最後の晩ごはん 地下アイドルと筑前煮 (14) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2020年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041096819

作品紹介・あらすじ

夜だけ開店、メニューは1種類。
海里が働く芦屋の定食屋「ばんめし屋」に、迷惑な酔客が現われた。
カラフルな髪色の彼女、レイナは、海里の役者時代のファンだという。
しかし彼を見て失望し、品切れのトンカツを食べたいと言うなどやりたい放題。
聞けば「人生最後の夜に、憧れの人に会い、大好物を食べたかった」らしい。
実は彼女は地下アイドルで、未来に絶望していて……。
海里の新たな挑戦にも胸躍る、青春お料理小説第14弾!

みんなの感想まとめ

物語は、夜だけ営業する定食屋「ばんめし屋」を舞台に、元地下アイドルのレイナが登場し、彼女の人生最後の夜にトンカツを食べたいという強い願望から始まります。泥酔した彼女の言動に振り回されながらも、心温まる...

感想・レビュー・書評

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  • 夜だけ開店の<ばんめし屋>シリーズも14作目。ついに最新巻に到達した。

    今回の客・レイナの登場は不穏。泥酔した挙げ句、海里にアイドル時代のオーラがない、品切れのトンカツをどうしても食べたいなどと言いたい放題、死ぬの何だのと大騒ぎ。
    しかしそこは長らく夜中の店で客商売をやってきた夏神。見た目もあっての堂々としたあしらいでレイナを黙らせる。対照的に柔らかなロイドとただ心配する海里に後押しされてタクシーで帰っていく。

    今回は珍しく厄介な客に悩まされるのか…と思っていたが、そこはホッコリするこのシリーズ。次の日のレイナは酒が抜けてすっかりしおらしくなっていた。
    話を聞くと、地下アイドルとして活躍していた彼女はグループの空中分解と共に様々な出来事が重なってすっかり未来にたいする希望を失っていた…。

    今回は直接的な幽霊話は無し。そのタイプもこれまであったので特に違和感は感じなかったが、最後にちょこっとだけ「それっぽい」現象が。

    かつての海里もそうだったが、今回もどん底にいるレイナを夏神の料理が救う。お金をかけた材料でもない、豪勢なメニューでもない。雑炊だったり煮物だったりといわゆるシンプルなメニュー。
    でもそこにかけられている手数が自分のためだと思うとすんなりと口に入っていく。
    やはり食というものは究極の話、命の根源、大事なんだなと思う。

    この14作目にしてついに夏神にも心の安寧が訪れる。
    その前触れは亡くなった彼女の夢なのだが、こんなささやかなことですら幸福感だったり彼女に対しての思いを新たにしたり、物事を前向きに考えられるようになったということが、これまでどれほど苦しい思いをしてきたのだろうかと思えて切なかった。
    だが夏神の表情が明るく、海里やロイドはもちろんのこと、常連客の坂口にまで彼女のことを話せるようになったことは素直に嬉しい。
    幽霊として姿を見せることはない彼女だが、もしかしたらレイナの時のように、何らかの形で夏神を見守ってくれているのかも知れない。

    一方の海里。これまでも度々役者の道へ戻る第一歩のようなものがあったが、今回はついに朗読劇へ出演することが決まる。後押しをするのは勿論、師匠の倉持悠子と作家の淡海。
    淡海の書き下ろし原稿と倉持悠子のレッスンで、どんな朗読を聴かせてくれるのか楽しみだ。

    常連客の坂口と目が不自由な瞳との交際もゆっくりと、二人のペースであるが順調らしい。喧嘩もできるというのはそれなりに親密度が増してきた証。今後もゴタゴタはあるかも知れないが、<ばんめし屋>の面々も見守っていることだし大丈夫だろう。

    今後も楽しみ。

  • シリーズ第14弾。
    この物語の舞台である「ばんめし屋」に現れたのは、地下アイドルのレイナ。
    「人生最後の夜にトンカツを食べに来た」と、泥酔状態で暴れる。
    今回はどうなる事かと思ったが、これまた良いお話しにまとまり、胸が熱くなりました。

    夏神は、亡くなった彼女が夢に現れ、「愛しい人が今も傍にいてくれる。共に歩んでくれている」
    と言う感覚を得る。
    これまで長い間苦しんできた夏神が、やっと穏やかな気持ちを持てるようになったのかな。
    新聞の連載「昔の味を、今日の食卓に」の仕事も順調らしい。
    なんだか読者である自分まで、その仕事に参加している気になり、ワクワクしてしまう。

    海里は、ついに朗読の舞台に立つチャンスをもらう。
    こちらもまたワクワクしてしまう。
    この朗読の師匠である悠子さんの言葉が、いちいち心に響き、良いなぁ。
    「摩擦を避けるための無難な選択が常に正しいとは限らない」とか、たくさん考えさせられる言葉が出てくる。

