業苦 忌まわ昔 弐 (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA
2.93
  • (1)
  • (1)
  • (8)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096956

作品紹介・あらすじ

志を立て腹に宿った釈迦如来。親子の情が通じない無常なあの世。色男を焦がれ死にさせた冷酷な美女。妻に追い立てられて老いた姨母を山に捨てた夫――。これは昔か現代か。それは夢か現か幻か。過去を語ることで浮き上がる、忘れていた忌まわしい今……。「今昔物語」の著名な説話をもとに、鋭敏な感性と観察眼で現代に起こった凄惨な事件を解釈した、他に類を見ない怪異譚。人間の本質を巧みにあぶりだす人気シリーズ第二弾!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今昔物語 現代バージョン、の一冊。

    第一話からまとわりつくような陰鬱さ…ラストまでたっぷり絡めとられた感でいっぱい。

    どの話も冒頭にサラッと今昔物語が紹介されているのだけれど、志麻子さんによってワイドショーなみの現代バージョンに置き換え 描かれると、一気に濃厚に人間の心の闇、狂気が浮き彫りになっていく物語に。

    どこかあちらの世界に行ってしまっているような狂気もあれば、ごく普通に人が心に持ち得る狂気もあり…。

    姥捨山は印象に残るな。最後の言葉、これはビシっと決まった。
    そしてドキっとやられた。

  • 現実に起こったセンセーショナルな事件が題材となって今昔物語と融合した短編集。
    あの事件だなとすぐピンとくるものもあれば、どの事件だろう?と思い巡らすものもある。未解決の事件が題材の話は、事件の真相はこうだったのかとうっかり信じかけるほど業にまみれた人間関係が現実味を帯びて生々しい。
    今は昔、昔も今も事件の元になる男と女、女と女の縺れた感情は不変。

  • の、2巻目
    この話のモデルって、あれか!あの人物か!
    やっぱりあれ、ホラーだよね
    存在が

  • 現代版今昔物語集。ひっそりじっとりとした情念の重苦しさとひそかな恐怖を感じさせられる物語の数々。これらは現実にはなさそうで、しかしもしかしたらあるのかもしれない、と思わされるような印象です。読めば読むほど闇に呑み込まれそう。
    お気に入りは「源頼信阿臣の男頼義、馬盗人を射殺せる話」。いったい何が起こったのか、なぜそんなことが起こってしまったのかが一切わからない気持ち悪さが格段な一作でした。不気味この上ない「姉」だけど、むしろ何事もなければ平凡というか、強いキャラクター性があるわけじゃなく。なのになんなのこの奇妙な物語。ラストも結局何がどうなったのか一切謎なんですよねえ……。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

岩井志麻子 (いわい・しまこ)

岡山県生まれ。1999年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。同作を収録した短篇集『ぼっけえ、きょうてえ』で第13回山本周五郎賞を受賞。怪談実話集としての著書に「現代百物語」シリーズ、『忌まわ昔』など。共著に『凶鳴怪談』『凶鳴怪談 呪憶』『女之怪談 実話系ホラーアンソロジー』『怪談五色 死相』など。

「2023年 『実話怪談 恐の家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩井志麻子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×