悪玉伝 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 188
感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096833

作品紹介・あらすじ

大坂商人の吉兵衛は、風雅を愛する男伊達。兄の逝去により、将軍をも巻き込んだ相続争いに巻き込まれてしまう。吉兵衛は大坂商人の意地をかけ、江戸を相手に大勝負に挑む。第22回司馬遼太郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化!
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    悪玉伝 朝井 まかて:文庫 | KADOKAWA
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  • これは恐れ入った。
    吉宗の時代、大疑獄事件になった、辰巳屋の相続のもつれ。
    主人公の吉兵衛は、辰巳屋に生まれたが別家に養子に出された次男。辰巳屋の主人だった長男が亡くなり、養子がまだ若く不甲斐ないために、辰巳屋の跡を継いだ。
    これが不当として奉行所に訴えられ、一旦は治ったものの、今度は江戸の目安箱に訴えが及び、江戸での訴訟となる。

    吉兵衛の人となりが今ひとつ好きになれず、前半はとてもダラダラ読んでしまった。
    訴訟となり、牢に吉兵衛が入ってからは、俄然面白くなり、一気に読み終えた。
    彼が訴えられたために、確かに辰巳屋を潰したと言えるから、悪玉なのだろう。しかしながら、本当にダメだったのは彼なのか?そんな疑問がじわじわ。
    制度の悪、慣習の悪、辰巳屋がいないほうが都合がいい者の悪、与えられた役割から逃げた悪、ちょっといろいろあって書ききれない。

    養子が抱いた外聞の悪い恥を、訴訟の場でずっと黙っていた吉兵衛が、何とも粋だと思った。
    この疑獄のおかげで多数の刑死者も出たわけだが、本当に悪かったのは吉兵衛なのかどうか。
    作品中の敵役はたぶん唐金屋になるが、この唐金屋もなかなか曲者。
    最後はそうきたか!とまた清々しくしてやられたので、読んで満足した。

    正直なところ、辰巳屋の養子だった乙之介が、きちんと仁義をわきまえていれば、刑死者が出ることもなくおさまっただろうに、と思った。
    吉兵衛は事件に連なって死んだ人にも思いを馳せたが、乙之介はどうだったのだろう。
    何も感じずにただ被害者意識でいるなら、本当の悪は愚かな頭脳と覚悟の甘いこいつだわ、と感じた。
    馬鹿は罪。

  • 時の権力に叩き潰されそうになりながら、文字通り不撓不屈で挑む主人公。大団円とは言い切れない結末も、続きが読みたくなる一冊

  • 悪玉って誰?まあーこの花の毒々しいこと!
    うん?大阪VS江戸? 商人VS武士社会?
    登場人物がみんな魅力的で好き。

  • 大岡越前守忠相日記に辰巳屋一件と記される実際にあった事件を作者が江戸対大阪、幕府の経済政策という観点から捉え直した歴史小説。
    大阪の商家の相続争いがなぜ、江戸で裁かれ、死罪の者まで出ることになったのか?登場人物のくっきりとした人物像と相まって、納得できるストーリーになっている。
    カバーはなぜ牡丹の花なのか?「悪玉」とどう関係するのか?最後まで読むと、そこに複数の意味が込められているのがわかる。

  • 大坂豪商 辰巳屋の跡目争いが、大岡越前守、吉宗公を巻き込む騒動になっていく。

    さすが朝井まかて、一気に読んでしまった。
    時代小説の好きなところは、ストーリーも楽しめながら当時の文化や風習、経済など知らなかったことがわかるところ。

    主人公は木津屋吉兵衛の視点で進んでいくが、知らず知らず応援していたほどキャラクターが魅力的に描かれている。
    残り50ページになったとき、ここからどうやって挽回できるのか、するのか、とハラハラしてしまった。
    誰が悪玉なのか、捉え方によって異なる。

    大阪大学教授 高島先生の解説は本編を読んだ後に読むとよい。
    当時の金銀貨の価値、経済、裁きなどなど着目点がわかりやすくまさに“解説”。
    また読みたくなった。
    朝井まかての作品は、読後が本当に良い。

  • 202101/辰巳屋一件なる跡目争いを題材にした物語。放蕩次男が、実兄の死により実家の大商家に戻り葬儀手配を進めるも、相続争い・奉行所に訴状沙汰と展開していき…。悪玉とは?そして、時代背景や立場等により変わる正義の意味。私はエンタメ好みなので、キャラや畳み方に多少すっきりしないところもあったけど、読み応えあり面白かった。

  • #読了 時代小説だと思って読み始めたら、辰巳屋一件という大阪の商家の跡目争いが発端の疑獄事件が題材の歴史小説だった。とはいえ、江戸時代はほんと不勉強だし、こんな事件があったことも、大阪では銀が飛び交っていたことも知らなくて、完全なフィクションの小説を読んでいるよう。当然ながら先が読めずにものすごくハラハラしてしまった。
    主人公の吉兵衛は大阪で風流人として身代をもち崩すほど遊び呆けていたかと思えば、生家の跡取りが頼りないとみるや急に商いに本腰を入れる。その流れがごく自然に描かれていた反面、遠い江戸から見ればその変わり身の早さが、生家の乗っ取りを画策する放蕩者に見えてもしょうがないなあと、吉兵衛に感情移入していても納得してしまう。それでももどかしいことには変わりなく、なんとか吉兵衛の本意が伝わってほしい!と祈りながら読み進めた。
    結局、吉兵衛は生家の辰巳屋も養子先も失い、頼りの番頭も亡くし、財産も取り上げられ、大阪にも戻れない。それでも最後の最後、恋女房のお瑠璃が憎まれ口を叩きつつ寄り添ってくれてホッとした。失うものが多かったけれど、希望のある終わり方でよかったです。

  • 大坂商人の木津屋吉兵衛は優雅な生活を送っていたが、実家の辰巳屋久佐衛門の急逝で物語が展開する.大番頭の与兵衛に牛耳られていた辰巳屋の跡目争いで本命の乙乃助が与兵衛と組んで良からぬ企みを企ていることを察知した吉兵衛が動き始める.久佐衛門の満中陰は無事に終えたが、乙之助が訴訟を起こし最終的に吉兵衛は江戸送りとなる.牢名主らとうまく立ち回る吉兵衛は、自白はせず事件の拡大を横目で見ながら、最終的に黒幕の唐金屋与茂作との交渉で、遠島の沙汰を減じてもらうことになる.大坂商人の辛抱強い気質と多くの人を巻き込む人柄が最終的な勝利につながる物語だが、江戸時代の風景が滲み出てくるような記述には、著者の力量を感じた.

  • 面白かった。読み進むうちに何が真実かわからなくなってくる。ワクワクしながら読み終えました。

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著者プロフィール

1959年大阪府生まれ。2008年第3回小説現代新人賞奨励賞を受賞しデビュー。2014年『恋歌』で直木賞、『阿蘭陀西鶴』で織田作之助賞を受賞。

「2022年 『決戦!忠臣蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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