僕の目に映るきみと謎は (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096901

作品紹介・あらすじ

あなたは呪いの人形を受け取りました。
この人形を親友に渡さなければ、あなたは、次の友引の日に死んでしまいます。
あなたは、親友に、渡しますか?


僕の幼馴染、祀奇恋子(まつりぎ・こうこ)の視る世界は異常である。
彼女は謎(オカルト)を視て、怪異(ミステリ)を解き明かす霊能探偵だ。
ある時、僕たちの通う高校で生徒の連続自殺が起きた。そこには受け取った相手を呪い殺す「トモビキ人形」がかかわっているらしい。
親友から人形を渡された女子生徒の相談を受け、恋子は5W1Hを駆使して怪異を暴く、「除霊推理(オカルトトラッキング)」に挑むことを決める。
怖がりのくせに逃げない幼馴染を守るため、僕も助手として調査を始めるが――。

感想・レビュー・書評

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  • 謎(オカルト)を視て、怪異(ミステリ)を解き明かす霊能探偵・祀奇恋子(まつりぎこうこ)。「トモビキ人形」と呼ばれる呪いが、生徒の連続自殺を引き起こした。恋子は怪異の正体を暴いて除霊できるのか?!

    呪いによって発生した現象を5W1Hで解釈し、怪異の正体を言い当てることで御祓いをする「除霊推理(オカルトトラッキング)」の設定が面白い。恋子は呪いを祓える反面、呪いの影響を受けやすく、証拠集めは幼なじみの真守がして、恋子が命懸けの安楽椅子探偵として呪いに推理で挑む関係性も絶妙。

    ホラーとミステリの仕掛けが一体となって、山場が両方の魅せ場へと繋がっているのが上手い。推理を外したら依頼人も自分も死ぬという緊張感もいいよね。思っていた以上に事件の闇が深すぎて、300ページとは思えないボリュームを感じた。恋子たち高校生の青春ドラマの側面もあってより味わい深い。重い一辺倒の話ではなく、井上悠宇先生らしい軽快なかけ合いも魅力。
    「女の先輩の連絡先をゲットできたから、象みたいに鼻の下伸びてるんだ?」
    「象が伸ばしてるのは鼻であって、決して鼻の下じゃない」
    一捻りある会話劇が好き。あと、他作品を読んでいるとちょっといいことがあるかも?

    「どんなに怖くても、戦おうとするんです。恐怖から逃げ続ける自分が嫌だから。恐怖と戦って生きると決めたから」
    7年前に除霊失敗して亡くなった姉の祀奇神奈。その後、恋子は向こう側のものが視えるようになり、真守は視えなくなる代わりにある能力を手に入れた。この二人だからこそ救える人がいる。恋子は推理以外では呪いには無力。向こう側へ干渉できることは、向こう側の存在にたやすく殺されてしまうという諸刃の剣でもある。それでも、視えるようになった恐怖に立ち向かう恋子が素敵だった。

    ライト文芸テイストかと思いきや、とんでもない重量級を読むことに(笑)
    綾辻行人『Another』シリーズ、澤村御影『准教授・高槻彰良の推察』シリーズ、城平京『虚構推理』シリーズあたりが好きならぜひ。

  • 面白かったな~。
    この作品の前にもオカルト関係の探偵ものを読んでたので
    (まぁあちらは厳密にいうと違う)
    なんかジャンル似たもの読んでしまったなと思ったけれど、
    全然違った。
    星4にしているけど、4.5くらいでいいかもしれない。
    いや、4.8くらいか?(じゃあ5でいいだろというツッコミ)

    呪いとか悪霊とかがモロに出てくる本物(?)のオカルトもの。
    オカルトを「謎」
    その正体を暴くことを「推理」と呼び、
    それを暴く霊能者のことを「探偵」としている。
    言われてみればそうなんだけど、なるほど、これは新しい視点。

    霊能者である高校生恋子と幼馴染の真守の二人で
    怪異と向き合い、正体を突き止めていくというので
    前半はサクサクっと進み、あ、これ連作短編なんだと思ってたら
    まさかの展開。
    しかもそれが自分たちとも繋がっていくという流れはスムーズだった。

    星5つを文句なくつけられないのは、
    呪いの発動条件その他諸々が複雑に絡み合って
    若干何が何だかわからない状態になっていたから。
    整理するために読み終わったあと紙に書きだそうと思ったけど、
    やっぱり何が何だかわからなくてやめた。
    頭の中では、一応理解できたと思うんだけど。

