ノワール・レヴナント (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2021年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (768ページ) / ISBN・EAN: 9784041096864

作品紹介・あらすじ

僕は他人の背中に数字が見える。その人の今日の幸運レベルを示し、基本値は50。しかしある日、同級生の弥生の背に85という数が! ラッキーのおこぼれを期待して彼女と行動を共にした僕は、同じく妙な力を持つ仲間と出会う。本を指でなぞって内容を記憶する。毎朝、今日聞くことになる台詞を予知する。念じると触れたものを壊す――。僕たち4人を結びつけたのは、ある少女の死の謎だった。全ての偶然が必然に変わる群像青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • マメムさんにおすすめ頂き購入した一冊。

    Amazonでポチったので、全く情報がないまま購入だったのだが、先ずは届いた時の厚みにやられた(笑)文庫本2冊分くらいの厚みかな。
    長編好きの私。これは期待出来そうだ(*^^*)

    かなり長いプロローグから幕開けする。
    名前の後にトランプのマークが入っていた為、プロローグは4人紹介されるのかな?と予測出来る。

    先ずは大須賀くん。
    他人の背中にその人の「幸福度」が見える能力を保持している。その幸福度の数字はどうやら偏差値であるらしい。
    次は、のん。本の背を指でなぞっただけで中身を記憶してしまう能力を持つ。
    お次は江崎くん。毎朝5つだけ、今日聞くことになるセリフを予言出来る能力を持つ。
    最後が葵さん。念じることで触れたものを破壊してしまえる能力を持つ。物だけでなく、人ですら破壊することができる(⌒-⌒; )
    そんな奇妙な能力を持ってしまった4人の高校生が、何者かの導きで同じ日に同じ場所に集合する。
    何者かの目的は何なのか?
    それぞれがある日突然持った能力は何を意味するのか?
    4人は互いの能力を発揮し、自分たちが集められた理由を探る。

    三人寄れば文殊の知恵とか言うが、大須賀くん以外の能力は使えそうなのだが、大須賀くんの能力って何に使うんだろ???と最初から疑問(笑)
    それにもしっかり答えが用意されていた。


    「6人の嘘つきな大学生」や「俺ではない炎上」の朝倉秋成さんのデビュー作。
    この2作はめちゃくちゃ好みだったのだが、この作品は自分の年齢の問題もあるのか?そこまでハマれなかった^^;

    状況がひっきりなしに動いていくような小説が好みだが、この物語は情景描写、心理描写が長く、物語のスピードがせっかちの私には合わなかったようだ(^^;;

    せっかくおすすめ頂いたのに、最高の感想を書けずに申し訳ない。゚(゚´ω`゚)゚。

    しかし、この作者様が新刊を書かれたら間違いなく読むだろう(笑)

    • 1Q84O1さん
      けど、師匠のオヤジギャグ5人分は濃ゆいかも!w
      すぐにお腹いっぱいになりそうです!
      けど、師匠のオヤジギャグ5人分は濃ゆいかも!w
      すぐにお腹いっぱいになりそうです!
      2024/05/19
    • bmakiさん
      一休さん

      胸焼け必至でしょうか( ̄▽ ̄)
      一休さん

      胸焼け必至でしょうか( ̄▽ ̄)
      2024/05/19
    • 1Q84O1さん
      ガスター10、もしく太田胃散をご準備しておくことを強くお勧めします!
      ガスター10、もしく太田胃散をご準備しておくことを強くお勧めします!
      2024/05/19
  • あらすじを読んで、電子書籍で購入したので、読み終わってから分かったのですが、著者デビュー作+700頁超えの大作だったんですね。
    それを感じさせない圧巻の内容でした。
    特殊能力を含めて、提示される「謎」が気になって、一気読みできました。
    最後のオチの部分は好みが別れるところかもしれませんが、自分だったらこの特殊能力をどう活かすか等を考えるだけでワクワクしてきました。特殊能力欲しい〜。

  • 面白かった。
    そうきたか〜、と鳥肌が立つところが何か所かあり
    長かったけど十分面白かった。
    ただ黒幕の本当の目的、というか最後の対決?の場面では説明が回りくどくちょっと中だるみ発生。
    なんとなく、続編がありそうな最後の黒幕の言葉。
    あればいいな〜。


