ノワール・レヴナント (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.80
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  • (4)
本棚登録 : 1499
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (768ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096864

作品紹介・あらすじ

僕は他人の背中に数字が見える。その人の今日の幸運レベルを示し、基本値は50。しかしある日、同級生の弥生の背に85という数が! ラッキーのおこぼれを期待して彼女と行動を共にした僕は、同じく妙な力を持つ仲間と出会う。本を指でなぞって内容を記憶する。毎朝、今日聞くことになる台詞を予知する。念じると触れたものを壊す――。僕たち4人を結びつけたのは、ある少女の死の謎だった。全ての偶然が必然に変わる群像青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • あらすじを読んで、電子書籍で購入したので、読み終わってから分かったのですが、著者デビュー作+700頁超えの大作だったんですね。
    それを感じさせない圧巻の内容でした。
    特殊能力を含めて、提示される「謎」が気になって、一気読みできました。
    最後のオチの部分は好みが別れるところかもしれませんが、自分だったらこの特殊能力をどう活かすか等を考えるだけでワクワクしてきました。特殊能力欲しい〜。

  • 面白かった。
    そうきたか〜、と鳥肌が立つところが何か所かあり
    長かったけど十分面白かった。
    ただ黒幕の本当の目的、というか最後の対決?の場面では説明が回りくどくちょっと中だるみ発生。
    なんとなく、続編がありそうな最後の黒幕の言葉。
    あればいいな〜。


  • 朝倉秋成さん ノワール・レヴナント

    ボリュームある長編小説

    普通でない四人の高校生が何かに引き寄せられ、
    夏休みのある日に同じ場所に集まった。

    四人が集まったのは偶然か、それとも
    ナニカが仕組んだ必然なのか。

    四人はその謎を解くために協力し、
    集まった理由を考える。

    大須賀、江崎、三枝、葵
    張りに張った伏線は、後半からラストに向けて
    四人それぞれの視点で語られながら繋り、
    解き明かされます。



  • すごく引き込まれした。
    設定がすごいなぁと!!!
    恋もありつつ、青春ミステリー。
    特殊設定ではありますが、とても読み応え抜群でした。
    ある種哲学的な要素も含まれているため、興味深い内容でもありました!!

    • マメムさん
      初コメです。
      指でなぞるだけで………は、ちょっと羨ましいです(笑)
      初コメです。
      指でなぞるだけで………は、ちょっと羨ましいです(笑)
      2023/10/24
  • 他人の背中に幸運レベルを示す数字が見える高校生・大須賀駿。彼は、本の背表紙をなぞれば内容が記憶できる少女・三枝のん、その日に聞く台詞を予言できる青年・江崎純一郎、念じると触れたものを壊せる少女・葵静葉と出会う。4人を結びつけたのはある少女の死にまつわる謎で──。

    「それは、あなたに預けます。ですから、その時まで、どうぞご自由にお使いください。ただもしも、その時が来たら、私に協力しなさい。その時が来ても、あなたが、私に協力をしないと言うのなら、あなたは──」

    4年前に聞いた謎の声とともに発現した特殊能力に翻弄される少年少女たち。さらに不思議な運命によって引き寄せられ、少女の死に端を発する巨大な謎を追うことになる。序盤は登場人物と同じく手探り状態。少し長めのプロローグ(なんと134ページ!)もあってびっくり!ただ、集まってからの展開は4人の視点を切り替えつつスピーディーに進む。読んでみればあっという間で、なおかつ濃厚すぎる5日間を堪能できる群像青春ミステリ。これだけの文量を飽きさせずグイグイ読ませてくれる浅倉秋成先生。これがデビュー作とは恐ろしい。

    ミステリとしての伏線や仕掛けも丁寧で、謎が少しずつ解けていくのが心地いい。細やかな違和感も取りこぼしなく拾う一方で、ファンタジーを大胆に使って魅せるさじ加減も上手い。物語が進むにつれて4人の心情が鮮やかに変化していくところも見ごたえあり。特に江崎と葵の関係性には泣きそうになった。のんも名言を引用しながら独特の思考をするモノローグが楽しい。謎だけじゃなく、一緒に成長できる時間を分かち合えたという達成感を味わえる清々しさは絶品。

    闇の中にある真相はおぞましいほど悪魔的で震えた。読みながら背筋が凍るような思い。どこまでも人間らしくあろうとした人間こそ、自分を黒く塗りつぶそうとしていたのかもしれない。同情はまったくできないけれど。ミステリ×青春×哲学と掛け算しかない物語の余韻がすごい。本屋で「うわっ!厚い!」と思っても、読んでみてほしいお薦めの一冊。

