掲載の短編に「シトラスの森」。ボイルドエッグズのサイト内「今月のゆでかげん」でエッセイを不定期に執筆、母の逝去に際して掲載された「母は、シリウス星へ里帰り」が話題となる。WOWOW×Hulu共同製作ドラマ「コートダジュールNo.10」の脚本(9話のうち5話)を担当するなど、活動の幅を広げている。

「2018年 『くらげホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

尾崎英子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×