    今回は幽霊の登場はなかったが、それっぽい現象は起こる。
    思い出の料理のチカラって、凄いなぁと、しみじみ感じる。

  • シリーズ14作目。
    もうそんなに来たんだ、と驚く。
    だが、マンネリを感じないのは、物語が少しずつ進んでいるからだろう。

    キャラクターともすっかりお馴染み。
    読み始めると安心する。
    「久しぶり、何してた?」という問いに、実はこんなことがあってさ〜、と主人公・五十嵐海里くんが話してくれるエピソード…そんな気がする。
    今回は、「亡くなった人の、この世に残した思い」が、今までとは少し違った形で表現される。

    海里は演じることに一歩踏み出す。
    夏神は、また一つ吹っ切れた。
    ロイドの“年の功”が渋く輝く。

    今回のお客様は、元・地下アイドルのレイナ。
    若い頃は、バンドで、アイドルで、世に出ようと思う子はたくさんいる。
    魅力ある世界なのだ。
    しかし、不安定な立場だけに、その後を考えるのは難しそう。

    倉持悠子さんというキャラクターを登場させることで、随分、作者の伝えたい内容を言えているではないか、という気がする。
    “安易に同意してしまうことの危険性”にも気付く。

  • 最後の晩ごはん、14巻目。
    海里の芸能人時代のファンという、元地下アイドルの女性、レイナが泥酔状態でばんめし屋に現れ、言いたい放題の大暴れ、どうにかなだめてタクシーまで呼んであげるばんめし屋の面々は本当にお人好しで良い人揃い。私だったら警察呼ぶ。
    何となく、レイナはファーストサマーウイカのイメージで読んでた。
    それにしても、何においても全肯定してくれるロイド…毎回思うけど、一家に一台欲しい、この眼鏡。
    そして、夏神さんが亡くなった彼女のことを口に出して語れるようになったことが嬉しい。いつか、彼女がばんめし屋に現れてくれるのかなーなんて思ったり(それはシリーズが完結する時だろうか)
    結構長く続いているシリーズだけど、毎回登場人物たちが少しずつ前に進んでいくのが分かって良い。続きも楽しみです。

  • 中盤、引っかかる点が。
    ノック3回のマナーについて。

    マナーを守る海里に対して、悠子は「摩擦を避けるための無難な選択が常に正しいとは限らないこと、時には頑固に自分が思う道を行くことも大切だってこと。これはマナーの話じゃなく、むしろ表現者としての振る舞いの話よ」と。

    これは違う。
    表現者としての振る舞いを説く引き合いに、マナーを持ち出すのはおかしい。

    確固たる自信がない限り、マナーを守る必要はないと言っているようなもの。
    冠婚葬祭のマナー、食事のマナー、色々あるが、マナーとはそもそも表現の方法ではなく、相手や周囲を思いやることが根底にあるもので、主となるのは己ではない。

    悠子自身、「迷い箸をしてしまいそう」とマナーを気にしているではないか。

    前回までは素敵な人だと思っていたが、この件で「なんだ?このおばさん…」と一切の魅力を感じなくなってしまった。

  • 心を繋ぎ止める14巻目。
    最初のとんでもない印象から新たな一歩を踏み出していく姿が良かった。
    出会う人に共感し、笑ったり怒ったりしながら成長していく海里がまた新たな一歩を踏み出そうとしているのも今後が楽しみ。

  • 14弾。地下アイドル。幽霊がくるばんめし屋。会いたくて望んでいても来ない人もいる。亡くなった人への想いを抱いて、残った人はいきていく。

  • 今回のレビューは少しドラマチック。

    Amazonからこの本が届いた時
    私は別の本を読んでいたので 
    やはりこのシリーズを楽しみにしている妻に
    先に回した。

    一昨夜読み終えたらしく私の枕元に。
    その夜は少しだけ読んで眠りに落ちた。
    昨夜も読みながら寝落ちしたが 
    まだ3分の2くらい。

    …そうして今朝 やっとわかった。
    昨夜の夕食に 妻が
    山盛りの筑前煮を作った理由。

    しかも一度も入れたことのない
    甘栗入りで。

    「…大根、人参、牛蒡、レンコン、蒟蒻、鶏肉…」

    具材もほとんど同じやん。

    「食材をようけえ使うから、絶対失敗せんようにて、全部下茹でしてました」

    作り方まで…再現してたんや。。

    振休の朝 コーヒー飲みながら読み進めていて
    そのシーンにようやく行き着いた。

    「これや!」

    登場人物にとって大切な料理。まだ少し取り置きしていたはず。妻が再現してくれたその味をもう一度 昼食に食べようと思う。

    レイナの祖母の味。亡き母が大好きだったという筑前煮。

  • シリーズ14弾。もう14弾⁉︎
    海里や夏神の成長・葛藤に応援してあげたくなる。
    もちろん料理からも目が離せず。
    ただ、今回はストーリーにあまり入り込めず(>_<)

  • 色々あっても強く生きていくたくましさがすごいな!