  • 朝倉秋成さん ノワール・レヴナント

    ボリュームある長編小説

    普通でない四人の高校生が何かに引き寄せられ、
    夏休みのある日に同じ場所に集まった。

    四人が集まったのは偶然か、それとも
    ナニカが仕組んだ必然なのか。

    四人はその謎を解くために協力し、
    集まった理由を考える。

    大須賀、江崎、三枝、葵
    張りに張った伏線は、後半からラストに向けて
    四人それぞれの視点で語られながら繋り、
    解き明かされます。



  • 10冊に1冊、それ以上の冊数を読んで1冊。時間を忘れて読み進めることができる小説に出会えると思ってて、まさしくこの本がその出会い。疲れてると活字が読めなくなるけれど、疲れていても続きが気になって読み進めてしまう本。浅倉さんの本、全部読んでみよう。

  • すごく引き込まれした。
    設定がすごいなぁと!!!
    恋もありつつ、青春ミステリー。
    特殊設定ではありますが、とても読み応え抜群でした。
    ある種哲学的な要素も含まれているため、興味深い内容でもありました!!

    • マメムさん
      初コメです。
      指でなぞるだけで………は、ちょっと羨ましいです(笑)
      初コメです。
      指でなぞるだけで………は、ちょっと羨ましいです(笑)
      2023/10/24
  • 他人の背中に幸運レベルを示す数字が見える高校生・大須賀駿。彼は、本の背表紙をなぞれば内容が記憶できる少女・三枝のん、その日に聞く台詞を予言できる青年・江崎純一郎、念じると触れたものを壊せる少女・葵静葉と出会う。4人を結びつけたのはある少女の死にまつわる謎で──。

    「それは、あなたに預けます。ですから、その時まで、どうぞご自由にお使いください。ただもしも、その時が来たら、私に協力しなさい。その時が来ても、あなたが、私に協力をしないと言うのなら、あなたは──」

    4年前に聞いた謎の声とともに発現した特殊能力に翻弄される少年少女たち。さらに不思議な運命によって引き寄せられ、少女の死に端を発する巨大な謎を追うことになる。序盤は登場人物と同じく手探り状態。少し長めのプロローグ(なんと134ページ!)もあってびっくり!ただ、集まってからの展開は4人の視点を切り替えつつスピーディーに進む。読んでみればあっという間で、なおかつ濃厚すぎる5日間を堪能できる群像青春ミステリ。これだけの文量を飽きさせずグイグイ読ませてくれる浅倉秋成先生。これがデビュー作とは恐ろしい。

    ミステリとしての伏線や仕掛けも丁寧で、謎が少しずつ解けていくのが心地いい。細やかな違和感も取りこぼしなく拾う一方で、ファンタジーを大胆に使って魅せるさじ加減も上手い。物語が進むにつれて4人の心情が鮮やかに変化していくところも見ごたえあり。特に江崎と葵の関係性には泣きそうになった。のんも名言を引用しながら独特の思考をするモノローグが楽しい。謎だけじゃなく、一緒に成長できる時間を分かち合えたという達成感を味わえる清々しさは絶品。

    闇の中にある真相はおぞましいほど悪魔的で震えた。読みながら背筋が凍るような思い。どこまでも人間らしくあろうとした人間こそ、自分を黒く塗りつぶそうとしていたのかもしれない。同情はまったくできないけれど。ミステリ×青春×哲学と掛け算しかない物語の余韻がすごい。本屋で「うわっ!厚い!」と思っても、読んでみてほしいお薦めの一冊。

    以下、好きな文章を引用しておきます。英雄の話と森の話が特に好き。

    p.232
    「覚えたって理解しなければ意味がない。暗記しただけではそれはただの呪文であって、人生を豊かにする『言葉』には成り得ていないのですよ。ですので、自分の中に言葉をそっと落としこんで、記憶の篩に掛けたとき、それでも自分の中に残った言葉こそが読後感、あるいは感慨、感銘と呼べるんです。自分の篩から漏れてしまった言葉たちは決して置き去りにされたのではなく、愛されて自分の身体を通過していくのです。そのようにして自分を成長させていく、それこそが読書の良さ」

