- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041096680
作品紹介・あらすじ
宮部みゆき、朝井まかてほか、人気作家がそろい踏み! 古道具屋、料理屋、江戸の100円ショップ……。活気溢れる江戸の町並みを描いた、賑やかで楽しい傑作“お店”小説の数々。
感想・レビュー・書評
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図書館で予約して、半年以上待ってようやく順番が回ってきた。
一気読み。
時代小説って、なんかほっとするんだよな~。
実際の江戸時代は、一種の恐怖政治みたいなもので、小説のようにほのぼのとしたものではなかったのだろうけれど、現代を生きる自分とどこか地続きのファンタジーのような感じがして、しっくりくる。
朝井まかてさん、梶ようこさんは名前だけ知っている初めて読む作家さんだったが、
この短編が含まれる本編も気になる。
2021.07.19詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お仕事小説が大好きだが、時代物のお仕事アンソロジーは初めて。時代小説自体滅多に読まないので、いい機会と思い手に取ってみた。
朝井まかて、梶よう子、西條奈加、畠中恵、宮部みゆきと錚々たる顔ぶれ!ミステリー的展開あり、怪談ぽい展開あり、笑いあり涙ありで、人情味溢れる江戸の町の雰囲気が存分に感じられる。
中でもお気に入りは、お仕事小説として魅力的だった「晴れ湯」(朝井まかて)。三助として家業の湯屋で張り切る、お晴。小さいながらも仕事に対する情熱とプライドはいっちょまえで頼もしい限り。健気な彼女の一喜一憂には大いに共感。
そして、コロリ大流行の江戸が奇しくも今とリンクしている「坊主の壺」(宮部みゆき)。こういう世の中だからこそ、江戸の状況があまりにリアルで色々とゾッとしてしまうが…。ちょっと不思議ながらどこかほろ苦く、でも温かい…さすが宮部さん。
これを機に、時代小説を色々読んでみたくなった。活気ある江戸で生き生きと働く人々の矜持。時代は違えど、学ぶべきことがたくさんあるなと思えたのだった。 -
お仕事小説の時代もの版か。
銭湯に古道具屋、百円ショップ?それに料理屋、材木問屋と、そこで働く女性たちが主人公。
それぞれに面白いが、宮部みゆきの『坊主の壺』が、現代のコロナ禍を連想させ、印象深い。 -
江戸の商売アンソロジー。すっかりアンソロジー好きになってしまった。手軽なので細切れ時間に上手く合うこらか、それともせっかちになっているのか。朝井まかては銭湯物。当時の銭湯が目の前に現れるかのように詳細。特に、囲碁をやったり、物を売ったりする社交場があったこと、湯屋株という証明書?みたいなものが無いと営業出来なかった事など、細かい。そこに銭湯の娘の話と両親の話を混ぜてうま〜くできあがってて、説明臭くない。
西條奈加の「千両役者」がストーリーは面白い。ちょっとした推理物。いつの時代もイケメン役者にはタニマチ的なファンがいるという話に、役者を使った料理屋の宣伝、ファン同士のいざこざを当てはめてあり、終わり方も気持ち良い。ラストを飾る宮部みゆきは不思議な掛け軸とコレラの流行の話。ちょっと妖的な要素も…このなんとも言えない奥の深さは宮部みゆきならでは?現在の状況とも重なり、昔はどれほど大変だったろうと思う。 -
2020年11月角川文庫刊。江戸時代お仕事小説5編のアンソロジー。朝井さん、梶さん、畠中さんについては既読で、しかもあまり好みでない作品の収録で少し残念でした。西條さんのものは初読みですが、これも好みじゃない。宮部さんは、既読で、お気に入りですが、お仕事小説というより不思議話だと思います。というわけで、あまり楽しめませんでした。[収録作]朝井まかて:恵晴れ湯/福袋、梶よう子:月に叢雲,花に風/ご破算に願いましては、畠中恵:利休鼠/つくもがみ貸します、西條奈加:千両役者/上野池之端鱗や繁盛記、宮部みゆき:坊主の壺/お文の影
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畠中恵さん、宮部みゆきさん目当て。
この両人はやっぱり面白い。
どちらも読んだことはあるけど、それでも楽しめる。
謎解きありの西條奈加さんもいい。
朝井さん、梶さんもナイス。
お仕事をがんばる少女が健気でちょっと切ない。 -
5人の女性作家の商売に関するアンソロジー。
時代ものとあって、その時代の商売の様子など面白い。
畠中さんと宮部さんの妖ものは、お馴染みながら妖ワールドが上手いなぁと思う。 -
仕事をテーマにした5編の短編時代小説アンソロジー
「晴れ湯」朝井まかて(『福袋』所収)
湯屋の娘で10歳のお晴が、けなげに家業に励もうとする姿がいじらしい。
この話以外はミステリー仕立て。
「月に叢雲、花に風」梶よう子(みとやシリーズ『ご破算で願いましては』所収)
親と店を失って、何でも38文の江戸版100均ショップ「みとや」を立ち上げた兄妹だが、兄が仕入れてきた「月に叢雲」の守り刀は祟りの噂のあるいわく付で、妹のお瑛はうろたえて一騒動持ち上がる。
「利休鼠」畠中恵(『つくもがみ貸します』所収)
姉弟で営む損料屋(レンタル業)に持ち込まれた相談は、婿入り先からもらった当主の証の鼠の根付けが、自分で動いていなくなったという話で、損料屋の付喪神(百年を経てあやかしになった道具)たちが情報収集すると、真相は意外なことに。
「千両役者」西條奈加(上野池之端 鱗や繁盛記』所収)
料理屋の「鱗や」は人気の役者を囲む金持ちの夫人たちの集まりの席を引き受けたが、事前に注意するよう言われていた落花生アレルギーで参会者が倒れた。若旦那の八十八朗は犯人を推理し、大事にならないにきっちり解決策まで手を回す。
「坊主の壺」宮部みゆき(『お文の影』所収)
ちょっと怖い怪談仕立て。
材木問屋田家の主は、疫病を避ける方法を知っていて、人々の救済に力を尽くす。家族を失ったが命を救われて田家に奉公したおつぎは、主が持つ掛け軸の絵に書かれている壺に入っている男が見えたが、他の人には見えなかった。おつぎは主から重大なことを明かされ、次の代を託されることになる。