    以下、好きな文章を引用しておきます。英雄の話と森の話が特に好き。

    p.232
    「覚えたって理解しなければ意味がない。暗記しただけではそれはただの呪文であって、人生を豊かにする『言葉』には成り得ていないのですよ。ですので、自分の中に言葉をそっと落としこんで、記憶の篩に掛けたとき、それでも自分の中に残った言葉こそが読後感、あるいは感慨、感銘と呼べるんです。自分の篩から漏れてしまった言葉たちは決して置き去りにされたのではなく、愛されて自分の身体を通過していくのです。そのようにして自分を成長させていく、それこそが読書の良さ」

    p.513
    かのベルトルト・ブレヒトは言った。《英雄のいない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸だ》と。英雄なんて、そんなものは元々必要ないのだ。それを欲してしまう時代というものが、そもそも罪であり、悪なのだ。

    p.632
    人生を支配するのは幸運であり、叡智にあらざるなり。(キケロ)

    p.664
    「思うに世の中で起こる大概の良くないことは、おおよそシステムのせいじゃない。包丁があっても人が切られることは少ないように、路上に鞄が置いてあっても盗まれることが少ないように。悪いのはシステムじゃなく、いつだって『人の有り様』だ」

    p.724
    デカルトに言わせれば思考をしている最中の人間はちょうど森のど真ん中に佇んでいる状態といえるらしい。よって思考の森から抜け出すためには必ず『歩き出さなければ』ならない。そこに佇んでいるかぎり、あたしたちは永遠に迷いの森の住人であるのだ。

  • <エッセイ>浅倉秋成「よくわからなくて面倒で就活」 別冊文藝春秋 電子版39号 | コラム・エッセイ - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/6510

    『ノワール・レヴナント』(浅倉 秋成,N村 雄飛)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000208934

    「ノワール・レヴナント」 浅倉 秋成[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322003000404/

  • あらすじ
    "普通ではない"ところをもつ4人が集められる。なぜその4人でなければいけなかったのか?4人がすべきこととは?4人が"普通ではない"人になったのはなぜか?という疑問が徐々に解き明かされていく。

    感想
    同著者の「六人の嘘つきな大学生」に魅了されたため、この本を手に取った。文庫本にしてはなかなか分厚くて驚いた。

    まず読んで思ったことは語彙や知識が豊かだということだ。もちろん作家という職業柄、語彙は豊かであるべきかもしれない。しかし、知識がインプットされてなければアウトプットすることはできない。また、先人たちの思想の導入も美しい。話の内容と思想を巧みにリンクさせ、物語を深いものにしていた。読み進めていくと伏線・回収もまた美しく行われていく。臨場感がありこちらも手に汗を握る気持ちで読む手が止まらなかった。

    浅倉さんの作品はまだ2作しか読んでいないが、学ぶことが非常に多い。あとがきも良かった。デビュー作とは思えないほど読みやすく、内容が充実していた。

    フレーズ
    "《すべての良書を読むことは、過去の人と会話をするようなことである》こんなようなことをデカルトは言ったわ。"

    "覚えたって理解しなければ意味がない。暗記しただけではそれはただの呪文であって、人生を豊かにする『言葉』には成り得ていないのですよ。"

    "自分にとって重要な存在というのは、よく練られていない中途半端な表現や言葉で、簡単に体外に排出してはいけない"

    "《好機に出会わないものはいない。ただ好機にできなかっただけだ》──アンドリュー・カーネギー"

    "デカルトに言わせれば思考をしている最中の人間はちょうど森のど真ん中に佇んでいる状態といえるらしい。よって思考の森から抜け出すためには必ず『歩き出さなければ』ならない。"

    ※以下ネタバレ含む








    黒澤父や黒澤娘の革命は方法としては賛同できるものではないが主張は理解できるし彼らなりの信念がある。江崎の言う通り、簡単に正誤の結論を出すことができない問題はたくさんある。しかし、乗る価値がある道を自分で決め、胸を張って進むことができるなら、それは自分にとっての正しい道であると思う。もちろん他人の権利を侵害するものや危害を与えるものは制限されるが…。

  • “誰にも分からない問題は誰にも分からないぶん、誰にでも解答する権利があるということだ。”

    【六人の嘘つきな大学生】の著者のデビュー作。
    600pを越えた長編だが、1章が短い為サクサクと読めてしまう。
    特殊設定ミステリーではあるが、群青色強めでひと夏の青春を描いた作品だ。