    p.513
    かのベルトルト・ブレヒトは言った。《英雄のいない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸だ》と。英雄なんて、そんなものは元々必要ないのだ。それを欲してしまう時代というものが、そもそも罪であり、悪なのだ。

    p.632
    人生を支配するのは幸運であり、叡智にあらざるなり。(キケロ)

    p.664
    「思うに世の中で起こる大概の良くないことは、おおよそシステムのせいじゃない。包丁があっても人が切られることは少ないように、路上に鞄が置いてあっても盗まれることが少ないように。悪いのはシステムじゃなく、いつだって『人の有り様』だ」

    p.724
    デカルトに言わせれば思考をしている最中の人間はちょうど森のど真ん中に佇んでいる状態といえるらしい。よって思考の森から抜け出すためには必ず『歩き出さなければ』ならない。そこに佇んでいるかぎり、あたしたちは永遠に迷いの森の住人であるのだ。

  • まず手に取ってびっくりの、この厚さ…!!
    回想まで含めるとなんと驚きの、761ページ…!!
    通常なら上下巻になっていてもおかしくないけれど、読み切ってみると、やはりこのお話は1冊で読み切らせる方が断然合っているとおもった。

    最初は、ある時を境にして不思議な力を持ってしまった4人の高校生の紹介から始まる。
    入れ替わり立ち替わり、4人が自分のモノローグで、自分の置かれている暮らしを教えてくれているのだが、なんだろう、ちゃんと4人は違う人物なんだな…ということが、難なく伝わってくる。
    いわゆるキャラの掘り下げがしっかりしている、ということなのだとおもう。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    文章も読みやすく、冒頭から随所に浅倉秋成さんならではの比喩が満載。

    「それはもう、薬缶(やかん)を火にかけたまま鍵もかけずにグアム旅行に出かけてしまうくらいの油断だ。」(6ページ)

    「湿度で飽和した不快な夏の空気を、自転車で勢い良く切り裂いていく。」(13ページ)

    「鳴り響いたチャイムの音は、自由と解放を宣言するファンファーレのようにも聞こえた。」(30ページ)

    「それから適当な席に着いて、早々、鞄から文庫本を取り出し素早く物語の世界に溶け込んだ。」(35ページ)

    いやもう、この比喩たちが好き。
    この表現のファンである。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    そんなお互いに面識がなく、なぜこんな能力が自分に与えられたのか皆目見当もつかない4人の能力者たちが、招待状をきっかけに5日間だけ一処に集められた。

    読んでいる側としても、まったく見当もつかず、集った初日だけを読んでみても、ここから話が本当に進むのか不安になるくらいだった。

    しかしそこから最終日までの流れは、「これ本当に5日間の話なの??」というくらい濃厚で、能力を得た理由も目的も、しっかりと細部まで合致していくミステリが展開。

    気がつけば文章を書き留める余裕もなく(笑)、一気に最後まで読み切っていた。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    本作は、浅倉秋成さんのデビュー作なのだそうだ。

    デビュー作にしてこの濃厚さ…ミステリとしての完成度、物語の終わり方の見事さには脱帽してしまう。

    読んでいて、舞台設定も人物像も全く違うのに、辻村深月さんのデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」を思い出させた。
    あのお話もとても長いのだが、登場人物ひとりひとりについてしっかり語られるが故、ただの謎解きではない、人物同士の葛藤が主軸にある青春ミステリであった。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ただ細かな所を言えば、いわゆる「敵」となる人物がこんなことを起こした動機が、わかるのだけれども弱い気がした。
    これは浅倉秋成さんの他の2作でも感じていて、そこをもっと深く掘り下げてほしいなとはおもった。

    そして、最後まで読んでも説明しきれていない点も、3つあった。

    この4人が集まるきっかけとなった出来事は、「誰が」したのだろう…?ということ。
    そして、4人が能力を持つことになった理由はわかるが、ではなぜ「能力を持たせることができたのか?」「どうして4人が集まったのが“今”だったのか?」ということについてだ。

    蛇足となってしまうからなのだろうか…?
    それとも、不思議さを残したままの方がいいという判断なのだろうか…?

