教室が、ひとりになるまで (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 480
感想 : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096857

作品紹介・あらすじ

北楓高校で起きた生徒の連続自殺。ひとりは学校のトイレで首を吊り、ふたりは校舎から飛び降りた。「全員が仲のいい最高のクラス」で、なぜ――。垣内友弘は、幼馴染みの同級生・白瀬美月から信じがたい話を打ち明けられる。「自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」“他人を自殺させる力”を使った証明不可能な罪。犯人を裁く1度きりのチャンスを得た友弘は、異質で孤独な謎解きに身を投じる。新時代の傑作青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 垣内友弘の通う私立北楓高校で一カ月に三人の自殺者がでます。
    一人目は小早川燈花で女子トイレで首つり自殺。
    二人目は村嶋竜也で校舎から飛び降り自殺。
    三人目は高井健友で校舎から飛び降り自殺です。三人共同じ文面の遺書を残しています。

    垣内の幼なじみで同じマンションの隣室に住む白瀬美月はショックのために不登校になっています。
    垣内が美月の家を訪ねると美月は「人殺しがいる。みんなあいつに殺される」と言い、死神が三人を殺したのであり、三人共自殺ではないと言います。そして学校にいけば次に自分か山霧こずえが殺されるのだと言います。

    そして垣内は同じクラスでサッカー部の八重樫卓とともに山霧こずえの命を守るために動き出しますが…。

    北楓高校には毎年4名の超常的で特別な能力を持つ<受取人>という生徒が代々選ばれます。
    そして、垣内は三十二代目の受取人が死んだので、三十三代目の<受取人>に選ばれてしまいます。
    特別な能力は受け継いだ生徒により違い、垣内の持つ能力は「嘘を見破る能力」でした。
    そして八重樫もまた<受取人>であり「人の好き嫌いがわかる能力」を持っていました。
    垣内らは「人を自殺したくなるように追い込む能力」を持った生徒がいると確信しますが…。
    あと二人の<受取人>は誰なのか…。

    作品のテーマはスクールカーストです。
    垣内は<受取人>でこそはありましたが事件には無関係でした。
    でも最後に死神の正体がわかり五人目の標的(四人目は山霧こずえです)にされてしまいます。
    なぜ、垣内が五人目の標的になったのかは重い理由があります。

    でも決して暗いばかりのラストではなく、明るい兆しが見えるのはよかったです。

  • 「陰(キャ)を極めし青春ミステリ」といったところになるのかな。
    2020年の日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞にWノミネートされた『教室が、ひとりになるまで』は、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さるし、分からない人にはたぶん分からない、青春×特殊能力のミステリでした。

    舞台となるのは生徒が三人続けて自殺するという異常事態に見舞われている北楓高校。語り手になる垣内友弘は、騒動以降欠席を続けている同級生の白瀬美月から、3人は自殺ではなく、殺されたという話を聞かされる。
    同時期に垣内に届けられた手紙。そこには垣内が「受取人」と呼ばれる特殊な能力を継承するものに選ばれたこと。そして北楓高校には垣内の他に3人の「受取人」がいることが書かれており、垣内は自殺した生徒たちは「受取人」の能力によって殺されたのではないかと考え……

    犯人の目星は早い段階でつきますが、特殊能力をめぐる駆け引きが物語を面白くする。たとえ犯人が分かっても、相手が具体的にどんな能力を使ったか分からないと、相手の能力を奪うことができないという設定のためです。
    そのため垣内は同じ受取人のクラスメートと共に、犯人がどのような能力を使ったのか、また能力の発動条件を推理していく。特殊能力という超常的な条件がありながらも、細かい設定が作られているおかげで、本格ステリらしい論理的な推理の過程が楽しめます。

    そして物語は推理の面白さだけにおさまらない。犯人の殺人の動機と『教室が、ひとりになるまで』というタイトルの意味が結びついたときに垣間見える、思春期の心の暗部は、犯人と探偵を鏡のように映しだす。

    この暗部をどこまで理解できるか。

    正直理解できない人の方が正しいし、真っ直ぐな人なのだと思うけど、でもその正しさ、真っ直ぐさをみんなが受け入れられるわけではない。少なくとも自分は犯人側に近い人間だったから、動機とエピローグの部分はクリティカルヒットしてしまった。自分のひねくれたところ、醜いところがさらけ出されたようで。

    世界や周りの人間に対する息苦しさ、生きづらさが頂点に達し、孤独が極限までつのるとき、細かな伏線がつながりそして訪れるエンディング。

    犯人の能力当てという側面もミステリとして面白かったけど、その後のエピローグ的な部分で回収される伏線の細やかさと、それによる語り手の心情の変化、この結びつけが個人的に何よりも印象に残りました。

  • 北楓高校で起きた生徒の連続自殺。仲がいい最高のクラスで起きた不可解な事件。垣内は同級生で幼馴染の美月から信じがたい話を聞く。「みんなあいつに殺された」他人を自殺させる力を持った犯人へと挑む青春ミステリ。