    呪いを媒体にしたら好きなように人が殺せて、
    証拠も残らないし、罪にも裁かれないし、やりたい放題だな…
    恐ろしい完全犯罪になるんじゃと思ったら、やってた奴いたよ。
    高校生相手に、完全に舐め腐ってたね。
    その油断を容赦なく利用していった彼の選択は間違っていない。
    (ああいうのは人を呪わば…にならないのかと気になったけど)

    たぶんだけどこれは続編があると期待しています。
    まだ解明できていない謎(恋子の扉)もあるし。
    あと一番気になっているのは琳鈴麗の存在。
    「貸しにしとく」と言いながら協力だけしてくれるいい人だけど
    絶対それだけじゃない感じがスゴイ。
    真守がさっさと借りを返すのか、はたまたフォアグラになるのか。
    私は見届けなければならない。

  • 主に呪いに関するオカルト話なんですが、オカルトにもロジックがあるという考え方が面白い。それでも理解の及ばない世界を否定するわけではなく、オカルトとミステリーがちゃんと同居してる。

  • 正体を見つけなければ。
    一つの呪いが表立って分かっていたからこそ、その影に隠れた存在に気付けなかったのだろうな。
    これだけの人の死に裏で手を貸していたら、恨みから逃れることなど不可能に近いだろうな。

  • 視える少女と、強制的に締め出せる少年。

    変な人形というよりも、怖い人形?
    こうして都市伝説は変化していくわけですが
    混じっている、というのは思いつかず、でした。

    除霊、とはいえ、怖い話ではなく…ミステリー?
    5W1Hをここで出されるとは思いませんでした。
    そういう意味では、新しいホラー?
    主人公の特技がなかなか凄いですが。
    がめつい一族(?)も凄いですが。
    結局、そちらへの貸しはどうなったのでしょう…。

    一応無事終了、でしたが、穴二つ。
    そのまんまの意味でした…。

  • 全ての人の目前にある、この世とあの世を繋ぐ見えない扉。それが開けば怪異が迫る…。そんな扉が全開で常に怪異に曝されている霊能探偵の祀奇恋子と、全ての扉を閉める力を持つ幼馴染みの真守が、受け取った相手を呪い殺す『トモビキ人形』に纏わる事件に”5W1H”を駆使して挑むミステリ。内容を確認せずタイトルと表紙に惹かれて読み始めたらオカルトとわかり、恐怖しつつも予想できない展開にワクワクしながら読み進めました。一番恐いのは生きてる人間だというね…。キャラミスとしても楽しめて、ぜひシリーズ化して欲しい作品と思いました。

  •  この物語で一番好きな文は
    「向こう側で、シュークリームが三つ必要だったのだろう。」
    という文。
    きっと、誤解をといた3人がシュークリームを食べているのだろう。 思い出のカフェのシュークリームを...
      (もしかしたら違うかも…)
    でもそういう考えができるのも視えない世界(オカルトという名の〝謎“)ならではかもしれない。

  • 霊や呪いが存在する世界で、謎→オカルトを推理し解き明かすことで除霊を行う探偵が登場する。
    これまでも魔女が実在する世界の「やさしい魔女の救い方」や、「誰も死なないミステリーを君に」等、新鮮な視点でのミステリーが面白かったので読んでみた。正直なかなか辛いかなー、いろんな意味で、と言うのが感想でした。
    結構怖かったしなあ。

  • 向こうの世界が見える学生が、呪い殺されたと思われる事件に挑む。
    まぁ、こうなると何でもありになりそうだけど、ミステリとしての謎解きは面白い。

  • 何重にも積み重なった謎を解いていく感じがとても面白かったー。読みながらなんども、え?ん?ん?と前に戻り、なるほど、と納得してまた疑問にぶつかって。彼と恋子の関係も、お互いにしかできない役割も私の好み…こういうオカルトはあまり読まなかったけど、もっと読みたくなったな。一冊でぎゅうっと話が詰め込まれてて楽しかった。またふたり(とリンリン)のオカルト探偵姿を見たいなぁ。

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著者プロフィール

2011年「思春期サイコパス」でスニーカー大賞優秀賞を受賞し、翌年『煌帝のバトルスローネ!』でデビュー。著書に「城下町は今日も魔法事件であふれている」シリーズ、『きみの分解パラドックス』『さよならのための七日間』『やさしい魔女の救い方』「誰も死なないミステリーを君に」シリーズがある。

「2023年 『不実在探偵の推理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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