    今回の文庫版は、2012発売の単行本に加筆修正されたものだそう。
    単行本版は未読のため、どこがどう加筆修正されたのかはわからないのだが、あえてこの疑問点を残したのだろうか?

    しかしいずれにせよ、その他の伏線は、理由がや弱いものもありながらも、回収されている。
    デビュー作だったという点も考えれば、その回収率の高さと手法の鮮やかさが見事だ。

    現実の世界でも、全ての出来事に説明がつくことはなく、そう思えば疑問点をふわりと残したままのほうが、物語に人間味が残っているような、世の中の不確かさもあらわしているようで、いいのかもしれないな…と、おもった。

  • K図書館 2012年デビュー作
    講談社BOXで2段組で594ページ
    4人の特殊能力を持つ高校生
    それぞれが異なった内容のチケットを持ち、彼らは同じ日時で集まり5日間を奔走する…


    長いなと怖じけづいたが、面白くてすいすい読めた
    高校生という中途半端の時期の活躍はとても良い
    怖いもの知らずで驚く行動をし、大人や子供にも変幻自在だ
    駿、のん、江崎、葵の出会い方も良かった
    心理描写もきれいで、哲学者の言葉やクラシック音楽が使われたり、きちんとピンチになる所も好感が持てる

    ノワールレヴナントという、作中に登場するカードゲームは、浅倉氏が考えたようだ
    天才すぎる
    気になった方は是非読んでほしい
    ダブルミーニングとして、ノワールは黒で、レブナントは亡霊である
    火事で亡くなった少女が関係しているのかな

    また伏線の狙撃手と異名を持つ浅倉氏だけに、だからこうだったのかと腑に落ちることが多々あった
    ムダな部分はなかったように思える
    流石である
    最後、4人共連絡先を削除する
    会わない、次回はないと示唆しているようで潔かった

    のんの口癖で、「あたし」と何回も使われて鬱陶しかったかな
    高校生だから可愛さを出したと思うが…
    また、悪役の黒澤がこうなってしまった原因が、少し弱い気がした(上から目線ですみません)

  • 4人の若者の群像劇。現実にはありえない特殊能力というものによって4人が結び付いていくのだが、それが現実にありそうに思わせてくれるところが、この作者の書き方の上手さなのだと思う。ちょっと長すぎた感じもしました。

  • <エッセイ>浅倉秋成「よくわからなくて面倒で就活」 別冊文藝春秋 電子版39号 | コラム・エッセイ - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/6510

    『ノワール・レヴナント』(浅倉 秋成,N村 雄飛)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000208934

    「ノワール・レヴナント」 浅倉 秋成[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322003000404/

  • 浅倉秋成さんのデビュー作。

    中盤からの爽快感ある怒涛のどんでん返しに読む手が止まらなかった。

  • あらすじ
    "普通ではない"ところをもつ4人が集められる。なぜその4人でなければいけなかったのか?4人がすべきこととは?4人が"普通ではない"人になったのはなぜか?という疑問が徐々に解き明かされていく。

    感想
    同著者の「六人の嘘つきな大学生」に魅了されたため、この本を手に取った。文庫本にしてはなかなか分厚くて驚いた。

    まず読んで思ったことは語彙や知識が豊かだということだ。もちろん作家という職業柄、語彙は豊かであるべきかもしれない。しかし、知識がインプットされてなければアウトプットすることはできない。また、先人たちの思想の導入も美しい。話の内容と思想を巧みにリンクさせ、物語を深いものにしていた。読み進めていくと伏線・回収もまた美しく行われていく。臨場感がありこちらも手に汗を握る気持ちで読む手が止まらなかった。

    浅倉さんの作品はまだ2作しか読んでいないが、学ぶことが非常に多い。あとがきも良かった。デビュー作とは思えないほど読みやすく、内容が充実していた。

    フレーズ
    "《すべての良書を読むことは、過去の人と会話をするようなことである》こんなようなことをデカルトは言ったわ。"

    "覚えたって理解しなければ意味がない。暗記しただけではそれはただの呪文であって、人生を豊かにする『言葉』には成り得ていないのですよ。"

    "自分にとって重要な存在というのは、よく練られていない中途半端な表現や言葉で、簡単に体外に排出してはいけない"

    "《好機に出会わないものはいない。ただ好機にできなかっただけだ》──アンドリュー・カーネギー"