    ライトノベルの軽さもあるが、所々に出てくる哲学的な会話にハッとさせられ、心に留めておきたくなる言葉が多々あった。

    登場人物の中でも私の推しが、読書大好き絶賛厨二病女子の三枝。
    彼女の“自分の中に言葉をそっと落としこんで、記憶の篩に掛けたとき、それでも自分の中に残った言葉こそが読後感、あるいは感慨、感銘と呼べるんです。自分の篩から漏れてしまった言葉たちは決して置き去りにされたのではなく、愛されて自分の身体を通過していくのです。そのようにして自分を成長させていく、それこそが読書の良さ。”という言葉は、ここに集う読者好きの方々に刺さる言葉ではないだろうか。

    ストーリーとしては突っ込み所がある箇所や全体をもう少しスッキリさせた方がいいとも思ったが、最後まで面白く読ませてもらった。

    軽さと重さの読み心地をどちらも楽しめる1冊だ。


    こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・伏線が張り巡らせているものが好きな人
    ・【カイジ】が好きな人
    ・特殊設定ミステリーが好きな人
    ・青春ものが好きな人
    ・群青劇が好きな人
    ・ライトノベルが好きな人

    • マメムさん
      初コメです。
      指でなぞってしまうと………は、ちょっと羨ましく思いましたが、やっぱりじっくり味わいたいですよね♪
      初コメです。
      指でなぞってしまうと………は、ちょっと羨ましく思いましたが、やっぱりじっくり味わいたいですよね♪
      2023/02/26
    • Aの本棚さん
      コメントありがとうございます .ᐟ.ᐟ
      気づくのが遅くなってごめんなさい。
      確かに .ᐟ.ᐟ
      自分だったらどの能力を使ってみたいか考えるのが...
      コメントありがとうございます .ᐟ.ᐟ
      気づくのが遅くなってごめんなさい。
      確かに .ᐟ.ᐟ
      自分だったらどの能力を使ってみたいか考えるのが楽しい作品でした。
      2023/07/03
  • 4人の若者の群像劇。現実にはありえない特殊能力というものによって4人が結び付いていくのだが、それが現実にありそうに思わせてくれるところが、この作者の書き方の上手さなのだと思う。ちょっと長すぎた感じもしました。

  • めちゃくちゃおもしろかった。
    浅倉さんの作品は、『教室が1人になるまで』に続いて2作目。
    4人の高校生が、それぞれ『普通じゃない』たる能力をある日から所有してるところが、『教室が〜』と似た設定。わざとなのかな?

    そこから4人が集められた意味。なぜ能力を自分たちは与えられたのか。何を協力しなくてはいけないのか…

    ふんわりとところどころ展開を想像できつつも、それでも伏線には関心させられたし、(弥生の幸福偏差値85の理由はすぐ察したけど、それは姉が設定したからだとか)能力も上手く設定されてるし、主人公たちの個性にめちゃくちゃ合ってる。

    『その時が来ても、あなたが私に協力しないというのなら、そのときあなたは…』
    に続く4人の決意とも取れる意志がそれぞれらしくてよかった。

    最初、のんの話し方がうざいなと思ったけど最後はこれはこれで可愛い気がしてきてた笑

    ミステリーぽいのに青春で、そして最後はちょっと切なくて…、うん、めちゃくちゃおもしろかった。

    ただ1人の母親として、子供が欲しいのなら対価を、って、それはまっっっったく共感できなくてモヤった。その考え方も無しではないよねみたいな物語の流れにも。
    少なくとも女は産むまでに十月十日と出産、そこから始まる育児で大概対価払っとるぞクソが。

    • koharakazumaさん
      横からすみません。いろいろ全く同感です。ただ、最後のところ、まだ子育てを経験していない若い男の子の書いた小説だということで許してやってくださ...
      横からすみません。いろいろ全く同感です。ただ、最後のところ、まだ子育てを経験していない若い男の子の書いた小説だということで許してやってください。
      2022/03/09
    • ゆなさん
      koharakazumaさん、コメントありがとうございます!なんだか一部にとってはやっぱり子供を持つことってただの贅沢だと思われてるのかなあ...
      koharakazumaさん、コメントありがとうございます!なんだか一部にとってはやっぱり子供を持つことってただの贅沢だと思われてるのかなあと、ボスの企みという物語の肝なのに残念でした…でも物語はすごくおもしろかったですよね( ´ ▽ ` )
      2022/03/09
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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。『教室が、ひとりになるまで』で推理作家協会賞の長編部門と本格ミステリ大賞の候補作に選出。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『六人の嘘つきな大学生』など。

「2023年 『六人の嘘つきな大学生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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