  • とうとう、朗読劇の先生、悠子さんから、海里に舞台に立つ許可が出ました。演目は、淡海先生に書き下ろしてもらった、悠子と海里の2人で演じる朗読劇。

    その間に、地下アイドルのレイナが、酔っ払って、ばんめし屋に乱入して来て自殺をほのめかし、3人で心配して、ご飯を食べさせる。
    淡海先生に出前の帰りに、海里はレイナに会い、お母さんもアメリカで活躍するミュージシャンと明かされ、3ヶ月前に亡くなった。そして、淡海先生とお母さんも面識があり、先生の自宅の防音室で楽器の練習をしていたと。レイナは、その部屋に入れてもらい、母の事を色々聞き、満足して自殺はやめたと。

    翌日、レイナは、ばんめし屋に、約束のとんかつを食べに現れる。夏神に、母との思い出の料理を聞かれ、栗の入った筑前煮をリクエスト。
    そこへ、淡海先生がやって来て、レイナの母から預かっていた、レイナを描いた絵を渡した。

    レイナは、海里のはからいで、海里が以前いた事務所に所属し、淡海先生が作詞した曲で、歌手として再出発することに。

  • 阪神芦屋駅にほど近い「ばんめし屋」に真夜中過ぎの夕立にびしょ濡れで駆け込んできた女性客。泥水した彼女は五十嵐海里を探し、日替わりの、トンカツを食べようとするもー◆わー…今回は幽霊どうした!(いや、出てるけども。)地下アイドルレイナの度重なる不運な境遇可哀想だけど、初っ端があまりに酷くてイマイチ応援できんかった…。でもそーいやカイリもそうだったか、夏神さんの飯の威力はすごいな。おばあちゃんのレシピの筑前煮、食べたい!カイリの、芸能活動への足がかりができてきて楽しみー!「死んだ人も、命より先に心だけを彼岸に送ってしまった人も、誰かが覚えていて、大切に思ってくれさえすれば、その人の中で生きていけるんだ。一緒にね」しみるー

  • ひょんなことで店に来た地下アイドルのレイナとその家族の話。

    回を重ねるごとに淡海先生が腹黒いキャラになっているような気がする。

  • 海里推しの泥酔地下アイドルと、記憶の中にもない夭折した前衛ミュージシャンの母親。海里は淡海先生の書き下ろし短編を、師匠の倉持悠子さんと共に舞台で朗読できることに。

  • 突然現れたアイドル時代の海里のファン、地下アイドルですかぁ。メジャーデビュー目の前にして仲間の裏切りは辛いよね。お金持って逃げたマネと女の子、てそれで幸せになれるのかしら。お互い計画性も誠実さもないことがわかってるのに。レイナが最後お母さんの絵と筑前煮を食べ母親の愛情を感じられて良かった。周りのバックアップを得て再出発した彼女をこれからも見守って欲しい。坂口くんと瞳さんも良い関係が続いてるんだね。坂口くんの空気の読まなさがいい方向に動いてる。
    海里は新しいステージへの挑戦を決意。

  • 元地下アイドルで、海里のファンだったレイナ、酔っぱらって現れた時はとんでもない子だと思ったけど、素に戻れば常識のあるかわいい子。
    男性三人で営んでいるお店で着替えられない、って主張もまともだよね。読者は長年読んでいるから海里は親切心しかないってわかるけど、常識ある女性は警戒して正解。
    今回は、幽霊そのものはでなかったけど、品物に残されていた『想い』と夏神さんの食事でレイナの憂いを取り除けた。

  • お〜、久々に迷惑客が来た(笑)
    ↑そして翌日ちゃんと謝りに来た

    海里のファンだったという
    困ったちゃんの元地下アイドル、レイナ。
    でも事情を聞くと
    そりゃ悪酔いもしたくなるわと思う。
    夏神さんのリハビリ料理で
    元気になって良かったよ。
    ふたたび芸能界で頑張るみたいだから
    いつか復帰した海里と絡むかも?

  • 今回も、色々なお話しで、あっという間に読み終わってしまいました。みんな、頑張れ♪応援したくなります。
    お料理も美味しそうで、作ってみたいです(笑)

  • 主人公に感情移入できない。元俳優って名乗ってるわりには、朗読に入れ込んでるし。何がしたい?著者が書く主人公、好きなやついないな。

  • 面白かった。最初はアイドルのウザさが気になったが、すっきりとしたハッピーエンドで良かった。
    トンカツが食べたくなって、つい買ってしまった。

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著者プロフィール

1997年、『人買奇談』(講談社X文庫ホワイトハート)でデビュー。『最後の晩ごはん』(角川文庫)、『時をかける眼鏡』(集英社オレンジ文庫)、『男ふたりで12ヶ月ごはん』(プランタン出版)など小説を数多く執筆。2023年に初エッセイ『祖母姫、ロンドンへ行く!』(小学館)を発行。その他、共に暮らしている猫たちとの生活を撮り綴ったフォトエッセイ『ちびすけmeets おおきい猫さんたち』『ちびすけloves おおきい猫さんたち』(三笠書房)、人と食との記憶を綴ったエッセイ『あの人と、あのとき、食べた。』(二見書房)がある。

「2026年 『ありふれた家を建てる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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