    "デカルトに言わせれば思考をしている最中の人間はちょうど森のど真ん中に佇んでいる状態といえるらしい。よって思考の森から抜け出すためには必ず『歩き出さなければ』ならない。"

    ※以下ネタバレ含む








    黒澤父や黒澤娘の革命は方法としては賛同できるものではないが主張は理解できるし彼らなりの信念がある。江崎の言う通り、簡単に正誤の結論を出すことができない問題はたくさんある。しかし、乗る価値がある道を自分で決め、胸を張って進むことができるなら、それは自分にとっての正しい道であると思う。もちろん他人の権利を侵害するものや危害を与えるものは制限されるが…。

  • “誰にも分からない問題は誰にも分からないぶん、誰にでも解答する権利があるということだ。”

    【六人の嘘つきな大学生】の著者のデビュー作。
    600pを越えた長編だが、1章が短い為サクサクと読めてしまう。
    特殊設定ミステリーではあるが、群青色強めでひと夏の青春を描いた作品だ。

    ライトノベルの軽さもあるが、所々に出てくる哲学的な会話にハッとさせられ、心に留めておきたくなる言葉が多々あった。

    登場人物の中でも私の推しが、読書大好き絶賛厨二病女子の三枝。
    彼女の“自分の中に言葉をそっと落としこんで、記憶の篩に掛けたとき、それでも自分の中に残った言葉こそが読後感、あるいは感慨、感銘と呼べるんです。自分の篩から漏れてしまった言葉たちは決して置き去りにされたのではなく、愛されて自分の身体を通過していくのです。そのようにして自分を成長させていく、それこそが読書の良さ。”という言葉は、ここに集う読者好きの方々に刺さる言葉ではないだろうか。

    ストーリーとしては突っ込み所がある箇所や全体をもう少しスッキリさせた方がいいとも思ったが、最後まで面白く読ませてもらった。

    軽さと重さの読み心地をどちらも楽しめる1冊だ。


    こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・伏線が張り巡らせているものが好きな人
    ・【カイジ】が好きな人
    ・特殊設定ミステリーが好きな人
    ・青春ものが好きな人
    ・群青劇が好きな人
    ・ライトノベルが好きな人

    • マメムさん
      初コメです。
      指でなぞってしまうと………は、ちょっと羨ましく思いましたが、やっぱりじっくり味わいたいですよね♪
      初コメです。
      指でなぞってしまうと………は、ちょっと羨ましく思いましたが、やっぱりじっくり味わいたいですよね♪
      2023/02/26
    • Aの本棚さん
      コメントありがとうございます .ᐟ.ᐟ
      気づくのが遅くなってごめんなさい。
      確かに .ᐟ.ᐟ
      自分だったらどの能力を使ってみたいか考えるのが...
      コメントありがとうございます .ᐟ.ᐟ
      気づくのが遅くなってごめんなさい。
      確かに .ᐟ.ᐟ
      自分だったらどの能力を使ってみたいか考えるのが楽しい作品でした。
      2023/07/03
  • 700ページを超えて非常にボリュームがありますが、4人の視点で交互に語られるので飽きずに読み進めることが出来ました。
    多少ご都合主義的なところも見られますが、ファンタジーとして楽しむには問題なしです。

    文庫本なのに厚くて持ち運びにくのは難点。

  • めちゃくちゃおもしろかった。
    浅倉さんの作品は、『教室が1人になるまで』に続いて2作目。
    4人の高校生が、それぞれ『普通じゃない』たる能力をある日から所有してるところが、『教室が〜』と似た設定。わざとなのかな?