    特殊能力とミステリの組み合わせが絶妙。犯人は誰か。自殺させる能力の正体とは何か。殺されるかもしれない中で真実を追う展開がスリリング。そして、真相へ近づくほどに暴かれていく「仲がいいクラス」の正体。謎が解けてから明かされる動機もまた味わい深く、苦みが残る読み心地に。

    テーマであるスクールカーストは、いろんな人がいて一緒に生きている以上、社会に出ても逃れられない問題。人は正しさも弱さも持っている。一人の中ですら矛盾を抱えて生きている。垣内の愛する孤独も八重樫の仲間への思いもどちらも正しい。それぞれの正しさの中でいかに生きていくかは人生の課題だよね。その課題へと初めて向き合う学校生活での空気感が上手く描かれていた作品だったと思う。

    学校という箱の中でしか使えない垣内の「嘘を見抜く能力」。そこから巣立ったら、その能力なしで社会を生きていかなければいけない。そういう設定も青春の色合いによく合っていてよかった。

  • 『六人の嘘つきな大学生』が話題なので、先に見つけた同じ作者のこの本を読んでみた。
    すごく面白くて一気読み。

    もう数十年前の、自分の中高時代を思い出した。
    私はどちらかというとうるさいグループにいたので、一番共感できたのは八重樫くん。
    『何も言わないで下向いてる奴こそが、教室に階級を生み出してた』
    『『上』なんていねぇんだよ。いるのは『下』だと思い込んでる奴だけ』
    純粋にレク企画を楽しんでた八重樫くんからしたら、垣内や壇の考えには同調できない。
    逆に、クラス全員にレク企画を強要する子達を殺したいほど憎く思っている垣内や檀に共感する人もいると思う。楽しんでるのはおまえたちだけだと。

    特殊能力ミステリーとしてはもちろん、スクールカーストについても深く考えさせられる一冊。
    読書嫌いな高1の息子にも読んでほしい。
    一体どちらに共感するのだろう?

  • あまり期待をしていなかった
    (初期ハードルが低かったから?)こともあり、
    思っていたよりも面白かった。

    スクールカースト。

    明確なイジメはなくとも、
    上位層の考える正義の押売りは
    キツイかも知れない。
    けれど、殺すというのは…

    特殊能力を使うとか、
    十戒には反しているけど、
    私はあまり気にならずに楽しめました。

  • 「三人とも自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」
     
    読みながら『デスノート』を思い出させる作品だな、と思いました。
    しかし、『デスノート』とは根本的に違うところもある。
     
    複数人の異能力者がいて、それぞれ能力が異なる。
    当然口外不要なので、本人以外は誰がどんな能力を持っているのかは分からない。
     
    タイトルからアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を想起したのだけれど、このタイトルにはもっと深い意味があった。
     
    それぞれの能力の意味。
    どうして4人は『自殺』しなければならなかったのか。
    どうやって『自殺』したのか。
     
    すべての謎が解き明かされてもすっきりしない思い。
    10代を経験したすべての人に読んでほしい作品です。


  • 私は多分学生時代常にカースト上位にいる人間だったと思う。(今思い返せばではあるが)
    だから八重樫の気持ちがすごく分かる。カーストを作り出しているのは下の人間だっていう部分が特に。ただカースト上位のグループの中でもカーストは存在してその中では自分より上がいて、その煩わしさに理不尽さにいつハブられるかに怯えて悩む時期があったなーと思い出した。

    学生時代ほどではなくても今もカーストを考えてしまうことや、1人で生きたいと思ってしまうことは結構多い。そこをうまく突いてるなと思った。



    伏線回収が綺麗でもやもやが残る事は一個も無かったように思う。

  • 面白かった!
    なんかもう、ぐいぐいと読んでしまった。
    え。なに誰が?なに?どーやって?と頭の中にたくさんの「?」が湧き出るなかで読み進める本の面白さと幸福感ったらなかった。
    伏線の回収も素晴らしく、ラストの垣内の希望をぺしゃんこにする当たり前の現実の非情さも良かった。
    この人の他の本も読みたい

  • 特殊設定ミステリー。
    ジョジョ、デスノート好きならハマる!という本屋のポップに抗えずに。たしかに、面白かった。
    代々引き継がれていく4つの特殊能力という設定自体も面白かった。
    優里の動機を、そんなことで?と思うかもしれないけれど、教室という枠の中にいた事があれば、覚えがあるのでは。大人になり鈍化した今でさえ、あぁわかるよ、とひりつく繊細な痛みを思い出させられた。
    もちろん、カースト上位の考えもよくわかる。きっとこの物語に出てきた彼らには悪意はなかった。
    集団である以上、どうしたって相容れない個体はあるからね。
    大人になって忘れていた(感じなくなっていた)繊細さのある、まさに青春小説だった。ミステリーとしても、わくわくして読めたので面白かったです。

  • 面白かった!
    学生時代そんな感じだったかもなぁって思いながら読んでた。
    久しぶりに通勤だけじゃなく家でも読むほどだった!
    タイトルで想像してた内容と読んであ、こーゆう意味か!と分かった時、なるほど!って思ったし、この人の他の作品も読んでみようと思った。

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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』など。

「2021年 『ノワール・レヴナント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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