    そこから4人が集められた意味。なぜ能力を自分たちは与えられたのか。何を協力しなくてはいけないのか…

    ふんわりとところどころ展開を想像できつつも、それでも伏線には関心させられたし、(弥生の幸福偏差値85の理由はすぐ察したけど、それは姉が設定したからだとか)能力も上手く設定されてるし、主人公たちの個性にめちゃくちゃ合ってる。

    『その時が来ても、あなたが私に協力しないというのなら、そのときあなたは…』
    に続く4人の決意とも取れる意志がそれぞれらしくてよかった。

    最初、のんの話し方がうざいなと思ったけど最後はこれはこれで可愛い気がしてきてた笑

    ミステリーぽいのに青春で、そして最後はちょっと切なくて…、うん、めちゃくちゃおもしろかった。

    ただ1人の母親として、子供が欲しいのなら対価を、って、それはまっっっったく共感できなくてモヤった。その考え方も無しではないよねみたいな物語の流れにも。
    少なくとも女は産むまでに十月十日と出産、そこから始まる育児で大概対価払っとるぞクソが。

    • koharakazumaさん
      横からすみません。いろいろ全く同感です。ただ、最後のところ、まだ子育てを経験していない若い男の子の書いた小説だということで許してやってくださ...
      横からすみません。いろいろ全く同感です。ただ、最後のところ、まだ子育てを経験していない若い男の子の書いた小説だということで許してやってください。
      2022/03/09
    • ゆなさん
      koharakazumaさん、コメントありがとうございます!なんだか一部にとってはやっぱり子供を持つことってただの贅沢だと思われてるのかなあ...
      koharakazumaさん、コメントありがとうございます!なんだか一部にとってはやっぱり子供を持つことってただの贅沢だと思われてるのかなあと、ボスの企みという物語の肝なのに残念でした…でも物語はすごくおもしろかったですよね( ´ ▽ ` )
      2022/03/09
  • 素材が異なる4本の紐、いや、それ以上の多くの紐が5日間を通して一本の美しい紐になっていくような作品。

    かなり長編だが、苦痛を感じさせない読み応えのある一冊だった。

  • 各人の能力がそれぞれに意味を持ってくる様子が良かった。

    黒幕の発想が突飛すぎる上に、どこにもリークされない異様さ。
    あの話の収束の仕方だと、工場も復活するんじゃないかな?

    大元のきっかけに仕方ないと思える理由があっても、こういう場合黒幕の育ち方(親、環境)にも原因がありそう。

  • 「存在意義」や「命の選別」について、すこしふしぎな世界観で描かれていました。

    講談社BOXと言えば、やはり<物語>シリーズ。
    どこか2次元味の強い登場人物たちとSFと日常の入り混じった世界観は、<物語>シリーズに通ずるものがありました。
    多くの名言の引用とクラシック楽曲の提示から、作者の博識さを感じました。山場のシーンでは、提示されているクラシック楽曲を再生しながら本書を読み進めることで、より物語の世界に没入できました!

    本書では命の選別を推し進める側がかなり異端で傲慢に描かれていましたが、実際は非常に難しい問題だと思います。(それこそ、常に議論されている命題。)
    ただ、私は「(どんな心身を持っていても、)あなたがいて良かった。あなたが存在していてよかった。」と誰か一人にでも思われることにヒトの存在意義がある。だから、確かにサッちゃんにも存在意義はあって、限りなく全ての人がそうであると思っています。というか、そう願っています。
    生まれる前から存在意義を否定する社会にはなってほしくないと切に思います。


    p.374 好機に出会わないものはいない。ただ好機にできなかっただけだ-アンドリュー・カーネギー

    なんでしょうね。この言葉が本書で一番グサっときました。他にも多くの名言が引用されているので、本筋とは別に自分に合った言葉が一つは見つかる気がします。

  • 正確に書くと星4.5。
    これは当たりだった。
    デビュー作とは思えない緻密さで、超能力の設定もしっかりしていて、すごく面白かった。
    教室がひとりになるまでと似たところを感じた。青春っぽいものが含まれているところとか、超能力とか、雰囲気とか。
    分からないところもあったが、それでも納得のラストだった。

    • マメムさん
      初コメです。
      分厚いけど、数日間の話だとはとても感じられない程の濃い内容で面白いですよね。
      背中にアレが見えるという能力はどう活かされるのか...
      初コメです。
      分厚いけど、数日間の話だとはとても感じられない程の濃い内容で面白いですよね。
      背中にアレが見えるという能力はどう活かされるのか最後まで読まないと分からない所も、また良かったです♪
      2023/01/18
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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。『教室が、ひとりになるまで』で推理作家協会賞の長編部門と本格ミステリ大賞の候補作に選出。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『六人の嘘つきな大学生』など。

「2023年 『六人の嘘つきな大学生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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